2008年7月18日 (金)

またか、GDP成長率の下方修正(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第99弾です)

 新聞報道によれば内閣府は日本の経済成長率見通しについて、実質で今年度1.3%前後とする方向で関係各省庁と調整に入ったとある。成長率見通しが、客観的なデータに基づいて計算されるのでなく、各省庁で相談しながら決めるというのも驚きだが、今回も例年通り、大幅な下方修正であり、やはり元の発表は大本営発表だったことが裏付けられた。以下の表で、内閣府による国民を馬鹿にした発表を示した。2002年から、この大本営発表を繰り返しており、どうして国民が怒らないか不思議でならない。
Photo_2 
 例えば2007年度の名目成長率は昨年1月には2.2%だろうと言っていたが、実際はその3分の1にも届かない0.6%だった。2008年度の成長率は昨年1月の予測では2.8%だったが、今回の発表では何とその9分の1以下の0.3%だ。2009年度の見通しもみるみる下がっている。つまり政府は、日本経済は順調に回復を続けていることを毎年アピールしているのだが、実際その年になってみると「予想外」に低い成長率であることが分かり、そのたびにもっともらしい言い訳がつけてある。

 その言い訳も2~3回ならまだしも、2002年度からずっと言い続けている。以前に2007年度の成長率が国際的に見て如何に低いかを示したら、今度のデータで2008年度の国際比較をしてみたので下のグラフをご覧頂きたい。日本以外はOECDの最新の予測を使った。誰が見ても明らかだ。日本の成長率は余りにも低い。これだけ成長率が低いと日本では何をやってもうまくいかないし、収入の伸びも全く期待できない。
2008

 現状維持ならまだよいのだが実はそうではない。ヨーロッパから見た日本のGDPのグラフを下に示す。これで分かるように日本経済は実は急激に縮小しているのだ。縮小を止める方法が無いのなら仕方がないのだが、縮小は簡単に止められる。お金を刷ればよいだけだ。刷って減税なり、歳出拡大で国民のために使うだけでよい。お金を刷る規模で、名目成長率は自由に変えられる。

Photo_3

 我々は、これらの事に関しても政府の追求を続ける。その一つの機会が大田大臣と宍戸駿太郞氏の公開討論会だと思っている。その日程が決まった。

ESRI-経済フォーラム
~経済政策とマクロ計量モデル~

1.日時 8月8日(金) 13時から15時
2.場所 霞ヶ関ビル東海大学校友会館

 しかしながら、内閣府の提案は到底受け入れがたいものだった。つまり彼らのプランは最初の20分だけ、大田大臣と宍戸氏の対談があり、それが終わると、大田大臣は逃亡(敵前逃亡?)し、その後は、御用学者がぞろぞろ登場にて、政府の政策の擁護をするというもの。なぜ内閣府はいつもそのような悪知恵をはたらかすのだろう。政府は、ちゃんと国民の声を聞くべきだ。随分長い間、国の借金を返そうとして、緊縮財政をしているが、全然返せてない。緊縮財政は国民の大きな犠牲のもとで行われたのだが、その結果として日本経済は随分縮小した。得る物は何もなかった。政策の根本的な間違いがあったのではないかと疑うときに来ている。今こそ専門家の声に耳を傾けるときだ。

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「偽装CHANGE」勢力の胎動に目を配ろう!!

 植草さんが今、精力的に警鐘を鳴らしていることは重大である。それは自民党の清和政策研究会、および民主党の凌雲会勢力が中心となって策動体勢を整えつつある「偽装CHANGE」作戦のことである。やっぱり植草一秀さんという人物は歴史的な人物である。あれだけ、ひどい目に遭ったあとで、ご自分の体勢を回復しながらも、現在進行している政権勢力の危険な徴候、胎動を見抜き、ブログ発信で世間に警告を発し続けている。この果敢な姿勢は、彼が小泉・竹中構造改革路線の誤りを不退転で指摘し続けたことと、りそなインサイダー疑惑を指弾し続けたこととまるで同じである。このような行動は常人ができる範囲を超えている。彼のブログ記事を読んでいればわかるが、植草さんは再び巨大な売国勢力に立ち向かっているのだ。

 今の植草さんは2004年4月の品川事件、そして、2006年9月の京急事件の直前に、彼が政権主導筋によって、対米隷属仕様の構造改革における第一級の阻害因子を孕んだ人物として睨まれていたことと、まったく同じ位相に突入していると思う。つまり、今、彼や彼の考え方を支持する者たちは、現主力政権筋に睨まれ、非常に危険な状況に至っていると考えた方がいい。今、彼らは当然、何としても植草さんの言論展開を阻もうと画策しているはずである。しかし、植草さんは現在、言論表現手法を、リアルタイムで発信でき、双方向通信が可能なインターネットで行っていることにより、彼の日々の言論は多くのネットユーザーに強く注目されている。それは政治ブログランキングの上位に位置していることでよくわかる。

 私が言いたいのはこの状況で政権筋が、植草さんに下手に手を出した場合、ネットユーザーを中心とする多くの反構造改革派、反対米従属派、国民層の多岐に渡るセーフティネット回復希求派が黙っていないことだ。おそらく、品川、京急事件に続く三度目の謀略はもう通用しないだろう。しかし、彼らは何としても植草さんの『偽装CHANGE警告』言論を潰そうと、あの手この手を考えていることだろう。今、植草さんの言論に注目する方々は注意して植草さんのことを見守って欲しい。

 さて、『知られざる真実ー勾留地にてー』第一章の13によれば、今から9年以上も前、小泉政権が誕生する以前に、植草さんは日経新聞の現社長である杉田亮毅氏に依頼され、約一時間半の時間をもらって小泉純一郎氏に進講した。そこでは小泉氏に、1990年以降の日本経済の推移、米国の三重苦克服のメカニズム、日本の三重苦克服の方策を説明した。ところが、小泉氏は序盤から植草さんを遮って持論を展開したそうである。 植草さんは何とか説明を続けようと試みたが、まったく虚しい結果となった。つまり、小泉氏は植草さんの経済分析や展望、国民経済の寄与にはまったく関心がなく、この時点でいかに宰相の器量を持っていなかったかを充分に証明していたのである。植草さんが嵌められる第一の伏線は、すでにこの時に発生したようだ。植草さんの不安は的中し、小泉氏は政権を超緊縮財政に導いて経済を落下させた。植草さんは小泉氏が総理大臣になってからも、二回ほど話したことがあるそうだ。2003年の自民党総裁選に際してのテレビ討論と、フジテレビの「報道2001」だった。「郵政民営化」論でも小泉氏は植草さんに激しく反論したらしい。(同書P65~66参照)

 さて、植草さんはフジテレビの月9ドラマ、木村拓哉主演の総理大臣ドラマ「CHANGE」を、政治的プロパガンダ・ドラマであり、国策番組の疑いが濃いと言っている。小泉官邸主導政権の中枢にいた飯島勲元秘書官がシナリオを書いているのなら、その可能性はきわめて高い。テレビメディアが国民世論の誘導操作を、ニュース番組やニュース・ワイドショーだけでやるわけではない。ドラマの物語性や役者の演技に感情移入できる政治ドラマを華やかに制作すれば、それは娯楽番組ではあっても、確実に視聴者のイメージに影響を与えることになる。このドラマが狙う視聴者へのサブリミナル効果は、小泉構造改革がいかに的確で正しいベクトルを有していたかを、識域下に刷り込む(imprinting)ことにある。俗に言えば、やっぱり小泉改革継承路線は良かったから、それで行くしかないのだという方向である。これはかつて竹中平蔵氏が主導して、いわゆるB層連中をターゲットにして、小泉バンザイを洗脳した手法の別バージョンである。

 自民党買弁勢力は、このドラマ「CHANGE」を旗振りとして、福田政権の絶望的な不人気を踏まえ、政権交代によって民主党に与党の座を明け渡さないために、ある種の偽装新興勢力を旗揚げしようとしている。植草さんは現在の与党主力勢力(清和会)や民主党の買弁勢力(凌雲会)の基本姿勢を次のように捕捉している。

①弱肉強食奨励 ②官僚利権温存 ③対米隷属外交

 この三つは小泉・竹中構造改革路線の主軸であるが、「偽装CHANGE」とは、小泉政権が確立したこの三つの基本姿勢を、将来的に堅持していくために、外装、見かけだけを華々しいものに変えて国民を欺く手法なのである。国民を不幸にするこれらの政策主軸のベクトルを変更するには、これらと正反対の政策理念を掲げることである。それが、

①セーフティーネット重視  ②官僚利権根絶 ③独立自尊外交
という対置的政策理念である。

 昨今は偽装が流行のようになっているが、小泉政権は国民を欺く偽装政権の最たるものだった。この偽装政権が外側の衣を変えて国民をまたたぶらかそうと、今、大きな胎動が始まった。植草さんはそれを国民に警告しているのである。
                                                
 再度言うが、今、植草さんがネットで展開している「偽装CHANGE」警鐘は、彼が、りそなインサイダー疑惑を指弾していた時と同様のインパクトを持ち、買弁政権筋は、またもや植草さんを徹底的に眼の仇にしていると考えた方が良い。したがって、植草さんを支持するネットユーザーやブロガーの皆さんは、植草さんの言行録に最大の注意を払って見守って欲しい。電車による三度目の偽装事件は無理だとは思うが、彼らも計画が挫折しないように必死である。したがって、まだ何をするかわからない不気味さがある。国民の視点で言うなら、今、植草さんの心底から発する良心的な警告を無視しないで欲しい。これが無視された場合、小泉・竹中路線が敷き詰めた亡国的な趨勢は後戻りできなくなるだろう。

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2008年7月16日 (水)

お金を刷りまくる米国(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第98弾です)

 サブプライム問題(低所得者住宅ローン)を受け、米国がお金を刷りまくっている。もともと資本主義経済では、バブルでお金が一気に増えたり(増えたつもりになるだけかも)、逆にバブルが崩壊して、一気にお金が消えたりするものである。お金が一気に消えたとき、日本政府と日銀は、慌てふためいているだけで適切な経済政策をしなかった(何をすればよいのか知らなかった)から、日本経済は一気に縮小し、日本は貧乏になってしまった。

 米国は違う。お金が一気に消えたときは、お金を刷りまくるのが最良の経済対策だ。2月には総額焼く1680億ドル(約18兆円)の財政出動(減税)を行い、7月11日には総額最大3000億ドル(約32兆円)の救済法案を上院が可決した。政府によるローン保証を大幅に拡充し、住宅差し押さえや不良債権の増加に歯止めをかけた。それだけではない。7月13日、ポールソン米財務長官は、サブプライム問題による経営不安から株価が急落している政府系住宅金融会社ファニーメイと米連邦住宅貸し付け抵当会社(フレディマックに公的資金の注入を検討して資本増強をするとの声明を発表した。両社の住宅ローンは5兆~6兆ドル(約530兆~640兆円)を保有または保証している。これは日本のGDPを上回る巨額なものだ。この2社の株価急落を受けて米当局が支援に動き出した。

 損失が出れば国民の負担となると日本のマスコミは解説するが、米国人にはそのような感覚は無いだろう。刷った金に国民の負担は無い。それよりサブプライム問題で負の連鎖が発生するよりはるかによい。米国はデフレに陥る手前で必死に景気浮揚を試みている。日本の愚を繰り返すなということだ。通貨発行権を放棄すれば、デフレ脱却は極めて難しくなり、日本のように11年連続デフレーターがマイナスという異常事態にもなり、国はどんどん貧乏になっていく。それは、日本全国民がどんなに働いても、どんなに構造改革をしても、どんなに素晴らしい発明をしても同じこと。お金が消え続けるデフレの下では、貧乏になるしかない。今日の朝日新聞には、内閣府は2008年度のGDP成長率の見通しを実質で1.3%、名目で0.3%とする方向で最終調整に入ったとある。昨年12月に発表した政府経済見通しは実質2.0%、名目2.1%であったから大変な下方修正である。下方修正は2002年度の経済予測を発表以来、毎年の年中行事となっている。

 しかしながら、名目GDP成長率が0.3%だと平気で予測するとはどういう神経なのだろう。下の図を見ていただきたい。2007年度は0.6%成長であったのだが、これは世界の中で際立って低い。それなのに2008年度は、さらにその半分の0.3%だという。国民は怒りを爆発させるべきだ。どこまで日本を貧乏にすればよいのか。名目から実質を引いたものがGDPデフレーターであり、これがプラスになればデフレ脱却となるのだが、昨年12月の予測では2008年度の名目成長率はプラス0.1%であったが、今回はなんとマイナス1.0%だ。

2007

 本当にデフレ脱却が困難なのであれえば仕方がないが、国がお金を刷って減税とか福祉、医療費、教育費や国民の将来に向けての投資などに使えば、簡単にデフレは脱却できるのである。政府が当然やらなければならないことをやらないために国は衰退する。

 貧乏になりつつある国、日本、に投資する人はいない。海外の投資家や日本の国内の投資家はもちろん、日本政府さえも国内に投資を避けようとしている。政府も国家ファンドなどを作り、国民から集めた金(年金積立金など)を海外に投資するのだという。日本から逃げ出した資金が海外で暴れまくる。米国の貧乏人に金を貸して住宅を建てさせた。いわゆるサブプライムローンだ。それが危なくなると、資金は産油国へ移動。それが原油価格の高騰を招き、世界中を困らせている。

 海外に逃げた資金を日本国内に取り戻す方法はただ一つ、日本経済を成長軌道に乗せることだ。そうすれば投資家達も日本市場に資金を移動させ始める。世界の株式時価総額の日本のシェアは1990年には32.9%だったものが2007年には7.3%にまで激減、2008年には更に株価は下落している。資金は貧乏になりつつある国から逃げてしまった。

 デフレを正攻法で脱却させよ。不況下の物価高騰で苦しんでいる国民のためにお金を刷って使いなさい。計量経済学の示す通り、それにより経済は高成長し、それにより逃げた資金は帰ってくる。投資家は低すぎる日本の株を買いまくるだろう。大量の資金を、サブプライムとか、原油価格の高騰などの「悪さ」をするために使うのでなく、日本経済発展のために使ったほうが良い。そのほうが、日本経済だけでなく世界経済にとっても良いことである。

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2008年7月14日 (月)

来月中旬、マッド・アマノさんの新著が出ます!!

  神州の泉・管理人の私が深く尊敬し、最近生起するさまざまな社会事象などの背景を、いろいろとご示唆、ご教示していただいているイラストレーターのマッド・アマノさんが、来月(8月中旬)に新著を出されるので、その前書きをいち早く当ブログにて紹介しておきます。本のタイトルは『マッド・アマノの謝罪の品格』です。

 マッド・アマノさんの表現手法はパロディ・イラストですが、政治や社会現象のこういう風刺的表現を行うには、非常に深い知識と洞察力が要求されると思います。そういう意味では、マッド・アマノさんはこの分野の草分け的存在であり、現代日本の稀少な文化人のお一人です。マッドさんは以前から、日本人の国民性としての謝罪文化に鋭い分析を加えておられ、その考察をついに本に著しました。来月、この本が世に出ましたら、神州の泉でまたあらためて紹介しますので読者の方々はご記憶ください。

 尚、マッドさんは『リコール!小泉鈍一郎』という本を出されていることからもお分かりのように、小泉政権、およびその継承政権を痛烈に批判する立場でも知られています。また、マッドさんは動画で佐野美和さんと対談されているので是非こちらもご覧ください。
http://loxx.tv/mad/index.html

                         (神州の泉 高橋博彦)

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  『マッド・アマノの謝罪の品格』まえがきより

 「勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」など多くのヒット曲を世に出した桑田佳祐率いる人気バンド、サザンオールスターズがニューアルバムを発売するにあたって全国紙に全面広告を掲載したことがある(2005年9月1日)。報道陣の前で神妙な面持ちで頭を下げる4人のメンバーの中央に桑田が泣きながら何やら釈明している、という何とも奇妙な広告。大げさな泣き顔は誇張されていて笑いを誘う。見出しの冒頭に「お詫び」とある。えっ、桑田が何を詫びるの?と怪訝に思いつつ、つい文章を読みたくなる。そこがこの広告の狙い目なのだ。広告文はこんな感じで始まる。「私どもサザンオールスターズは、よく考えると7年もの間オリジナルアルバムを発表しておりませんでした。けっして遊んでいたわけではありませんが…」、そして「ついに新曲も含む2枚組の大作を完成させるにいたりました。」とさりげなく宣伝する。さらに、「秋には、お詫びの意味も兼ねまして全国ツアーに伺いますので何卒、よろしくお願い致します。」と謝罪とツアーの告知とを巧みに織り交ぜている。最後に、「皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした。」「これで許して。」の言葉でしめている。

 不祥事を起こした企業の経営陣が雁首下げて謝罪するシーンを嫌というほど見せられてきた私たちの怒りとあきらめにも似た嘆きを彼は逆手に取っているところがいかにもサザンらしいユーモアだが"謝罪会見流行り"を茶化しているばかりか痛烈な社会風刺となっている。

 実は私は「頭下げ会見」の写真入り新聞記事を約12年前から収集してきた。今ではA4・40ページのファイルが6冊にも及び、ざっと数えただけでも300近くある。どれを見ても大の男が深々と頭を下げて謝っている写真ばかり。この写真を一冊の本にまとめたいと考えた。ほとんど文章がなくとも風刺が効いて面白いはずだと思った。世界にまれな「頭下げ写真集」はたしかにパロディー的に見て笑えるものだ。外国で売ればかなりユニークな「日本人論」になるはず、と独りほくそ笑んだ。
  
 「頭下げ」写真の収集のきっかけとなったのはミドリ十字の経営陣5人が土下座して謝っている某週刊誌に掲載された写真(96年3月14日号)だ。これは衝撃的だったので記憶されている方も多いと思う。輸入血液製剤でエイズウイルスに感染した血友病患者らを前にしてのパフォーマンスである。平身低頭謝れば急場を凌げるばかりか罪を軽減できると考えての行為なのだろうか。これを見せられた私たち多くの日本人は「これほど真剣に謝っているのだから許そうじゃないか」という気分になったのではないだろうか。これこそが過ちを犯した側の"思うツボ"なのだ。過去に謝罪会見を行った彼らはおしなべて陳謝の弁の舌の根が乾かないうちに裏でベロを出している。反省の色は見られないのだから始末が悪い。

 謝れば罪を問わない日本の道徳観を私はあえて「謝罪文化」と呼ぶ。こんな文化は少しも褒められたものではない。ここで注意しなければならないことは数多く行われてきた頭下げ会見の中で本質が隠されているものが多々ある、ということだ。たとえば「薬害エイズ問題」。厚生大臣が頭を下げるだけでは根本的な解決にはならない。なぜならば厚労省、製薬会社、病院などの癒着だけではなく国際製薬会社の"暗躍"を否定できないからだ。さらに、そごう、西武グループはたまたグッドウイル・グループなどの不祥事発覚の背景にはカリスマ経営者の追い出しを画策する国際金融資本の影がちらつく。経営者の謝罪・退任で一件落着?いやいや、そんな簡単な話ではない。裏でどす黒い乗っ取りが行われているのだ。一方、"食肉の帝王"ハンナンの浅田社長、ライブドアの堀江社長、"防衛省の天皇"の異名をとる守屋防衛相らの逮捕・長期拘留のケースは、不祥事の張本人でありながらなぜか謝罪会見がない。これらの裏に国策捜査の臭いがフンプンとする。外国人の謝罪はごくまれだが本国では習慣のない頭下げ謝罪をあえて行った駐日米国大使・米軍幹部や三菱ふそう、シンドラー社らの本音を読みとることも重要だ。

 船場吉兆ではないが紙に書いたメモを顔も上げずにただ棒読みする"品のない謝罪"はご免被りたい。これからは謝罪にも、ある種の「品格」が求められるはず。そこでタイトルを「謝罪の品格」とした。年末恒例の「今年の漢字」の向こうを張って「今年の品格ある謝罪」を選定してベスト・ワンに大賞を授与したいくらいだ。
  
  カタチだけの「頭下げ」パフォーマンスに騙されず、その裏を的確に読みとることこそが重要だ。

                     2008年初夏 マッド・アマノ

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7月12日の集会に出てみて

  昨日12日土曜日は、鹿砦社の言論弾圧事件から、三周年目を記念して、「今、表現の自由を考える集い」が開かれた。私は鹿砦社の「紙の爆弾」に拙記事が掲載されたこともあり、鹿砦社の社長さんである松岡利康さんにはお礼方々、一度お話をしてみたいと思っていたので、神戸に出向いて集会に参加させていただいた。集会の場所は神戸総合福祉センターで、あの楠木親子を祭っている湊川神社のすぐ横だった。私は父親から、自分が22歳で満州北支方面隊に出兵する直前に、この湊川神社に参詣してから船出したと聞いているので、会場に到着する前に神社境内を歩き、拝殿でお参りした。左翼の方々が多く来られる集会に赴いて、神社を参拝する自分の行為は奇妙に映るかもしれないが、私の中では日本人として普通の行為である。

 私個人は鹿砦社の松岡氏やエコノミストの植草さんを応援することは、左翼右翼思想の延長上で行っているのではなく、日本を悪くする勢力に敢然と立ち向かい、その結果として、マスコミや時の権力から迫害を受けている人を支援したいという人間としての心情からである。今の日本、あるいは外の多くの国々は、グローバリゼーションと新自由主義の極端な介入によって、先祖から受け継いだ国民性や国柄、人間性を失わされてきつつある。この趨勢がもたらす金銭至上主義、弱肉強食の論理は、社会の隅々まで浸透し、本来的な人間の持つ良いものがどんどん失われ、モラルが極端に低下する結果を招いた。この状況は日本で言えば、際限のないアメリカ化である。与党連中は国民の幸福についてはいっさい考えていない。

 戦後、これほどひどい政権与党はなかった。彼らは一部の金持ち連中だけが、富を享受し、多くの下層格差階級の苦悶を尻目に、マスコミや権力を自在に駆使して、ますます自分達に都合のいいように各制度などを立案したり変更したりしている。小泉政権以降に成立した法律は表層的には国民利益を謳っているが、その内実は「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法」などを見てもわかるように、徹底的に弱者から吸い取る方向性を持っている。一方では法人などの税率は下げられている。清和政策研究会が牛耳る小泉政権以降の政権与党は、棄民的体質を持つ非常に危険な政権なのである。これらの政権がネオリベ体制に日本を切り替える段階で、いわゆる国策捜査と言われる一連の言論弾圧事件が起きている。こういう趨勢の中、西宮冷蔵への迫害も、鹿砦社への弾圧も、植草さんへの弾圧も起きている。つまり日本の政治体制はネオリベ傾向が高まる中で、同時的に言論統制傾向が著しく強まっている。この実態に国民は無関心である。それはマスメディアが故意に知らせないからである。何度も言うが、テレビを筆頭として、マスメディアはアメリカに追従する政権の言いなりだからである。

 さて、土曜日の集会では田島泰彦先生の基調講演で始まり、言論の自由の危機を語られていたことは身に沁みる内容だった。また、集会には一水会代表の鈴木邦男氏が来られ、松岡氏へのエールを送られた。鈴木氏の言葉の中で、非常に印象に残り、自分も賛同したことは、「左翼がもっと元気を出して欲しい」と言われたことである。この言葉の意味は非常に深いものがあると思う。この世の森羅万象には、男女、北極・南極、電池のプラスとマイナスのように、両極性(ポラリティ)がある。私は思想も同じことだと思っている。左翼だけでも駄目で、もちろん右翼思想だけでも駄目なのである。左翼と右翼が両立性を持ち、拮抗作用を持つことによって、思想や言論界のバランスが取れるのではないだろうか。もっとも、それについて理論的になぜかということはわからないが、洞察的にそう思えるのである。どちらか一方が極端に突出すると非常に良くない傾向になる。現在の日本は擬似的な右翼が優勢になることによって、左翼全盛時代よりも時代が劣化している。つまり、言論の自由度が著しく下がってきているのだ。乱暴な論法だと思うが、右傾思想の方向性が誤まると権力の濫用が起こり、国民の自由度は著しく制限される事態が生れてくる。特に、国際金融資本の思惑と、小泉、安部政権のような誤まった国家主義がリンクすると、とんでもない閉塞的な社会が現出されてしまう。今の日本がそういう趨勢下に置かれていることは火を見るより明らかである。ネオリベの創始者であるミルトン・フリードマンはいっさい語っていないが、新自由主義は警察権力の強化と、戦争への志向性が一気に高まる性格を有している。そういう意味では、今の日本は危険なゾーンに入りつつある。

 話は変わるが、雑談日記のSOBAさんから動画を紹介してもらって、初めて知ることになった、門真(かどま)の市議会議員・戸田ひさよしさんも駆けつけてくれた。戸田ひさよしさんの動画では、大阪府知事選の時、橋下徹弁護士を激しく弾劾していたことが印象にあり、自分も同感であったために、いつかはお会いしたいと思っていた。サングラスをかけていて、その筋の人かなと一瞬思ったが、はっきりした大きな声に聞き覚えがあった。それで私から戸田さんにお声をかけてみた。私は私なりに、植草さんの応援者として、橋下弁護士が、根拠のない女性セブンの捏造記事を土台にして、植草さんの性癖論をテレビで強調した事実はけっして忘れることはない。この人物がリーダーになってもよいのか。日本がひどい状況に陥っているのは、こういう人物が府知事になっていることだ。民主的に選ばれたというよりも、テレビの出演回数を異常に多くして、自公が異常に肩入れした事実は、明らかに自民党を動かす外の勢力のメガネにかなっている人物だということである。国民はマスコミのイメージ操作によって作られた人物に警戒するべきである。
 
 戸田さんとは橋下氏のことで、もっとゆっくり話をしたかったが、彼は人気者だったのでなかなか機会ができなかった。戸田さんには、植草さんが嵌められたという私の話を真摯に聴いていただけて嬉しかった。またお会いすることもあるだろう。鹿砦社の松岡さんとはゆっくり話ができて神戸まで行った甲斐があった。また支援者の方々とは親睦会で打ち解けた話が出来て楽しかった。親切に話しかけていただいた人の中に、「完全ヒモマニュアル」や「大震災名言録」などを書かれた鍵英之(藤尾 潔)氏がいて、非常に有意義で楽しい会話ができた。あらためて鹿砦社の松岡さんの交友範囲の広さに驚かされた思いである。

 余談であるが、神戸の人たちの親切心には感動した。私が会場の場所などを訊ねると、丁寧に説明してくれ、その上に途中まで一緒に道を歩いて案内してくれた。それが一回だけではなく、一日の中で駅や建物を聞いたとき、全部で三度もあった。恐縮する思いと同時に、関西人の親切心には昔の日本人の名残りを見て感動した。こういう所まで、冷たい東京のような雰囲気にならないように日本人は回復される必要があると心から思った。

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