植草事件は今のタイミングで、なぜ実刑判断なのか?
植草一秀さんが、7月6日のブログ記事、「『かんぽの宿』論議を逃げたテレ朝サンプロ」で、テレ朝「サンデープロジェクト」司会者、田原総一郎氏は6月28日の放送で、「かんぽの宿」疑惑について、7月5日の放送で議論する旨を告知した。しかし、当日のサンデープロジェクトがこれを逃げたことは問題であると言っている。
以下植草さんの記事を転載する。
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(転載開始)
固定資産税評価額857億円、実勢時価1000億円程度と見込まれる「かんぽの宿」79施設が、極めて不透明な選考過程を経てオリックス不動産に109億円で売却されようとした事案に関する重大な疑惑が問題の中心である。
109億円の売却価格を正当化する根拠として、
①「かんぽの宿」事業収支の赤字
②雇用維持条件
③日本郵政の簿価が123億円であったこと
があげられているが、これらのすべてに重大な疑惑が存在する。
最大の論点は、不動産鑑定評価の方法である。不動産鑑定評価には、①原価法、②収益還元法、③取引事例比較法、の三つがあるが、②収益還元法を利用する場合、事業収支が赤字であることを算定の根拠に用いると、鑑定評価額が著しく低くなる。
しかし、「かんぽの宿」は容易に黒字化することが見込まれる物件であり、年間40~50億円の赤字を前提にした鑑定評価は、「かんぽの宿」を安く売るための大義名分に使われた疑いが存在するのだ。
(転載終了)
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現与党政権が郵政民営化において、「かんぽの宿」79施設が異常に安い価格でオリックス不動産に売却される寸前までいって、鳩山邦夫前総務大臣によって止められた。それ以後、日本郵政株式会社の西川善文社長と鳩山前総務大臣の間で熾烈なバトルが繰り広げられ、当初は麻生総理も西川社長を更迭する気持を持っていたが、政府もマスコミもどういうわけか、この問題の核心的な議論を避けているうちに、いつの間にか閣内内紛という奇妙な状況になり、何と、首相が鳩山総務大臣を事実上、更迭してしまうという強引な決着劇が図られた。
鳩山前総務大臣は、日本郵政株式会社法に則って、適切に問題処理を行おうとして調べた結果、西川善文氏の降板という結論になった。不祥事が起きたと総務大臣が真っ向から指摘しているのに、財界筋の「すでに西川氏は日本郵政の指名委員会と取締役会が経営判断で社長続投を認めており、政治的な判断で覆すべきではない」という奇妙な理由で、西川氏の続投が決定したらしい。鳩山氏の辞任に対して経済界は冷ややかだと言うが、我々庶民目線からこの問題を見ていると、肝心の「かんぽの宿」問題は、いったいどうなったんだ?という気持が強い。
閣僚同志の内紛劇は別にして、西川善文社長の続投問題は、国民にわかりやすいように賛成派、反対派入り乱れて両論併記で充分な議論をするのが当然なのである。つまり何が問題かを徹底的に究明することが、この問題のたどる道すじである。ところが「かんぽの宿」問題を理路整然と提起して、問題究明に進んでいた鳩山前総務大臣を、ほとんど議論らしい議論もさせないままに大臣職を解いてしまったことは、多くの国民に強い違和感を覚えさせてしまっている。
問題の起承転結、つまり①起きる、②承継する、③転ずる、④完結する、という自然にたどる物事の流れで、②と③を省略して、いきなり④という結論に持っていった感がある。つまり「かんぽの宿」問題の真相究明が抜けているのだ。問題を明るみにしないままにフタをしてしまったのだ。特にマスメディアはこの問題を議論させるどころか、人々の意識から遠ざけているような印象がある。
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その理由は「かんぽの宿」問題は、郵政民営化法案を制度設計した段階で、デキレースだった可能性が高いからである。それを百パーセント疑わせる信じ難いできごとがあった。植草さんの別記事「菅義偉氏西川氏宮内氏牛尾氏が料亭で祝杯か?」にそれがあったので、そこから保坂展人氏の記事を孫引きする。
___これは露骨だ。先月30日の晩、都内の一流ホテルで日本郵政の西川善文社長がオリックスの宮内義彦会長らと会食した。この席には自民党の菅義偉選対副委員長、ウシオ電機会長の牛尾治朗氏も同席したというのである。_____
(この画像はパロディスト マッド・アマノ氏の作品です)
(※竹中平蔵氏は出席していない)
西川氏の続投祝いの飲み会のようだが、一堂に会した四名の面子を見ると、最大限に怪しい連中だ。本音は、郵政の資産を掠め取るゴールドマン・サックスからのリベートをもらえる喜びで集まったのだろう。「西川さん、首が繋がって何よりでした。まずは乾杯と行きましょう!!」とか言って、ほくそ笑んでいた顔が浮かんでくる。まるで悪代官と御用商人の結託みたいな感じである。
植草さんは冒頭に転載した記事で、「最大の論点は、不動産鑑定評価の方法である」と言っているが、サンプロでも何でもいいが、メディアはこの不動産鑑定評価の方法を精査する方向で検証するべきだ。
●植草さんが政権交代の前に収監される背景を推測する
さて、私が言いたいことはこれからだが、私なりに、どうして植草さんが今の時期に収監されねばならないのか、その理由を考えてみた。解散総選挙が近づいて、植草さんに「かんぽの宿」問題を展開して欲しくないというのも当然あるだろうが、私は権力側にもう一つの強力な理由があるかもしれないと考えた。それは小沢一郎氏の覚悟と義憤である。2月27日、小沢一郎前代表は「在日米軍(陸軍)削減論」を開陳し、「第7艦隊だけで十分じゃないのか」と語った。
この発言は大方から失言だと受け取られ、民主党の失策だと思われた。この発言から7日後の3月3日、東京地検特捜部が動いて、小沢氏の公設第1秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕した。第7艦隊発言の十日前にはヒラリー・クリントン米国務長官に会っているが、小沢氏は一旦は会談を断っている。米国の国務長官の打診に用事が入っているからという理由だった。この態度は属国為政者には考えられないことだった。
小沢氏の腹の中には、米国の操り人形としての小泉政治なるもの、小泉体制なるものを官僚ごと改造刷新するという目論見があるのではないだろうか。特に国策捜査を行った検察、警察官僚にはそうとうに含むところが大きいはずだ。民主党が政権を取った場合、小沢氏は鳩山由紀夫氏と一緒に、権力(高級)官僚の総入れ替えを考えていると思う。これに慌てた権力筋は、どんな手を打ってでも、政権交代が実現できないように足掻いているのだと思う。管理人は確信した。自民党がどんな汚い手を打とうとも、国民の気持は政権交代に向いている。この潮流は堰き止められない。
政権交代後に小泉構造改革が徹底的に見直される方針になれば、その任務に最も相応しい人物は植草さんである。りそな銀行に絡む政府犯罪も、郵政民営化の悪の全貌も暴かれる。ここには国策捜査を行った官僚への指弾もあるだろう。だからこそ、権力官僚の自己保存本能で、今のうちに植草さんの口を塞いでおこうというのが、今のタイミングにおける実刑判断に繋がったのかもしれない。
収監中の植草さんは、こういう理由で、命を狙われる危険をかなりの確率で抱えている。皆さんも、彼が今の時期に収監されることの真の意味を汲み取っていただき、国家権力は無辜のエコノミストの命を奪うなという表明をして欲しい。
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