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2005年11月24日 (木)

(15)◎国家の詐欺的リフォーマー・小泉純一郎

 
  ペットボトル文明・敷島文明(15)

      構造改革というものの胡散臭さ(五)
   
    ◎国家の詐欺的リフォーマー・小泉純一郎

 戦後の歴代政権で、もっとも悪質かつ非道な宰相は小泉純一郎である。
以前にも言ったが、この男は日本の解体屋であり売国奴である。

 国民思想史において、戦後とは、大ざっぱに言えば、戦前まで進んでい
た思想的ベクトルが逆方向に向いてしまった精神史とも言えるだろう。それ
は日本らしさの着実な蓄積を停止して、日本人の無意識層で求めるものと
は違った方向に進んでしまったということである。明治以来、我が国は、技
術も人文科学も欧米の必要なものを取り入れて進んでいたが、根っこには
不断の日本精神を温存してきた道程がある。

 これが大東亜戦争を経て、それまでの大事な日本的蓄積が、今度は解
体・熔解する方向に推移したのが戦後史である。ところが、日本人はほと
んど無批判にアメリカをモデルにした物質的生活をもとめ、経済成長に従
って、これでようやく欧米並みの進歩史観を持てると考えた。

 戦前までの窮乏生活は克服しなければならないものであったとしても、
その反動が、物質一辺倒の経済構造へ突き進み、ある時期は工業生産で
他国を凌駕するまでになったこともある。しかし、やがて日本は、物質的繁
栄と引き替えるように漸次、その日本魂を失っていった。

 そして、いつしかその日本お得意の優位的な経済力さえも、アメリカから
のフィードバックでしか機能しない国になり果てていた。アメリカにあこがれ、
アメリカを無批判にモデル化したことによって、我が国の政治家、経済人は
おろか、国民マジョリティにいたるまでアメリカの底意地の悪さに気づかず
に今日にいたってしまった。

 見渡せば、いつしか日本の経済力はアメリカの損失や赤字を補填する機
構に造り替えられていた。シナや朝鮮は、教科書や靖国参拝に小うるさく口
出しして、そのチンピラ度をあますところなく開陳しているが、これらは目に
見えるだけにまだ防御の余地はある。

 しかし、アメリカの悪質さは日本人の内面のリフォームと同時に経済構造
のリフォームまで着実にやっていることだ。表面的には協調の型を取りな
がら実際は有言無言の対日圧力を常套手段としている。ある意味、これは
東京裁判史観の継続的形態の一環とも言えるだろう。なぜなら日本人自身
がこの不平等協調路線に気がついていないからである。「アメリカと仲良く
すればすべて上手くいくのだ」という、小泉首相の言が代表するように、ア
メリカに従うことが十全であると大多数の国民が思っている。このすり込み
は、第三者から眺めれば典型的な思考停止であり、紛う事なき隷従である。

 生意気なことを言わせてもらえれば、経済の本質は伝統と民族性、つま
りは国柄とともにある。百の国家があれば、百態百様の経済体制ができて
当たり前だと考える。なぜなら経済は政治に従属し、政治は国民思想と国
体に依存するからである。

 考えてみたことはないだろうか。規制緩和をいう場合、規制の基準をグロ
ーバル・スタンダードに依拠している現実を。規制緩和を自己反省的に、自
律的な判断でやっているかのようにみんな思っているかもしれないが、実
は世界標準のようなことを言いいながら、アメリカが勝手に押しつけている
のである。規制緩和をすることによって、自国経済の自由度が高まるかの
ような思いこみでやっているが、実際のところはアメリカ経済の利益誘導シ
ステムに組み込まれ、結果的には巨大な国益毀損をもたらすことになるの
である。

 談合はよくない、ずるいなどと、頭ごなしで言われているが、今の日本人
は談合ということを真剣に考えたことがあるのだろうか。誰に言われてそう
思いこんだのか。かつてアメリカは言った。「ダンゴー」は国際貿易上の絶対
悪であると。そう言われた日本人は、何も考えようとせず、無批判にその通
りだと思っていたのではないだろうか。

 公共工事の落札価格を、市場原理にまかせて青天井にしておいたら、
民間企業は激越な競争にさらされ、受注が不安定になる。大手(ゼネコン)
が不安定になれば、傘下の中小企業体も不安定になる。

 そこで談合制度を利用して、事業受注を持ち回りにすれば、仕事は安
定的に確保されることになる。これは弱者を路頭に迷わせないための日
本型の構造と言える。いわば社会の安定装置の一種である。もちろん利
権傾斜という弊害もあるが、全体としては救済的であると言えるだろう。

 実は、この見方は、親日家であり、アングロサクソンのビルトッテンさん
の考えであるが、なるほどと思う。日本型の経済システムとは大ざっぱに
言って、社会不安を極小にしようとする考慮が働いていたのだ。これをア
メリカ型の経済構造に強引に変える政策が、現今の構造改革の本質な
のである。

 ところが、アメリカ型のマーケット原理至上主義は大ざっぱに言って社
会不安を増大する方向に進む。なぜなら、この経済構造のベーシックは
アメリカの国是である新自由主義(ネオ・リベラリズム)にあるからである。
この思想の根底には社会ダーウィニズムを基調とする無慈悲な弱肉強食
があり、金銭の多寡だけに価値基準をもうけるその優勝劣敗構造が社会
不安を限りなく増大するからである。

 これは一例なのだが、談合絶対悪というのは日本発信ではない。同様
に、規制だらけの既成構造が諸悪の根元だと言う小泉・竹中路線も、前
提として完全な錯誤にもとづいている。規制の構造が悪いから景気の長
期低迷をもたらすと言うが、構造改革と景気の相関関係は判然としてい
ない。かつて、あのバブルを扇動したのは銀行である。三十年前は、民間
資本の九割は元本の確実な利殖投資に回され、あとの一割はハイリス
ク・ハイリターンの株式、債権、不動産等のバクチ性の高い投機に使われ
ていた。しかし、1990年を越えると、その割合が逆転した。バクチ系の投
機が九割を占めたのである。それは、その間に財務の自由化という「規制
緩和」が行われたからだ。

 銀行は堅実な投機路線から、バクチ性の高い不動産投機などに入れあ
げ、見さかいなく金を貸しまくった。これがバブルを招き、不良債権を産み
落としたのである。もちろん、戦後思想によって日本人の快楽消費志向
が臨界点を越えたことも精神サイドの原因として上げられる。

 規制とは社会構造を維持するために、長い歳月の中から必要とされて
必然的に生み出されたものである。あらゆる規制の中で官僚の傲慢さか
ら出た規制などわずかなものである。ほとんどは日本社会特有の相互扶
助精神が発露しやすい状況をつくるために編み出された考えである。わ
かりやすく言うなら「和の社会」を維持するための重要な装置として機能
するものが規制なのである。

 このように歳月をかけて作られたものには、みにくい苔も繁茂するが、
総じて民族性(国民気質)と、長い試行錯誤の末にできあがっているもの
が多い。これを表面の汚い苔だけを見て全面的に破壊すると歴史の
有用な知恵の蓄積までが破壊されるのだ。

 戦後構造の悪い面の是正や建て直しは必要であるが、中には先人た
ちの貴重な知恵が構造化しているものもある。これを残存させてより良い
方向に発展させて行くのが歴史に連なるものの責務ではないだろうか。

 そういう観点から言えば小泉政治は悪質なリフォーム政治である。構造
改革の内実をまったく示さずに、ただかけ声だけで破壊だけに狂奔する
異常な内閣である。彼の手法というか、単純な意気込みに近い信念には、
これまでの旧弊な経済構造や社会構造は、時代の変化にまったく対応で
きず、これをそのままにして置けば、社会や国際関係に重大な支障を生
じ、能うる限り、これら旧構造を破壊しなければ、日本の再生は不可能だ
と思いこんでいるところがはっきりと見える。

 なるほど、そのように単純な図式を描けば国民はわかりやすい。だが、
単純明快であるということと真実を言い当てているということは必ずしも
一致しないのである。戦後、日本が日本人独自の力で経済を復興し、
奇跡的な経済成長を成し遂げたのは、かならずしも外的環境が整ってい
たからだけではない。この復興劇の根底には、日本人ならではの力の結
集と民族性が発揮できたからである。そこに息づいていた伝統を背負っ
た日本的感性こそ、戦後の社会構造の枢要な柱となっていたのではない
のか。

 戦後構造は、単に敗戦焦土のゼロ状態からできあがったものではない。
完膚無きまでに破壊された終戦時の日本は、そこから、社会インフラを築
くに当たり、戦前の知恵をそのまま継承して新たに戦後構造を築き上げ
ている。さまざまな分野に戦前は踏襲されているが、戦後の新技術に関
して顕著な事例を挙げると、たとえば新幹線を開発するとき、車両の自励
的な振動問題は深刻であり、それを克服した技術が、零戦の振動防止技
術であった。また、トヨタの生産方式は、その原型的システムを戦艦大和
の建造方式に見倣っている。ホテル・ニューオオタニの展望回転ラウンジ
も、戦艦大和の砲塔回転技術を取り入れて実現したものである。

 表面の錆び付きや腐敗が気になるからと言って、この構造すべてを破
壊したら、歴史が膨大なエネルギーをかけて築き上げた「日本的価値」も
崩れてしまうのだ。それは国家に対する反逆と同じ意味を持つことになる。
今、小泉純一郎が行っている「構造改革」という政策指針は、明らかに国
家破壊である。国体の破壊である。この熱狂的な構造破壊には、国家戦
略も未来展望も愛国情念も見ることはできない。これに気づかない国民
は、相当程度、ものごとを洞察する悟性が鈍磨しているとしか思えないの
である。

 正しい歴史認識も、国家展望も、国体認識も持たない宰相が推進する
構造改革は、昨今、世間を騒がせている悪質リフォーム詐欺となんら変
わるところはない。口先三寸で国民の耳目をたぶらかし、国家の体裁や
国柄を内部からはなはだしく毀損しているからである。かつて、カルト教団
「オウム真理教」は、皇居上空、首都上空から劇毒のサリンガスをばらま
く計画を持ち、これが破壊活動防止法の対象として俎上に上げられた。
非常に慚愧に耐えないことに、これは破防法と戦前を重ね合わせて怯え
た反日世界観の勢力の反対で没になってしまった。国家の破壊をたくら
んだ者や集団が「破防法」の適用対象となるのであれば、郵政事業の国
策的改竄で、百兆円以上もの郵政資金が国の外へ流出する構造を意図
的にもたらした内閣もその対象範囲に属するのではないだろうか。国土
や国民の生命をはなはだしく危険に導く集団が破防法の適用に値するの
であれば、国民の財産をはなはだしく毀損させる内閣もまた同罪と考え
て不都合はないだろう。
 

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