(14)◎小泉政治の異質性
ペットボトル文明・敷島文明(14)
構造改革というものの胡散臭さ(四)
◎小泉政治の異質性
小泉政権は、構造改革というものを推進すれば、はじめは失業者や倒産
企業が増大し、国民は痛い思いをするが、やがては改革路線が軌道に乗り、
景気は大幅に回復されるという論調を繰り返す。
しかし、彼が政権についてから足掛け五年目、景気は一向によくならない。
11月になって株価が上がってきた兆候はあるが、これは第三次小泉内閣が
発足し、その実態が「外資導入積極推進内閣」であり、その手始めとして、か
ねてからアメリカが強制要求していた郵政民営化が決定したからである。
第三次小泉内閣が発足して、日経平均株価が四年半ぶりに14000円台を
回復した。これに対する世評は、小泉首相と竹中平蔵総務相(前経済金融
相)が共同で強引に行われている「小さな政府」づくりが、景気の本格回復と
構造改革のよりいっそうの進展をもたらすと市場が評価したためだと言われ
ている。しかし、それを評価した市場とはどこの市場をさしているのだろうか。
はっきりといえることは、この評価に関与した市場なるものが日本ではな
いことはたしかである。この市場とは、以前から、日本の財産や権益を虎視
眈々と狙っていた外資が、ここぞとばかり参入の勢いを増したからである。
小泉首相は、「構造改革を進めてきた結果、景気回復軌道に乗ってきたこ
となどを反映しているのだろう」と語っているが、この株式市況が日本国民
のためではないことは明らかである。一見、長期不況を脱出するかのような
期待を持たれるこの景気は、国民生活における購買力向上とはまったく関
係ないと思われる。経済の素人そのままに言わせてもらえれば、これは、ほ
とんどマネーゲーム上の期待だけで出ているものだろう。
経済上の成長はあっても、相変わらず、中小企業は倒産し、自殺者は増
大するだろうし、家計部門は不況感から脱出できないだろう。日米構造協
議から続く日本型経済構造の解体は、多くの低所得者層とわずかな高所
得者層の二極分化を推し進めているからである。過去の経済成長下にあ
ったときの日本型経済構造は、経済学者の内橋克人氏が言うように、日本
企業には付加価値の高い独創的な技術が少なかったために、量産効果の
生産原理という単一の行動原理しかなかった。国内では、高度経済成長以
来、単一商品の大量生産、大量消費、短サイクル、大量廃棄のシステムが
一つの型として固定してしまった。時代が進展し、日本型の量産拡充主義
はアジア、特にシナに移ってしまった観がある。
しかし、時代は産業革命時の単一商品大量生産による分配構造が終焉
を向かえ、今や、個々消費者のオンデマンドによる、即応答、即必要性の
個性的な商品が求められる傾向に移りつつある。この傾向は、さらに加速
し、資源の有限性や環境などの条件から、これからは、多様な特徴を実現
しながら長持ちする製品造りに向かう必然性を持つだろう。高度成長期は、
テレビやクーラー等の電化製品や自家用車などの物理的拡充が主目的で
あったが、これからは生活のトータライーゼーションに準じた文化生活の拡
充が求められる。実はこのことは国民個々の生活様式だけの問題ではなく、
国家の未来展望の中で行われるべき性格のものなのである。これについ
てはこれからたたき台として考えを展開するつもりであるが、その前に今の
小泉政権が志向する世界がどんなものであるかということと、その世界が
日本人にとっていかに異質であり、危険なものであるかを述べてみたい。
そこで、この経済構造の変化への対応において、はたして今の小泉体制
の国家展望、志向が、時代の要請に合致したものであろうかという強い疑
念がわいてくる。
小泉首相のお決まりのワンフレーズ・ポリティクスに、必ず構造改革という
言葉が出てくるが、今まで一度としてその「構造」なるものの性格や成り立ち
など、その詳細な説明を聞いたことがない。これは彼一流の、説明せずして
相手に考えさせる戦術なのであろうか。あるいは一部で言われているように
首相自身がほとんど難しいことや込み入ったことを考えられないから、そう
いった単純な言語フレーズをとっているのか、その辺のことは問題の本質で
はないから今はやめておく。しかし、テレビ時代のアピールとしては、ワンフ
レーズ・ポリティクスは、国民大衆に覚えられるには非常に有効な手段であ
ることは間違いないだろう。
しかし、困るのはその短いセンテンスの繰り返しからはけっして国家展望
の全貌や未来図が出てこないことである。逆に考えると、構造改革や郵政
民営化を「命がけ」で行うと言っている小泉首相には、国家ビジョンがまった
く欠落していることから、その構造改革自体の目的性が思いっきり曖昧にな
っていることが否が応でも浮き彫りになってくるのである。彼の構造改革路
線には国家目標が存在しない。それどころか構造改革そのものが明らかに
目的化しており、しかも、その構造改革の要(かなめ)に郵政民営化を収斂さ
せるという異様な形を持たせている。このことが、郵政民営化は国家戦略と
はまったく無縁な部分から発生していると考えざるを得なくなるのである。
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コメント
心象仙人様、コメントありがとうございました。
言っている小泉本人がわからなくても、喧嘩だけは強いのでやっかいなことです。
投稿: 高橋博彦 | 2005年11月24日 (木) 03時36分
初めまして
小泉政権に改革ビジョンがないのは残念なことです。郵政民営化にしてもどうすれば理想形になるのか言っている本人にもまるで分かっていないのが残念なことです。
ほかの政治家にしても同じようなもの、頭のよいお役人も改革(改心)の意思がまだないようですね。
投稿: 心象仙人 | 2005年11月23日 (水) 14時54分