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2006年1月14日 (土)

戦艦大和(3)◎欺瞞のパシフィズム

       浮上せよ大和、祖国蘇生のために(3)

     ◎欺瞞のパシフィズム

 戦艦大和と現行日本国憲法に、いったいどんな相関関係があるの
かという疑問を抱く人々に言いたいことは、戦後の日本人は、平和と
いう言葉をキーワードに、脇目も振らずに経済の発展と親和的な
交に勤しんできた。平和というキーワードさえ金科玉条のように唱え
ていれば、万事はよい方向に向かうだろうと素朴に思い込んだまま、
戦後の60年を一気に駆け抜けてきた。戦後の日本人が60年間、そ
の胸裏に抱き続けてきた平和への希求、願望とは、日本人にいった
どれほどの充足感を与えてきたのだろうか。私はこれに対する答
えに否定的にならざるを得ない。

 戦後の日本人が確固として保ち続けたと思い込んできた、いわゆる
指標として一途な平和主義は、言うなれば道義とはかけ離れた、き
わめて空疎な観念であった。毎年8月の終戦記念日になると繰り返さ
れる平和への祈念は、その言挙げ的位相から深く読み取るならば、巨
大な欺瞞と呼べるパシフィズムに他ならない。それは広島の原爆慰霊
碑に刻まれている『安らかに眠ってください あやまちは繰り返しませぬ
から』という碑文に象徴されている。かなり以前から、この碑文には主
語がないことが問題視されているのだが、広島市は一向にその問題に
対処しない。主語のないこの文を、読んだままの印象的文脈で解釈
すると、安らかに眠ってくださいと祈る主体、つまり、我々日本人があや
まちを犯したから原爆が投下されてしまったという文意になるのは明白
である。ここでは原爆を投下した主体のアメリカは、罪責を免れていて、
投下された日本人が懲罰的に悪人扱いされているのである。これは
歴史的な真実の悪質な歪曲である、この状況下で「平和への祈り」
を行うことは、犠牲者の御霊と天に対する冒涜に他ならない。はっきり
言って、東京裁判史観を全肯定する感覚で犠牲者の慰霊や平和祈願
を行っている今の現状は、国民や国家、先祖に対する大冒涜である。

 この欺瞞の平和希求の形は、広島市だけに限ったことではなく、敷
衍的に言って、戦後日本の平和感覚を完全に囲繞しているのである。
戦後の日本人がなぜ誇り高く、力強くなれないのか、なぜ生きることに
充足感を持てなくなっているのか。それは、歴史から浮遊したパシフィ
ズムに魂を蚕食されているからである。現行憲法の前文に書かれて
ある世界のパシフィズムという、あまりにもいかがわしい前提を日本人
は見て見ぬ振りをし続けている。前文にある下記の世界認識を、60年
間も放擲してきた我々の精神的な佇まいに、少しでも肯定的な評価が
下せるのであろうか。

『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配す
 る崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国
 民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよ
 うと決意した。

 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して日本人の生存を確
保すると謳っているが、どこにそのような愛情深く誠意あふれる国家が
あるのか、馬鹿も休み休み言えと言いたくなる。しかし、恐ろしいことに、
の脳天気な前文は60年間も休み休みしたままなのである。武放棄
すれば平和になる世界ならば、戦争も紛争も起こらないのだ。の世界
では、平和を維持するためにはポテンシャルの高い武装と戦闘能力が
絶対条件なのである。これは理想論ではなく、単にあたりまえの理(こ
とわり)
なのである。平和を祈念するのは人類の理想ではあるが、国家
の魂
の入らない欺瞞の平和は、民族の内なる腐食につながる。民族に
が宿れば、その魂を守るためには、平和よりも防衛が優先されなけ
ばならない。国土と国民を防衛すること。これが何よりも優先されなけ
ればならない。平和とはその防衛力が万全である結果として生じる状
態を言う。

 魂の入った国土と、魂の入った国民を護ること、そして伝統の命を守
ること。これが国家の大義だと思う。この大義を守り抜くことこそ、国家
存立の目的なのである。大義を守り抜いてこそ国家は磐石になる。
大義を有しない平和などというものは滅びへの階梯に直結するだけで
ある。なぜ、今の政府や国民には防衛意識が希薄なのか。それは大
義を捉えていないからである。そうは言っても、この大義は、あの日、
あの時、戦艦大和とともに海中に沈んだのである。

     (続く)

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