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2006年7月15日 (土)

米国産BSE牛肉輸入問題に見えるアメリカの日本観

 このあいだ、特定危険部位である背骨の混入で、再度輸入禁止になって
いた米国産牛肉の輸入が再々開されることになった。今月末にもその第一
貨物が日本に到着する予定である。

 BSE(牛海綿状脳症)が、牛肉食を介して人間に感染が起これば、人間
の脳にも同じ病変が生起し、確実な推移として自己精神の蚕食の末に死
にいたる。いわゆるクロイツフェルト・ヤコブ病である。調べてみると、脳に
異常な蛋白質(プリオン蛋白)が蓄積し、脳神経細胞の機能が障害され、
脳に海綿状の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群の代表的なも
のと書いてある。発症後はわずか一、二年以内に全身が衰弱し、呼吸困
難や肺炎などで死亡する。

 脳がスポンジ状態になる病気だと考えると、その恐ろしさ無残さがよくわ
かる。イギリスの発症児童の様子と、その家族のいたたまれない気持ちを
テレビで観て知ったが、何とも言えない悲愴な気分になった。このクロイツ
フェルト・ヤコブ病(CJD)には有効な治療法、進行緩和対策は皆無である。
その意味では超一級の難病であろう。家族の誰かが罹患したら、それを見
守る家族にも精神の蚕食が起こる絶望的な病気である。

 輸入解禁において、今回、問題になっている点は、日本人の総意として、
米国の畜産業が行っているQC(品質管理)に信頼がまったく持てなくなって
いるということにある。つまり、日本人は今のままだと、プリオン混入の牛肉
を無理やり輸入させられると考えているのである。全頭検査どころか、杜撰
この上ないアメリカのBSE検査対策に大きな疑念を持たざるを得ない状況
である。我々消費者は米国産牛肉を口にできるだろうか。

 今回起こったことは、日常的に口にする食の安全を、日米の政治的な力
学関係で無視してしまったことである。日本人はまったく愚かにもほどがあ
る。経済的な駆け引きで勝ち負けは起こるにしても、今回の場合は日本国
民の生命に直接関わる重大事であるから、ことの本質を政治的な決着だ
けで済ますわけには行かないはずなのである。米国は日本に対して早く輸
入を再開しないと貿易問題に発展させると再三脅しをかけていた。これに
屈して我が政府は十分な安全対策をアメリカに講じさせることなく輸入解
禁を決断したのである。

 小泉純一郎は国民の食の安全を完全に犠牲にして危険極まりない米国
産牛肉の輸入に踏み切った。それと引き換えにした国益的代価とは何で
あろうか。エルビス・プレスリーの邸宅であるグレースランドに、ブッシュ夫
妻と一緒に行った栄光なのか。ブッシュに頭をなでてもらうために巨額の
米軍再編費を払い、国民を地獄の死に至らしめるBSE牛肉を輸入するこ
の男には、国民を護る意識は皆無なのである。

 アメリカのダブルスタンダードのひどさ、悪辣さはあらゆる外交姿勢に見
え隠れする。この二重基準をTPOによって強圧的に使い分けるアメリカの
狡知さは、ストレートに相手国を威圧するシナよりも何段階も悪質である。
BSE問題にもアメリカの傲慢身勝手なダブルスタンダードが露呈している。
それは自国への牛肉輸入に対しては相手国に徹底的な品質管理の要望
を出し、それが、マニュアル化された文書まで出して管理している。ところ
が日本への輸出には骨髄液が飛び散って肉に付着することなどお構いな
しのひどい手抜きでやっているのである。

 この感覚は東洋人を人間と看做していない証拠であろう。東洋の猿が我
が国の品質管理にはのぼせた口出しをするな、動物の分際で越権行為で
あるという感じである。これは彼らが日本に原爆を投下して生物被害実験
をした感覚に等しいのである。BSEの不完全対策牛を、政治的な圧力によ
って我が国に強制的に買わせる米国の思惑を見て、日本人は基本的な疑
念を持たないだろうか。

 まず考えられることは、日米同盟も基本的に日本人をそういう存在とみな
して行っているという事実である。けっしてこの同盟関係は互角ではないし
相互互恵的でもない。日本は今、アメリカから国富を吸い取られる存在とし
てのみ価値を持つと考えられている。また、軍事的にはシナとの緊張緩和
を行う緩衝地帯として日本を位置づけているのである。日本へ輸出する牛
肉のBSE対策の実情を考えれば、有事にアメリカが日本を本気で軍事的
に守る事はないと断言してもよい。

 アメリカに異常に依存する日本人が多い今、アメリカのBSE対策のいい
加減さを見て、彼らが軍事的に日本を保護することは有り得ないことを痛
感するべきである。同盟国の友人に、金を取って毒入りの肉を供給する感
覚のアメリカ人が、日本国家の危機に軍事出動するだろうか。その辺のと
ころを冷静に銘肝するべきではないか。日本人は早くアメリカ頼りの甘い幻
想から目覚めるべきであろう。

  ところで、我々日本人は民族的に神道的な潔癖性を持っていて、食べ物
については極力清潔に扱うことを旨とする性向を持つ。スポンジ脳症を惹起
する感染的な蛋白質異常プリオンには、日本人は総毛立つようなおぞまし
さを感じているはずである。だから、牛肉処理が、そうとう確かな除去環境
にあると確信できなければ、まずそれを口にする日本人はいないだろう。
米国がやっている畜産牛の品質管理とは、我々日本人の神道感覚で見た
なら、完全に「ケガレ」の感覚で食品を扱う部類に属するのである。今のま
まで米国が日本に牛肉を輸出すること自体が日本の食文化、神道文化の
破壊になるのである。同盟国ならば相手の文化を尊重するのが前提であ
ろう。我が国の神道文化を完全に無視しているアメリカがはたして同盟国
と言えるだろうか。アメリカを人権と人道主義のモデル国家として見ている
日本人がいたなら、それは完全な思い違いである。

 このあいだ、米国産牛の輸入について私の知人に聞いてみた。彼は、
「輸入は政治的には仕方がない、どんどんやればいい。でも俺はスーパー
や肉屋で米国産は買わないし、女房にも買わせない、国が輸入したって、
消費者が買わなければいいんじゃないか」と冷笑的に言った。ああ、みん
な考えていることは同じなんだなとつくづく感じた次第である。

 日本人が米国産牛肉を食わないと知った時、すなわちほとんど消費され
ないという事実を目の当たりにした時、米国はどんな対応を取るのか興味
津々である。日本人が食うまで輸入関税を引き上げるつもりだろうか。あの
悪名高いスーパー301条のように。今のままの検査体制で出荷された米国
産牛肉を輸入した場合、病気に感染した物を食べて発病するには、長くて
数十年の潜伏期間があるからさし当たっての危機感はないかもしれない。
しかし、国民の何割かは確実に件の業病を発症することになる。国家の
危機管理とは外敵の侵害に対応するだけではなく、自然災害や今回の
ような致死的な病気の蔓延を防ぐことも必須である。その意味で日本は食
の危機管理もできない国に成り下がっている。

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コメント

やっぱ日本産すよ!!
最近は伊万里牛が好きです。
おすすめはココ!!
  http://imarigyu.jp/

投稿: 伊万男 | 2006年8月23日 (水) 15時51分

トビー様、コメントありがとうございました。
国内で出回る食品の衛生状態は中国に比べれば
まっとうであるかと思っていましたが、ありふれ
た食材にそういう危険性があるとすれば、日本も
本腰を入れて見つめる必要がありますね。

投稿: 高橋博彦 | 2006年7月24日 (月) 13時12分

BSEの問題も大切ですが、足元の食の安全に注意がもっと必要です。7月に「食中毒を防ぐ!家庭の調理・新常識110」(現代書林)が出版されました。モヤシがウンチほど汚く、シンクで洗うと菌で汚染されてしまう話や、カイワレ大根が菌の揺りかごで育っている秘密、キュウリが食中りの真犯人である話など、目から鱗の話が満載です。小さな子供や老人がいる家の主婦は必読と思いました。またこれから結婚する人も読むべきと思います。

投稿: トビー | 2006年7月24日 (月) 12時25分

 通行者様、御投稿ありがとうございました。現行憲法廃棄、そ
して帝国憲法との連続性へ回帰することによる新憲法創立。こ
の流れを可能にする過程には、おっしゃるとおり難しい問題が立
ちはだかっております。

 しかしながら、これ以上、過去の60年のように条文を固定化し
たまま、だらだらと表面上の解釈改憲に拘泥する余裕はすでに
失せています。今の状況をブレークスルーして、時代に応じた大
日本帝国憲法の進化形憲法を樹立するためには、国民の総意
的な覚醒による国柄の絶対確保と、我が国固有の文明潮流へ
回帰する必要があると考えます。

 憲法にはまったく疎いのですが、通行者様の投稿に触発され
ましたので、まったくドシロウトながらも本記事にて少し私見を述
べてみたいと思います。

投稿: 高橋博彦 | 2006年7月18日 (火) 11時40分

お久しぶりです。二度目の投稿をさせていただきます。私も戦後のアメリカ追従の国策を変えるには、国家の最高法規である憲法を変える必要があると考えます。やはり改憲ではなく廃憲に賛成です。現行の憲法は西洋の普遍主義を極限まで押し進めたものなので、これを現実主義的な方向に変たなら(例えば9条の改正)、左翼側の指摘する通りにアメリカ追従を加速させることになるでしょう。新たな憲法は明治憲法との連続性を重視するべきです。ただ現行の憲法から別の憲法に変えるには、困難な課題を克服しなければならないだろうと思います。現行の憲法には東京裁判史観の保証書の側面があるからです。現行憲法は「軍国主義日本を倒して民主主義を与えた」という連合国(アメリカ)の神話を証明するものとなっています。学問の分野では次第に東京裁判史観の虚構が明かされていますが、国際政治の世界では連合国を絶対正義とする歴史観が、連合国支配を正当化するイデオロギーとして未だに命脈を保っています。廃憲は東京裁判史観を否定することに繋がりますから、それはある意味現在の世界秩序に対する宣戦布告になるだろうと思います。それでも私は廃憲と新憲法の制定に賛成です。文明を再生するために。そのために西洋の普遍主義、西洋(白人)中心史観と対決しないといけません。

投稿: 通行者 | 2006年7月17日 (月) 18時33分

テツ様、おっしゃるとおりです。我が国は国際法や国連至上
主義幻想に囚われすぎています。これが日本をさらに脆弱な
立場に追い込んでいます。

 今回のミサイル騒動でも、シナやロシアは国連憲章第七章
にある「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関す
る行動」に強硬に反対しております。それは当然でしょう。彼
ら自身がそれを派手に破ってきた戦後史を持ち、現在も破っ
ているからです。

 東京裁判では同じような名目の裁定思想で日本をとことん
裁いておいて、自分たちには適用しないように踏ん張る。ここ
でも彼ら特有のダブルスタンダードが目立っています。

 日本は確かに北の暴発に対応したり、アメリカの都合で改
憲したりせずに、普通の国家として、真の防衛力を持つべき
です。そのために廃憲と核武装を一日も早く実現化することだ
と私も考えます。

 日本国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義
に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあ
りますね。

 国連常任理事国の主要国であるアメリカ、中国、ロシアを見
て、「あんたらのいったいどこが平和を愛する諸国民じゃ!」
とつくづく思う今日このごろです。

投稿: 高橋博彦 | 2006年7月17日 (月) 09時51分

>今や、日本はアメリカと中国の2大覇権主義国の間で、(いや、静かに大きな力を蓄え不穏な動きを見せ、少しずつその牙をのぞかせているロシアも)また、彼らの思惑を無作為に自己中心的に受け入れる半島の指導者たちのえげつない言動が目先を撹乱する中で、国家としての主権、国民の生命の安全、財産、そして神代から続く世界に稀なる美意識さえもその基盤を完全に失いつつあり、暗澹たる気分です。アメリカのダブルスタンダードの歴史は2百数十年変わることはなかったようですね。最近になって当のアメリカの保守論壇も、日露戦争以来の日本を独立国としないためのシナリオの存在・内容を公然と口にするようになったようです。にもかかわらず、わが国の親米保守といわれる人々はそれに触れたがりません。というか気が付こうとしていないのでしょうか。さらに、これからはまさにパワーオブバランスの考えを本気ですすめていかなければ日本が生き残ることは不可能であり、国際法的なあるいは国連的な幻想は知らぬうちに自国を泥沼へと引きずり込んでゆくことにわが国の指導者達はなぜ口を閉ざすのでしょう。それが証拠に中国によるチベット・ウイグルに対する侵略・弾圧などわかっているのに国際的にどうすることもできません。おなじことが台湾・尖閣列島に適用された場合、ダブルスタンダードのアメリカとの同盟などあてにならないことはわかりきっています。2016年にはGDPが世界一になるであろうことが予測されている中国や北朝鮮・ロシアの核の前に日本は裸で立っているのだという現実にどうすれば本気で為政者および国民が目覚めるときがくるのでしょうか。北朝鮮のミサイルにあわてて態度を硬化させたように見せるより、わが国の存亡をかけて現行憲法の破棄や核武装の必要性にすぐにでもとり組むべき時であると思います

投稿: テツ | 2006年7月16日 (日) 21時46分

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