« 国際包囲網に立ち往生する日本 | トップページ | 米国産BSE牛肉輸入問題に見えるアメリカの日本観 »

2006年7月14日 (金)

やっぱり西村眞悟氏の逮捕は官邸主導の国策捜査だった

 この間、書店で宝島社から出た「暗闘!平成日本タブー大全Ⅲ」というの
を買った。副題は「マスメディアの隠蔽報道にだまされるな!」である。その
中にすこぶる興味を引く記事が載っていた。それは、ジャーナリスト高木一
人氏が寄せた『追跡!「拉致問題」の幕引きを狙う官邸の世論誘導』という
論稿である。

 これに、冷静な眼で捉えた、拉致問題における国内の動きがよく分析さ
れていると感じた。ルポライターの著者が北朝鮮担当の公安当局者に聞
いた話が土台となっている。公安当局のその人物によれば、特定失踪者
問題調査会が発表したのは、拉致被害者及び、その疑いが濃厚である不
審失踪者は延べ460人になり、その内20人近くは国内で消息が確認さ
れた。従って、あとの440人近い失踪者がすべて拉致被害に遭ったわけ
ではないだろうが、実に多くの日本国民が北朝鮮によって拐取されている。

 実際、国内マスコミは、平壌宣言以前は数人の拉致が認めれればそれ
で進展だとという論調だったそうである。思い起こしてみると、拉致被害者
が大々的にクローズアップされる前までは、国民はほとんど無関心であっ
た。日本の世論は北朝鮮が拉致を認めた途端に、今までは完全に無視す
るか、棄民的な感覚で拉致に無関心だったのが一転して、拉致問題の全
面解決を求める風潮に変わった。日本国民は全面解決を念頭に置いて硬
化し、拉致問題進展は膠着状態に陥った。

 それが今に至っているが、この拉致問題の象徴的存在が横田さんご夫
妻である。この間に不可解なある動きが二つあった。一つは西村眞悟氏の
唐突な逮捕であり、もう一つは拉致実行犯がわかったという報道であった。
後者から説明する。拉致被害者の本格的奪還という意味ではまったく進展
はしていないが、昨年の暮れに、NHKが拉致実行犯について衝撃的な報
道を行った。「地村さんと蓮池さんを拉致した実行犯はシン・グァンス(辛光
洙)工作員であると、蓮池さんが証言」と、「横田めぐみさんを拉致したのも
シン・グァンスだったと曽我さんが証言」というニュースが流された。

 詳しいことは省くが、その記事ではそのシンなる実行犯の真実性が怪し
いことと、NHKがそのスクープで情報操作をした疑いがあるということが書
かれていた。興味深いことは、西村眞悟氏の逮捕と拉致実行犯割れは、
一つの線で結びついたものであるという捉え方である。実は私自身もそう
いう感じがしてならなかったのである。西村氏の逮捕劇は、明らかに小泉
官邸サイドの謀略、すなわち国策捜査である。それは正統な歴史認識を
持ち、硬骨漢でもあり、拉致被害者を心底慮る西村眞悟氏が、北朝鮮国
交正常化実現しか頭のない売国官邸サイドが最も敵視する存在だったか
らである。

 この記事にも書かれてあるとおり、拉致問題と国交正常化を切り離して、
国交正常化を急がせる勢力が官邸サイドを中心に存在し、これらが横田
ご夫妻の活動を心中、最も不快なものと考えていることは間違いない。横
田早紀江さんがブッシュ大統領と面会したという事実が北朝鮮のみなら
ず、小泉や飯島勲首相秘書官などを中心とする北朝鮮シンパに大きな衝
撃を与えたことは確かである。横田さんご夫妻を筆頭とする拉致被害者家
族に小泉が面会しない事実を世間はいぶかしく思っているが、そういう裏
があると考える。シン・グァンスに関する一連の大々的な報道は、政府は
拉致問題にもきちんと真面目に取り組んで、精神誠意意を尽くして頑張っ
ていますよというポーズと看做せるのである。その実、拉致問題は放棄し
たくて仕方がないのである。

 西村眞悟氏が逮捕拘留されている最中の12月、北京の日本大使館で
は、日朝間の事務レベル協議が行われたが、そこの議題は、拉致問題と
核問題、そして過去の清算を含む日朝国交正常化を三者併行して協議し
て行く事が合意されたのである。つまりはこういうことである。三種類の協
議を併行させて進むということは、一見、問題ないように見えるが、その
真意は、拉致問題と国交正常化の緊密なリンクを解くということにある。
すなわち、問題を個別に恣意的に協議していくということであり、国交正
常化だけを先に行うという方向性も考えられるのである。それが西村氏を
国策捜査にかけて活動を封じたことの真の狙いであろう。

 官邸の目的は拉致問題の解決にはまったくなくて、巨額な賠償金(実際
は援助という名目なのだろうが)を支払う国交正常化にのみに絞っている
のである。西村眞悟氏が中心となった拉致問題の解決は、日本国家の自
主性復権にベクトルが向かうから、官邸サイドの意向とは背反するわけで
ある。官邸のそういう思惑があったから西村氏は天岩戸に閉じ込められた
のである。これこそ、邪魔者は手段を選ばず排撃する小泉内閣らしい暗黒
政治ではないか。

 西村眞悟氏には本物の国士としての正統性が備わっている。従って拉
致問題を彼が中心に行うことは、北朝鮮や朝鮮総連、及び彼らの仲間に
なって国家を裏切る非国民たちの売国計画の邪魔になってしまうのであ
る。従って、国策捜査で西村氏は言論を封じられ、その間に日朝協議は
国交正常化に的を絞った話し合いを行ったのである。これを謀略と言わ
ずして何と呼ぼうか。

 小泉の首相としての任期は九月までであるからあとわずかである。今、
北朝鮮はミサイルを撃ち込んで毒々しい存在感を打ち出している。こうい
う中にあって、小泉という男の劇場型のサプライズが起こらないとは誰も
言えないのではないだろうか。ミサイル騒動の事態打開の帰結として、
小泉が日朝国交正常化を劇的に成し遂げる可能性を決して否定できな
いのである。この男が日本破壊の〆としてそれをしないように国民は油
断してはならないだろう。

|

« 国際包囲網に立ち往生する日本 | トップページ | 米国産BSE牛肉輸入問題に見えるアメリカの日本観 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/141377/10933614

この記事へのトラックバック一覧です: やっぱり西村眞悟氏の逮捕は官邸主導の国策捜査だった :

« 国際包囲網に立ち往生する日本 | トップページ | 米国産BSE牛肉輸入問題に見えるアメリカの日本観 »