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2006年9月10日 (日)

次期安倍政権は従米売国路線踏襲内閣である

昨日、NHKで次期総理三候補の演説会が放送されていた。最初の安倍
晋三の演説の冒頭部分を聞いただけで、こりゃまったく話にならんなと思
った。安倍の開口一番は、八年前に小泉純一郎を応援したのは自分だっ
たという小泉万歳の逸話から始まったのである。この冒頭の発言に安部
政権というものの本質がすべてあらわれている。

 奇しくもこの日、フィンランドを訪問中の小泉純一郎が安倍晋三指示を鮮
明に打ち出した。この事実だけで、安倍の率いる政権が、日本の極限的
な脆弱化を狙う小泉従米的構造改革路線を引き継ぐ方針であろうことは決
定的となった。国民は安倍の「美しい国へ」などという著書名にごまかされ
てはならない。この男の政治的な本質は保守を気取る盲従的アメリカ信奉
者に過ぎない。安倍晋三は小泉・竹中構造改革というアメリカ受益だけで
画策される経済路線、政治路線をより顕著に踏襲して行くだろう。

 安倍自身が所信表明演説みたいに自ら語っていたが、今やっている構
造改革を緩めるどころか、いっそう先鋭的にそれをやって行くとのたまって
いる。安倍は言う。公立学校を建て直し国民が国家や公を信頼できるよう
な社会にして行くと。公の復権を唱えるなら、今の小泉・竹中路線が遂行
している新自由主義(ネオ・リベ)的な構造改革路線を完全な失敗と見て
即刻中断し、真に国益と日本の尊厳性を復活させるべく政策方針に転換
するべきであろう。安倍にはこの観点が微塵もないばかりか、より強力に
従米経済路線を遂行して行く方針が見え見えである。

 私は、かつて森喜朗前総理大臣が、日本は天皇を中心とした神の国で
あること、それから、鎮守の森やお宮さんを中心とした教育改革をすすめ
ることなどの発言に対して、ああ、日本もようやく独自文明認識の方向に
変わりつつあるんだなと、素直な期待を寄せたものである。ところが森前
総理は、こともあろうに小泉純一郎という稀代の売国奴を密室政治的手
法で政権の長に祭り上げたのである。その結果、どれほど日本の良い部
分や、先人たちが苦労して築き上げた有効な日本的経済構造を破壊した
か、言っても言い足りないくらいである。政権を造り上げ運営して行く裏構
造の勢力があるとしたら、こいつらは完全に米国のエージェントと化して
いる。

 その米国の走狗に過ぎない一政治家が、皇統や神社というキーワード
で日本国体の強化を目指すかのような嘘発言をして、日本を解体に追い
込む方向に国の舵取りをやっていたら、国家の品格も希望もあったもので
はない。安部晋三も、基本は支離滅裂な森喜朗とほとんど形は変わらな
い。私が安部の演説を聞いていて絶望感に打ちひしがれたのは、あの郵
政民営化時に追放(パージ)された自民党議員に対する彼の見解である。
自民党は郵政民営化反対で放逐された議員を復党させるのであるならば、
党規綱領をちらつかせ、党の方針に逆らったから、あの時はあのような強
硬手段を取ったが、それは過ぎたことである。しかし、今は自民党の党是
に気持ちを合わせてくれたなら復党は可能であるなどと言っている。

 国民もそうだが、自民党議員連中もあの郵政民営化という狂気の法案
の、異常すぎるほど異常な成立過程をよく振り返ってみた方がいい。法案
審議というものは反対意見を調整しながら進むのが本分であり常道であ
った。ところが当たり前の審議過程が異様な空気によって完全否定され
ていたのが郵政民営化法案であった。なぜ、あの法案だけが突出して是
か非かの二項対立的な論点に収斂させられたのか、なぜ中身の審議を
慎重に行おうとした連中まで、党是に反する悪党というレッテルを貼って、
彼らの生業(たっき)の道を強引に塞いでしまったのか。

 この奇妙さ、この異常さに国民のどれくらいの人間が気づいていたのだ
ろうか。小泉施政の六年間を振り返ってみると、この内閣の最大の眼目
が郵政民営化にあったことが良くわかる。あの悪名高き「年次改革要望
書」の成立よりも、小泉純一郎の郵政民営化思案の方が明らかに先行し
ている。だからと言って、そのことをもってして小泉がアメリカの言いなり
になったのではないといういい訳にはならない。小泉自身が思想的に若
い頃からネオリベ経済路線を志向していたことは十分にありうることであ
り、それにアメリカが目を付けて彼を最大限に利用したというのが今回の
真相だろう。

 もともとアメリカマンセーの小泉が、アメリカの金融政策路線に追従して
アメリカの虎の威を借り、郵政民営化を強引に具現したことは間違いない
ことである。年次改革要望書にはアメリカ保険業界からのあからさまな圧
力があり、日本郵政の簡易保険の解体、つまり、特別保護を撤廃した簡
保の民営化が無理やり進められた。年次改革要望書では民間保険会社
と簡保の身分を同一にしろという要望はあるが、郵貯資金については特
に要望はない。しかし、結果としては、簡保のみならず郵貯資金も政府の
保護を離れて国際金融が介入できる民間市場への解放に向っているの
である。

 アメリカは日本の国家が国民の保護を目的としたあらゆる国家政策の
要を解体する目的を持っている。そのことによって、彼らが敷いたグロー
バリゼーションという虚妄のアメリカ主導経済ルールに日本の市場を無
理やり参加させ、日本の奥にしまい込んだ国民保護の目的の金を余す
ところなく晒させ、株式的方法やM&A、その他の金融的手法を駆使して
巻き上げる魂胆なのである。一般日本国民は金融工学的手法に馴染ん
でいないから、郵政資金が自由市場に開放されたとき、それを国際金融
資本やアメリカ保険業界、いわゆる外資がどんな手法を持って巻き上げ
の算段を講じるかという想像力がまったくない。

 基本において、この恐怖の国益毀損をいち早く見抜いた小林興起氏や
亀井静香氏、橋本派の小泉龍司氏などが憂慮の念をもって国民に問い
かけようとしたが、小泉売国一派は彼らに熾烈な怒りを抱いて刺客候補
まで立て、党から放逐したのである。盗人猛々しいとはこういう時も使っ
ていいだろう。自身がアメリカに日本国民の労働の成果である国富を提
供する法案をごり押しして、それに反対する良心的な議員に敵意を抱く
とはとんでもない大悪党である。この案に賛成か反対かどっちだと、すべ
ての法案に対してこういう二値論理を振りかざして来たのならそれなりの
一貫性はあるだろう。しかしこの血なまぐさい二項対立の押し付けが、な
ぜ郵政民営化だけに絞られたのだろうか。小泉を応援する愚鈍な国民は
そこのところをしっかりと考えるべきである。

 理由は小泉内閣の最大の施政目的が郵政民営化に収斂していたから
である。それはアメリカからの期限付きの強制命令に従ったということに
他ならない。あの郵政民営化が是か非かの解散総選挙の時、マスコミの
小泉擁護は突出して異常であった。テレビは連日、アリコやアフラックなど
の外資保険会社のCMばかりを流し、報道番組では古館伊知郎やみのもん
たのように、露骨に外資リスク論を言わせないようにしていたことは記憶に
新しい。テリー伊藤は竹中平蔵や世耕のマスコミ対策にかりだされ、郵政
民営化擁護に働いた。彼らは庶民の味方のような振りをしてとんでもない
売国芸能人たちである。

 小泉内閣政策の本質とは、アメリカに魂を売り渡すことにあったのであ
る。次期政権を担う安倍晋三も、それと同様にアメリカに日本を売り渡す政
策に血道を上げることは間違いない。安部晋三の対アメリカ施政には厳し
い視線を向けて行く必要があるだろう。


参考図書 : 関岡英之「奪われる日本」(講談社現代新書)

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