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2008年2月29日 (金)

杉並区は75年後は無税?無税国家とは?(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十五弾です)
  http://tek.jp/p/

 東京都杉並区の予算は1500億円で、その1割の150億円を積み立てて2%の利率で運用すると、78年後には無税でやっていけることになっている。山田区長のアイディアだ。しかし78年後は自分は生きていない。そのために1割も増税されてはたまらない。78年後のことより現在の住民の事を大切にしてもらいたいものだ。

 松下政経塾の創設者の松下幸之助氏は、無税国家を唱えた。国家が蓄えた貯蓄から利子収入を得て、それを財源として国家財政をまかなえというわけだ。松下幸之助は長者番付で常に一位だったから、所得税も大変な額だっただろう。だから税金を安くしてほしい、小さな政府にしてほしいと願うのは当然だったかもしれない。その結果松下政経塾出身の政治家はことごとく緊縮論者になってしまい、そういった政治家が日本経済を没落させている。松下氏は次のように言う。

『 仮に今の貨幣価値で1000兆円の積立金ができ、それを年利5%で運用すれば、50兆円の国家収入が得られます。昭和54年度予算は40兆円弱と予想されますから、これをすべてまかなってなお10兆円余りのある額です。 そうすれば、国民から1円の税金を取る必要のない「無税国家」となり、さらに進んで、余りの10兆円を国民に分配しうる「収益分配国家」になるともいえましょう。』 (週刊ポスト1979年1月5日号掲載)

 1000兆円を何で運用するのだろう。東証の株式の時価総額は2008年1月31日現在438兆円だから、全企業の株式を全部買い取って国営企業にしても1000兆円の半分も使えない。国債を買う?1000兆円も貯めたのに国債を出す必要はなくなっているだろう。第一、1000兆円を貯めるには、どれだけ増税しなければならないか。増税によって経済はデフレスパイラルに陥り、経済がどんどん縮小することを理解していないのか。どうも松下幸之助は、商売は上手だったが、マクロ経済はまるで駄目だったようだ。松下政経塾で、滅茶苦茶な経済学を学んだ政治家によって、日本経済が無茶苦茶にされてしまっているのかもしれない。

 国は通貨発行権を持っているのだから、やろうと思えば、お金を刷れば一夜にして1000兆円は作れる。汗水流して貯めたお金も、一夜で刷ったお金も、実体経済にとっては全く同じだ。それなら5%で運用するのでなく、いっそのこと利子50兆円分のお金を毎年刷っても同じではないか。これなら簡単に無税国家が実現する。しかしながら、お金を刷った分、確実に需要は拡大する。その需要増加に生産が追いつかなければ(普通は追いつかない)インフレとなる。このときは普通かなりの大幅なインフレになるため、経済には悪影響を及ぼす。インフレにより、国民の財産が目減りし、結局税金を払ったのと同じ事になるから、「インフレ税」と言う。

 中南米では、かつて財政赤字をファイナンスする財源が無かったため、政府債務を中央銀行が引き受けることによりお金が刷られ、インフレが加速した。もちろん、どの程度お金を刷るかによって、インフレ率は調整できる。日本以外は、どの国もゆるやかなインフレになっているために、実質自分の財産(例えば現金)はゆるやかに目減りしており、その部分の税金を実質的に払っていると言うことができる。しかし日本はデフレだ。インフレ税を払っていない。ということは、その分、他の国より多くの税金を払わなければならなくなる。しかし、そうしたらデフレは悪化してしまうから、増税できない。だから税収不足になるから、借金(国債発行)で補っている。そこで、デフレのときは、どんどん国の借金が増えてしまう。

 景気対策をしてデフレからの脱却ができ、普通の国のようにゆるやかなインフレになれば、すでにインフレ税で税金の一部を納めたことになり、増税の必要がなくなるし、財政も改善してくる。ゆるやかなインフレにするということは、このようなメリットもある。松下幸之助も、まずお金のことが頭に浮かび、それを貯め利子で運用する、これは企業の感覚であり、国家に対するマクロ経済には当てはまらない。現在の政府もお金のことが第一で、財政を改善することで頭がいっぱいだ。国家の経済を考えるときは、お金は経済を成り立たせ発展させるための手段だということを忘れてはならない。

 国は家計や企業とは全く違う。お金は自由に刷っても良い。ただし、経済が最も活性化するように刷らなければならない。全国民が清貧に耐え、お金を貯めれば、後でそのお金が使えて豊かな生活が送れるような保証は全くない。なぜなら、清貧に耐えている間に生産は停滞し、企業は生産性の向上のための努力を怠り、折角貯めたお金を将来使おうとしても、生産力が無いときは、インフレになるだけで豊かな生活は無理なのだ。

 将来豊かな生活を望むなら、適度なお金を実体経済に供給し、最適な経済環境で企業を育て、生産性を伸ばす必要がある。もちろん、最適な経済環境とは規制緩和とか市場開放とかも含まれる。しかし、金不足、需要不足のインフレ経済では、生産性は上がらないし、企業は育たない。まさに現在の日本経済の没落は、お金不足から来るものである。それでは、高度経済成長をしていた60年代、70年代は、経済発展に必要な成長通貨はどうやって生まれていたのだろうか。それは、土地などの値上がりが関係している。地価が上がると、それを担保に多くのお金が銀行から借りられる。銀行から借りた人も、そのお金を一旦銀行に預ける。そうすると、銀行にはまたお金が入るわけだから、そのお金をまた別な人に貸す。このように次々にお金が銀行から出て行って、市中に出回るお金がどんどん増えていった。

 デフレになると、丁度その逆のことが起きる。地価が下がると、それを担保に借りることができるお金が少なくなる。すでに土地を担保に借りている人は担保割れが起きて、お金を返さなければならなくなる。それにより銀行の貸出残高が減ってくる。実際の銀行貸出残高は下の図に示した。貸出残高は大きく減っているが、現在下落はすでに止まっている。しかし、元の水準にまで回復するのは遠い先のことだ。貸出残高の減少は市中から巨額のお金が消えたということを意味している。消えたお金を補充するために、国はお金を刷る必要があるのに、それを怠ったために、日本経済が没落を続けている。

 この図から、不良債権処理が終わればお金は回るようになるという説は嘘だったことが証明された。不良債権処理が終わった現在でもお金は十分回っていない。(小野盛司)

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2008年2月27日 (水)

日銀は、なぜ国の借金を買い取らないのか(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十四弾です)
  http://tek.jp/p/

 日本人の「国の借金」に対する考えは異常そのものだ。いつでも、そしていくらでも日銀が国の借金を買い取ることができるのに、その事実をマスコミは隠し続ける。昨日(2月26日)も朝日新聞に載った。「国の借金最高更新」なのだそうで昨年末で838.05兆円になったという。おまけに国民一人当たりに換算すると655万円余りになるという馬鹿なことも書いてある。

 838兆円が多すぎるというなら、100円を1円(1新円)とするデノミをするとよい。そうすれば、838兆円は一夜にして8.38兆円に減り、655万円は、たった6.55万円になる。GDPも同時に減るから借金のGDP比は変わらないと言うかもしれない。だったら、借金が多いというのでなく、始めから借金のGDP比が多いのだと言うべきだろうし、借金のGDP比が増えたかどうかを、まず見出しに書くべきだろう。昨年末の借金は832.26兆円だったから、増加率は0.72%で、GDPの増加率は0.8%だから、GDPのほうが増加率は大きい。ということは、借金のGDP比は0.08%だけ減っている。当然、借金のGDP比が減ったということを、見出しに書くべきだ。

 借金のGDP比が減らないのは、経済政策の大失敗のためGDPが増えないためだ。OECD30カ国の中で日本が最低だが、その次に低いのがスイスの3.5%だ。もしも経済政策が大失敗ではなく、普通程度の失敗にまで改善し、日本がビリから2番目になるまで成長が加速したら、約2.7%だけ借金のGDP比を減らす事ができたはずである。あるいは、内閣府の試算(進路と戦略)に従えば、もし公共投資を5兆円増やしていたら、GDPが増加するために借金のGDP比は1.6%減っていたことになる。

 経済モデルを使った計算が理解できないため、「国の借金」を、まるで魔物のように恐れている。私は朝日新聞に、記事が明らかに間違えていると何度も抗議しているが、昨年11月23日付朝刊の「国の借金」に関する間違えた記事に抗議したときは、朝日新聞部長代理の金光という人から手紙が来て、「ご指摘の内容については、編集局の担当部署に伝えました。貴重なご意見として、今後の取材や紙面づくりの参考にさせていただきます。」と書いてあったのに、間違いを繰り返している。

 日銀が国債の一部を買い取れば、日本経済の没落を食い止めることができる。買い取ったお金は、国民に流れ、それが経済を活性化するからだ。しかしそれを阻んでいるのが日銀の自主規制だ。日銀には「長期国債の保有は日銀券発行残高まで」という自主規制がある。一般の人で知っている人はほとんどいないし、マスコミの報道でも聞いたことがない。日銀に電話してこの自主規制について聞いたら、一般窓口の人は知らないと言い、もっと「詳しい人」に電話を回してくれたが、その人も知らなかった。その詳しい人が、議事録等を調べて数日かけて調べてくれたが、見つからなかったと電話をくれた。日本経済を衰退させている根本原因は日本人全員が知っておくべきだ。日銀の中の「詳しい人」までが知らないようでは、日本経済の将来が思いやられる。
 なぜ日銀はそのような自主規制を行っているのか、昨年、質問主意書で滝議員が質問したときの安倍総理の答弁を引用しよう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
安倍総理:日本銀行の長期国債保有の在り方は、日本銀行がその資産及び負債の状況等を踏まえて決定すべき事柄である。なお、日本銀行による長期国債の保有は、日本銀行の負債である日本銀行券の発行残高の範囲内で、安全確実な資産の保有として実施されているものであると承知している。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 残念ながら、逃げの答弁でこれでは何のことか分からない。最重要課題から逃げようとする姿勢はいただけない。政府がこのような態度であれば、日本は貧乏になる一方だ。本音は、過去の「苦い経験」だ。つまり戦前戦費調達で国債を大量発行し日銀に引き受けさせ、それが悪性インフレを招いたという経験だ。それを繰り返さないという意味で財政法第5条は、日銀による直接の国債の引き受けを禁止している。確かに度を超せば悪性インフレになるが、適度であれば、デフレ脱却の救世主になる。「適度」とは何かと言えば、計量経済学を駆使したシミュレーションが教えてくれる。直接の国債引き受けの必要はない。市場から適量の買い入れをすればよいだけである。

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  図で日銀券発行残高を示した。デフレ下では、お金はタンスにしまっておくだけで価値を増す。お金は流通しなくなってタンス預金がどんどん増える。そのため、日銀はお金を必要以上に発行しなければならなくなっている。日銀は保有する長期国債は、日銀券発行残高以下に抑えるという自主規制は全く意味がない。その自主規制のために日銀は、長期国債の保有が厳しく制限されていて、結果としてこれが財政を悪化させている。この自主規制が無くて、もっと多くの国債を日銀が保有すれば、国の借金の利払いは日銀を通して国庫に返るから、財政は大きく改善する。

 2008年2月20日現在、日銀の保有長期国債は48.8兆円であるのに対し、日銀券発行残高は75.1兆円である。自主規制に従うと、あと26.3兆円しか長期国債を買うことができないし、これでは全く足りない。90年代に入ってから日銀券発行残高が増えたのは、デフレだったからである。景気が良くなれば、再び減ってくる。しかも最近は電子マネーが普及し始めているから、日銀券の必要性がどんどん薄れてくる。そうなるとこの自主規制の縛りはきつくなる一方であり、それを継続すると日銀は国債を売らなければならなくなり、国の利払いの回収率も下がり、国はどんどん貧乏になっていく。この問題を避けていたら、日本経済の復活はあり得ない。(小野盛司)

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2008年2月25日 (月)

国の借金が大変なら日銀が買い取れば良いと世界を代表するエコノミストが提言(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十三弾です)
  http://tek.jp/p/

 国債は「国の借金」だからいつか税金で返さねばならないという、馬鹿なことを言う人がいる。そういう方法では絶対に返せないし、返そうとすれば、日本経済は大恐慌に陥る。しかし、日銀が買い取れば、逆に日本経済の大躍進が始まる。海外の識者の声を紹介しよう。

●バーナンキFRB議長(ノーベル賞確実と言われている経済学者でデフレ問題の第一人者)
 「日銀は国債の買い取りを増やして、減税あるいはその他の財政政策を行うべきだ。日銀の長期国債の保有額は発行済みの日銀券残高を限度とするという日銀の自主規制は撤廃するべきだ。」

●ローレンス・R・クライン (ノーベル賞を受賞した経済学者)
 「私の提案は、通貨の膨張です。日銀は政府の借金(国債)を買い取るべきです。減税をやるとよい。しかし、このような財政政策と共に教育への投資も増やすべきだ。」

●ポール・サミュエルソン (ノーベル賞を受賞した経済学者)
「3年間の新たな全面的な減税政策を実施するように提案する。今後も継続して行われる公共投資は、日銀が新たに増刷する円によって行われるべきだ。」
(日銀が新たに増刷する円とは、日銀が長期国債を買い、それと引き替えに出て行くお金のこと)

 2007年12月1日の静岡新聞に「消費税引き上げに反対」というタイトルでサミュエルソン氏が提案を寄せている。提案の前半は日本のデフレが危険なキャリー・トレードを出現させていると指摘し、後半は「日本の与野党、政府機関、そして有権者は、1990年以降の長い眠りから覚める必要がある。もし日本の企業と家庭がカネを使わなければ、景気を刺激し、同時に日本の美しい国土の生態環境を改善し、優秀な大学をさらに充実させる雇用創設の方法を他に求めなければならない。

 これは単なる経済学の理論ではない。1930年代、不況に陥っていた米国とドイツの人々に最終的に繁栄をもたらしたのは、意図的な赤字財政支出であった。1933-1939年、米国労働者の二人に一人が失業していたが、1940年には文字通り完全雇用を達成した。この失業率を下げたのは、ルーズベルト大統領の計画的な赤字支出であった。確かに日本の公的債務はすでに巨額である。だが、その債務に対する利子支払いの費用がゼロ金利でいかに低く抑えられてきたか、このことも忘れてはならない。

 現代においては、過度の正当派的財政は悪しき財政政策と言わざるを得ない。フランスはそれを八十年前に学んでいる。」としている。

 日本人は借金が嫌いで、早く返したくてたまらないのだろうが、海外のホームページを見ると日銀に国債を買わせるべきだという論調が目立つ。日銀が国債を買えば、それで国の借金を返したことになるからだ。それではインフレになると人は言う。日銀が国債を買うと、その入れ替えにお金が出ていく。事実上お金を刷ったことになるからだ。そのお金が様々な経路で国民の手に渡り、国民が金持ちになり、年率3%のインフレになったとしよう。つまり3%名目GDPの成長を押し上げる。それは国の債務のGDP比を3%押し下げるのだ。さらによいのは、金持ちの国民は、より多くの税金を払ってくれて、国の借金が減り、債務のGDP比は3%以上、下がるのだ。これをシナリオAとしよう。

 もし増税で3%だけ債務のGDP比を下げようとしたら、800兆円の3%の増税、つまり24兆円、一人当たりにして、なんと約20万円もの増税が必要となる。ただしこのような大増税により、日本経済は深刻なデフレ経済に陥り、GDPは大幅に縮小し結局債務のGDP比は縮小しないことになる。これをシナリオBとしよう。みなさん、シナリオAとシナリオBの、どちらを選びますか。

 もうお分かりだと思いますが、世界を代表するエコノミストは日本経済復活のための素晴らしい提案をしているのである。国の借金が日本経済にとってどれだけ大きな重しになっているか想像して頂きたい。財政を拡大しなければ、経済は拡大しないのに、財政を拡大できなくした。それに金融機関の機能を大きく損なわせている。金融機関とは本来、国民からお金を集め、それを工場建設とか、住宅建設とかの融資に回す。つまりお金を融通し合って経済を拡大していくのが金融機関の役目となっていたはずです。しかし日本の金融機関は何をしているのかということです。なんと国民から集めたお金で国債を買って、それを金庫に置いておくだけで、金利が入り利益が出せるように国が保証しているのです。その利益はもちろん国民から集めた税金です。2007年度で国が払っている利払い費は約10兆円で、税収が約50兆円ですから、我々の納めている税収の約2割は利払いとして郵便局とか銀行へ流れているわけです。

 更に悪いことは、現在極めて景気が悪いために、長期金利は1~2%程度ですが、少し景気が回復してくると、諸外国並になり、現在の約3倍の金利になってきます。そうすると単純計算をすると我々の納める税金の半分以上は、こういった金融機関に利払いとして流れるわけです。折角、我々が多額の税金を納めても、その半分以上が金融機関等に利払い費として流すようでは、税金の無駄遣いとしか言いようがありません。現在で年間の利払い費は10兆円を超しており、金利が3倍になれば毎年30兆円の税金の無駄遣いをすることになるわけです。金融機関にとっては、国民から預かったお金で国債を買えばそれを金庫に置いておくだけで、巨額の税金を流してもらえるので、こんな楽な商売はありません。グリーンピアで使われたお金が総額で1900億円ですから、10兆円はこの50倍以上、30兆円は150倍以上です。グリーンピアなら保養施設ですから、国民は利用できますが、利払い費は単に払うだけです。

 代替案はもちろん、国債を日銀に買わせることです。それにより国債という形で凍結されていたお金が国民に渡り、国民は豊かになりますし、政府が日銀に払った利払い費は、国庫に返される仕組みになっていますから、政府は再び国民のために使うことができるわけです。税金の無駄遣いがマスコミで色々指摘されていますが、額が小さいものばかりで、そのような無駄を防いだとしても、我々の暮らしを大きく改善するほどでもありません。10兆円とか30兆円とかという巨額の税金の無駄遣いを追求した人は誰もいません。しかもこれは毎年発生しているのです。

 内閣府になぜ景気対策をしないのかを聞いたときの返事は、確かに景気対策をすると景気も良くなり、最初の2年間はGDPが増えて、債務のGDP比が減り財政が健全化する。しかし3年目以降は金利が上がり、利払いが増え、債務のGDP比が増えるから景気対策は駄目だという説明でした。要するに、金利を抑えるために景気を悪くしておこうというのが政府の考えだというのです。本末転倒だと思いませんか。
 日銀に国債を買わせれば利払いの増加を抑えることができます。金利上昇を抑えるために、わざわざ景気を悪くして国民を苦しめなくてもよいのではないでしょうか。(小野盛司)

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2008年2月24日 (日)

小野盛司氏の積極財政論シリーズ

 弊ブログに精力的に投稿していただいている小野盛司氏(日本経済復活の会・会長さん)の積極財政論シリーズも、今回で32回目になっています。近年、我が国のマクロ的な経済政策の方向性は、どういうわけか積極財政論という選択肢が取られて来なかったという事実があります。平成大不況から小泉政権の構造改革を経ても、庶民としてはいっこうに景況感が上向いたという感覚はありません。むしろ悪くなっているという切実な不況感が国民を囲繞している始末です。可処分所得が減少しているどころか、預貯金を切り崩して生活費に当てている世帯が圧倒的に多くなっています。政府も御用学者も、小野会長さんたちが提唱するマクロ計量経済学による積極財政論を国民や政財界に向けて啓蒙しません。

 またマスコミもどういうわけか積極財政論を報道しようとしません。弊ブログ管理人が感じるところによれば、日本国内のパワーエリート(彼らは何者なのでしょうか。半島系では?)に、日本をかつてのような経済大国にはけっしてしないぞという、一種のルサンティマン(怨恨)のようなものが働いているような気がします。これを表立って体現したのが小泉純一郎氏でした。彼が半島系かどうか知りませんが、彼の行なった新古典派的な政策に通底するのは、日本に対する底知れぬ破壊的なイド(無意識衝動)でした。これの頂点が自見庄三郎氏の語った「小泉氏の天皇改革論(女系肯定論)」です。

 積極財政論を忌避する衝動が何処に由来しているのかいまだに不可解な面はありますが、万民の幸福原理と背反する現今の超格差経済への潮流を止め、日本経済復活の突破口となる可能性を持つ積極財政論のアプローチが、小野盛司氏が展開しているシリーズですので、是非通読して欲しいと思います。

 また、沖縄観光速報社編集長の渡久地明(とぐち あきら)さんの『渡久地明の時事解説』というブログでも、小野会長論文を高く取り上げていますし、渡久地明さんの時事解説も非常に参考になることが書かれていますので是非ご覧になってください。
                         (神州の泉・管理人 高橋博彦)



◎日本経済復活の会・会長 小野盛司氏の積極財政シリーズ

 1.「政府による経済予測の偽装」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2007/12/post_cc2c.html

 2.「財政は破綻するのか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_1503.html

 3.「デフレ化で行う増税や歳出削減が、いかに馬鹿げているか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_7a8c.html

 4.「日本を貧乏にする政策にNOと言おう」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_b4ba.html

 5.「お金がなければ刷りなさい」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_e112.html

 6.「景気対策をすればどうなるのか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_d774.html

 7.「アメリカは16兆円を刷って減税という景気対策を実施」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_11ff.html

 8.「内閣府の試算による積極財政で財政が健全化することが明らかに」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_1fe1.html

 9.「株価急落に対する政府の無策を追求しよう」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_b753.html

10.「ガソリンのザン低税率の存廃を争っているときか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_52ae.html

11.「景気対策をやった方がよいのではないかと内閣府に電話して聞いてみました」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_2f09.html

12.「バブル潰しは、あれでよかったのか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_00ff.html

13.「ダボス会議でIMF専務理事が景気対策を呼びかける」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/imf_bdc8.html

14.「円の信用とは何か」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_f6d6.html

15.「道路はもういらないのか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/01/post_5c35.html

16.「国の財政と家計とは比較できない」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_66f4.html

17.「経済成長に必要な成長通貨」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_5531.html

18.「イタリアに学ぶ真の財政健全化策」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_db5d.html

19.「日本における言論統制の実情」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_7858.html

20.「人口減少でGDPが伸びなくなるという嘘」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_916b.html

21.「可処分所得と消費」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_77c9.html

22.「昭和恐慌に学ぶデフレ脱却法」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_29b9.html

23.「デフレが人を不安にした」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_4ddc.html

24.「年金問題の正しい考え方」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_f915.html

25.「実質成長率さえよければ、名目成長率が低くても良いという嘘」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_2c08.html

26.「国の借金を返した5つの例」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_f975.html

27.「政府貨幣発行について」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_c2e9.html

28.「過去の景気対策がなぜ効かなかったか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_6b57.html

29.「ここまで来た 日本の地盤沈下」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_9c0e.html

30.「なぜ財政赤字なのにインフレにならないか、国債は暴落しないのか」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_7d58.html

31.「(続)政府による経済予測計算の偽装」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_25ea.html

32.「アメリカが圧力をかけて日本に景気対策をさせないようにしているのか?」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/02/post_2c7a.html

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アメリカが圧力をかけて日本に景気対策をさせないようにしているのか?(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十二弾です)
  http://tek.jp/p/

 アメリカが圧力をかけて日本に景気対策をさせないようにしているのではないかという疑問が、読者からメールで筆者に寄せられたので、そうではないということを書くことにします。

 計量経済学を知っている人ならよく知っていることなのですが、もし景気対策をした、つまりお金を刷って(返さなくて良いお金です)国が国民のために使えば、国民は金持ちになるわけで、国民はお金を使うようになります。そうすれば、国産のものだけでなく、アメリカからの輸入品も多く買うようになるので、対米貿易不均衡の是正に役立ちます。これがよく知られているアメリカの対日要求である「内需拡大」の意味です。アメリカにとって、日本国民が貧乏になることに何のメリットもなく、逆に刷ったお金で日本国民を金持ちにして欲しいわけです。この要求に応えて1986年に前川レポートが出されました。内需拡大の約束です。

 アメリカからだけではないですね。IMF専務理事などからも日本は景気を刺激せよとの要求は再三出ています。刷った金で財政出動をして、日本国民にお金をプレゼントするなら、確実に内需拡大で対日要求に応えられたのは間違いありません。実際、経済モデルで計算しても、そういった予測になります。しかし、実際に政府が行ったのは刷ったお金を貸してやろうという話でした。銀行を通じ「金を貸すから、投資に使いなさい」と、国民に刷ったお金を融資しようとした。企業としては、国民がそれほどお金を持っていないから、工場をどんどんつくっても、そんなに売れるわけないからということで、そのお金は株とか土地とかに投資するしかなかった。借りた金でアメリカ製品を買うなんてできないですよね。

 結果はバブル発生で、貿易黒字の解消はできなかった。なぜ、お金を国民にプレゼントするのでなく、貸し付けだったのかと言えば、刷った金(国債)は、いつかは返さなければいけないものだという政府の勘違いでしょう。これはそういった種類のものではない。どこの国もそんなことはしていない。経済成長を続ければ、国の借金はどんなに増えても、GDPも増えるから、借金のGDP比は変わらないということで、国の借金は際限なく増やすのであり、返すのではない。日本人は借金とはいつかは返すものだと思っていて、国の借金は全く別の種類のものだということをどうしても理解しない。この考えを変えないと世界経済の中で日本は孤立してしまいどんどん貧乏になってしまう。

 アメリカの財務長官も再三にわたり、日本に景気刺激をせよと要求しています。私は、その意味を確認するために2003年に当時のアメリカ財務長官のスノー氏で手紙を書き、積極財政で日本経済を刺激すると、日本が大躍進をし、財政も健全化するという日経新聞の試算結果も添えて送りました。すぐに「あなたの考えに賛成する」という内容の返事が代理の人から来ました。私は、アメリカ財務省に電話し直接話しをしたいと申し入れ、アポイントを取ってワシントンに行き財務省の方に詳しく説明し、アメリカ財務省も全く私の考えと同じだと確認しました。詳しくは日本経済復活の会のホームページ(http://tek.jp/p/)の中の「活動」を見て頂きたい。

 私の考えでは、積極財政をさせないようにしたのは小泉さんだと思います。彼は自らを「浅学非才」と言い、自分は経済は全く分からないと言いながら、緊縮財政を強行しました。ブッシュ大統領に対し、「自分の経済政策を支持してくれたら、イラクに自衛隊を派遣する」という交換条件を提示したに違いありませんし、そのような要求であれば、ブッシュ氏も受け入れざるを得なかったのでしょう。

 2003年当時、国会議員の大半は景気対策に前向きだった。2003年の総裁選には小泉純一郎、藤井孝男、亀井静香、高村正彦の4氏が争ったが、小泉氏以外は積極財政を唱えていた。高村氏は総裁選立候補の直前に経済政策に関して教えて欲しいと連絡してきて、筆者は「積極財政が財政を健全化する」ということを説明し、高村氏はそのことを総裁選の討論会で説明しておられた。小泉氏は、国会議員の中での支持は少なかったのだが、マスコミをあやつる術は抜群にうまかったから当選できた。彼はマスコミを使って、世論を自由に動かしたし、積極財政を唱える人(植草一秀、森田実、リチャード・クー、紺谷典子、亀井静香、平沼赳夫、小林興起等)を徹底して弾圧した。

 森田実氏のホームページにも、「小泉批判をしないならテレビに出してやる」と言われたから出演を断ったと書いてある。植草一秀氏も逮捕前のテレビ出演でも小泉経済政策を批判できないようにテレビ局が仕組んでいると言っていた。2度の事件で逮捕されたが、2回とも、でっち上げだ。筆者はあの事件に関する取材を何度も受けたが、記者達は事件がでっち上げだと明らかに知っている。それなのにでっち上げだとは絶対に書けないようになっている。言論統制は完璧だ。竹村健一氏とも会って話したが、積極財政で日本経済が大躍進するという日経新聞社の試算結果をテレビで言ったら大変なことになると言っていた。しかし、「日本はここまで貧乏になった」という本を送ったら、報道2001で何度も引用してくれた。

 この種の話をし始めると際限なく続くし、筆者も身の危険を感じる。先日も税務調査と称して、身辺調査が来た。脱税などあるわけなく、一円も払わされることはなかったのだが、個人情報を徹底調査された。個人の通帳とか、日本経済復活の会のこととか、貸金庫の中身を見せろとか、過去に弁護士に相談した内容とか、税務調査にしては異例の質問が多かった。いつか私が自殺したとか、行方不明になったとしたら、これは口封じのためで、言論統制だと思って頂きたい。私は身の危険が及ぶとしても、いつまでも日本経済を復活させるために戦い続ける覚悟である。

 日本経済復活の会を立ち上げた2003年、世界を代表するノーベル経済学賞受賞者のサミュエルソン氏やクライン氏から激励の手紙が来た。2004年にはノーベル賞受賞者のスティグリッツ氏が我々のシンポジウムに来てくれることになっていたが、時間の都合がつかず、最終的にはクライン氏がシンポジウムに来てくれた。また現在のFRB議長のバーナンキ氏も日本にやって来て講演をしている。これらは全員アメリカ人だが、口をそろえて「刷ったお金を日本国民のために使いなさい」というアドバイスをしている。詳しくは日本経済復活の会のホームページを参照して頂きたい。

 これは日本のためだけではなく、アメリカ経済のためにも、世界経済のためにも大変メリットの大きい重要な政策なのである。(小野盛司)

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2008年2月23日 (土)

(続)政府による経済予測計算の偽装(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十一弾です)
  http://tek.jp/p/

 昨年の12月26日に『政府による経済予測計算の偽装』というタイトルで書いたのだが、この「偽装事件」に関し我々はまだ政府を追求中であり、本日(2月22日)政府より回答をいただいたので紹介する。その前に偽装事件の概要から始める。政府は、デフレは間もなく脱却できると言い続けている。デフレ脱却は、総合的な物価指数であるGDPデフレーターがプラスになったときに宣言できる。政府が昨日(2月22日)に滝実衆議院議員の質問主意書への答弁という形で「デフレから脱却したとまでは判断していない」との見解を示した。

Gdp31

 上図を見ていただきたい。各曲線に書かれた数字が発表年度だ。この曲線がプラスに来たらデフレ脱却ということになる。2002年から、毎年政府が言っているのは、デフレは直ぐに(1~2年で)脱却できるということ。今年でもう7回目だが、実際は未だデフレ脱却の目途は立っていない。はっきり言って毎年政府が言っていることは大本営発表だ。経済はすぐに良くなると国民を騙し続けている。このことを滝実議員が問いただしたところ「我が国の経済は問管轄道がその主体をなすものであること、国際環境の変化には予見しがたい要素が多いこと」が、予測が外れた理由だという。冗談ではない。国際環境と言えば、世界経済は最近30年間で最も良い状態にあったと言われているのに、その影響だと言うなら、予想以上の経済の伸びにならなければならないはずだ。そのことを再度質問したら、昨日(2月22日)政府より以下の返事が来たので紹介する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
内閣衆質一六九第九一号
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議員滝実君提出

 衆議院議員滝実君提出内閣府の計量経済モデルが政治的に歪められている可能性に関する質問に対する答弁書

 衆議院議員滝実君提出内閣府の計量経済モデルが政治的に歪められている可能性に関する質問に対する答弁書(平成十九年十二月二十五日内閣衆質一六八第三三二号)においては、我が国の経済は民間活動がその主体をなすものであること、国際環境の変化には予見し難い要素が多いこと等にかんがみ、各年度の構造改革と経済財政の中期展望や日本経済の進路と戦略(以下「中期方針」という。) の参考試算において示される経済の展望は、相当の幅を持って解釈すべきものである旨を答弁したところであり、御指摘のように「世界の経済状態が予想より悪すぎたために下方修正を六年も連続して繰り返した」との旨を答弁したものではない。なお、各年度の参考試算の作成に当たっては、従来より、中期方針における政策運営等の考え方を前提に、それぞれの時点で入手可能な情報を基に、慎重に分析、検討を行い、的確な経済の展望を示すよう努めているところである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 お分かりだと思うが、偽装を隠そうとして支離滅裂になっている。「世界の経済状態が予想より悪すぎたために下方修正を六年も連続して繰り返した」のではないと言いながら、直ぐにデフレから脱却できると言ったのは「国際環境の変化には予見し難い要素が多い」からだと言っている。そんな馬鹿な!!では、どのように国際環境の変化を読み違えたと言いたいのだろうか。もしも世界の経済状態が予想より良すぎたというなら、当然、逆に上方修正だったはずで、なぜ下方修正になったのかの説明にはならない。外需頼みで、デフレスパイラルをかろうじて免れてきた日本経済だが、これからは外需の伸びがどれだけ期待できるか分からない。政府は大本営発表は止め、正直に「現状の緊縮財政を続けていたら、今後経済は良くなる見通しはありません」と宣言すべきときに来ている。

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2008年2月22日 (金)

イージス艦と漁船衝突に垣間見える日本溶解

 19日午前4時7分ごろ、千葉県房総半島野島崎南42キロ沖の太平洋上で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」の衝突事故があった。連日このニュースが続いているが、真っ二つに破断した「清徳丸」に乗っていた父子の消息がまだわからないのは、この知らせに暗澹たる追い討ちをかけている。親族や漁協仲間の思いはいかばかりだろうか。

 さて、衝突の悲劇から一転目を逸らして、この事件が持つ深刻な背景を考察すると、日本という国家が崩壊寸前まで来てしまったことを悟る。今の日本は防衛省に限らず、社会保険庁、外務省、財務省等、国家の枠組みを構成する重要な組織が軒並み制度疲労を起こし、官吏たちの綱紀の緩みが進んだ感じがある。今回のイージス艦の衝突事件は起こってはならない類のことである。最新鋭の索敵システムと迎撃装備を持つ巨大護衛艦が一般民間漁船に気が付かずにいたことを重大視する人は多い。基本的にイージス艦というのは、洋上や対空監視で接近する物体を捕捉して、瞬時に不明物体の進路や国籍、敵性かどうかを判断する装備に最も優れた船であるというのが、おおよその思いではないだろうか。わずか七トンの小型船であっても、強力な爆薬を積んでテロ目的で接近していた場合、イージス艦「あたご」は深刻なダメージを受けていただろう。

 この事態を軍用艦と民間船の不幸な衝突事故という位相で見過ごしていいのだろうか。イージス艦本体と装備一式で1800億円(?)もかかっている最新鋭の護衛艦が、たとえ民間の漁船であろうとも不用意に接近を許していいわけはない。これが大東亜戦争時の海軍船であったなら艦長は間違いなく切腹ものだろう。軍事技術的に国防の最先端を任じる護衛船が民間船と接近、衝突を起こしたという事実は致命的だ。もし、海上自衛隊員に武人の魂があるなら、これほど恥ずかしい事件はないだろうと思う。一般の民間人が素直に感じているように、国土と国民を守る責務がある護衛艦が、武装も何も持たない七トンの小型漁船を破壊し、漁船員二名を真冬の漆黒の海に投擲したという事実は衝撃的である。

 今までのニュースを観ていると、「あたご」の方に回避義務があったということが確定的になってきているし、防衛省側の情報が二転三転していることも事態を悪い方向に進めているようだ。石破大臣が就任してから防衛省関係の失態が続いている。昨年12月、停泊中の護衛艦「しらね」の火災、 イージス艦中枢情報の漏洩事件があり、その前は守屋氏の証人喚問とか、省の不祥事が続出している。

 目前のできごとを性急な結論に導く前に、自衛隊員のみならず、国民全体の国家意識がそうとうに危うくなってきていることを指摘することは重要だと思う。戦後63年経っても、自衛隊の身分はいまだに確立されていない。これは日本人全体に国家観の溶解が進んだという現象として見る以外にない。GHQは日本民族の精神改変に臨み、江藤淳氏の言った「閉ざされた言語空間」の中で、マスコミを使って執拗に日本人に東京裁判史観を植えつけた。WGIP(War Guilt Infomation Program)である。先の大戦贖罪史観によって、日本人は徐々に正統な国家観と国防意識を忘れていった。その結果、国民は自衛隊に国防を期待する意識がほとんどなく、わずかにあるのは、何か突発的に有事が起きたら庶民に迷惑を掛けないように防衛してくれという程度である。自衛隊に万全な防衛力を求めない国民意識の基底には、おそらく安保によって駐留米軍が日本を守ってくれるだろうというはかない期待がかけられている。日本人は60年という歳月の中で、共同体的バンドリングを喪失し、同時に国家意識を消失させてしまったのだ。

 戦後民主主義教育の中で、人権と個人的自由のみが唯一の価値のように叫ばれ、GHQが基礎を作った東京裁判史観が国民を囲繞した。日本人は軍国主義という錯誤的言葉によって正統な国防観念をすっかり失ってしまった。そういう国家溶解的潮流の中で、中曽根政権が新自由主義経済を日本に持ち込み、そのネオリベ経済はイデオロギー的にも、戦後民主主義の反国家思潮と共振作用を起こした。そして、小泉政権に至っては完全に新自由主義を導入し、政権自らが国民の代弁者ではなく、アメリカ隷従への道を選択してしまった。こういう流れの中で、自衛隊や官吏の綱紀の緩みは国民全体の国家意識の溶解と呼応しているのだ。日本人は植えつけられた戦争への贖罪感から、共同体や国家という観念を、まるで忌避すべき悪魔のキーワードのように意識から除外してしまったのだ。戦後日本人の意識を強く拘束したのは軍部が戦争を主導し、一般国民がそれに扇動されてしまったという悪質な階級闘争史観であった。この階級闘争史観によって日本人は真の敵を見失い、同じ自国民の軍部に戦争責任をなすりつけ、アメリカの侵略主義を思考の枠外に押しやった。その結果、いろいろな意味で祖国を守り抜くという重要な感性が完全に鈍磨してしまったと見るべきである。

 国家意識の決如は軍事だけではない。食糧安保の考え方が出てこないところもそうである。中国の毒入り餃子の件が起きる前から、有害な高濃度農薬入りの野菜が問題になっていたが、与党政権は食糧自給についてまったく思考停止的であったし、今もそうだ。BSE疑惑の解けないアメリカ産牛肉も言われるがままに輸入している。食料の過剰な海外依存も国防観念溶解の証左だ。木材の外材輸入もそのひとつだ。世界の環境問題も視野において可能な限り国内需要に切り替え、計画的に林野行政を行なうべきだった。食料に関して言うなら、もし、中国やアメリカが戦略物資としての食料輸出を止めた場合、日本はいきなり飢餓国家となる。こうなった時、日本人が生きていくには卑屈な隷従以外に道はない。

 防衛省や社会保険庁の堕落を咎めることは必要だろう。しかし、大きく眺めれば日本人全体に国防観念を醸成することが重要ではないだろうか。低落した今の日本人でも、家族は大事である。家族を守ろうとする意識が時代を超えて普遍だとしたら、我々一人ひとりが帰属する国家が重要であることは当然の論理的帰結になる。日本人が国家を悪いものとしたら、帰属する空間が確保できなくなる。国家防衛を捨てて他国の蹂躙に任せたら、家族も守れなくなるのだ。この単純な事実を認めることが先決だと思う。

 最後に有名な「ハインリッヒの法則」というものがあって、ここには「1:29:300」という対比的数字が存在する。数字の意味は、重大な災害を1とすると、軽度の事故が29、そして事故寸前の軽微な危うさが300あるというもので、これは1件の重大災害が発生する背景には、29件の軽度な事故と300件のはっとしたできごとがあるという。これが事実だとすれば今回のイージス艦の事故は果たして最重要な「一件」の事故だろうか。もしかしたらこれは「29件」に該当しているのかもしれない。300件にかんして言えば、表には出ないところですでに発生していたと考える方がいいだろう。もしかしたら自衛艦の今回の件は、これからハインリッヒの法則で言う最大級の事故、事件が起きる予兆として捉えた方がいいかもしれない。

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2008年2月21日 (木)

なぜ財政赤字なのにインフレにならないか、国債は暴落しないのか(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十弾です)
  http://tek.jp/p/

 通常、財政赤字が膨らむということは、かなりのお金が実態経済に流れ込むというだからインフレになる。しかし、日本はデフレが続いている。その理由は簡単だ。財政赤字で出て行ったお金を、国が国債発行という形で回収しているから、インフレにならないだけだ。NTT、郵政など次々民営化するが、そのとき政府保有の株式を売り出せば、株と入れ替わりにお金が国民から吸い上げられ、デフレを悪化させるという事が見過ごされている。これは民営化の是非とは別次元の問題だ。

 もちろん、国債を買った個人や金融機関等が一斉に売り出せば話は別だ。しかし、そうならないように、財務省は目を光らせている。例えば、郵政を民営化したわけだが、もし郵政公社が持っている国債266兆円を売り出したら、国債は暴落し財政は破綻する。このことは菊池英博著『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』(ダイヤモンド社)に詳しく書いてある。財務省に、このことについて質問をしたら、次のような返事が来た。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 郵政民営化関連法では、(1)旧勘定については、国債等の安全資産により運用すること、(2)移行期における保有国債等の安全資産額の見通しを公表すること、といった見通しが盛り込まれています。

 これにより、現在大量の国債を保有している郵政公社の民営化に伴い、国債市場に不足の事態が起こることのないよう、市場関係者の予測可能性等に十分配慮した制度設計を行っています。
 また、国債保有者層の多様化を図る観点から、平成15年3月より個人向け国債の発行も開始し、家計の国債保有の促進にも努めております。
 更には、国債に係る海外説明会(海外IR)を実施し、海外部門による国債の保有を促進しています。
 財務省では、郵政公社民営化後も国債が確実かつ円滑に発行されるよう、努めているところです。

今後とも財務行政にご理解とご協力をお願いいたします。
財務省大臣官房文書課行政相談官 曽根 陽一郎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 要するに国債を売らせないということだろう。何年か前、みずほFGの前田社長と竹中大臣とのやり取りが新聞にあったのを思い出す。竹中大臣が不良債権処理が目標に達していないことを問いただすと、前田社長はデフレ脱却ができていることが、その目標の前提になっていましたと反論した。そのとき大臣は激怒し、お前の会社などいつでも潰せるのだという意味の発言をし、みずほの社長は真っ青になったと書いてあった。財務省に逆らって国債を売るなど、今の金融機関にとっては絶対にできないことなのだろう。

 財務省は国債市場の安定化のために国債市場特別参加者制度というものを導入している。この制度に参加すれば、一定の規模の入札をしなければならなくなる代わりに、一定の優遇措置が受けられることになる。つまり確実に設けさせてやるから、絶対に国債を買い続けろと金融機関に命令している。マスコミは怖くて追求できないのだが、実はこういった制度により道路財源の無駄遣いの1万倍以上の膨大な無駄遣いが日常的に行われていることに注目していただきたい。この制度はイギリスの制度を真似たと言われている。しかし、本当に真似るならイギリスやアメリカが多額の国債を抱えていて日本の現状に似ていた頃の制度を取り入れるべきである。国が大量に国債を発行した際には、国債の暴落を防ぐために中央銀行が国債価格支持政策(Pegging Operation)を採用した例がある。

 例えば、アメリカにおいては、政府が低利の資金調達を継続して行うため、FRBに低金利誘導を要請、これを受けてFRBは1942年より国債価格支持政策を採用している。これにより短期国債は0.375%、長期国債は2.5%で買い支えるようにしており、1951年までこの政策は実施された。1940年代の後半から1960年代のイギリスでも中央銀行による国債を買い支える超低金利政策が取られている。

 要するに、他国の例にならって、日銀が国債を買い支えればよいだけだ。そうすれば、それと引き替えにお金が出ていき、デフレ脱却が可能となるし、財政政策にも余裕がでてくる。そのお金は個人にも企業にも行くし、株価も上げ、年金積立金を運用で増やし、国債の暴落も防ぐことができる。もしインフレが行き過ぎたときは、増税をすれば一気に国の借金を返すことができる。増税をしなくても、インフレで給料が上がれば、国民の多くが「高所得者」になり、累進課税になっているから、税収の大幅アップは間違いない。地価の値上がりで固定資産税も上がる。国民は給料の上昇で可処分所得が上がり、購買力が増すし、国全体にお金が回るから、経済は活性化し成長は加速される。経済成長が加速するなら当然、円の信用は増す。

 もし日銀が国債を買わないということであれば、民間の金融機関が買うことになり、膨大なお金を利払い(国債の配当)として受け取ることになる。その額は、今年1月に政府が発表した「進路と戦略」では、現在20兆円の国債費?(そのうち利払いが10兆円程度)が2011年には24.1兆円にもなるとの見通しだ。今後景気が良くなってくれば、金利がどんどん上がってくる。例えば800兆円の借金で、金利が5%になれば利払いは40兆円となり、我々の納める税金の大半は、一部の金融機関に利払いとして流れることになる。これを税金の無駄遣いと言わずに何と言えばよいのか。

 今、国債市場特別参加者制度に参加しているのはアール・ビー・エス証券会社、エービーエヌ・アムロ証券会社、岡三証券(株)、カリヨン証券会社、クレディ・スイス証券(株)、ゴールドマン・サックス証券(株)、JPモルガン証券(株)、新光証券(株)、大和証券エスエムビーシー(株)、ドイツ証券(株)、東海東京証券(株)、日興シティグループ証券(株)、野村證券(株)、バークレイズ・キャピタル証券(株)、ビー・エヌ・ピー・パリバ証券会社、みずほインベスターズ証券(株)、(株)みずほ銀行、(株)みずほコ-ポレート銀行、みずほ証券(株)、(株)三井住友銀行、(株)三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ証券(株)、メリルリンチ日本証券(株)、モルガン・スタンレー証券(株)、UBS証券会社、リーマン・ブラザーズ証券(株)の26社だ。外資系も多い。

 こういった金融機関に莫大な利払いを、我々の税金から払い続けなければならないのか。確実に儲けさせると国が約束するから国債を買い続けろと、国が言うことに憤りを感じないか。このような制度が、日本経済をデフレに追い込み、急激に没落させている。なぜ改革をして、日本経済を復活させようと考えないのか。道路財源の使い道を追求するのもよいが、この問題はそれより少なくとも1万倍も大きな税金の無駄遣いなのだ。マスコミよ、恐れずこの問題を扱ったらどうだ。(小野盛司)

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2008年2月19日 (火)

ここまで来た 日本の地盤沈下(小野盛司)

 (※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十九弾です)
  http://tek.jp/p/

 「週刊エコノミスト」2月26日号に『ここまで来た 日本の地盤沈下』という記事が大々的に載っている。昨年の10月26日に日本経済復活の会が『日本はここまで貧乏になった』という意見広告を朝日新聞の朝刊1頁を使って出したのが引き金となり、これに類した記事が次々出されるようになり、「週刊エコノミスト」のこの記事も、その一つだと思う。

 「週刊エコノミスト」の記事には、地盤沈下を示すたくさんのデータが書いてある。

①一人当たりの名目GDPは1993年には2位だった日本だが、2006年には18位に下がった。

②購買力平価でも日本は順位を落としていて、2005年には16位まで下がった。

③株価の騰落率で言えば1996年~2007年の平均でも2007年の年間でも世界52カ国中下から2番目の51位だった。

④1989年末に株式時価総額で実に14もの日本企業が世界20位までに入っていたが2007年末にはたった1社が入っているだけだ。

⑤世界主要市場の時価総額の株式時価のシェアは90年の32.9%から7.3%に落ちた。

⑥港湾のコンテナ取り扱いランキングも1980年には神戸が世界4位だったが、2006年には39位に低下し、日本で最高は東京の23位。

⑦国際競争力ランキングは1996年には日本は4位だったが、2007年には24位に下がったとある。エコノミストには書いてないが、1989年から1993年の間は日本は世界一だったのだ。下のグラフを見て頂きたい。

Photo_2

 日本人は、日本の名目GDPは非常に長い間、ほとんど変わっていないと思っている。しかし下のグラフを見て頂きたい。EUのユーロに換算して日本の名目GDPを見ると実は大きく減少しているのだ。BRICsだけでなくEUの台頭も、日本経済の没落と関係しているのは明らかだ。

Photo_3

 実質GDPの伸びが大きければ名目GDPなどどうでもよいなどと言っているときではないことは明らかだろう。実質GDPの伸びとは何だろう。デフレーターが下がれば下がるほど、実質GDPは伸びるようになっている。例えば、パソコンの性能が昨年より向上したが、同じ値段で売られているとしよう。一年前にはその性能だと20%値段が高かったとすると、実質20%値段が下がったことになる。デフレーターの下落だ。しかし、買った本人は同じ値段なので、同じパソコンを買っただけと思っているかも知れない。

 計算上では、それを買った人は実質20%高い物を買ったことになる。実質、それだけ金持ちになったとし、GDPは拡大したとみなす。計算上では確かにそうなるかもしれないが、その人は性能が上がったことに何のメリットも感じないかもしれない。ハードディスクの容量が100GBから120GBになっても全く関係ないかもしれないし、機能が増えた分、逆にどこに自分が使いたい機能があるのか探すのに大変で、機能が増えることはありがた迷惑かもしれない。そんな理由で実質GDPを上げるのはおかしいかもしれない。デフレーターを下げれば下げるほど、実質GDPが上がるから、政府はどんどんデフレーターを下げて、その反動で、実質GDPを上げ、『経済成長』を誇示しているだけかもしれない。

 実際、平成15年の実質GDPの伸びは3.2%と政府は発表して平成16年の参議院選を戦い、選挙が終わったとたん、デフレーターの値を修正し、平成15年の実質GDPの伸びは、実は2.0%でしたと、大幅下方修正した。選挙の前後で、これだけ大幅な実質GDPの値の修正をするということは、なんだか怪しいと思いませんか。(小野盛司)

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2008年2月17日 (日)

過去の景気対策がなぜ効かなかったか(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十八弾です)
  http://tek.jp/p/

 過去に何回も景気対策を行ったが、借金が増えただけで景気は良くならなかったという人がいる。これは全くの嘘である。過去の景気対策の一覧が下の表である。

  過去に行われた景気対策   参議院予算委員会調査室(2004)
平成16年度 財政関係資料集 国立印刷局

Photo_5  

 資産デフレで資産価値が千数百兆円も失われたのに、政府は僅か140兆円足らずしか景気対策を行わなかった。このような小規模の経済対策でも、GDP押し上げ効果を単純に加えてみると19.5%になる。何もやらないよりはるかに良かった。適切な規模で、適切な時間だけ景気対策をやらなければ、また逆戻りをしてしまうわけであり、あたかも効果が無かったように思えてしまうのである。しかし、一人当たりの名目GDPに関連して説明した通り、積極財政を行った小渕内閣のときは、世界の中で順位を上げたし、緊縮財政を行った橋本内閣や小泉内閣では、順位を大きく下げている。景気対策はしっかり効いているのである。

 下図の日経新聞社のNEEDS日本経済モデルでも、小規模な景気対策では国の債務のGDP比は下がらないが、ある程度以上の規模なら下がると予想している。

Photo_4

 ほとんどの人がデフレの怖さを知らない。デフレは世界で最も豊かな国の一つだった日本を、少しずつ貧乏な国へと引きずり下ろしていく。それには終わりはなく、果てしなく貧乏になっていく。ある国会議員(総裁選に立候補した人)に「1年間だけ50兆円景気対策したら、その後の経済はどうなるのか計算してくれ」と頼まれた。

 50兆円という途方もない額だから、それでしっかりデフレ脱却して順風満帆だろうと皆さん思う。しかし、景気対策はしっかり効果があるのだが、景気対策を打ち切った後、経済は再びデフレに陥る。計量経済学ははっきりとその危険を予測する。

 実際そのようなことが世界大恐慌の後、アメリカにあった。1929年に世界大恐慌になったのだが、それに対抗して短期金利をセロ%近辺にまで誘導し、超過準備を大幅に積み上げ、日銀の量的緩和政策と同じような金利緩和策を実施した。その後1934年から1937年にかけての平均の消費者物価指数は2.7%にまで上昇したから、デフレ脱却に思えたのだろう。しかしこれが甘かった。

 金融政策を「平常」に戻すとして、1936年と1937年に預金準備率を引き上げ国債の売りオペを行った。これが半年から1年遅れで株価や生産に悪影響を及ぼし始めアメリカ経済は再びデフレスパイラルの危機に陥った。1938年、1939年には消費者物価は再びマイナス1.7%の下落となった。

 4年間の平均の消費者物価指数が2.7%でも、デフレ脱却とみなし金融政策を「平常」に移すのは速すぎたということだ。日本はGDPデフレーターがマイナスが続いていて明らかにデフレが続いているのにもかかわらず金融政策を「平常」に戻そうとしている。デフレの怖さを知らない愚かな連中としか言いようがない。2000年8月にゼロ金利が解除されたが、失敗と分かり2001年3月逆戻りとなった。懲りもせず2006年7月には再び、金利引き上げの暴挙を行っている。

 2月14日に内閣府で発表された10~12月期の実質GDPの伸びは年率換算で3.7%だという数字で、結構日本経済は良い状態だと思った人がいるかも知れない。一方で名目GDPの伸びは年率1.2%と発表された。名目から実質を引いたものがGDPデフレーターだから、この数字をそのまま使えば1.2-3.7=―2.5%となり、大変な物価下落、つまりデフレであることになる。つまり、3.7%という数字に騙されて、日本経済が良好な状態にあると信じてしまうべきでないといいたいのだ。

 適切な規模の景気対策により、経済は見違えるように活性化し、失業者も自殺者も激減し、未来に希望が持てる豊かな国に生まれ変わる。借金ではなく、新しく作り出されたお金を使って景気対策をすればよいのだ。デフレとはお金が消えていく病気だから、それを治療するには、お金を作り出して補給するしかない。栄養が不足して栄養失調になったら、栄養を補給して治すのと同じだ。(小野盛司)

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2008年2月16日 (土)

第49回 日本経済復活の会 開催のお知らせ (2月26日、火曜日)

 日本経済復活の会 小野盛司会長から「定例会開催」のお知らせです。

● 日時 平成20年2月26日(火)午後6:00時~午後9:00時

● 場所 東京都千代田区九段北4-2-25 アルカディア市ヶ谷(私学会館) 
                   TEL 03-3261-9921
● 会費 3500円(資料代や食事・飲み物の費用を含みます)

 当会合に関する一切の問い合わせと、御来会の可否は小野(03-3823-5233)宛にお願いします。メール(sono@tek.jp)でも結構です。弁当の注文や配布物の準備等ありますので、申し込みはできるだけ早めに行って下さるよう、ご協力お願いします。

◎講師 

①中村慶一郎 先生 政治評論家 国民新党顧問

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 1974年 読売新聞社を退社し、三木武夫首相(当時)の報道担当秘書及び政務秘書官を務める。その類希な経験に裏打ちされた政治評論は、他の追随を全く許さず、新聞・テレビ・ラジオでの歯に衣を着せない語り口は視聴者・読者を圧倒する。日本を代表するジャーナリストとして、政治・国際情勢についての評論・講演に多忙。歯切れのよい語り口は毎回各地で好評を博す。

②小野 盛司 日本経済復活の会会長
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  会の活動報告、
-日本経済復活への道-

 

(神州の泉・管理人より   どなたでもお気軽にご参加ください)

 

案内図
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2008年2月15日 (金)

政府貨幣発行について(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十七弾です)
  http://tek.jp/p/


 ここまでは通常の景気刺激策について述べた。日本のように国の借金がGDPを大きく超えるような場合、景気対策により国の借金は一定程度増えるが、GDPはもっと大きな率で増えるために借金のGDP比は減って財政は健全化するということを説明した。その説明が難しすぎて理解できない人のために、もっと分かりやすい方法として、政府が直接お金を刷る、つまり政府貨幣を発行するという案がある。これは丹羽春樹(1995)、榊原英資(2002)、スティグリッツ(2003)などが提案している。政府がお金を刷るのだから、借金を増やすこともなく、必要なだけ景気対策が可能となり、デフレ脱却は簡単にできる。ただし、政府が勝手に好きなだけお金を刷って使うと、度を超してインフレになる恐れがあるために、その歯止めを掛けるため次の法律がある。

●貨幣回収準備資金に関する法律施行令(平成十五年一月二十九日政令第十九号)
第二条  貨幣回収準備資金に関する法律第六条に規定する政令で定める額は、毎会計年度末における貨幣の流通額の百分の五に相当する金額、日本銀行の保管に係る貨幣の額面額に相当する金額及び資金に属する地金(政府