実質成長率さえよければ、名目成長率が低くても良いという嘘(小野盛司)
(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十五弾です)
http://tek.jp/p/
政府がいつも言うのは、名目成長率が低くても実質成長率は高いので、これでよいのだということ。実質成長率のほうが、実際の成長率を示しているのだからそうなのかと素人は騙されてしまう。すでに示したように、日本の名目成長率は他国に比べ圧倒的に低い。2007年の名目GDPの伸びは日本は僅か0.8%にすぎない。これはOECD30カ国の中で最低である。日本以外で低い方から5カ国を列挙するとスイス3.5%、デンマーク4%、フランス4.1%、オランダ4.5%、イタリア4.5%である。ワースト6の中でも圧倒的に日本だけが低いのが分かる。それでは、名目GDPでここまで世界から離されているままでよいのかというと、決してそうではない。次の図はもし、日本が景気対策を行って成長を加速したら実質成長率と名目成長率はどうなるかを日本経済新聞社のNEEDS日本経済モデルを使って予測したものである。
財政出動の規模
ここに示したものは、1年目に財政出動の規模に応じてどの位経済が伸びるかを示した。実質成長率と名目成長率のそれぞれの伸びは、ほぼ等しいことが分かる。財政出動すれば、名目成長率を押し上げるのは、どの国でも共通なのだが、日本の場合それがそのまま実質成長率の増加になるということを意味している。どの国でもそうなるというわけではないのだが、日本には失業者が多いし、どうせ職を探しても見つからないと諦めている人(失望者という)も多く、また働いていてもパートなど不満足な形で取り敢えず働いている人も多い。つまり多くの労働資源が無駄になっている。またフル稼働していない生産設備も多い。財政出動によりこれらが有効活用されるために、実質成長率を押し上げるとことができるということである。
これはどの国でもそうなるわけではない。すでに景気が良い国は、労働資源や生産設備の無駄がほとんどないから、財政出動をして、お金を市中に流すと、企業は人をもっと採用して生産を増やそうとする。ところが、余剰な労働資源も生産設備も無いときは、企業間の奪い合いになり、他より良い給料で引き抜こうとし、賃金が上がりそれが物価全体を押し上げる。つまり物価が上がった分だけ売り上げは伸びるから名目GDPは増加しているのだが、物価の値上がりを引くと実質生産量は増えていないということになるから実質GDPは増えない。つまり、日本のようにお金が足りなくて労働資源も生産設備も余剰が大きい国では、財政出動の効果は絶大で、実質GDPを大きく伸ばし、一気に経済が拡大するが、すでにインフレ気味の国で景気刺激をしても、もともと労働資源などに余剰が無い場合はインフレを加速するだけで、実質GDPは増えず、何のメリットもないのである。むしろ物価の行き過ぎた値上がりは、商売や暮らしにとって害になる。だからこそ財政規律を守れということが叫ばれるのだ。
それでは、名目GDPが伸びない日本が、なぜ実質GDPが伸びているのだろう。それは、日本輸出企業の優秀さにある。トヨタやキャノンのように圧倒的なブランド力のある日本企業が輸出で大きく伸びている。しかし、政府が日本人にお金を渡さない政策を取っているから、内需を相手とする企業は苦戦を強いられている。例えば日本自動車販売協会連合会が2007年3月2日に発表した2006年度の国内新車販売台数(軽自動車を除く)は、前年度比8.3%減の358万7,930台と29年ぶりの低水準だったとのこと。トヨタはGMを抜いて自動車販売台数で世界一位になりそうな勢いであり海外では絶好調だが、国内販売では全く奮わない。これを見ても、日本以外の国では、十分お金が渡されていて、購買力が増しつつあるが、日本人にお金が渡されていないから買えない実態が良く分かる。
つまり、日本では政府が国民に経済活動を支障なく行うに十分なお金を渡していないから、デフレになっているし、相当部分の労働資源も生産設備も無駄になっていて、それは日本経済にとって大変なハンディーになっているのである。このような経済政策の失敗によるハンディーがありながら、一部の輸出企業だけで、ここまで日本経済が持ちこたえているというのは、日本企業の優秀さの表れである。もしも、政策の大転換が実現し、十分なお金が国民に渡り、無駄になっている労働資源や生産設備が有効活用され、内需を対象とした企業までが活況を呈すようになれば、実質成長率は現在のものより遙かに高くなる、つまり日本は遙かに豊かになるということを日本経済新聞社のシミュレーションが明確に示している。実際、日経のモデル以外でも、内閣府のモデルやその他のモデルでも同様な結果となっている。デフレという、途方もないハンディーを抱えたまま、放置すべきではない。(小野盛司)
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コメント
私はYouTubeのTPP反対の理由(危険性)のついて京大准教授の中野先生のチャンネルへズーと書いて来ました。制限字数一杯に。でも国勢調査で賛成の人が多いと知って書くのを止めました。参考にしたのは、
[PDF]TPPと国益:東京大学教授 鈴木宣弘です。
本日相手の人にデフレ対策はどう考えているかのコメントが有ったので、別に私が書かなくても良かったのですが、まずデフレとはどういうことか述べました。間違っていたら指摘して下さい。
デフレとはお金の価値が高まる事である。デフレ下においては人々はお金を使わない。
益々デフレに備えてお金を持っている(預金等)ようになる。
そうすると市中に回るお金は少なくなり、デフレは加速する。
消費税増税を政府は計画しているが、それは財務省である。
こんな名目成長率がマイナスの時増税はやってはならない事である。
それも一率同じと言う国を未だ知らない。以下デフレ対策に触れしかしこれはデフレ脱却に繋がらない。
それを考えるのは財務省であり、一般の人が考えられるべき物ではない。一旦これまで。
12/22/23時11分 日本再生への「基本戦略」決定
政府は今後10年間の平均で、名目で3%程度の経済成長を目標にした。尚下に物価の変動を除いた実質で2%程度を目標にした。此処で解らないのは、名目成長率3%>実質成長率2%とすることです。ここのブログを読めば解ると思われますので、印刷して検討します。長い解説有難うございました。
投稿: utukusikihaha | 2011年12月23日 (金) 12時12分
ブログ評論だけでは、政治は変りません。具体的に行動を起こさない限り、政治は変りませんよ。
投稿: 望 | 2008年2月14日 (木) 20時51分