デフレが人を不安にした(小野盛司)
(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第二十三弾です)
http://tek.jp/p/
デフレは人を不安に陥れる。経済の縮小、賃金の低下、中小企業の業績の悪化、リストラの不安などデフレ経済には不安がいっぱいだ。若者まで含め、日本の明るい未来を語る人にはほとんど出会うことがない。
内閣府は毎年「国民生活に関する世論調査」という調査を行っている。ここで「お宅の生活は、これから先どうなっていくと思いますか」という質問を毎回して、その結果を公表している。日本経済が高度成長を続けていた1960年代には「よくなっていく」と答えた人が「悪くなっていく」と答えた人の数倍はいた。第一次石油ショックの時代はそれが逆転した。その後、「よくなっていく」が「悪くなっていく」より20~50%程度上回る状態が続いていたが、デフレに陥ってから、完全に逆転した。2001年以降は「悪くなっていく」が「よくなっていく」の3倍程度になってきた。このような将来への不安が、消費を減退させ、景気を冷やしているのは間違いない。デフレ脱却・景気回復には、国民に希望を与え夢を与えるビジョンが必要だ。少子高齢化・人口減少・厳しい財政事情などを嘆いているばかりでは、消費を抑えお金のあるうちに貯めておきなさいと言っているようなものだ。
経済学で「リカードの中立命題」というのがある。
「財政拡大政策の結果、財政赤字が拡大すると、人々は将来の増税を予想して、それに備えて貯蓄を増やすために、消費需要が減ってしまう。それによって、総需要拡大の足がひっぱられてしまう。」というものだ。景気対策に反対する人の中には、この命題を持ち出す事もある。今は誰も信じない命題だが、もしこれが本当なら、国民全員に1億円ずつ配るとよい。それで誰もがそれを貯金に回し、消費需要が減るならインフレにもならない。大部分の人は将来への蓄えを可能にし、それは人々に安心を与えるから、こんな素晴らしい政策は無い。しかし、実際はこの中立命題は嘘で、皆さん待ってましたと使ってしまう。国の財政を考えながら、今日の夕食の献立を考える人などいない。景気対策をやっても需要は伸びないと言っておきながら、同時に景気対策をするとハイパーインフレになると主張する人がいる。経済を知らない人だ。ハイパーインフレは需要が供給をはるかに超えるときに起きるのであり、需要が伸びなければ起こりえない。
将来の暮らしと言えば年金だ。本来、年金とは誰もが、老後を安心して暮らせるようにするためにある。話を生物学に移すと、野生動物にとっては、老後の安心など無い。老衰で死ぬことはほとんどなく、食料が取れなくなると群れから離れ、ひっそり死んでいく。人間も貧しい時代は同様だった。しかし、現代はゆとりの時代である。
上図にあるように130年前には、全国民を養うには8割の人が農業をやっていなければならなかったのだが、技術の進歩のお陰で1960年代には25%程度で、そして今は4%の人で全国民を養うことができるようになった。つまり1人で25人養えるようになった。将来は、農業の大規模化・近代化が進み、農業人口は更に減少するのは間違いない。もちろん、輸入にも頼っているが、近隣諸国でも農業人口の減少は著しい。100年前に比べ同じ作付面積で米は2.5倍収穫できる。農業機械によって生産性は飛躍的に高まった。そんなに余裕ができたのなら、この豊かな社会を生み出して下さった老人の方々にも食料を分けてあげて、安心して暮らしていただきたいと、かつての日本人なら考えただろう。1960年代安心の時代だった。技術進歩のお陰で、その安心の時代よりも、更に数分の一の人数で全国民を養えるようになった現代は、更に数倍安心できる時代になったはずである。それが逆に、これほど将来に不安を抱く人が増えているということは、政策の失敗が原因の一つであり、政治家やマスコミが間違えたメッセージを送り続けていることがもう一つの原因である。
日本には、全国民に生活するに十分な食料や生活物資を生産する能力は現在十分あるし、将来ももちろん大丈夫だ。財政のことばかり気にしていて、国民と国の経済のことが忘れられているから、国民が不安になるのである。もっと経済制度を柔軟に考えるべきだ。物は十分にあって、それを国民に分配する仕組みがうまくいっていないのであれば、思い切って改革をしなければならない。経済制度を余りにも硬直的に考えてしまっているから、デフレという経済政策の大失敗をしてしまったのだ。デフレは世界中どの国もやっていない大失敗なのだから、どの国もやっていないような政策を行う勇気が必要だ。もっと経済精度を柔軟に捉えて、デフレ脱却のための改革を断行しなければならない。
① 国は通貨を発行できるのだから、財源が無くても歳出は増やせる。
② そのためには日銀が国債を市場から買えばよいだけであり、それには上限はない。つまり歳出拡大も安心して行える。
③ 過度のインフレを心配する人がいるが、どんなインフレでも財政と金融で引き締めれば簡単に止められる。ドイツのハイパーインフレも簡単に止められたではないか。
④ 国債の暴落を心配する人がいる。バーナンキFRB議長の日本へのアドバイスは、それぞれの国債がどこまで下がったら、直ちに日銀が買うように決めておけば、それ以上下がることはないということだ。つまり国債の暴落は止められる。
⑤ 日銀のバランスシートを心配する人がいる。日経平均に連動するETFを日銀が買っていけば、株は確実に上がり、日銀のバランスシートは確実に、そしていくらでも改善する。
⑥ 円の信用とは、日本経済への信用に他ならない。現在、デフレで日本経済は没落し、円の信用は急落しつつあるが、適切な景気刺激策で日本経済が力強く成長を再開すれば、円の信用を取り戻すことができる。 (小野盛司)
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(日本に希望を与える信念の男、城内実)
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