杉並区は75年後は無税?無税国家とは?(小野盛司)
(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十五弾です)
http://tek.jp/p/
東京都杉並区の予算は1500億円で、その1割の150億円を積み立てて2%の利率で運用すると、78年後には無税でやっていけることになっている。山田区長のアイディアだ。しかし78年後は自分は生きていない。そのために1割も増税されてはたまらない。78年後のことより現在の住民の事を大切にしてもらいたいものだ。
松下政経塾の創設者の松下幸之助氏は、無税国家を唱えた。国家が蓄えた貯蓄から利子収入を得て、それを財源として国家財政をまかなえというわけだ。松下幸之助は長者番付で常に一位だったから、所得税も大変な額だっただろう。だから税金を安くしてほしい、小さな政府にしてほしいと願うのは当然だったかもしれない。その結果松下政経塾出身の政治家はことごとく緊縮論者になってしまい、そういった政治家が日本経済を没落させている。松下氏は次のように言う。
『 仮に今の貨幣価値で1000兆円の積立金ができ、それを年利5%で運用すれば、50兆円の国家収入が得られます。昭和54年度予算は40兆円弱と予想されますから、これをすべてまかなってなお10兆円余りのある額です。 そうすれば、国民から1円の税金を取る必要のない「無税国家」となり、さらに進んで、余りの10兆円を国民に分配しうる「収益分配国家」になるともいえましょう。』 (週刊ポスト1979年1月5日号掲載)
1000兆円を何で運用するのだろう。東証の株式の時価総額は2008年1月31日現在438兆円だから、全企業の株式を全部買い取って国営企業にしても1000兆円の半分も使えない。国債を買う?1000兆円も貯めたのに国債を出す必要はなくなっているだろう。第一、1000兆円を貯めるには、どれだけ増税しなければならないか。増税によって経済はデフレスパイラルに陥り、経済がどんどん縮小することを理解していないのか。どうも松下幸之助は、商売は上手だったが、マクロ経済はまるで駄目だったようだ。松下政経塾で、滅茶苦茶な経済学を学んだ政治家によって、日本経済が無茶苦茶にされてしまっているのかもしれない。
国は通貨発行権を持っているのだから、やろうと思えば、お金を刷れば一夜にして1000兆円は作れる。汗水流して貯めたお金も、一夜で刷ったお金も、実体経済にとっては全く同じだ。それなら5%で運用するのでなく、いっそのこと利子50兆円分のお金を毎年刷っても同じではないか。これなら簡単に無税国家が実現する。しかしながら、お金を刷った分、確実に需要は拡大する。その需要増加に生産が追いつかなければ(普通は追いつかない)インフレとなる。このときは普通かなりの大幅なインフレになるため、経済には悪影響を及ぼす。インフレにより、国民の財産が目減りし、結局税金を払ったのと同じ事になるから、「インフレ税」と言う。
中南米では、かつて財政赤字をファイナンスする財源が無かったため、政府債務を中央銀行が引き受けることによりお金が刷られ、インフレが加速した。もちろん、どの程度お金を刷るかによって、インフレ率は調整できる。日本以外は、どの国もゆるやかなインフレになっているために、実質自分の財産(例えば現金)はゆるやかに目減りしており、その部分の税金を実質的に払っていると言うことができる。しかし日本はデフレだ。インフレ税を払っていない。ということは、その分、他の国より多くの税金を払わなければならなくなる。しかし、そうしたらデフレは悪化してしまうから、増税できない。だから税収不足になるから、借金(国債発行)で補っている。そこで、デフレのときは、どんどん国の借金が増えてしまう。
景気対策をしてデフレからの脱却ができ、普通の国のようにゆるやかなインフレになれば、すでにインフレ税で税金の一部を納めたことになり、増税の必要がなくなるし、財政も改善してくる。ゆるやかなインフレにするということは、このようなメリットもある。松下幸之助も、まずお金のことが頭に浮かび、それを貯め利子で運用する、これは企業の感覚であり、国家に対するマクロ経済には当てはまらない。現在の政府もお金のことが第一で、財政を改善することで頭がいっぱいだ。国家の経済を考えるときは、お金は経済を成り立たせ発展させるための手段だということを忘れてはならない。
国は家計や企業とは全く違う。お金は自由に刷っても良い。ただし、経済が最も活性化するように刷らなければならない。全国民が清貧に耐え、お金を貯めれば、後でそのお金が使えて豊かな生活が送れるような保証は全くない。なぜなら、清貧に耐えている間に生産は停滞し、企業は生産性の向上のための努力を怠り、折角貯めたお金を将来使おうとしても、生産力が無いときは、インフレになるだけで豊かな生活は無理なのだ。
将来豊かな生活を望むなら、適度なお金を実体経済に供給し、最適な経済環境で企業を育て、生産性を伸ばす必要がある。もちろん、最適な経済環境とは規制緩和とか市場開放とかも含まれる。しかし、金不足、需要不足のインフレ経済では、生産性は上がらないし、企業は育たない。まさに現在の日本経済の没落は、お金不足から来るものである。それでは、高度経済成長をしていた60年代、70年代は、経済発展に必要な成長通貨はどうやって生まれていたのだろうか。それは、土地などの値上がりが関係している。地価が上がると、それを担保に多くのお金が銀行から借りられる。銀行から借りた人も、そのお金を一旦銀行に預ける。そうすると、銀行にはまたお金が入るわけだから、そのお金をまた別な人に貸す。このように次々にお金が銀行から出て行って、市中に出回るお金がどんどん増えていった。
デフレになると、丁度その逆のことが起きる。地価が下がると、それを担保に借りることができるお金が少なくなる。すでに土地を担保に借りている人は担保割れが起きて、お金を返さなければならなくなる。それにより銀行の貸出残高が減ってくる。実際の銀行貸出残高は下の図に示した。貸出残高は大きく減っているが、現在下落はすでに止まっている。しかし、元の水準にまで回復するのは遠い先のことだ。貸出残高の減少は市中から巨額のお金が消えたということを意味している。消えたお金を補充するために、国はお金を刷る必要があるのに、それを怠ったために、日本経済が没落を続けている。
この図から、不良債権処理が終わればお金は回るようになるという説は嘘だったことが証明された。不良債権処理が終わった現在でもお金は十分回っていない。(小野盛司)
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コメント
>JAXVNさん
確か、他の掲示板でもお目にかかっています(わたしはハンドルを使っていましたが)、お久しぶりです。
NHKは間違った解説をわざわざHPで紹介しているんですね。実際の放送は小さな子供に頭ごなしのようなやり方で、もっとひどいものでした。
子供にはカネは刷ればよいというのは全くその通りです、いいところにめをつけましたねえ、というべきです。
そのあとに刷ってよい場合とそうでない場合があり、いまの日本では刷るべき条件がそろっている、あなたのいうとおりと解説するのが正しいやり方でしょう。
いまの教育関係者やテレビ番組の制作者というのは週刊こどもニュースていどの知識しかないということです。
投稿: 渡久地明 | 2008年3月 2日 (日) 16時23分
JAXVNさん、こんにちは。
調べていただいてありがとうございます。これ
はひどい話ですね。こどもたちに国の借金を家庭
や一般の借金と同一次元で教えていますね。
この会話でわかることは、インフレは駄目と頭
ごなしに言っておいて、全体としてはデフレは反
意的に首肯できるという風に持っていってます
ね。完全にひとつの底意に基づいて作られていま
すね。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年3月 2日 (日) 09時58分
SOBAさん、おはようございます。
MD防衛が実効性がないことは以前から言われ
ていますね。アメリカの圧力と防衛利権を持つ者
たちによって実効性の薄い兵器を不当な高額で買
わされている現実は日本の深い病理構造を表しています。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年3月 2日 (日) 09時52分
こんにちは。
渡久地明さん、高橋さん、当該の「NHK週刊こどもニュース」のHPでこの事をどう書いているか確認しましたので、ご紹介します。
「お母さん:国の借金が800兆円以上にもなっているなんてビックリ!税金は計画的に使ってほしいな。
こうか(長男):国の借金については、僕もお金をドンドン作ればいいと思っていて、聞いたことがあるけど、ちゃんと教えてくれる人がいなかった。
でも今回、自分で説明することで、それではダメということがよく分かったし、お金の発行は単純じゃないんだなと思った。
ひらく(次男):僕も、国が借金をするなんておかしい。お金をドンドン作ればいいと思っていた。でもお金を作りすぎると、インフレになったり大変なことになる、日本銀行は考えているんだなぁ。」
http://www.nhk.or.jp/kdns/prev/prevtxt.html
考えてみれば、「国はお金を作れるのに、なぜ「国の借金」が問題になるのだろう?」というのはごく当然の疑問です。逆に問題視する方が屁理屈をこねているはずなのです。そう考えると、「長男」の「でも今回、自分で説明することで、それではダメということがよく分かった」というコメントは疑問です。単に「インフレだからだめ」では、「なぜインフレはだめなのか?」という疑問iに答えていない訳で、これでは「よく分かる」はずがありません。逆に誤解が増えるだけです。
投稿: JAXVN | 2008年3月 2日 (日) 08時59分
下記アップしました。
間もなく石破は首だろう、ただし衝突事件の引責は表向きで、本当はイージス⇒MDシステム・SM3防衛利権へ注目を向けないため、。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2008/03/post_71f8.html
下記、約10分の後半要点部分を編集しました。(約5分)
去年12/20(木)、TBSラジオのニュースさかさメガネ『新型ミサイル実験成功で、日本の防衛は万全になったのか?』(約10分、mp3のポドキャスティング・インターネット放送)
要点をメモでまとめると。
・イージス艦のMDシステムのSM3はほとんど実効性がない。
・カナダ、英国はMDシステムに参加せず、参加は日本だけ。
・日本の費用負担は開発費も含めた負担で最終的に1兆円かかる。
・イージス艦は1隻800億円、最新建造のイージス艦は1200億円。
Photo ※イージス艦1隻の値段、大きな額だと実感がわかないかも知れませんが、800億と言うのは東京都荒川区の平成20年度一般会計予算の総額とほぼ同じ。
・石破が防衛庁長官の時に決めた。防衛白書では海のものとも山のものとも分からないから、研究だけはするが配備はしないと言っていたのが、石破が訪米後一夜にしてやるとなった。
・これは防衛利権、冷戦後防衛予算を減らさないための防衛族の防衛利権。
参考:当時の新聞記事。
(以下略)
投稿: SOBA | 2008年3月 2日 (日) 08時35分
渡久地明様
コメントありがとうございました。
NHKは日本の教育をどう考えているんでしょう
ね。子供たちにデフレ固定が常態的経済であると
教育するなんて亡国教育まっしぐらですね。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年3月 1日 (土) 22時55分
安二郎様
コメントありがとうございました。私も途中まで
朝まで生TVを見ていましたが、田原総一郎氏は
菊池英博先生が肝心なことを話そうとする矢先に
故意に話を遮っていましたね。悪質です。
本間正明氏は元はかなり優秀な人だと思います
が、ある時から買弁勢力に完全に魂を売り渡して
しまい、小泉構造改革の中心的人物になってしま
いました。案の定、テレビに出ても構造改革一辺
倒で本当に悪質な言動です。税調会長の時、定率
減税を廃止して逆累進課税体系にもっていったあ
くどさは歴史に残りますね。毎年三万人を超す自
殺者の怨念を被っていることを本人はどれだけ意
識できるのでしょうか。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年3月 1日 (土) 22時53分
今日のNHKこどもニュースで、政府はお金がないなら印刷したらどうですか、という手紙が紹介され、
「それをやると、みんなが欲しいものをどんどん買うので、生産が間に合わず、物価が上がります」と紙芝居、解説のお兄さん(おじさん)に言わせていませた。
「インフレですね」(子供)
「では、お手紙をくれた○○さんに電話してみます。分かりましたか」
「分かりました」
とおバカなやり取りをしていました。
子供の頃からこんな教育をしていたら、あと100年くらいデフレが続きそうですね。日本は完璧にルンペン国家になりますな。
投稿: 渡久地明 | 2008年3月 1日 (土) 19時51分
こんにちは、いつもながら小野先生の解り易く核心を突いた経済理論にはただただ敬服するものです。
昨夜ですが、田原総一郎の朝まで生TVを見たのですが、久々の経済だったのですが顔ぶれがいつものように期待できず、寝入ってしまい3時過ぎから見ました。
中でも菊池教授が出ておられましたが相変わらず正しい事を主張しても司会者、与党はもとより野党の議員からも否定されていました、全く困った人たちです、これでも国会議員だそうです、この人たちこそ税金の無駄使いはありません。
救いは最後の視聴者アンケートで、小泉改革は失敗だったが60%以上で成功が20%程度だった事で、この政治家や学者と国民のズレを本間さんや民主党議員も謙虚に受け止めて欲しいものです。
中でも気になる発言がありました、堀紘一氏いわく「これからの日本は何を目指して競争に勝ち生きていくのか」つまり日本は自動車や電気製品を輸出してマグロを買って食べて生きているのだそうです、ここが頭打ちとなり環境など模索していくべきだと言うのです。
これは、違和感があります、うまく言えないのですが経常収支が黒字だから輸入ができるというのは何としても理解できないのです、もしそうなら赤字国は輸入ができなくなり外国からの商品が買えなくなりますが現実にはそのような事にはなっていません、むろん大きく赤字額が蓄積していると言うならその懸念は生じるでしょう。
これは本当のことなんでしょうか、日本は輸出が好調だから輸入ができるのでしょうか、売った代金で商品を買っているのでしょうか。
本間氏の発言で中国が日本の賃金低下に影響を与えている、もよく聞く論調ですが、これもおかしな話で、アメリカや欧州など周辺から低賃金労働力が流入していますがどこもデフレや賃金低下現象は起きていないはずです、まして韓国や台湾、香港、シンガポールなど中国からの影響を日本より強く受けられると思われる国々もデフレや賃金低下など起きていないはずです。
これもおかしな話です。
投稿: 安二郎 | 2008年3月 1日 (土) 10時44分