なぜ財政赤字なのにインフレにならないか、国債は暴落しないのか(小野盛司)
(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十弾です)
http://tek.jp/p/
通常、財政赤字が膨らむということは、かなりのお金が実態経済に流れ込むというだからインフレになる。しかし、日本はデフレが続いている。その理由は簡単だ。財政赤字で出て行ったお金を、国が国債発行という形で回収しているから、インフレにならないだけだ。NTT、郵政など次々民営化するが、そのとき政府保有の株式を売り出せば、株と入れ替わりにお金が国民から吸い上げられ、デフレを悪化させるという事が見過ごされている。これは民営化の是非とは別次元の問題だ。
もちろん、国債を買った個人や金融機関等が一斉に売り出せば話は別だ。しかし、そうならないように、財務省は目を光らせている。例えば、郵政を民営化したわけだが、もし郵政公社が持っている国債266兆円を売り出したら、国債は暴落し財政は破綻する。このことは菊池英博著『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』(ダイヤモンド社)に詳しく書いてある。財務省に、このことについて質問をしたら、次のような返事が来た。
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郵政民営化関連法では、(1)旧勘定については、国債等の安全資産により運用すること、(2)移行期における保有国債等の安全資産額の見通しを公表すること、といった見通しが盛り込まれています。
これにより、現在大量の国債を保有している郵政公社の民営化に伴い、国債市場に不足の事態が起こることのないよう、市場関係者の予測可能性等に十分配慮した制度設計を行っています。
また、国債保有者層の多様化を図る観点から、平成15年3月より個人向け国債の発行も開始し、家計の国債保有の促進にも努めております。
更には、国債に係る海外説明会(海外IR)を実施し、海外部門による国債の保有を促進しています。
財務省では、郵政公社民営化後も国債が確実かつ円滑に発行されるよう、努めているところです。
今後とも財務行政にご理解とご協力をお願いいたします。
財務省大臣官房文書課行政相談官 曽根 陽一郎
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要するに国債を売らせないということだろう。何年か前、みずほFGの前田社長と竹中大臣とのやり取りが新聞にあったのを思い出す。竹中大臣が不良債権処理が目標に達していないことを問いただすと、前田社長はデフレ脱却ができていることが、その目標の前提になっていましたと反論した。そのとき大臣は激怒し、お前の会社などいつでも潰せるのだという意味の発言をし、みずほの社長は真っ青になったと書いてあった。財務省に逆らって国債を売るなど、今の金融機関にとっては絶対にできないことなのだろう。
財務省は国債市場の安定化のために国債市場特別参加者制度というものを導入している。この制度に参加すれば、一定の規模の入札をしなければならなくなる代わりに、一定の優遇措置が受けられることになる。つまり確実に設けさせてやるから、絶対に国債を買い続けろと金融機関に命令している。マスコミは怖くて追求できないのだが、実はこういった制度により道路財源の無駄遣いの1万倍以上の膨大な無駄遣いが日常的に行われていることに注目していただきたい。この制度はイギリスの制度を真似たと言われている。しかし、本当に真似るならイギリスやアメリカが多額の国債を抱えていて日本の現状に似ていた頃の制度を取り入れるべきである。国が大量に国債を発行した際には、国債の暴落を防ぐために中央銀行が国債価格支持政策(Pegging Operation)を採用した例がある。
例えば、アメリカにおいては、政府が低利の資金調達を継続して行うため、FRBに低金利誘導を要請、これを受けてFRBは1942年より国債価格支持政策を採用している。これにより短期国債は0.375%、長期国債は2.5%で買い支えるようにしており、1951年までこの政策は実施された。1940年代の後半から1960年代のイギリスでも中央銀行による国債を買い支える超低金利政策が取られている。
要するに、他国の例にならって、日銀が国債を買い支えればよいだけだ。そうすれば、それと引き替えにお金が出ていき、デフレ脱却が可能となるし、財政政策にも余裕がでてくる。そのお金は個人にも企業にも行くし、株価も上げ、年金積立金を運用で増やし、国債の暴落も防ぐことができる。もしインフレが行き過ぎたときは、増税をすれば一気に国の借金を返すことができる。増税をしなくても、インフレで給料が上がれば、国民の多くが「高所得者」になり、累進課税になっているから、税収の大幅アップは間違いない。地価の値上がりで固定資産税も上がる。国民は給料の上昇で可処分所得が上がり、購買力が増すし、国全体にお金が回るから、経済は活性化し成長は加速される。経済成長が加速するなら当然、円の信用は増す。
もし日銀が国債を買わないということであれば、民間の金融機関が買うことになり、膨大なお金を利払い(国債の配当)として受け取ることになる。その額は、今年1月に政府が発表した「進路と戦略」では、現在20兆円の国債費?(そのうち利払いが10兆円程度)が2011年には24.1兆円にもなるとの見通しだ。今後景気が良くなってくれば、金利がどんどん上がってくる。例えば800兆円の借金で、金利が5%になれば利払いは40兆円となり、我々の納める税金の大半は、一部の金融機関に利払いとして流れることになる。これを税金の無駄遣いと言わずに何と言えばよいのか。
今、国債市場特別参加者制度に参加しているのはアール・ビー・エス証券会社、エービーエヌ・アムロ証券会社、岡三証券(株)、カリヨン証券会社、クレディ・スイス証券(株)、ゴールドマン・サックス証券(株)、JPモルガン証券(株)、新光証券(株)、大和証券エスエムビーシー(株)、ドイツ証券(株)、東海東京証券(株)、日興シティグループ証券(株)、野村證券(株)、バークレイズ・キャピタル証券(株)、ビー・エヌ・ピー・パリバ証券会社、みずほインベスターズ証券(株)、(株)みずほ銀行、(株)みずほコ-ポレート銀行、みずほ証券(株)、(株)三井住友銀行、(株)三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ証券(株)、メリルリンチ日本証券(株)、モルガン・スタンレー証券(株)、UBS証券会社、リーマン・ブラザーズ証券(株)の26社だ。外資系も多い。
こういった金融機関に莫大な利払いを、我々の税金から払い続けなければならないのか。確実に儲けさせると国が約束するから国債を買い続けろと、国が言うことに憤りを感じないか。このような制度が、日本経済をデフレに追い込み、急激に没落させている。なぜ改革をして、日本経済を復活させようと考えないのか。道路財源の使い道を追求するのもよいが、この問題はそれより少なくとも1万倍も大きな税金の無駄遣いなのだ。マスコミよ、恐れずこの問題を扱ったらどうだ。(小野盛司)
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コメント
ハイパーインフレについては、アルゼンチンとトルコの例を検証すると、いろいろ分かりそうですね。
両国ともIMFが絡んでいますが、国民の生活は対照的でした。
アルゼンチンはIMFの指導に従って緊縮財政を続けて、やがてデフォルト。
銀行は封鎖され、お金を下ろせない状態でインフレが進んでいくのですから、国民は目も当てられない。
一方トルコは歴史的なハイパーインフレにも関わらず、地政学的な理由(アフガン・イラク侵攻の拠点)でIMFに助けられ、財政破綻を免れました。
「超インフレは人為的」というのも、IMFの匙加減で出来るような気もします。
投稿: ビンモハマド | 2008年2月21日 (木) 23時06分
JAXVNさん、こんにちは。
>「インフレと超インフレは別物」「超インフ
>レは人為的」という事は正直あまり考えてい
>なかったのですが、この復活さんのご指摘は
>的を射た物である様に思います。
インフレと超インフレの起因要素が別物である
ということは、新しい見方でした。たしかに指摘
されてみると、超インフレ現象は収奪者が背後に
いて金融的な暗躍をしたという視点はあるかもし
れませんね。同様に昨今の日本は明らかに策謀的
な意味での超デフレですから、この恒久的デフレ
固定によって誰が利益を得るかを考える必要があ
ると思います。
あと、「復活」さんについてはどなたかしりま
せんが、彼が言っていた戦後の超インフレ現象に
GHQの国富収奪の意図があったという観点は
斬新です。基本的にはGHQのやったことと、今
のアメリカがやっていることは同じですから。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年2月21日 (木) 13時55分
こんにちは。
前回と今回の小野会長の記事を合わせて考えると、やはり今の政府は意図的にデフレを起こしているとしか考えられません。その理由はいくつかあるのでしょうが、一つにはやはり「国際金融資本」のため、また一つには実質GDPのみを強調する事とあわせ「財政支出無しの景気回復」を「偽装」するため、という事があるように思います(いよいよどこの国の政府か分からない、という事にもなりますが)。
ところで、デフレと同様「超インフレ」も人為的にしか起こらない、というご指摘がありました。こちらのリンクにもあるケーキ屋さん管理の掲示板「経済を知らずして愛国を語るなかれⅣ」にあった、復活さん(日本経済復活の会の方なのでしょうか?)の記事です。
「戦争や自然災害で生産力が破壊されても、それだけでは物価が一時的に上がるだけでスパイラル・インフレにはなりません。日本の戦後のインフレはアメリカを中心とする連合軍即ち国連軍が日本占領に必要な費用を、インフレの形式で収奪したという説があり、私もそれに賛成です。当時の日本政府に経済主権があったならば(今の政府にも経済主権があるのかは大いに疑問だが)あれほどのインフレにはならなかったでしょう。今後の研究に待つ次第です。
第一次大戦後のドイツのインフレは、ヴェルサイユ条約による戦時賠償のために物資が不足して起きたのかと思っていたがそうではないらしい。しかもドルやポンドを利用したインフレ利得者がかなりいたと当時のドイツ人は考えた筈ですし、今も内心はそう思っているだろう。」
http://9107.teacup.com/cakeyachan28/bbs
「インフレと超インフレは別物」「超インフレは人為的」という事は正直あまり考えていなかったのですが、この復活さんのご指摘は的を射た物である様に思います。それは同時に、「超インフレ論者」の「怪しさ」はさらに大きな物になる、という事でもありますが。
投稿: JAXVN | 2008年2月21日 (木) 12時59分