構造改革、不良債権処理が終わって、景気は回復したか(小野盛司)
(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第三十八弾です)
http://tek.jp/p/
小泉首相のキャッチは「構造改革なくして景気回復なし」だった。不良債権処理さえすれば、お金が流れるようになって、景気が回復するとのことだった。不良債権処理を国際公約にまでした。しかし、小泉氏は自らを浅学非才と言っていたが、実際その通りだった。それを証明するように、不良債権処理は終わっても、銀行貸出は大きく落ち込んだままであり、お金が流れるようにはならなかった。景気回復どころか、大不況に陥ったと言って良い。一人当たりの名目GDPは2位から18位に落ち、世界に占める日本の割合は、GDPで2分の1に、株式の時価総額で5分の1にまで落ち込んだ。
不良債権のお陰でお金が流れなくなり、景気が悪くなっているという前提が間違えていたのは明らかだ。もちろん、不良債権が問題であったのなら、その処理が進むにつれ銀行貸出は増えていったはずだが、下図のように実際はどんどん減っていき、2008年現在でも、回復とはとても言えない水準である。
もしも、不良債権が原因で、お金が流れなくなっていたのであれば、外国資本の銀行(外銀)は、邦銀がもたもたしている間に大幅に貸出を伸ばし、一気に勢力を拡大したに違いない。しかし、実際は下の図のように、外銀も貸出を減らした。
それだけでなく、債券市場の低調もあったことから、不良債権が不況の原因ではなかったことは明らかだ。量的緩和も行って、銀行にはじゃぶじゃぶとお金があふれていた。なぜ、それが市中に流れなかったかは明らかだ。優良な貸出先が無かったということだ。なぜ無かったかと言えば、政府が国民に十分なお金を渡さなかったから、国民は物を買えないし、企業は物が売れない。だから、設備投資をしてもっと生産しようとは、誰も考えないということだ。
私の知人で、建築会社の経営者がいた。建設大臣から表彰を受けたほどの優秀な建築士で、所有ビルは10もあり、超優良企業だった。しかし、バブルの時代、銀行が彼に過剰な融資を押しつけた。バブル崩壊の後には、厳しい取り立てが始まり、本業は利益が出ているのに、銀行にとっては返済が滞ったということで不良債権となった。不良債権処理ということで銀行はこの会社を倒産させ、悲観した彼は自殺してしまった。
不良債権処理は、日本経済をここまで成長させる原動力となったような優秀な経営者まで、葬り去ってしまった。明らかな経済政策の誤りである。最近のサブプライムローン問題では、全世界の銀行で20兆円の損失が出たと報道されている。これに対してアメリカはすぐさま大幅な利下げや大規模な景気対策で対抗している。それに比べて日本政府は対応が余りにも遅い。日本のバブル崩壊で、株だけで350兆円の損失が出たと言われていた。サブプライムローンより、桁違いに大きな損失が出たのに、景気対策は遅すぎたし、規模が小さすぎた。しかも政府の経済政策の失敗によって生じた被害者を、残酷と言えるほどの手法で切って捨てた。それが不良債権処理だ。
アメリカ側からの要請もあり1991年に日本政府は9年間で430兆円の公共投資をする約束をした。かつてマスコミは建設国債は発行しても、後に資産が残るので赤字国債より良いと言っていた。しかし、今は一転して公共投資のための建設国債を悪者扱いする。何という心変わりの早さか。主張の一貫性はどうなんだと聞きたい。いずれにせよ、430兆円の公共投資は、実際には実現しなかったのだが、もし実行していたら日本経済はどうなっていたのだろうという分析が今、宍戸駿太郞氏らのグループで行われている。3月26日の日本経済復活の会の定例会で、宍戸駿太郎氏から、その分析結果を一般向けに分かりやすく紹介して頂けることになった。
宍戸氏は国際レオンチェフ賞受賞者であり、産業連関分析で世界的に有名な経済学者である。国際レオンチェフ賞受賞者はノーベル賞も受賞している人が多く、宍戸氏のノーベル賞受賞も間近だと期待されている。「不良債権が日本の不況の原因だ」などと馬鹿なことを言っていた馬鹿なエコノミストの空理空論を信用するのを止めて、宍戸グループのような、しっかりとした計量経済学に基づいた分析で、日本経済復活の方法を考えるべきである。
宍戸グループの結論は430兆円の公共投資で経済の大幅な成長、デフレ脱却、失業率の低下、国の借金の減少など、ダイナミックに成長する素晴らしい日本になっていたということ。この結果を見ても、やはり恐ろしいほどの日本経済の急激な没落、自殺者の激増、生活保護世帯の激増などすべてが、経済政策の失敗によって引き起こされたことが分かる。
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(日本に希望を与える信念の男、城内実)
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コメント
いすけ屋様
コメントありがとうございました。
>植草先生はじめ小野先生のような積極財政論者
>の意見が、ちっともマスコミが取り上げません
おっしゃるとおりです。マスコミは積極財政論
の効果を知っていて、故意に取り上げない感じが
あります。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年3月 6日 (木) 21時03分
この小野盛司先生のシリーズは欠かさず拝見しております。
植草先生はじめ小野先生のような積極財政論者の意見が、ちっともマスコミが取り上げませんが、マクロ経済を理解できない疑似エコノミストが多すぎるようです。
より多くの人に、このブログを届けるため、時々引用させてもらっています。事後承認のようで申し訳ありません。だめでしたら、削除いたします。
投稿: いすけ屋 | 2008年3月 6日 (木) 18時42分