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2008年3月27日 (木)

景気悪化を放置する政府(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第四十八弾です)

 3月24日に内閣府と財務省が発表した1-3月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数は-9.8ポイント下がり、04年の調査開始以来で最悪の水準となった。円高、株安、原材料高、住宅不況、米国不況など、様々な逆風の中、衆参のねじれ現象で政治はマヒ状態であり何も決まらない状態が続いている。

 正常な経済政策の知識を政府が持ち合わせていれば、もちろん緊急経済対策として大規模な財政出動を打ち出すところだ。しかし、何も出てきそうもないということは、日本はこれから、恐ろしい経済低迷期に入ってしまうことを意味している。昨日(3月26日)は、第50回の日本経済復活の会の定例会があった。60名もの参加があり、会場は熱気であふれていた。日本経済をなんとかしなくてはという多くの方々の思いの表れだろう。近く、宍戸駿太郞vs大田弘子大臣の公開討論会が開かれることが決定しており、宍戸駿太郞氏の講演に多くの人が注目したのは当然と言える。この日の宍戸氏の講演の一部を紹介する。

 1989年、ブッシュ大統領の父親が来日し、海部内閣に圧力をかけ、10年間で430兆円の公共投資を約束させた。これはアメリカが日本にかけた圧力である。アメリカは日本との貿易不均衡を是正させるために、日本が輸出産業ばかりを伸ばすのでなく、内需を拡大し、産業構造を外需依存から内需中心の産業への移行させようと考えたのである。日本政府は一旦約束したものの、内需拡大の効果もなく、財政赤字が拡大するだけだという理由から3年後には約束を破棄した。その後日本経済の急激な没落が始まるのである。もしも、この約束を日本政府が忠実に守って内需拡大を行っていたらどうなっただろうというのが、宍戸氏のシミュレーションである。計算はかなり大がかりなものであり、産業を81部門に分類し、1973年~2003年の間の30年間の経済データが再現できるように経済モデルをつくり、それを基に部門ごとの詳細な予測を行っている。

 現実には、430兆円の公共投資は行われず、平成大不況に陥ったのだが、もし公約通り公共投資が行われていたら、このような大不況は生じず、正常な景気回復パターンとなったはずだとこのモデルは予測する。約束が守られた場合は、現実の場合に比べ、2003年には実質GDPが11%増加し、名目GDPも14%増加する。失業率も1%ポイント改善する。景気がよくなるため、税収が増え、現実の場合より国の借金も20%少なくなる。

 こういった結果を基に、政府の過去の判断が正しかったのかを考えてみよう。430兆円の公共投資の約束は日米構造協議で行ったもの。アメリカからの圧力で、約束させられたものだ。こういった圧力への日本人の抵抗は強く、「NOと言える日本人」でありたいと願う日本人は、ここでNOと言った政府に拍手喝采を送ったのかもしれない。しかし、本当にそれでよかったのだろうか。公共投資を止めたために、道路整備が遅れ交通渋滞のために経済発展は大きく阻害された。港湾の整備が遅れたためにコンテナ取り扱い量で上位にいた日本の港も、順位を大きく下げ、空港のハブ化も大きく遠のいた。環境対策も遅れている。

 お金を使わなければ、財政が健全化するだろうというのが、余りにも甘い見通しであったということだ。逆に430兆円を使っていれば、不況にならず、これほど国の借金を増やすことはなかった。GDPももっと増えていたから、国の借金のGDP比を比べるとその差は更に顕著になる。結局、世界大恐慌を引き起こしたフーバー大統領や、昭和恐慌を引き起こした井上蔵相と同じ間違いを犯し、不況なのに財政健全化を優先して緊縮財政を行い、不況を更に悪化させ税収を減らしたために逆に財政を悪化させてしまった。

 つまり、平成の大不況は政策の間違いで引き起こされたことが証明された。政策の失敗は、日本経済を大きく没落させ、国の借金を増大させただけではない。国民を生活苦に追い込んだ。下図にあるように経済生活問題が原因の自殺者の数は、景気がよかったころの数倍にも増えてしまった。政策の間違いが毎年数千人もの人を自殺に追い込んでいる。国の借金ばかり気にして、このような政策の大失敗をしてしまったのだが、国はお金を刷ってもよいことを忘れてはならない。刷ったお金で道路をつくり、港湾や空港を整備し、環境対策もすればよかった。税金ではなく、刷ったお金であれば返さなくてもよいのだから反対する理由は何もないはずだ。

 この例で分かるように、アメリカの圧力に常に反発していればよいというのでなく、逆に、アメリカの圧力で日本の間違えた政策を正してもらうことが日本の国益になることもあるのだ。

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