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2008年3月12日 (水)

積極財政の経済シミュレーションと、その驚くべき結果(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第四十一弾です)

○「日本経済復活の会」発足の経緯
 

 私が、このようなシミュレーションを行おうと決心したのは、2002年のことだった。自分一人ではとてもやろうとは思いつかなかっただろう。何と言っても、私を支えて下さったのは、宍戸駿太郞氏だった。この分野の第一人者であり、世界的に有名な経済学者で、ノーベル経済学賞の有力候補である。かつて、大蔵省の審議委員として日本の高度経済成長をシミュレーションで引っ張っていた人であり、筑波大学副学長、国際大学学長、環太平洋産業連関学会会長など、まばゆいほどの経歴の持ち主であることを考えれば、通常とっつきにくいだろうと思うのだが、全くそんなところはなく、どんな質問でも分かりやすく答えて下さる。

 私は、彼とあるフォーラムで名刺交換し、その後私のほうから電話して、色々経済の話をしているうちに、積極財政のシミュレーションをやってみようということになったのだ。すべてを知り尽くした人がバックにいれば、何だってできる。私は、日本のシンクタンクに片っ端から電話し、積極財政のシミュレーションがやれないか聞いた。これは「反政府活動」になるかも知れないという警戒感から、非常に難しい交渉になったが、日経新聞社が応じてくれた。シミュレーションは2段階で行われた。第一段階は簡単なものだったが、それだけで90万円、第二段階はもっと徹底的な分析でそれが280万円、合計370万円で、貧乏人の私には天文学的な額ではあったが、日本経済復活のためにと考えたら、私財を投げ打ってでもやるだけの価値はあると思った。

 日本人は国の借金という言葉を勘違いしている。通貨を自由に発行できる国なのだから、国の借金など何の意味もない。お金を刷って返せば一夜にして返せるではないか。むしろ重要なのは、お金を使って経済を立て直すことだ。こういった私の考えが背景にあった。積極財政をやれば、景気は良くなるし、デフレは脱却できるし、経済は成長するし、給料は上がるということは、計算しなくても分かることだ。私は、財政拡大の結果財政は悪化するかもしれないが、そのとき政府貨幣を発行して財政破綻を阻止するというシナリオを考えていたが、実際は財政は悪化どころか、改善するという結果になって、驚いた。シミュレーションに真実を教えられたと思った。

 もう少し、順を追って話そう。第一段階の試算は日経新聞社にどの位減税をすれば、どの位景気が良くなるのか、そして、デフレ脱却には、どの位の減税が必要なのかということを計算してくれということだった。最初は、10兆円と20兆円の減税で計算してくれとお願いした。驚いたことに、この程度の減税ではデフレは全然脱却は不可能という結果が出た。デフレ脱却とは、そんなに大変なことなのかと、正直、我々が退治しようとしている魔物の大きさに身震いした。仕方なく50兆円の減税で計算してみてくれとお願いした。日経新聞社の方は、その大きさに驚いた。国税をほとんどゼロにしてもまだ足りないので、仕方なく消費税をマイナスにしてみるという巨大な減税だ。しかし、50兆円の減税を5年間続けても5年間で平均0.6%のインフレ率にしかならなかった。しかし、ものすごい経済成長率がはじき出された。なんと初年度実質成長率は9.8%というものだった。

 この段階で、私はこの結果を世界の経済の第一人者に見せてコメントをもらおうと考えた。世界で最も有名な経済学者は、ノーベル賞受賞者のサミュエルソンだろう。英文の説明をつけてまずサミュエルソン氏にこの結果を送った。何と、すぐに返事が来た。「インフレ率は気にしなくても良い。需要を回復し、デフレから脱却できればよいのだから。」という内容だった。私は、ノーベル経済学賞受賞者であり、計量経済学の世界的な権威のローレンス・クライン氏にも、同様な結果をまとめたレポートを送った。彼からも直ぐに返事が来た。「2%位のインフレ率が適当なのではないか。経済状態が改善されることは本当によいことだ。減税だけでなく、教育にもお金を使ったらどうだろう。」という内容だった。私は大変勇気づけられた。何と、50兆円減税を5年間続けるという提案に、二人のノーベル経済学賞受賞者が賛成して下さったのだ!

 しかし、この計算だけでは、不十分だった。自分が計算したいことの10分の1も終わっていない。たった、これだけで90万円では、金が掛かりすぎて後が続かないと思われたのだが、日経新聞社はプラス280万円で、私が自分で自由に計算させてくれるという提案をしてくれた。ここまで来れば後に引けなかった。

 日経新聞社に助けてもらいながら、自分で計算を始め、計算結果は日経まかせのものより数十倍も出せた。当初の私の考えは、景気対策で国の借金が増えても、日銀が買い取ればよいし、必要なら政府貨幣発行を行えばよいわけだから、問題にならないだろうということだった。しかし、計算を進めているうちに、景気が良くなるにつれ、ものすごい勢いで、税収とGDPが伸びてくることが分かってきた。

 そして国の借金のGDP比が財政出動で減少してくることに気付いた。これは私は全く予想しなかったことで、非常に驚いた。財政健全化とは、国の借金を減らすことでなく、借金のGDP比を減らすことなのだ。借金は減らなくても、借金のGDP比が減れば、実質借金を減らしたことになる。これは積極財政で財政が健全化するということだ。例えば50兆円の財政拡大の場合、どの程度経済拡大となるかを書いておく。現状維持の場合に比べ5年後、実質GDPは26%増加、名目GDPは38%増加、民間設備投資は2.3倍、法人企業利益は2.8倍に激増、失業率は2.2%まで下がり、インフレ率は2.1%、日経平均は3万2000円にもなる。

 この事実を一人でも多くの人に知らせたかった。私は、仲間を集め「日本経済復活の会」をスタートさせた。頻繁に議員会館に出向き、国会議員に日本経済復活の会の顧問になってくれるようお願いした。国会議員の多くは理解してくれた。その中の一部は顧問になってくれた。現在では70名近くの国会議員が顧問として参加してくれている。

 この話の続きは、またいつか話すことにして、最近マスコミで話題になっていることについて、コメントする。

【新銀行東京への追加出資】

 新銀行東京に東京都が400億円の追加出資する話だが、私はこの銀行に当初から批判的だった。中小企業を助けるという目的で危険な融資を税金で行うというやりかたに賛成できない。お金を刷って国民に配れという私の主張であるが、こういう形で配れと言うつもりはない。非効率で採算が取れずつぶれそうな会社に無担保で新銀行東京が金を貸そうということが良いことなのか。金融は民間に任せて良い業務だ。郵便局ですら融資に乗り出してくる時代、なぜこのような業務を東京都が税金でやらなければならないか。

 デフレ下の日本においては、国民に十分にお金が渡されていなくて、企業も商売ができない状態で、まともな企業はなかなか金を借りて投資をしようとはしない。今の状況で新東京銀行に無担保融資をお願いする企業の中には、どうせ会社はつぶれるのだが、その前にいっぱい金を借りて、遊びに使って、その後倒産させればよいと思って借りるところもあるだろう。
 
 こんな所にお金をばらまくくらいなら、減税や福祉・医療・社会資本整備・教育等にお金を使うことで、国民にお金を十分渡し、そうすることによって需要を伸ばせば、優良企業を強力に支援することになる。物が売れれば、利益が出るからである。それでも不採算な企業は市場から退出してもらい、優良企業をどんどん伸ばすことで、全体の生産性が上がり、国は豊かになるのだ。(小野盛司)

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コメント

面白いコンテンツですね。私はオリンピックの経済効果、シミュレーションモデルと、震災後のスポーツビジネス振興における地域経済への需要予測などを研究するものです。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

投稿: Okusan | 2011年11月 6日 (日) 17時02分

いみじくも、昨日・本日のシンポジウムで平沼先生が、積極財政について語っておられました。
もちろん積極財政を行わないといけないと言う趣旨です。
ブログの記載が、余りにタイムリーでビックリしています。

政治家がビジョンをなくしていることも嘆いておられました。
日本がデフレから脱却するのは実は非常に簡単で、平沼先生が総理になれば良いと言うことが分かった次第です。

投稿: 新三 | 2008年3月15日 (土) 22時53分

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