« デフレ下で消費税増税をさせてはいけない(小野盛司) | トップページ | 内閣府の試算と日本経済復活の条件(小野盛司) »

2008年4月 7日 (月)

労働はロボットに、人間は貴族に(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第55弾です。)

 現在の日本経済の大停滞の原因の一つは、少子高齢化の流れの中、もうこれ以上大きく経済成長することはないという間違えた考えが広まったことにある。経済成長しないのが、政府の経済政策の大失敗にあるのにも拘わらず、それに対して野党すら追及しようとしない。一人当たりのGDPが、世界第2位から一気に18位まで落ちた。一人当たりのGDPなのだから人口減少とは全く無関係なのだ。世界の株式の時価総額に占める日本の割合が5分の1に下がってしまったのも、人口減少などでは全く説明がつかない。人口が5分の1になったのではないのだから。

 人口減少社会ということで、経済成長しなくてもしょうがないという思いこみ、それに伴う悲観論、それらが急激な日本経済の没落に繋がっている。残念ながら、日本人はこれから起ころうとしている、大きな社会の変化を理解していないようなので、そのことに関して、話してみたい。

 コンピュータの進歩は目覚ましい。ムーアの法則は、チップに搭載するトランジスタの数が約二年ごとに倍増するというものである。二○○四年の四月号の日経パソコンには、森本の法則が載っていた。それはCPUの動作周波数(コンピュータの動作速度)は約二○ヶ月で二倍になり、HDD容量(コンピュータの記憶容量)は約一三ヶ月で二倍になるというもの。猿が人間に進化するのに数百万年かかった。つまり大脳の大きさが二倍になるのに、数百万年かかったことを考えればコンピュータの進歩はすさまじい。ロボットと言えば、コンピュータそのものと言っても過言ではない。従ってロボット技術の発達もすさまじい。すでにロボットは歩いたり、走ったり、片足で立ったり、ダンスをしたり、転んだとき自分で立ち上がることさえでき、簡単な会話までできる。楽器を演奏し、オーケストラの指揮までやってのける。ロボット展では、人間そっくりの案内ロボットが活躍している(下図参照)。ロボット技術は、今後驚くべき速さで進歩を続け、人間の職場を一変させるに違いない。

 今はロボットは高価だが、遅かれ早かれ、ロボットはロボット自身が自分のコピーを大量に作り始め安くできるようになる。広い工場に管理人が一人いて、他はすべてロボットという時代が来る。

 ロボット(あるいはコンピュータ)が、人間に替わって働き始めることが、遠い未来のことのように思っている人がいるかも知れない。しかし、産業用ロボットはすでに多くの分野で使われている。また実際は多くの分野で技術的にはすでに取って代わるのに充分なレベルにあるのに、充分な利用ができないでいるというのが実情である。近い将来、ロボットは人間よりも安くて質の高い労働力を提供し始める。ロボットは無給で何時間でも働く。間違わない。全く同じ仕事を何時間でも続けられるし、調子が悪くなったら取り替えればよいだけだ。

 多くの人が不安に思うのは、近いうちにロボットが人間の職場を奪ってしまうのではないかということである。自分より優秀で、丈夫で長持ちし、しかも経費的にも有利なロボットが出てきたら、経営者はきっと自分を首にしてロボットを入れるだろう。ロボット投資が伸びた後、企業に人がいらない時代がくる。大企業には大量のロボットが入れられた後、リストラの嵐が吹き荒れる。だんだんロボットが汎用的に使えるようになれば、本来中小企業で行っていたような小ロットの生産さえも大企業がカバーすることができるようになり、中小企業はバタバタと潰れていく。町には失業者が溢れ、失意の末ある者は自殺し、ある者は犯罪に走る。小さな政府を目標とする政府は、弱者を助けるための金がない。セイフティーネットと称し、職業訓練の費用は出すが、しかし、訓練してもロボットには勝てない。富は大企業を経営する一握りの人達に集中し、大部分の国民は失業し貧困に苦しむ。これは地獄の世界へのシナリオだ。

 ところが、ちょっと頭を切り換えてみよう。
労働はみんなロボットにやってもらい、人間は好きなことを、生き甲斐を感じられることをやればよいではないか。財・サービスは、ロボットが幾らでも供給してくれる。適切にお金が人間に分配される仕組みさえできればよく、人間を永遠に労働から解放し、すべての国民が豊かに人間らしく生きることができる社会を建設していけばよいだけだ。

 現在、日本の雇用者報酬の合計は年間約二六○兆円である。もし、人間の仕事の半分を行ってくれるロボットが開発できたなら、そのロボットは日本だけで毎年一三○兆円分の働きをこれから永遠にしてくれるわけである。これは人類にとって、これまでのどんな発明品よりも桁違いに価値がある物だし、これ以上の発明品は今後生まれることは無いだろう。

 次のような社会が実現したらどうだろう。つまり、「たとえ働かない人間であっても、生活できるだけのお金を与えればよい」とする社会である。もちろん、ロボットができないような、それであって生き甲斐を感じるような仕事があれば、その仕事に専念すればよい。きつい、汚い、危険という、いわゆる3Kの職場から人間は永遠に解放され、自分でやり甲斐を感じる快適、綺麗、安全な仕事(あるいは趣味)を楽しんでいればよい。働く人と働かない人が共存して生きていける社会であり、優秀なロボットが次々出現する今日、そういった社会は、失業も、老後の不安もなく、欲しいものはほぼ無制限に誰でも手に入れることができ、経済的には将来不安は一切なく、各自、自分がやりたいことを自由にやっていればよいという、まさに理想郷が実現するのである。これを『労働はロボットに、人間は貴族に』と表現しよう。

 今の政府は国の借金を返すことばかり考えている。国民などどうなってもよいのだ。このような社会の中で、ロボットがどんどん入ってきたら悲劇だ。ロボットとの競争に負けた人間は失業する。働かざる者食うべからずという考えの政府、働けなくなった75歳以上の高齢者にも健康保険料を払わそうという非情な政府。このような政府の下では、我々の未来は真っ暗だ。しかし、もし政治家達が心を改めて、十分お金を刷って国民に渡せば、素晴らしい未来が保証される。つまり、物はロボットがたっぷり作ってくれる。政府はお金を刷って、スムーズにそれを分配する方法を考えればよいのだ。インフレで苦しむのは物不足の時だ。物余りの時代は、たっぷり国民にお金を渡しても、インフレは起こらない。(小野盛司)

案内ロボット
Photo

“お知らせです” 

 4月21日の出版記念パーティ

 4月21日(月曜日)、東京にて日本経済復活の会・小野盛司会長さんと評論家の中村慶一郎氏の共著『お金がないなら刷りなさい ―米国が16兆円を刷って国民に配っているときに日本は増税かーの出版記念パーティがあります。弊ブログで小野会長の積極財政論シリーズをご愛読して頂いている読者さんも参加してくださればうれしい限りです。出版記念会詳細は上記リンクにてどうぞ。(神州の泉・管理人)

人気ブログランキング ← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
城内みのるさん応援サイトへ(日本に希望を与える信念の男、城内実)

|

« デフレ下で消費税増税をさせてはいけない(小野盛司) | トップページ | 内閣府の試算と日本経済復活の条件(小野盛司) »

コメント

>働けなくなった75歳以上の高齢者にも健康保険料を払わそうと
>いう非情な政府。このような政府の下では、我々の未来は真っ暗だ。

 まったくである。後期高齢者医療制度は改革ではなく、実にわかりやすい
棄民政策そのものである。戦後に国を建て直し、経済を支えてくれた立派な
先人たちの末路がこれなのか。官僚利権、政治利権、外資利権は温存して、
財政均衡論という馬鹿の一つ覚えでお年寄りを姥捨て山に喜捨する奴らには
心底怒りがこみ上げてくる。小泉構造改革路線とは、国民を自殺に導き、国
家を崩壊させる日本史上最大の悪政だ。

投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年4月 7日 (月) 23時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/141377/40808390

この記事へのトラックバック一覧です: 労働はロボットに、人間は貴族に(小野盛司):

» 日銀総裁人事について (2) [本当のことが知りたい! そして日本の未来を語りたい]
 先日ご紹介した記事日銀総裁人事についてで植草氏の日銀総裁人事に関するコラムの一部を抜粋して転載させていただいたが、BLOG:株式日記と経済展望さんのところでも人事に関する記事が掲載されていたので一部を抜粋して転載しておきます。... [続きを読む]

受信: 2008年4月 8日 (火) 12時47分

» 東京でもYASUKUNI見せろよ!⇒いくらなんでも、映画見るために大阪まで往復12300円~28400円の交通費は痛過ぎます。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 ナレーションは一切なし、8月15日の終戦記念日を10年かけて記録し続けたと言う。後ろの方でご案内するYouTube「サンデー・プロジェクト」の冒頭で紹介されている部分を見るだけでもその面白さの一端をうかがうことができます。 関連投稿 「映画『靖国 YASUKUNI』の助監督は話題作『ヨコハマメリー』制作・監督した中村高寛さん、映画としてもなかなか面白いらしい。」  A Day In the Lifeのzilwanさんが『「靖国 YASUKUNI」上映しろ!だけなの? [cinema]』で以下指摘し... [続きを読む]

受信: 2008年4月 8日 (火) 12時52分

» 先ほど、自End!TBP「自民党政治」が5000通過しました。4000から30日目でした。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 先ほど、17:23、トラックバックが5000件になりました。  5000番目のトラックバックは、 「17:21:低気温のエクスタシーbyはなゆー/アマゾンブックレビューが「言論封殺システム」を採用している?」 でした。 ※以下トラックバック件数の履歴。 2007年10月3日に(自End)TBP「自民党政治」開設 2007年11月15日1000件(開設から44日目) 2007年12月28日2000件(1000件から43日目) 2008年2月5日3000件(2000件から39日目)2008年3月10日... [続きを読む]

受信: 2008年4月 9日 (水) 17時47分

» 電子投票法合意、民主の担当筆頭理事・福山哲郎参院議員事務所に電話し秘書のウスイさんと話して報道の真偽、予定など聞いてみました。 [雑談日記(徒然なるままに、。)]
 末尾にご紹介する読売の記事ですが、他の新聞に出ていないので、記事中の福山哲郎参院議員の国会内事務所に電話して聞いてみました。 ※参考:福山哲郎参院議員国会事務所(それ以外の事務所等)〒100-8962東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館614号 電話 03-3508-8614 FAX 03-5512-2614 E-mail:kokkai@fukuyama.gr.jp ※福山哲郎公式ページ、福山哲郎プロフィール  以下、やり取りで分かった秘書・ウスイさんの話しの箇条書きメモ。 ・読売以外、... [続きを読む]

受信: 2008年4月10日 (木) 17時53分

« デフレ下で消費税増税をさせてはいけない(小野盛司) | トップページ | 内閣府の試算と日本経済復活の条件(小野盛司) »