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2008年4月19日 (土)

未来の医療はどうあるべきか(小野盛司)

(※日本経済復活の会 会長 小野盛司氏の記事、第60弾です。)

 後期高齢者医療制度というものがスタートした。コメンテーターはこれが導入された理由は、高齢者の医療費を削減するのが目的だと言う。高齢者は今後増え続けていく。単に国の「採算」だけ考えていたら、我々の受けられる医療はどんどん悪くなっていく。しかし、国はお金を刷っても良いのだということを認識し、そのお金を使って大規模な医療改革を断行する覚悟があるなら、医療の質も、医者の待遇も大幅に向上させることができる。

 医療の大改革の第一歩は、個人情報保護に対する考えを変えることだ。我々が、我々のすべての医学データを医者が一括保存・管理することを許せば、我々は現在よりはるかによい治療を受けられるということだ。個人情報漏洩の危険があるが、それは別途漏洩防止の手段を考えればよい。

 個人の医学データとは、年齢、性別、本人の病歴と親兄弟の病歴、アレルギーの有無、喫煙の有無、過去の検査結果、DNA、などである。医者に掛かる度に、データを蓄えていき、USBメモリーなどの携帯型の記憶装置で各人が持ち歩く。医者もそのデータを診断に活かすことができる。多くの国民が規格化されたデータを持ち歩くようになったら、次のステップは、そのデータを使って、自動診断システムを作り上げることだ。病気に罹ったら、我々は病院に行く。大病院だと1~2時間は平気で待たされ、診察は僅か2~3分、医者は自分の病歴など、ろくに見ていない。それに待合室で病気をうつされるかもしれない。

 自動診断システムの場合、病気になれば自分の医学データが入ったメモリーをパソコンに差し込み、コンピュータと対話すればよい。相手が医者でなく、コンピュータだから待合室で待たされることはない。コンピュータはじっくり話を聞いてくれる。しかも、ネットを通じ最新の医学情報を毎日でも更新できるし、すべての分野に精通することができる。忙しい医者にはとてもそんなことはできない。こういった診断システムの性能にもよるし、運用の仕方にもよるだろうが、全国のそれぞれの分野の専門医が現代医学の粋を集めて作れば、通常の医者より正確な診断ができるようになる。もしもそのようなシステムが完成すれば、パソコンをネットでつなげばよいだけで、全国、どんな田舎でも超一流の名医を配置したことに相当する。しかも、その蓄積されたデータは、医療技術の改良に大きく貢献する。薬の有効性や副作用のデータが大量に集められるからだ。医者にとっても強力な助っ人の登場で、仕事が楽になるし、より専門的な仕事に集中でき、収入もアップする。患者の側でも、医療費の軽減、待ち時間の短縮だけでなく、更に高度な医療サービスを受けることができる。

 もちろん、その診断システムを実際に運用する前に、解決しなければならない問題はたくさんある。しかし、マイナス面ばかりに気を取られて、悪くなる一方の医療サービスを放置してもよいのだろうか。指摘されるだろう問題点について書いてみよう。

個人情報保護:もちろん、個人情報の漏洩阻止には、法律で厳しく対応する必要がある。悪用する者に対しては厳罰を科す。それでも心配かどうか、これは価値観の問題だろう。個人情報が漏れることを恐れこのシステムを使わない人がいれば、強制するものではない。少ない費用で、しかも高度な医療を受けられるメリットは、個人情報が漏れて生じるディメリットよりはるかに大きいと思うが、それは価値観の問題だ。このシステムに理解を示す人だけに使ってもらえばよい。

診断システムが間違えたらどうなる:もちろん、間違いはある。医者だって誤診をする。診断システムが医者よりも間違いが少なくなったら、使えばよい。例えば薬局に、診断システムを置いておいて、血圧、体温、脈拍等の測定もできるようにしておき、患者に自覚症状など、様々な質問をし、病状が薬の処方だけで十分と判断すれば、処方箋を出す。それを薬剤師が確認し、問題なしと判断したら、薬を与える。更に精密検査が必要となれば、その精密検査が可能な病院の検査室に対する検査表を発行し、直接その検査室に行けば検査が受けられるようにする。特殊な病気に対しては、専門医を紹介する。

 以上、医療改革の一案を書いてみた。強調したいのは、我々の未来は改革をしようと思わなければ、暗くなるだけだ。刷ったお金を使えば、思い切った改革が可能だ。方向性としては、「労働はロボットに、人間は貴族に」である。この診断システムは医者に変わるロボットの初期の形態だと思っていただきたい。

 医療現場で、ロボットは様々な所で使用されるようになるだろう。レントゲン検査でも、本当に一人の人間が常に面倒を見ていなければならないかは疑問だ。「大きく息を吸って、止めて、はい、終わりました」など、録音で十分だ。ロボットが検査技師に置き換わることができる分野も多いと思われる。高齢者のケアであれば、介護ロボットの開発も進めると良い。日本はロボット技術では世界一進んでいる。この分野を国が支援し、伸ばしていくことも、日本の未来を明るくする。

 ここで主張したいことは、医療制度改革をやりたいなら、国の財政に関して収支のバランスだけを考慮した制度作りでは、我々の未来は真っ暗ということになるということである。サミュエルソンも言っているように、国の経済をデフレから救う方法は、財政赤字の拡大である。インフレ経済にとっては、財政赤字の拡大はインフレの悪化で有害なのだが、デフレ経済にとっては、財政赤字の拡大は救いの神なのだ。国はもっとお金を使って良いということだから、それならば、医療に関しても、もっと高度で本格的なコンピュータの使用を考えるべきである。一度、診断システムを作り上げると、それは日本人が誰でもいつでも相談できる、最高レベルの専門医を各家庭に配置したことに相当する。安心・安全を国が国民にプレゼントできるのだ。大変な財産を国民にプレゼントすることになる。国は増税や歳出削減のことばかり考え国民を苦しめる改革をするのでなく、国民が喜ぶようなことを考えていただきたい。

お知らせです” 

 4月21日の出版記念パーティ

 4月21日(月曜日)、東京にて日本経済復活の会・小野盛司会長と評論家の中村慶一郎氏の共著『お金がないなら刷りなさい ―米国が16兆円を刷って国民に配っているときに日本は増税かーの出版記念パーティがあります。弊ブログで小野会長の積極財政論シリーズをご愛読して頂いている読者さんも参加してくださればうれしい限りです。出版記念会詳細は上記リンクにてどうぞ。(神州の泉・管理人)

出席される政治家の方々(敬称略)
綿貫民輔(国民新党衆議院議員)
滝 実 (衆議院議員)
中川秀直(自民党衆議院議員)
篠原孝(民主党衆議員)

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受信: 2008年4月19日 (土) 20時29分

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受信: 2008年4月20日 (日) 00時52分

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