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2008年5月10日 (土)

経済成長vs財政再建の議論について(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第71弾です。)

 1994年にデフレーターがマイナスになって以来、日本ではデフレが長く続いている。お金を刷って、国民に渡せば、デフレは簡単に脱却できる。積極財政が国を救う。それをやる勇気が無いなら、せめて積極財政をすべきか、緊縮財政をすべきかで激論を闘わせていなければならない時なのだが、残念ながら、現在積極財政を主張しているのは我々、日本経済復活の会以外にほとんどいない。国会議員の中には、積極財政を主張したい人が多数いるが、ほとんど本音を言えない状態にある。見えない圧力により押しつぶされている。その中で、国民新党だけは、明確に財政出動を言っている。少し前、20兆円の財政出動の提案を発表したが、マスコミはほとんど取り上げなかった。民主党と公民新党で、政策協定を結び、その中で6兆円の財政出動を提案しているが、それもマスコミは封印した。

 そういった中で、経済成長か財政再建かという論争が、マスコミに取り上げられている。経済成長派は、霞ヶ関埋蔵金等の資金を使って景気対策をし、経済を成長させるというもので、中川秀直氏がその代表格だ。財政再建派はデフレは続いて良いから増税をやろうというもので、与謝野馨氏が、中心的に唱えている。ポスト福田も視野に入れ、この論争が注目を浴びる。

 4月21日の出版記念パーティーの事を話してみよう。『お金がなければ刷りなさい』という本の出版記念パーティーに10名の国会議員が参加した。その中に、綿貫民輔前衆議院議長と中川秀直氏がいた。実は、我々としては、非常に神経を使っていた。綿貫氏は日本経済復活の会を強く支持して下さっている大物議員であり、会にとって極めて重要人物なのだが、郵政問題で中川氏と鋭く対立した経緯があり、同席させて大丈夫なのか心配していた。最初に綿貫氏のスピーチがあった。その中の少しだけ引用する。

綿貫民輔氏:
「今日は、お二人の御本の中身がこれからの日本を変える大きな起爆剤になってもらいたいなと思っております。今、全く政党政治はありません。自民党も馬鹿、民主党もアホ、馬鹿とアホのなれあいで、全く私ども困っておりますが、何とかしなければならないと思っているのが国民新党でございます。」

 自民党や民主党の議員が多数いる中で、こういった発言ができるのは綿貫氏しかいないだろう。さすが当選13回、選挙での得票数で日本最高記録を作った彼は、国会議員の中でも別格と思わせるスピーチだった。

 その後で、中川氏のスピーチがあった。結構、私の書いた本や、朝日新聞に出した意見広告等をきちんと読んでいただいているようで、何度も引用して頂いた。以下に、その一部を書く。録音が不明瞭な箇所があり、若干間違えている箇所があるかもしれない。

中川秀直氏:
皆さんがご一緒に勉強されていることは、私自身が常日頃主張していることと変わらない。今日はお祝い申し上げる次第です。今マクロ経済の話がございましたが、世の中というものは変化著しいものがあります。世界は音を立てて動いてる。そういう意味から申しますとマクロ計量モデルというものも常に新しく構築していかないと役に立ちません。現実問題として我が国の直近の毎年の経済見通しが当たった年が一度でもあったでしょうか。一度たりとも無いのであります。まさに90年代の古いデフレ時代の景気が大幅に後退している時代の内閣府のモデルをそのまま使っている。私はそこにも根本の誤りがすでに存在していると、そういつも申し上げるのでございますが、なかなかそこを公開もしないし、変えようともしない。

 小野さんの新聞広告にございましたノーベル経済学者のローレンス・クラインさんに党としてシミュレーションの調査をお願いいたしました。我が国の潜在成長率は、つまり政策よろしきを得れば成長可能な成長率は、3%から3.5%だと、実は1年半前にレポートしていただいたのでございます。ところが実際は1%半ばだと政府の見通しでは仮定しています。1%台半ばなら実質成長は2%を超えていたことがあるわけです。そうすれば物価は当然上昇するはずなんです。ところが生鮮食料品を除く一般物価はずっとマイナスできたのであります。理屈に合わないではありませんか。やっぱりローレンス・クラインさんの言う潜在成長率は3%以上あるからこそですね、実質3%成長しないから物価が伸びずデフレが続いている。これはもう真相なんだろうと私は硬く信じます。デフレが終わらないのに消費税増税をしようなどという政府がこの世の中にあるでしょうか。考えてみれば、我が国の経済が名目で0.7%の成長しかないとするならば、僅か一年間に富は3.5兆円しか富は創造されないということですね。これはまた5%消費されれば13兆円、なぜ10兆円いわゆる民間の経済活動をしないという、行わないということですね。

そのような政策を当たり前のように見ているということが僕には全く信じられない。まあ私の色々主張するところは今月号のVoiceに、対談はお断りしましたが、インタビューに応じましたら結果的に与謝野先生にも、取材されたそうで論争という形になりました。そこに大きく書いてありますので繰り返しませんけれど、官僚国家、ここを根本からも変えないと日本経済はいつまで経ってもよくならないと信じて疑わないのであります。どう考えましても我が国の財政再建というものは、債務残高GDPだけを言うのではなくて一般会計と特別会計で980兆円国家財政はそれだけ借金を抱えてる、それだけ強調するということは、絶望感にさいなまれるだけではないか。私はそう思います。もちろん、財政再建をしていく、財政規律を持たしていく、この重要性は、消費税増税のときには断固主張して選挙をした人間ですから、すべて分かっているつもりです。しかし、一方で資産もあるということを忘れてはいけない。債務と資産の差額こそ第一義的に考えていかなければいけない。

およそ我が国ほど政府資産が多い国はございません。アメリカも連邦制であるから州政府まで入れた数字はまた変わってくるかもしれませんが、それでも連邦政府の資産はGDP比1~2%しか持っていません。あの英国ですら32%です。ヨーロッパの中で比較的高いと言われるあのイタリアでも77%です。GDP比で140%、先進国でこれほど資産を保有している国は無いのであります。もちろん、道路、河川など売れないものもあります。売れる実物資産もございます。取り敢えず12兆円売るという計画を私が政調会長のときに制度がスタートしたのでありますが、それ以外に金融資産がいっぱいあるのです。日銀に政府預金というのが4兆円ありますが、これも世界唯一のものであります。アメリカは5000
億円、雲泥の差であります。それとまた、現先の運用で合わせて20兆円、それ以外に金融資産、政府系金融機関を一つにすることにしまして、これは圧縮することにしましたが、それでも300兆円近くある。

 加えて特別会計の様々な実質金融運用事業をやっております。そのような金融資産をすべて合わせれば、だいたい700兆円。道路など売れない物を除いてみましても、私の見るところ500ないし700兆円ではないかと思います。そうすると980兆円の債務と申しましても差し引きするところは700兆円を引けば280兆円、売れないものを含めましてもせいぜい400兆円くらいではないかなあ。それをGDP対比で5割以下に持って行く、それが正しい考え方だと思うのであります。そして消費税増税の議論は、この経済の実態を考えれば、やはり財政再建というのは90年代前半の我が国の例に思い起こすまでもなく、まず経済を伸ばすこと、足下で0.9%年金の運用利回りが上がり、高齢者報酬が0.4%上がったって、40年後の年金予測は8万2千円も違うんです。まず経済を伸ばすこと。これがですねインフレ政策だという人の神経がわからない。いま日銀が議会も含めてヘッドも含めて福井さんの時に0%から2%だと、これが物価安定の目安だと言いました。しかし実質は0%台なのです。

 物価統計というのは上ぶれで出ますので、0.7%というのは恐らくマイナス物価です。デフレは悪くないと言うのです。まあ、小野さんの資料の中にもございましたように、おおむね欧米の物価安定というのは1から3%、場合によっては4.(テン)いくつから5%という所もある。平均すればだいたい2%台というのが物価安定の目安です。イングランド銀行アーサー・キングさんとお会いして、色々伺いましたが、これも1から3%ということで、2%台を目安に物価安定の調整をしているということでございます。日本もその程度として、そしてなおかつクラインさんの言うような3%を越えるような潜在成長率が実質成長率になるようにすれば、あっという間に4か5%の成長率になる。欧米先進国のほとんどがその水準の成長率を期待している。まあ、中国の12%成長、5年で所得倍増は論外としても、4%の成長ならば十七、八年で所得倍増する。0.7%の伸びでは100年掛かるのです。そんなの、政策と言えますか。そんな経済を実現しないで、消費税増税などと言っている、そんなことを考えて、それが日本の正しい政策などかというのは、世界の常識から言って、アホかと、馬鹿かと言われているのであります(大拍手)。

 インフレ率を例えば1から2~3%ぐらいをやっていくことが悪魔的手法だという。じゃあ、世界の主要国の経済の実態は悪魔的手法による懸念すべき状態にあるのか、そんなことを言っている国はどこにもありません。やはりインフレあって物価スタイルです。そしてまた、雇用者報酬もそれに連れて引き上げていくことが可能で、非正規を正規にしていくことも、そのことによって始めて経営者が分かることですが、可能性が出てくる。法人税も減税して海外への所得移転している、生産拠点を海外に置くと言うことも、日本は法人税40%、向こうは法人税2割。当然こっちへ持ってきたら2割課税される。それなら皆、海外へ置きます。そのお金だけでも16兆円ぐらいあるのではないかと思います。製造業ですね。それが国内に帰ってきて始めて非正規を正規にもできるわけでありまして、法人税の減税もしなければ、この国は沈んでいくということでしょう。どう考えたって、小野さんや私たちの言うことの方が正しい。声を大にしてこれからも、私も、お互い、皆さんも我々の考えを主張してゆきましょう。よろしくお願いします。終わります。ありがとうございました。」

 どうやら、綿貫氏と中川氏を同じパーティーでスピーチをして頂いたことでは、問題は起こらなかったようだ。綿貫氏や中川氏を始め多くの国会議員等の方々から一緒に主張をしていこうと言って頂き、我々は元気百倍と言ったところである。もちろん、日本経済復活の会は超党派であり、郵政選挙等、過去のことを言い出せば対立の火種はたくさんあるし、党派間の意見の違いもある。しかし、デフレを脱却し、日本経済を復活させたいという思いでは一致している。このような活動をしている団体は、日本中捜しても、どこにもない。与謝野さんのような大増税をもくろむ人が次期首相になってしまっては、日本の将来は真っ暗だ。是非、一緒に「お金がなければ刷りなさい」と、声を大にして、主張していきたいと思います。

“おしらせ”

第51回日本経済復活の会・定例会(5月21日)は紺谷典子先生です。小野盛司会長のお話もあります。読者さんもこぞってご参加ください。(神州の泉)

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受信: 2008年5月10日 (土) 23時35分

» 本当のアメリカを知ろう! [本当のことが知りたい! そして日本の未来を語りたい]
 「格差社会」、「ワーキングプア」等の言葉が定着してしまった感があますが、この日本の経済の停滞・閉塞感は偶然によってもたらされたもにではないと考えています。 以前、この国の政府は国民のための政治を行っていない!の記事で書かせて頂いたが、この国の政府は、属国傀儡政権でしかなく国民の財産を外資に提供する手助けをしているにすぎない。 自己の保身が保てて利権が確保できれば、一般市民がどうなっても良いのだ。 一連の政策騒動をみているとそうとしか解釈できない。... [続きを読む]

受信: 2008年5月11日 (日) 00時51分

» 再開二十三回目 ビジネスマンの金言、官僚の戯言 [ネトウヨの呟き 〜気ままにつれづれ〜]
 今日は他のブログの気になったところを引用して記事にしたい。手抜きだな、などと言わずに付き合っていただけると助かります。  まず、下にあげる二つのブログを参照されたい。 こちら官僚の言葉↓ http://www.amakiblog.com/archives/2008/05/08/#000864 そしてビジネスマンのお言葉↓ http://kkmyo.blog70.fc2.com/blog-entry-250.html  一つ目は官僚。  もう一つはビジネスマンのブログだ。  この二つ... [続きを読む]

受信: 2008年5月11日 (日) 21時24分

コメント

JAXVNさん、こんにちは。

>中川氏がはっきり「小泉構造改革は失敗だった」
>と明言されるのであれば信用できるし、逆にそ
>れが明言できないのなら、やはり今おっしゃっ
>ていることが正しくても、その本音は疑ってみ
>る必要があると思います。

 至極妥当なご意見です。中川氏も竹中氏も小泉
構造改革の基調路線に対して、総括をし、間違い
を間違いだったときちんと言及しない限り、信用
できません。

投稿 高橋博彦(管理人) | 2008年5月11日 (日) 17時22分

こんにちは。
「<ガソリン税>一般財源化後に「増税も」…町村官房長官

5月11日2時16分配信 毎日新聞
 町村信孝官房長官は10日、札幌市で開かれた自民党北海道連の会合で講演し、道路特定財源を一般財源化した場合の税率について「その場合は、別の理屈を立ててガソリンから税金をいただく。税率をそのままいただくのは、税の理屈から言って無理かもしれない。温暖化対策上、今の税金より高くいただくかもしれない」と述べ、税率を上げる可能性に言及した。ただ町村氏は「これからの議論だ。納税者の協力がないとやみくもに取れるものではない」とも述べた。【坂口裕彦】」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080511-00000005-mai-pol
現在の状況で、この町村氏や与謝野氏に代表される「自民党内の増税派」の主張が論外である事は確かです。では、「自民党内」でこの増税派と対立している「成長派」はどうなのか、というとやはり一番の問題は「また、ずっと積極財政を主張していた勢力を裏切らないのか?」という事になると思います。あの竹中平蔵氏とて、一時は「積極財政」を主張していた時期があったのですから。(実際wikiにはこういう記述があります。「1998年7月の小渕内閣発足により設置された経済戦略会議(議長:樋口廣太郎)の委員を務める。日本の短期経済政策には金融健全化と大胆な財政出動を伴う追加的景気政策が必要とし、内閣総理大臣小渕恵三に対し「10兆円を大きく上回る規模の追加的財政出動」などを提言した。」http://ja.wikipedia.org/wiki/竹中平蔵)。 
小泉元首相とて、自民党総裁選時に亀井静香氏と会談し、経済政策に亀井氏の主張を盛り込む事を約束する事で亀井氏の立候補を取り下げさせ、実際に当選した後はその約束を完全に反故にした、という事がありました(ところが大手マスメディアは決して小泉氏の約束違反を問題にせず、逆に「亀井氏の方が甘い」と亀井氏を揶揄しました。これも今からみれば全く奇妙な話です)。中川元幹事長に代表される「自民党内の成長派」が信用できるかどうかは、小泉政権をどう評価するかにかかっているように思います。中川氏がはっきり「小泉構造改革は失敗だった」と明言されるのであれば信用できるし、逆にそれが明言できないのなら、やはり今おっしゃっていることが正しくても、その本音は疑ってみる必要があると思います。

投稿 JAXVN | 2008年5月11日 (日) 16時47分

いかりや爆さん。

 こんにちは。同じ思いです。中川氏には一貫性
がありません。そこに不穏なものを感じます。

この人、小泉官邸主導政権の中心人物でしたからね。
あと、復党踏み絵の強行(凶行)。緊縮財政一点張り
だった以前の姿勢と今に、整合性がまったくないのです。

投稿 高橋博彦(管理人) | 2008年5月11日 (日) 12時48分

 中川秀直氏の今回の復活の会の挨拶;

 「皆さんがご一緒に勉強されていることは、私自身が常日頃主張していることと変わらない。・・・・・どう考えたって、小野さんや私たちの言うことの方が正しい。声を大にしてこれからも、私も、お互い、皆さんも我々の考えを主張してゆきましょう」と言われても、「ええー、ほんと?」という思いが強い。 

 次の衆院選挙では、自民の大苦戦が予想されている。世論調査でも、国民の経済問題に対する不満が最も高い。そこらへんの事情を勘案しての彼のご都合主義と風見鶏発言と言ったら言い過ぎですかね。


 こんなことは言いたくないけれど、

 中川秀直氏は、小泉総理の側近中の側近だったことは有名。郵政民営化に反対した造反議員に復党への厳しい条件をつけ、平沼議員の復党も阻んだ。

 郵政民営化に反対して刺客候補に敗れた城内実氏が言論弾圧などにつながりかねないと指摘する「人権擁護法案」の推進派の主要な一人である。

 昨年1月の通常国会開会式に、天皇を迎えて「天皇陛下が召集」することを忘れていた(ネグレクト?)という信じがたいチョンボをしている。

 過去に愛人スキャンダル事件で官房長官を辞任している。

投稿 いかりや爆 | 2008年5月11日 (日) 12時10分

う~むpigpig 綿貫さんの短いスピーチはまったくその
通りだと思うが、中川氏の積極財政肯定演説については複雑
と言うか、微妙である。郵政民営化の急進的推進論者で上げ
潮路線sign02

 小野会長の言われるように、過去はともあれ超党派で力を
出し合うのであれば、政治家は有言実行に徹して欲しいと思う。
で・・、正直何とも複雑な気分である。

 この記事を城内実さんのサイトにTBして良いものかどうか
迷う。cat

投稿 高橋博彦(管理人) | 2008年5月10日 (土) 23時20分

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