お金を刷る政策のシミュレーション(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第79弾です)
インフレとは、国民にお金を渡しすぎて、物の供給が間に合わなくなる現象であり、逆にデフレとは、国民に渡ったお金が少なすぎて、物が売れ残る現象である。デフレの際には、お金を刷って国民に渡さなければならないのだが、日本政府は愚かにも、逆に国民からお金を取り上げる政策を採用しているために、いつまで経ってもデフレから脱却できない。
例えば、日銀が国債を買う政策、つまり買いオペをすれば、景気は回復し、デフレ脱却でき、日本の没落は防げる。日銀が国債を買えば金利が下がる。どうしてだろうか。そもそも金利というものは、貸す人と借りる人の資金の需給バランスで決まる。国債も債券の一つで、債券を売る人(お金を借りる人)のほうが、債券を買う人(お金を貸す人)よりも少なくなれば、より安い金利で借りてもらおうと競争になるわけだから、金利の値下げ競争になる。だから金利が下がる。つまり、日銀の買いオペは、日銀という巨大な貸し手が動き出せば、金利が下がる。そして国民に向かってお金が流れ出す。
一部に馬鹿な議論がある。金利が上がれば、利子が増えて、それで国民にお金が渡り、消費が拡大し、景気が回復するという珍説だ。内閣府計量分析室に聞いてみたが、そこでもその珍説は支持していなかった。様々なシミュレーションを見ても、金利が上がると経済は間違いなく減速する。日銀からお金が流れ出したら、様々なルートでそれが国民に渡ることは、理解できるだろう。企業にお金が流れれば、賃金の改善にも繋がる。住宅ローンも借りやすくなる。確かに利子は減るが、それによる消費拡大は微々たるものであることが、証明されている。
金利が下がれば、間違いなくGDPが拡大し、デフレ脱却の方向に物価は動き、税収の増加や国の借金に対する利払いの減少のために、財政も健全化の方向に動く。デフレの際には、金利は低ければ低いほどよい。
自見庄三郎参議院議員の要請で参議院調査情報室が計算した結果は下の表のようになる。景気は良い方向に向かうし、失業率は減る方向に向かう。唯一、民間消費は僅かながら減少するが、例えば日経のモデルでは増加するとなっている。結果は微妙であり、どちらとも言えない。企業の所得は大幅に増加し、賃金は上昇するので消費は増加する可能性はある。いずれにせよ、景気は良い方向に向かうのは間違いない。
しかし、ゼロ金利にしても景気は良くならなかったではないかという人がいるかもしれない。この結果は、金利を下げた場合と、下げなかった場合の比較である。資産デフレなど、景気にとってマイナスの要素が強くはたらいている場合、ゼロ金利が、プラスの要素としてはたらいても、それがマイナスを打ち消すほど大きくなければ景気はよくならない。もっと強いプラスを持ってこなければならなかったということになる。
例えばアメリカでも、1942年に連銀と財務省が、国債の買い支えを行って金利が一定水準を上回らないような措置をとることで合意した。この結果国債の利回りは2.5%以内の水準で維持された。
金利を低く保つことは、景気をよくする効果があるだけでなく、税収を増やす。一方で国の借金を増やすわけではないから、確実に国の債務のGDP比が下げ、財政を健全化の方向に向かわせる。
逆に金利を上げれば、景気も財政も悪化する。このことを悪用して、「構造改革」をしなかったり、公共投資を増やしたりすると財政が悪化すると脅している。こんな馬鹿馬鹿しい嘘に騙されてはいけない。
2005年の内閣府の試算では、「構造改革」をしなかったら、長期金利は7%になって財政が悪化するという何の意味もない試算を行っている。金利は日銀が操作できるのであり、構造改革と直接関係があるわけでない。しかし、マクロ経済を知らない国民を騙すのには、この程度の嘘で十分だったのだろう。マスコミはこの嘘にのせられて、構造改革をしなければ金利が7%に上がるという「試算結果」を報道した。実際は、7%は試算結果ではなく、単に7%にまで金利を上げたら日本経済はどうなるかという計算にすぎなかったのだ。1%の違いで上記の表のような結果となるので、7%にまで上げれば大変なことなる事は分かりきっている。景気が悪いときに、日銀が狂ったように国民から吸い上げ、7%にまで金利を上げたら、どれだけ経済が悪くなるかという馬鹿な試算をするなと言いたい。
公共投資を増やしたときの試算でも同様だ。内閣府の試算は同時に金利を上げ、景気を冷やすようにしている。車で言えばアクセルとブレーキを同時に踏む。だからスピードは上がらない。つまり公共投資を増やしても景気はよくならず、財政を悪化させるだけだと言う。しかし、参議院調査情報室を含む、8カ所のシンクタンクの試算結果を宍戸駿太郞氏がまとめ、近く発表しようとしている。これによれば、公共投資を増やしても景気が良くならないと言っているのは、内閣府だけで、他はすべて景気はよくなるとなっている。比較のグラフを見れば、内閣府の嘘が一目瞭然だ。GDPが拡大すれば国の借金のGDP比も下がってくる。特に、日銀が資金を供給しながら、景気対策を行うと効果てきめんだ。
我々が、予算委員会等で、金利を下げながら景気対策を行えば、景気はよくなるし、しかも財政は健全化すると、内閣府の試算をもとに、追求していたら、突然内閣府は、金利の効果を馬鹿馬鹿しいほど少ないものに変えてきた。これば2007年から発表している試算だ。2006年までは、短期金利を1%下げると、名目GDPは0.91%上がると言っていたのに、2007年からは突然、0.22%しか上がらないと言い出した。GDPへの効果を、何と4分の1以下に下げて、これなら、景気対策を金利引き下げをセットでやっても駄目だと言い出した。しかも短期金利は長期金利にほとんど影響を与えないなどと言い始めたから、あきれて物が言えない。もうこれは国民を騙すためとしか言いようがない。
しかし、注意していただきたい。2011年度にプライマリーバランスの黒字化という政府目標を決めたのは、この欺瞞的なシミュレーションがすべての理論的なバックグラウンドになっているのだ。この政府目標を目指して、増税、歳出削減を強力に推し進めようとしている。これが、崖を転がり落ちている日本経済を、どこまでも落し続けようとしている。一刻も早く止めなければならない。そのためには、内閣府のシミュレーションの嘘に多くの人に理解してもらわなければならない。残念ながら、すでに内閣府から私の口封じをしようとする手が伸びてきた。私から言論の自由を奪おうとする動きだ。いつまでこのブログを続けられるか分からないが、やれるところまでやるつもりだ。
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日本に希望を与える信念の男、城内実
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