小さな政府か大きな政府か(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第86弾です)
小さな政府か大きな政府かという議論がある。マスコミは、ほぼ小さな政府を支持する方向に固まっていて、大きな政府を支持しようものなら、マスコミの常連でもマスコミには出させてもらえなくなるという憂き目にあう。マスコミは小さな政府に世論を誘導しようとしているのは明らかだ。
その中で、実際の国民の考えはどうなのだろうか。客観的な調査として、例えば2006年に北海道大学と北海道新聞情報研究所が行った「大都市圏と地方における政治意識」に関する世論調査がある。調査は北海道と東京で行われた。小さい政府の実現を目標に掲げた小泉政権の5年間で、「日本は良くなったと思いますか」という問いに対し、北海道では、肯定的な見方は32.4%にとどまり、否定的な意見はその2倍の63.2%に上った。東京でも肯定的な見方は44.3%で、否定的な見方の49.5%のほうが多かった。
「政府のあり方として小さな政府と大きな政府で、どちらが望ましいか」という問いに対しては、北海道では、大きい政府と答えた人が60.6%だったのに対し、小さい政府と答えた人は35.7%にすぎなかった。東京でも大きな政府と答えた人は52.5%であり、小さな政府と答えた人の40.1%を大きく上回った。詳しくは
http://www.global-g.jp/report200602/2-2.pdf
を見て頂きたい。
「小さな政府」が少数意見であるにも拘わらず、現在マスコミでは、極めて厳しい報道管制が敷かれている。つまり、大きい政府を支持するような意見を持つ人は絶対にマスコミで発言できない。私が話した国会議員も国民新党やその他ごく小数を除き、本当は財政拡大を支持していてもそのようなことを表向きは言えない状態になっている。実際、一言そのような発言をするとマスコミから「非国民」とでも言われそうだ。まるで戦前のような日本になってきた。
小さな政府ということは歳出削減ということだ。デフレの際に歳出削減をやれば、膨大な労働資源の無駄が発生し、そのために日本が衰退するのは間違いないのだから、この上ない危険な政策なのだ。それを唯一理論的に正当化しているのが内閣府の経済モデルだ。しかし、何度も言うがこれは大本営発表のインチキモデルなのだ。歳出拡大で国民にお金なんか渡しても経済は良くならず、国の借金が増えるばかりだという結論を出している。しかし、マクロ経済モデルの専門家は誰もがこのモデルがインチキだと知っている。シンクタンクの研究者が、それを指摘しようものなら大変な迫害を受けるから誰も口を閉ざす。私は日本がいつか民主国家になって、言論の自由が認められ、内閣府のモデルの過ちをシンクタンクの研究者が何の迫害を受けずに指摘できるようになる日を待ち望んでいる。
内閣府の経済モデルがどれだけ欺瞞的か知って頂きたい。景気対策をやって、国民にお金を渡しても、経済は発展しないという経済モデルは内閣府のもの以外には存在しない。日本を代表する8つのシンクタンクの経済モデルを集めて、内閣府のものと比べてみた。どのモデルでも、景気対策をやれば景気は良くなりデフレ脱却ができ、税収も増えるのだ。内閣府のモデルとはまるで違う結論だ。
我々は、質問主意書という形で滝実衆議院議員を通じ内閣府のモデルに関し様々な角度から追求した。総理からの答弁書はいつも同じだった。「あのモデルは誤差が大きいので使いものにならない」と言う。それなら小さな政府を推奨する理論的根拠は消滅する。
2011年までにプライマリーバランスを黒字化するという目標も、内閣府の経済モデルが理論的なベースになっている。それが誤差が大きくて使いものにならないのなら、2011年までにプライマリーバランスの黒字化という国民を苦しめる目標は撤回すべきだ。この目標実現のため、厳しく財政削減を行ったために、75歳以上の老人の医療は切り捨てられ、産婦人科医・麻酔科医も減って満足な医療が受けられなくなり、介護福祉士やヘルパーも人手不足、教育も予算不足で学力低下、地方自治体も軒並み赤字財政、公共投資の激減で、全国の橋も崩壊しそうな箇所が続出している。年金に対する国民の不安も増すばかりだ。このように国民に痛みを押しつける政府の論理は、景気対策は景気を良くしないという間違った内閣府のモデルによって裏付けられている。しかし、内閣府のモデルは、大本営発表だということは、次のグラフから一目瞭然だ。
このグラフは2002年から2008年まで(合計7回)の内閣府のモデルによる試算の結果である。GDPデフレーターの上昇の予測が示されている。7回すべて、快調にデフレーターは上昇し、このままでいけば1~2年でデフレ脱却(デフレーターがプラス)すると、国民に説明している。しかし、2002年~2007年の間デフレーターはずっとマイナスで2002年が-1.2%、2007年が-0.9%だからほとんど横ばいで、実際のデフレーターはこのグラフでほぼ水平だったわけである。内閣府が7回も国民に嘘を言った、大本営発表を行ったことは一目瞭然だ。
北大と北海道新聞の調査などからも明らかなように、国民の多くが、国は国民のためにもっと多くのお金を使えと言っている。つまり大きな政府だ。マスコミも政府もそれを無視し続けているばかりでなく、大きな政府という発言を抹殺するために、マスコミに大きな圧力を掛けている。財源はどこにあるのかと、直ぐに言うが、財源は日銀が刷った金でよいのである。それがデフレ脱却の正攻法なのだから。
国民に負担をさせることが良いことだと錯覚する人がいる。お金を刷ることは悪いことだとでも言いたいのだろう。実は、お金を刷れば、景気がよくなり、デフレが脱却でき、インフレ率も経済成長にとって最良なレベルにまで上昇する。そうすると国民がそれまで持っていた金融資産が目減りすることにより、立派に国民は負担をしているのである。これをインフレ税という。但し、資産インフレ等もあり、金融資産はインフレ率を上回る速度で上昇し、国民は実質的にはより多くの資産を持つようになる。良い政策とは、国民を豊かにすることである。デフレの際の増税など、国民負担の増大は、国民は貧しくするから悪い政策である。逆にお金を刷って国民にお金を渡す政策は、国民を豊かにするのだから、間違いなく良い政策である。
← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
日本に希望を与える信念の男、城内実
| 固定リンク










コメント
ある掲示板に「東北で首切り続出」と題して次のような投稿があった。
案の定東北大地震で経済の地殻変動が起きている。震災地域が広域に及んだだけに、東北地方の企業は猛烈な勢いでリストラを進めている。希望退職者募集や首切りの嵐だ。東北の生産年齢人口は首都圏にそのまま地震難民として移動する恐れがでてきた。首都圏経済への打撃が今後噴出するだろう。
噂に聞くところでは、東北地方の宮城を除く青森・秋田・山形の三県では地震前でも働き口を探すのは大変だったという。財務省もいい加減に目を覚まして地方に金を流すことを考えないと東北地方全体がゴーストタウン化する虞がある。財務省の役人を覚醒させて動かすことが出来るのは政治家だけなのだ。急がないと「美しい国」どころの騒ぎではない。
投稿: kenkensya | 2008年6月19日 (木) 06時55分
もう二十五年ほど前である。東京圏と大阪圏の金の流れ(フローというのかしら?)は、
2:1だという話を聞いたことがある。従って大阪圏の地価は東京圏の凡そ半分だというのが通り相場であったという。説明してくれた人が「フローがストックを決定する」とか何とか言っていたような気もする。こんな大阪圏の地価が平成バブルの時代には東京圏と比肩するまで高騰したのだから、そのバブルの大きさには今さながら驚くが、それは今回の話とは関係がない。
大阪圏の経済状況をがらりと変えたのは仄聞するところ「阪神・淡路大震災」である。この際の災害で、何兆円の被害が発生したのかは数字に疎い私の知るところではない。
しかし確実に分かるのは、当時は「自社さ」の寄せ集め政権であったから、復興資金として国が支出した金額が被害額を遥かに下回るものであったということである。
これでは大阪の経済は旧に復するはずもない。工場や商店を失った方々は二度と商売を再開することはできないし、住居を再興するのすら困難であったろうことは想像に難くない。
当然、「県民総生産」はガタ落ちしたであろうし、金の流れる量も著しく落ち込んだに違いない。どれくらいの減少であったかは数字に全く興味を覚えない私の関心外であるが、それが並々ならぬ落ち込みだったであろうことは容易に推察できる。理由としては、
第一に、私の知る人材派遣会社のうち2社が、いち早く関西で起ち上がったこと。
第二に、関西を発祥とする大手暴力団が大挙して東上を開始し、東京圏を席捲するに至ったことである。関西にいては商売にならなかったのであろう。
第三に、関西を基盤とする上場企業の多くが本社機能を東京に移転させたことである。
かくして大阪の没落は決定的となった。これは大阪の経済的基盤が沈下したことのみを意味するのではない。四百年以上にわたって連綿と培われてきた大阪の文化(例えば懐徳堂や適塾から生じた町人的合理精神)や、独自のコミュニティーが壊滅したことをも意味する。そしてこれは大小の差こそあれ「中越地震」で大きな被害を受けた新潟県にも当てはまるものと思われる。
「小さな政府」だ「プライマリーバランス」だ「財源がない」などと瑣末なことに囚われて、ケチっているとアメリカ史よりも200年以上長いかけがえのない、そして決して取り戻すことの出来ない我々の伝統や文化を簡単に喪うことになるという実例として、感慨深いものを覚える。
投稿: kenkensya | 2008年6月18日 (水) 16時53分
ちなみに米英の人口当たりの公務員数は日本より遥かに多いです。
更に言えば、米国の雇用者数で一番多いのも実は公務員だったりします。
膨大な軍事費を軍産複合体を使ってばら撒いてる米国は小さな政府じゃあないですし。
サブプラ問題での対応を見ても小さな政府や市場主義、自己責任原則が嘘っぱちであるとわかりますしね。
90年代米国躍進の本当の理由は日本を見習って政官財の癒着を強めた結果だと言う人もいますしねw
それから新自由主義に関してですが、今度のサブプラ問題で底が割れちゃいましたね。
所詮は80年代後期の日本と一緒で信用創造をもてあそんでバブルを膨らませてただけなんだと。
経済評論家の内橋氏は新自由主義とは、バブル形成と崩壊の繰り返しなんだと喝破してらっしゃいます。
内橋氏と言えば、植草氏や森永氏と並ぶ反新自由主義の評論家です。
マスコミでの新自由主義論者の台頭とケインズ主義者に対するパージの中でもかろうじて生き残ってる数少ない評論家の一人ですね。
植草氏やクー氏が姿を消した今は森永氏と内橋氏くらいしか居なくなっちゃいました。
毛色は違うけど金子氏も反新自由主義かな?
あの慶応の教授と言うのが引っ掛かりますが。
今の日本のメディアはさしずめ新自由主義者によるファシズムでしょうか。
戦前・戦中の共産主義弾圧がケインズ主義弾圧に替わったような印象ですね。
それから小さな政府礼賛は中学校の教科書にも載ってるそうです。
中学生の内から刷り込むつもりなんでしょう。
ゆとり教育導入と言い、文科省も狂ってますね。
中曽根以降、本当におかしな国になって来ました。
改めて旧田中派、旧経世会の政治の良さが思い知らされましたね。
メディアの刷り込みで完全に潰された感はありますが復活する事を祈ってます。
投稿: ななし | 2008年6月17日 (火) 05時20分
小さな政府、
そんなに小さな政府が必要なら先ず国会議員先生方、手本を示してください。一般企業はこの十年間で、リストラと称してして1700万人以上の非正規雇用者を生み出しました。
次は国会議員先生方、あなた方自身がリストラする番です。議員先生方、痛みを国民とともに分かち合いましょうよ。
衆議院議員数は今の半分か三分の一で充分でしょう。さしずめ、郵政民営化に賛成票を投じた売国議員は不要です。
アメリカの人口3億人に対して、アメリカ議会上院は僅か100名です、下院でも435名ですから、どうみても日本の国会議員は多すぎる、半分か三分の一が妥当なところです。
なんでもかんでもアメリカの真似したがるじゃないですか。議員数を減らすことだけはノーですかね。
国会議員一人当たりコストは約3億円かかるといわれています。衆議院議員を仮に半分にすれば、約700億円、三分の一にすれば約一千億円が経費削減になります。役立たずの議員が少しでも減れば、いいことずくめじゃないですか。
国民から、議員数を減らせという声が盛り上がれば、彼らがどういう反応を示すか興味深い。
投稿: いかりや爆 | 2008年6月16日 (月) 21時20分
天木氏も言ってますが米国下院でブッシュ弾劾決議可決、日本メディア伝えず。
投稿: 浅学非才 | 2008年6月16日 (月) 20時17分
管理人さま、植草氏とB・フルフォードさんの対談があるそうです。急ぎお知らせします。
http://benjaminfulford.typepad.com/benjaminfulford/2008/06/%E6%A4%8D%E8%8D%89%E4%B8%80%E7%A7%80%E5%85%88%E7%94%9F%EF%BD%96%EF%BD%93%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E5%AF%BE%E8%AB%87%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.html
投稿: 吉祥天 | 2008年6月16日 (月) 20時09分
ローリングソバットさん、こんにちは。
おっしゃること同感です。税の高負担ですが
けっして高福祉ではない。それどころか、福祉
切捨てが顕著になってきています。
正統な国家観が国民と為政者に認識されていな
いために、国民の労働成果がうまく再配分されな
い社会に切り替わっています。安倍さんたちがお
こなった急進的愛国運動は、この状況をごまかす
ためのものでしかありません。ネオリベを急激に
進めて、それを誤魔化すための愛国心醸成にほか
ならない。要は米国の傀儡国策なのです。
正統な国家のグランドデザインを早急に提示し
ませんとこの国は崩壊でしょう。本当の意味での
自立自尊国家を目指すことでしか解決の道はない
と思われます。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年6月16日 (月) 15時33分
税の高負担しかし高福祉というのが「大きい政府」です。
となると、日本は高負担、低福祉だから「どこかにお金が流れている政府」なのです。だから「小さい政府」を目指すのもいいでしょう。しかし、現状は「大きい政府」ではないという認識を持つのが大前提です。
ちなみに昨今の急激な愛国心教育というのは、ここらあたりで政府にモノ申す人を少なくするために考え出したのではないでしょうか。
投稿: ろーりんぐそばっと | 2008年6月16日 (月) 15時14分
みなみ様
はじめまして。ブログ開設おめでとうございま
す。植草先生のこともよろしくお願いします。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年6月16日 (月) 10時51分
いつも楽しく拝読しております。最近の植草問題に刺激されてブログを始めてみました。よろしくお願いします。小さな政府か大きな政府かの問題も、大変、大事な問題ですね。
http://minami4669.blogspot.com/
投稿: みなみ | 2008年6月16日 (月) 09時43分
国民の要望は“大きな政府”の声が大きいのに、それを無視する政府は、日本を不景気にして、福祉や医療をどんどん駄目にしていく強い意志を感じる。丹羽春喜氏の言い方をすれば反ケインズ思想派の謀略だ。国民に寄与しない方向性を持つ“小さな政府”論は、フリードマンを筆頭とするシカゴ派経済学派によって流布された新自由主義だ。自民党や公明党は「構造改革」というネオリベ体制を維持しようとして躍起である。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年6月15日 (日) 23時55分