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2008年7月27日 (日)

内閣府による口封じに抗議する(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第102弾です)

 国の借金が増えたから、日本経済は今にも破産しそうだという珍説がある。何年か前、そういった説を唱えるブログに私が入り込んで徹底的に反論したことがある。そうしたら、大混乱が起き、これではブログが維持できないから、小野さんは別なところで反論してくれと泣きつかれた。白旗を揚げたのだ。

 本当に日本政府は愚かというしかない。国の借金が気になってしょうがないのなら、日銀が借金を買い取れば、簡単に解決することなのだから。バーナンキFRB議長やノーベル経済学賞を受賞したクラインやサミュエルソン氏などは口を揃えて、日銀に国の借金を買い取らせよと言っている。

 私は、どうしても国家破産説を唱えている思考構造が理解できない。どこで間違えているのか調べてみようと思い、一冊本を買ってきて読んでみた。著者は通貨発行権の事は知っているようだ。彼の主張は、日本は間もなく国家破綻をする。通貨発行権を行使すれば、ハイパーインフレになり、国債が紙くずになり、国民の金融財産が一挙に失われるという説のようだ。マクロ経済が全く理解できない悲しさだ。テレビに出演する解説者も、同様なレベルなのだろう。それではお金を少し刷ったらどうなるのかと聞けば、きっと彼は「少しぐらいでは全く効果がない」と答えるに違いない。では刷るお金を徐々に増やしていったらどうなるかと聞けばどう答えるか。あるところで一気にハイパーインフレになると答えるだろう。つまり、世界中たいていの国で1~3%程度のインフレ率を実現しているが、日本だけはデフレかハイパーインフレしか絶対にあり得ないのだ。

 どうしてそうなのか。それは国家破産と言わなければ、彼の本は売れないし世間は注目してくれない。名前を売るには、どうしても国民を恐怖に陥れる必要があるのだ。オーム真理教もそうだった。ハルマゲドンで信者を脅し、金を巻き上げた。

 適度なレベルの財政出動が日本を救うという計量経済学の結論を教えても、全く彼には理解できないのだろう。第一、財政出動の規模が少ないときは、全く効果が無く、ある程度財政出動の規模が大きくなったとき突然ハイパーインフレになるという経済モデルは作ることはできないし、全く現実離れしている。ハイパーインフレ説を唱える人は、計量経済学が全く理解できない人だ。残念ながら、こういった愚かな人たちによって世論が間違えた方向に誘導され、それが日本経済の衰退につながっている。1989年末には株式時価総額で14もの日本企業が世界20位までに入っていた。今日の日経によれば、現在の最高はトヨタの21位だそうだから、20位までに入っている日本企業はいなくなった。

 政府は一見するとこの愚かな連中と同様な主張のように見えて全く異なる見解を持つ。政府は国債を売っている立場だから、国家破産など絶対に言えない。しかし増税と歳出削減を主張したいために、「財政が厳しい」と言い、一方で国債を売りたいから国債は100%安全であり国家破産は100%無いと言う。では、誰も国債を買わなくなったらどうするのかと聞けば「最悪の場合は日銀に買ってもらう」とは答えないが、本音ではそう思っている。口をすべらして本音が出たら、きっと国民から、日銀に買ってもらえるなら財政は厳しくないではないかと言われるに違いないから大変だ。本音が言えない苦しい立場では、結局、財政出動をしても効果がないが、財政出動をしなくても、一気に景気がよくなるという、現実離れをしてインチキ経済モデルを国民に提示せざるを得なかった。そして「2011年度に基礎的財政収支を黒字化」という非現実的な国家目標を掲げることになった。

 私は、内閣府のモデルが如何にインチキであるかを分かりやすく説明し、質問主意書という形等で徹底的に追求した。マクロ経済モデルの専門家の集まる研究会が日本経済研究センターで開かれている。昨年私は、それに参加した。内閣府からも出席者があり、彼らのモデルの説明があり、私はそのモデルに対する疑問点を指摘した。どうやら私の追求は、内閣府には相当こたえたらしい。今年は内閣府が研究会の主催者に対し「小野盛司を参加させるな」という命令があったようだ。私は出席を許されなかった。これは憲法に保障された言論の自由を奪うものであり、厳重に抗議する。小野盛司の口封じをして、それで日本経済が良くなると言うのだろうか。内閣府が自らの経済モデルが正しいと思うなら、このような手段で言論の自由を奪うのでなく、堂々と反論すればよいではないか。質問主意書の答弁書はいつも「誤差が大きいので使い物にならない」というだけだ。使い物にならないような経済モデルを使って「2011年度基礎的財政収支黒字化」というような、とんでもない国家目標を作ったのはどう考えてもおかしい。

 本日(7月27日)TBSの時事放談でも民主党の岡田克也氏がこの事に関して間違えた見解を述べていた。政府の方針は

①まず2011年度に基礎的財政収支の黒字化を実現する。
②その後で、国の債務のGDP比を下げていく。

 である。寝ぼけ眼でテレビを見ていたので正確かどうか分からないが岡田氏は「黒字化は歳出削減をしても、やるべきだと思う。しかし、国の債務のGDP比を下げるところまでは、歳出削減だけでできるかどうか分からない。増税が必要になるかもしれない。」と言ったように思う。ほとんどの政治家と経済評論家は同様な事を言う。これはマクロ経済を全く知らないことを証明している。つまり②は①より難しいと考えているようだ。

 これは完全な間違いである。国の債務のGDP比を下げることは基礎的財政収支の黒字化の後でないとできないと勘違いしているからお笑いだ。しかし、すでに国の債務のGDP比は下がりつつある。内閣府のモデルでも、この傾向は今後数年間続くという結論を出しているのだ。これだけ重要なことを、次回の民主党の党首になるかもしれない人が知らないとは!!更に重要なことは、基礎的財政収支を黒字化しようとして歳出削減をすると国の債務のGDP比が逆に増えることが内閣府のモデルで示されている。それから、2011年度に基礎的財政収支の黒字化が実現しそうな幻想を与えているのは、単に内閣府のモデルが大本営発表であって、国民を騙すためにそのように作られているからに過ぎず、2011年度が近づくにつれ、徐々にその馬脚が現れつつあることはすでに述べた通りだ。

 政治家も経済評論家も是非これらのことを勉強して欲しい。真実を隠すために小野盛司の口封じをするだけでよいのか。本当に日本経済を復活させるには何をすべきか、今こそ真剣に考えていただきたいと思う。本来なら、マクロモデルを研究している専門家が内閣府のモデルを自由に批判できる環境が望ましい。しかし、そのような専門家はシンクタンクに属しているし、それらのシンクタンクには政府から調査研究費として多額の現金が流れており、少しでも批判をしようものなら、ばっさり金の流れを着られてしまう。つまり、政府のモデルがインチキだと知っていながら、全く批判ができない、つまり言論の自由を奪われているのが現状だ。日本経済を復活させるには、言論の自由を取り戻し政府による口封じを止めさせなければならない。

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コメント

こんにちは。たびたび失礼します。
> このフォーラムですが、内閣改造の影響はないのでしょうかね。内閣改造が4日に行われるとした場合ですが。

高橋さん、その点は私も気になっている所です。本日(7/31)の新聞は「今日内閣改造を決断」と伝えています。まさか、この公開討論潰しのためだけに内閣改造をするとも思えませんが。

投稿: JAXVN | 2008年7月31日 (木) 05時49分

JAXVNさん、貴重な情報をありがとうございまし
た。このフォーラムですが、内閣改造の影響は
ないのでしょうかね。内閣改造が4日に行われる
とした場合ですが。

投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年7月30日 (水) 23時22分

こんにちは。
大田経財相と宍戸駿太郎教授の公開討論が行われる「第35回ESRI-経済政策フォーラム」が正式に発表されました。参加者も募集しています。130名先着という事です。
「第35回ESRI-経済政策フォーラム
「経済政策とマクロ計量モデルの活用」の参加者募集

平成20年7月29日
内閣府経済社会総合研究所
内閣府計量分析室

以下のとおり、第35回ESRI-経済政策フォーラム「経済政策とマクロ計量モデルの活用」を開催いたしますので、参加を希望される方は、E-mailまたはFAXにより事務局までご応募願います。」
http://www.esri.go.jp/jp/forum1/080729/boshu35.html

投稿: JAXVN | 2008年7月30日 (水) 17時17分

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