« 公的年金の運用で損失が昨年度5兆8000億円(小野盛司) | トップページ | 江戸時代にあった「水系一貫の思想」 »

2008年7月 6日 (日)

シンガポールにまで抜かれた日本(小野盛司)

    (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第95弾です)

 かつて、世界で最も豊かな国の一つであった日本だが、デフレを放置しておいているため、没落が止まらない。昨日(7月5日)の日経によれば、2007年の一人当たりのGDPでシンガポールにも抜かれたようだ。これはIMFの調査結果だ。 25年間で、日本の一人当たりのGDPは3.9倍にしか増えていないのに、シンガポールは10.1倍、韓国は5.6倍になっている。

 シンガポールは07年課税分から法人税を2%引き下げ18%に低減。所得税も最高税率20%で、相続税もない。日本では将来世代につけを残さないためには、増税することが、不可欠であるかのように語られるが、それは全くの逆だ。国が国民からお金を多く取りすぎているから、満足な経済活動ができなくなって、どんどん貧乏になっていく。アジアの国々でも賢明な指導者がいれば、税率を下げ、経済を活性化し、豊かになっていく。どちらが将来世代のために貢献しているかを冷静に考えて欲しいものである。

 日本は世界で最も豊かな国の一つであった時代は終わったにせよ、アジアでは最も金持ちの国だろうという甘い幻想は捨てた方がよい。今の政府が行っているデフレ下での緊縮財政が続くなら、日本国民がどんなに長時間働いて、どんなに頑張っても、果てしなく日本は貧乏になるのであり、そのうちアジアの国々までが、あわれむほどの惨めな国になってしまう。木村剛の『投資戦略の発想法』から少し引用する。アジア各国における上場企業の時価総額を2007年11月16日時点で比較してある。

 鉄工業では、韓国のポコスがナンバーワンです。第二位が新日本製鐵で、第三位は中国の宝山鋼鉄。日本国内では第二位のJFEホールディングは四位にすぎません。化学ではトップは信越化学、第ワンの南亜プラスチックが第二位で住友化学や三菱化学を上回っている。

 インターネットでは、日本のヤフーの後塵を拝していますが、中国のアリババ・ドット・コムが急成長しています。そして、韓国のNHNや、中国のテンセン・ホールディングが楽天を抑えています。

 移動体通信の分野では、中国の中国移動通信(チャイナモバイル)はNTTドコモの5倍を超える巨大企業であり、世界一の加入者数を誇っています。鉱業をみると、国債五社が再編・合併により設立された中国の中国アルミは、住友金属鉱山をはるかに上回り、アジアトップに君臨していますし、製糸業でも、中国の九龍製紙が、日本最大手の製紙メーカーである王子製紙と第二位の日本製紙を足し上げた以上の規模を誇っています。

 造船が強いのは韓国。三井造船の上には、韓国の五社以外にシンガポール、中国の企業が陣取っています。金属では、インドのスターライト・インダストリーズ、中国の江西銅業に次ぐ第三位に日本精工がなんとか入っている現状です。航空会社では、中国国際航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空、中国東方航空の次にやっと全日空が入る。ホテル業界で日本でトップの帝国ホテルは、アジアでは第十位以下。

 というわけで、アジアの中でも次々と抜かれている現状が分かる。日本経済を衰退させたのは、政府の経済政策の失敗であることは言うまでもない。その失敗の原因となった判断ミスは、内閣府の経済モデルによる試算結果にあった。内閣府は自ら好んであのような欺瞞的な経済モデルを作ったのではないだろう。誰かに命じられてインチキモデルを作ったに違いない。それが誰かは分からないが、財務省なのか、小泉元首相なのか、竹中元大臣なのか、デフレ下の緊縮財政を主張した誰かだろう。あれは馬鹿なモデルだという証拠の一つとして、宍戸駿太郞氏のまとめたグラフを紹介したい。これは個人所得税を減税した場合GDPがどれだけ伸びるかを示したものだ。

Photo_3

 所得税減税をして国民に金を渡しても、たいした効果はないと言いたいのが良く分かるだろう。実際は、他のシンクタンクは内閣府の2~3倍の景気刺激効果を認めている。政治的圧力無しに、過去の経済データに忠実にモデルをつくるとこうなるのだ。

 国をどんなに貧乏にしてもよいから増税をして財政を立て直そうとしている政府。増税をしても、それほど景気は悪くならないからと言いたいのだ。これを国民不在と言わず何と言おう。国の借金が増えたから財政が厳しいという。しかし、通貨発行権を持っている国にとって借金は何の意味もない。お金を刷れば借金はいつでも返せる。国は通貨発行権を放棄し、国の借金を返すことを最優先するのでなく、経済と国民を最優先して経済政策を行っていただきたい。

人気ブログランキング ← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
城内みのるさん応援サイトへ
日本に希望を与える信念の男、城内実

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/141377/41749788

この記事へのトラックバック一覧です: シンガポールにまで抜かれた日本(小野盛司):

コメント

こんにちは。たびたび失礼します。
「首相「補正予算編成」に含み(産経新聞)
2008.7.1 22:04
 
 福田康夫首相は1日夜、原油高対策などへの対応として与党内で要求が高まっている補正予算編成について「状況をみて判断する。今、そういうことを申し上げる時期ではない」と述べ、可能性に含みを残した。首相官邸で記者団の質問に答えた。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080701/plc0807012205011-n1.htm

安二郎さん、どうもありがとうございました。さすがに、「補正予算を編成しろ」という声は与党内からもあるようですね。それにしても、福田首相の「他人事口調」はあいかわらずのようですね。今は明らかに「緊急事態」です。「状況をみて判断する。」なんて悠長な事を言っている場合ではないはずなのですが。

投稿: JAXVN | 2008年7月 8日 (火) 05時47分

福田内閣は補正予算の編成を指示しましたよ、二週間前の事です。
詳細は不明ですが間違いありません、ツーレイト、ツーリトルのそしりは免れないところですが、推移を注視したいところです。

投稿: 安二郎 | 2008年7月 6日 (日) 22時44分

cameramanさん、こんばんは。

 小泉氏は遺族会の票田を念頭に置いて参拝した
と思いますが、知覧の特攻記念館では、特攻隊の
遺書に涙しているんですね。涙は役者でも出せま
すが、その涙が真性のものだったら、ブッシュに
あそこまで阿諛追従することはありえませんから
ね。面従腹背ならまだしも、自衛隊のイラク派遣
では間髪入れずに支持表明しました。あれが醜い
隷従心でなくて何でしょうか。

投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年7月 6日 (日) 22時43分

kenkensyaさん、こんばんは。

 基本的に多神教である日本の宗教土壌では、一
神教とは違っていて、宗教様式や異教(この場合
は神道や仏教以外という意味ですが)には寛容で
す。これこそが日本の特質であり、一神教世界か
ら見れば、堕落の典型です。その日本人が同じ日
本人の靖国参拝に違和感を感じること自体がちょ
っと考えると奇妙です。

 おっしゃるように、日本人は宗教的行為には寛
容さを持っていても、神社境内で政治的意図から
参拝パフォーマンスする輩に対しては、一神教徒
以上に強い嫌悪感を持つかもしれません。ハレ、
ケ、ケガレの感覚で言う“ケガレ”に対する鋭敏
さですね。おそらく政治的意図を見透かした上で
の違和感なのでしょう。

投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年7月 6日 (日) 22時36分

小泉氏がどう思っているか判りませんが、遺族会は自民党支持団体中で最大の組織と聞いています。宗教、英霊 云々とは別次元の問題だと、私は理解しています。

投稿: cameraman | 2008年7月 6日 (日) 21時58分

>彼の英霊崇拝は何だと思うかもしれませんが、これこそ、彼の反日ルサンチマンをベールに包むための“偽装”にほかなりません。

私たちは、宗教団体や宗教教義については鈍感ですが、それを信仰する人間の信仰心や信心の誠実さについては極めて敏感なのではないでしょうか。つまり当該宗教団体や宗教教義が自分の通念に著しく反しない限り、それを信仰する他人の内心を瞬時に感じ取ることによって、その宗教に対して、いかがわしさを感じたり、それを肯定したりしているのかもしれません。
ここで確認しておかねばならないのは靖国神社に対して私たちの一般通念は明らかに、これを許容している。日本でこれをハナから受け入れられない人間は極めて少数であろうと思うのです。初詣を見れば分かると思うのですが私たちの神社信仰は、かなり根深いものがある。それは遺伝子にしっかり組み込まれていると考えられるのです。
となると靖国参拝否定派の心情的根拠は実は、それを参拝する政治家に信仰心以外の何か納得できない功利心や政治的下心が簡単に透けて見えるため、これを嫌悪するところにあるのではないでしょうか。
私が、斯様な考えを抱くに至ったキッカケは、李登輝元台湾総統の靖国参拝をテレビで視て目頭が熱くなる感動を味わったことでした。如何なる靖国反対派もあれを視てつべこべ文句を言うことはないだろうと思わせるようなオーラが伝わってきたのです。
そして同時に、普段は靖国神社について全くのノンポリ(?)である自分が小泉政権時代、
何故、毎年々々夏になると不快な感情を小泉首相や靖国神社に抱いたのかが分かったように思えたのです。現実にあれだけ某宗教団体とべったりと関係しながら「誠の祈りを奉げてきました」と、シャーシャーと言ってのける小泉首相の鉄面皮に政治的能力の高さを感じたものです。彼が首相になる前には二回しか靖国参拝を行ったことがない(おそらく派閥のお付き合いだった)ということを知ったのは随分、後でした。

投稿: kenkensya | 2008年7月 6日 (日) 20時37分

JAXVNさん、こんにちは。

>「小泉純一郎氏は古くから自民党内で「日本は
>アジアの片隅で、貧しく、ひっそり、小さくな
>って生きるべきだ」と述べていたそうです。」

 私もその話は聞いたことがあります。
ソースを探しても見つからないということは、構
造改革派にとって都合が悪いから、ネットから消
されているのでしょうかね。小泉氏が、日本がア
ジアの片隅で、貧しく小さくひっそりと生きるべ
きだと言うのは、現代物質文明の大量生産・大量
消費をやめて『清貧の思想』に歩むという文脈な
ら理屈も通るのですが、現在の格差社会傾向、デ
フレ固定化傾向の日本を意味するのなら、明らか
に強い反日的怨念の文脈になります。

 要するに日本を国際格差、特にアジア極東地域
において最も貧乏になるべき国だということにな
ります。この文脈だとすれば、明らかに半島系、
支那系が反日の根拠に置いている、欺瞞の歴史認
識による日本観でしょうね。しかし、そうだとす
れば、小泉構造改革の国家毀損性格の理由が明確
にわかるのです。

 つまり、アメリカは日本の国力増大を押さえるた
めに二重になった分割統治を行なっています。一
つはアメリカの傀儡(くぐつ)になった日本人に
よる国政遂行です。たとえば年次改革要望書をス
タンダードとする構造改革派です。もう一つは日
本をアジアの最貧国にしたいという強い願望を持
って、反積極財政方向に動く半島系、支那系勢力
でしょうかね。

 小泉氏の深層意識は熾烈な日本破壊願望だと思
わざるを得ません。ならば、彼の英霊崇拝は何だ
と思うかもしれませんが、これこそ、彼の反日ルサン
チマンをベールに包むための“偽装”にほかなりませ
ん。

投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年7月 6日 (日) 16時24分

こんにちは。
今年の通常国会の冒頭で「もはや日本は経済大国ではない」と言ったのは大田経財担当相でした。以前にも言われた事ですが、改めて「それはその通りかもしれないが、一体なぜなのか分かっているのか?「小泉構造改革」の結果という事以外に考えられないだろう。人事のような事を言っているが、すべて、大田氏自身も含めた「改革派」の責任じゃないか。」と言いたいです(宍戸俊太郎氏と大田大臣の討論会の際には、ぜひ宍戸氏にそう言ってほしい所です)。
現在12営業日連続での株価下落等、景気後退は誰の目にも明らかになっています。今までなら必ず与党内から「補正予算等、何らかの景気対策を行うべきだ。」という声が上がっていたと記憶しているのですが、今の所与党内からは誰一人そのような事を言う人は現れていないようです。それどころか、福田総理や竹中元総務相は「対策は無い。我慢するしかない。」と堂々と公言しています。野党でも緊急経済対策を主張しているのは国民新党だけのようです。むしろ、日本がどんどん貧乏になる事を望んでいるかのようです。
そういえば、ケーキ屋さん管理の掲示板「経済を知らずして愛国を語るなかれⅣ」に、高村外相の話としてこのような記事が載っていました。
「小泉純一郎氏は古くから自民党内で「日本はアジアの片隅で、貧しく、ひっそり、小さくなって生きるべきだ」と述べていたそうです。」
http://9107.teacup.com/cakeyachan28/bbs?BD=3&CH=5&M=ORM&CID=152
私は他にソースが無いかどうか探したのですが見つかっていません。いくら小泉元首相でもそこまで言うだろうか、という気もするのですが。

投稿: JAXVN | 2008年7月 6日 (日) 15時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)