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2008年8月 4日 (月)

景気対策について(小野盛司)

  (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第105弾です) 

 福田改造内閣が動き始めた。朝日新聞の世論調査では内閣支持率は横ばいの24%、その他の世論調査でも、少し上昇したものもあったが、低迷を続けていることが分かった。これでは衆議院選で勝てないと思ったか、何と景気対策・財政出動と言い出した。「構造改革」という言葉が消え、「補正」、「減税」といった言葉が出てくるようになった。改造前は、景気対策は否定し続けていたのだが、やっと誤りに気付いたのだろうか。与謝野氏や伊吹氏の消費税増税の主張が影を潜め、拡大路線に移行するということなら大歓迎だが、まだ喜ぶのは早すぎるだろう。

 大規模な財政出動をやりなさい。国債発行額を増やしても、それは次世代へのつけにならず、GDPが増大するために、むしろ国の借金のGDP比が減るのだから、事実上お金を刷っていることと同じだというのが、我々が繰り返し述べていることだ。

 それとは別の景気対策を提案してみよう。私の提案は、1999年に発行された地域振興券の改良版である。消費税還元商品券と名付ける。日本人なら誰でも一人当たり105万円分の商品券を100万円で買えるようにする。もちろん、欲しくない人は買わなくても良い。例えば車を買おうか買うまいか迷っている人は、105万円の商品券が100万円で変えるのだから、5万円分割引で車が買えることになり、今のうちに車を買っておこうとするだろう。それ以外にも、以前から買いたいと思っていたのだが、買い控えてしまっていたものがある人は、これを機会に買うだろう。この商品券は買った日から6ヶ月間有効で、釣り銭を出すことが禁止され、額面以上の買い物をすることが義務付けられる。

 確かに、5万円分は国の負担となるのだが、105万円の消費がされれば、国は消費税も受け取れるし、消費が伸びれば、法人税や所得税も伸びるから、実質的には国の負担は少なく、負担どころか税収が増える可能性もある。GDPは確実に伸びる。消費者にとっては、消費税を国に還元してもらった形なので、これを喜ばない人はいないだろう。もちろん、100万円は使わないが、20万円なら使うという人なら21万円の商品券を20万円で買えばよい。誰もが何らかの形で消費税をタダにしてもらったことに相当する恩恵を受ける。商品券は1万円を単位としたらどうだろう。これなら国もつけを次世代に残すのではないかという心配はする必要は無いだろう。内需拡大は間違いない。

 話は変わるが、8月1日に世耕弘成氏の政経セミナーに参加させて頂いた。彼は日本経済復活の会の顧問を引き受けて下さっており、いつもセミナーには参加させていただいているのだが、彼の歯に衣着せぬお話しで、政界に何が起きているのか良く分かる。特に、一方的に他党の批判に終始せず、むしろ身内の引き締めを呼びかける所など、好感が持たれる。さすが世耕さんだと思う。戦略家であり、選挙ではいつも圧倒的な勝利を収める所以だろう。それだけに彼に警戒する人も多い。いつもたくさんのアイディアを持ち、実現のために果敢に行動を起こす。これだけの政治家は少ないし、いずれ彼が中心になって日本経済の復活のための政策が断行されることを期待している。

 彼の話の多くは好感が持てたのだが、若干気が付いたことがあるので、その点を書いてみよう。

①民主党の小川議員と共に1週間ヨーロッパに視察旅行に出かけたとのこと。ドイツのCDUとSPDの大連立の話をされた。これを見本に日本でも自民と民主の大連立を模索するのは全く正しい選択だと思う。そうでもしないと何も決まらない。もっとも、そういった大連立により、景気対策の芽が摘み取られるのであれば、何にもなりませんが。世耕さんは、東ドイツの併合に生じた負の遺産とドイツの財政再建の話をされた。ドイツは財政再建のために増税を行い、また労働時間の短縮により多くの労働者に仕事をシェアした結果失業率が8%にまで下がった。これを日本は見習うべきなのだろうか?

 ちょっと待って下さい、世耕さん。日本とドイツは状況が全く違うのです。日本は1994年以来デフレが続き最悪の経済状況にありますから増税は最悪の政策です。ドイツはデフレではありません。2007年の名目成長率は日本が0.6%なのにドイツは4.5%です。更に違うことは、ドイツはEUという枠組みの中にあり国境も開放されており、通貨もユーロとして共通のものを使っています。EUを日本に例えれば、ドイツは国内の一つの県(例えば千葉県)のようなものです。例えば日本の中で千葉県だけが、県債を乱発し、どんどん借金をして、金を使いすぎることは許されないことは明らかです。千葉県が独自の通貨を刷ることも許されません。赤字が度を超すと債権管理団体に指定されてしまう。

 もちろん日本は、独立国であり、誰に気兼ねをすることなく、自由に通貨を発行できる立場にあります。ですから、日本経済を考えるときは、米国の中の一つの州とか、EUの中の一つの国の経済と比較するのでなく、通貨を自由に発行できる完全な独立国と比べなければなりません。多くの人の判断を誤らせたのは、EU諸国が赤字減らしに専念しているのを見て、日本も同じ事をやらねばならないのだと誤解したことにあります。EUのような経済共同体の中の一国であれば、EU全体がデフレ経済でない限り、一国だけがデフレに陥るということもあり得ないでしょう。一国がお金が足りなくなってデフレになれば周りの国からお金が流れ込みますから。

 ②世耕さんは、埋蔵金等を使って財政出動を行う話をされた。3年間で50兆円出せるということだった。政府で現在検討している財政出動も埋蔵金を使う話のようだ。しかし、これには要注意である。埋蔵金と言っても現金の形で金庫で眠っているというより、株式や国債等の形になっていることが多い。それらを売ればどうなるかと言えば、巨額な売りということだから、株価を下げ景気に悪影響を及ぼすし、国債を大量に売り出すと、長期金利が上がり、やはりこれも景気を冷やす。郵政民営化で郵便局が国債を買わなくなり、しかも埋蔵金の国債まで売られるとなると、どこが国債を引き受けるのかと言うことになる。日銀すら、国債を売って保有額を減らしつつある。残るは年金しかないという理由で社会保険料を値上げし、年金支払額を減らし、捻出したお金で国債を買うなどというシナリオは国民にとって最悪だろう。国民は国の借金のために社会保険料を払っているのではない。そう考えると、埋蔵金として眠っている国債を市場で売るというのは、あまり褒められた政策とは言えない。もちろん、日銀に買ってもらうということなら大変素晴らしい政策ということになりますが。

 結局八方塞がりということになるのだが、一番大切なことを忘れていませんかということだ。デフレというお金が消えていく病気から日本経済を復活させようと思えば、何らかの形でお金を増やし、それを実体経済へ注ぎ込まねばならないわけだ。つまりお金を刷ることだ。それは個人でも企業でもできない。唯一できるのは日銀だ。日銀が市場から国債とか株式とかを買えばよいだけだ。それなら何の害もない。カラカラに干上がった畑に恵みの雨が降るようなものだ。日本経済にとってこれ以上の政策は無いのだ。

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投稿: ハケン太郎 | 2008年8月 5日 (火) 02時57分

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