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2008年8月31日 (日)

アラブ世界の対日意識は変わったのか?

  アフガニスタンで、NGOペシャワール会の伊藤和也さんが暴徒に拉致され、殺害された。冥福を祈るとともに、ご遺族のお気持ちにご同情申し上げる。きな臭い政治情勢とは無関係に、真摯な支援活動を行っている真面目な青年が、このようなむごい殺され方をするのは、いたたまれない思いである。

 大雑把なことしか言えなくて忸怩たる思いもあるのだが、伊藤和也さんの訃報に接し、日本とイスラム世界との関係が基本的なところで変質したことを強く感じる。私事ながら、私は28歳当時、七ヶ月ほど、サウジアラビアというイスラム国家で仕事をしたことがある。仕事は大型石油プラントの建設工事であった。そこでは仕事柄、周辺のアラブ諸国から出稼ぎに来ていた多くのアラブ人と交わった。彼らはアラブ語以外に言葉が通じず、最初は身振り手振りで意志を伝え、何とか現場の作業に持っていくことが、そうとうに大変な思いであった。それでも、毎日一緒に行動し、彼らから習い覚えた稚拙極まるアラブ語を使って意思疎通しているうちに、お互いの気心が知れて、かなり打ち解けてきた。

 初めて海外生活をしたのが、イスラム諸国のうちでも、最もイスラム戒律が厳格なサウジアラビアだった。私は彼らとコミュニケーションして、ほとんど内容はわからなかったが、彼らがコーランという聖典に帰依する気持ちの強いことに驚いた。彼らは生活や仕事の中心がアッラー一筋であった。仕事中も、時間が来ると彼らはお祈り用のカーペットを現場に敷いて、メッカに向かって礼拝する光景は強烈だった。日本人や欧米人は国家の法律と宗教は別物であるが、彼らは宗教法典そのものが法律であり、生活指針なのだった。私は他の日本人とともに、イスラム一神教の異邦性に対峙して、大きなカルチャーショックを受けた。そういう中でも、荒涼たる砂漠の生活は彼我の文化の違いを私なりに考えさせてくれた。

 日本人は各家庭に仏壇があり、神棚がある。また、旅行に行けば当地の神社にお参りする。そこの祭神が何であるか、いっこうにお構いなくお参りする。生まれながらに多神教アニミズムの中で育ち、唯一の神だとか、異教の神だとかいう概念を持たない日本人が、厳格なイスラム戒律の国へ行くこと自体が、非日常的な異邦世界との接触であった。しかし、私は何十人かのアラブ人と浅い交流をしてみて、興味深いことに気が付いた。それは彼らが日本については、ほとんど知らなかったが、日露戦争についてはよく知っているということであった。ある年配(当時五十代)のイエメン人は、幼い頃から祖父や父に日露戦争のことを聞かされていたそうである。彼はかの有名なアラビアのロレンスについても、祖父からいろいろ聞かされたそうである。それについては私はほとんど理解できなかった。ただ、彼が熱く語った話は、日本が蛮国ロシアに立ち向かった英雄であるという賞賛の内容だった。ロシアと国境を接する領域にいたトルコ人は、特に日露戦争を意識していて親日的だが、概して多くのアラブ人も、日本を特別視して親日感を抱いていたように私は感じていた。

 それとは別に、戦後の日本は中東諸国へ技術支援したり、彼らの役に立つことを真摯にやってきた。我々のプラント建設の仕事もその流れにあったと思っている。日本という国は概ねアラブ諸国の信頼を勝ち得ていたのである。その信頼の基盤は日露戦争が大きいが、戦後の日本人の良心的な働き振りも大きかったのだろう。しかし、日本がアメリカへの隷属傾向を強め、小泉政権に至っては、あのイラク侵攻に西側諸国としては、最も早く賛同した国が日本だった。私はそれまでアラブ世界ときわめて良好な関係を築いてきた日本の努力が、その愚劣な決断で灰燼に帰したと思っている。小泉純一郎氏が国民の総意を無視して行ったイラク侵攻作戦への賛同表明、そして自衛隊のイラク派兵は、少なからずアラブ人の日本観を変えてしまったのではないだろうか。

 小泉純一郎氏の隷属的アメリカ追従によって、親日的だったアラブ社会の対日感覚は変遷したと思う。NGOペシャワール会の伊藤さんを殺害した暴徒達が、真底、凶暴化した者達である可能性もあるが、この背景にはアラブ人の対日感覚の変化も無関係ではないような気もする。結局、日本も、自らの権益のためにアラブ世界を蚕食する野蛮な大国であるアメリカやロシア、あるいはヨーロッパ諸国と同じではないかという見方になってきているのだろう。先人達が汗にまみれてこつこつと築いてきた、アラブ人の親日感、信頼感を、小泉政権は一朝一夕で崩したのだ。伊藤さんの痛ましい事件も、小泉政権の対米隷属と無関係ではない。自分がアラブ体験してから28年が経過している。今のアラブ社会がどんな感じかわからないが、ふとそういうことを感じた。

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コメント

私も初めての外地はエジプトで、湾岸戦争が始まる前でした。彼等のわが国に対する思いは日露戦争と真珠湾攻撃である。
 そのとき彼等は日本がアメリカに反対すると思っていましたが、そうではなく、戦争終了後再び行く事になりましたが、子供が何だ日本人かとアラビア語で話したことを鮮明に覚えています。英語がかろうじてですが、子供が話していることは分かりました。起きる前の我々にたいする、子供の態度と大きく異なりました。
 核武装をしていなかった事の付けを払わされたが、国民はまだ、それを知らず、その結果が石油の高騰ではないかと、考えることができない。
 なにしろ、自らが戦った戦争を、総力戦と捉えて、その戦争をかえり見ず、やれ山本五十六がどうのこうのと、滅亡のゲームを未だにしている。

海部首相が湾岸戦争が始まる前、現地へ来たが
<ああー之でアラブの庶民の信頼は失われる
神風特別攻撃隊で出撃していた人々の資産が失われる。靖国神社に申し訳ない>と思わず思った。

 之への付けはこれから払わなければ成らないだろう。

 多分半端ではない。

 その後四回言ったが、そのつど、不味くなているきがする。

 ある人は、何故味方すると聞くので、半端な英語で、実情、アメリカ軍の基地が全国にあり、身動きが出来ないというと、不思議な顔をした。

 彼等はけして愚かではない。

思考は我々より、はるかに深いものがある。

思えば人類5000年の歴史を背負っていることの重さであろう。

 一般庶民は英語ができ、BBCを見ているから、我々日本人より、はるかに国際状況を知っている。

投稿: kenji | 2008年8月31日 (日) 11時55分

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