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2008年8月29日 (金)

総合経済対策10兆円、真水1兆円の欺瞞(小野盛司)

  (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第111弾です)

 本日(8月29日)の日経には総合経済対策の事業規模が10兆円とある。これでGDPが10兆円拡大するかと言えばそうではなさそうだ。選挙目当てで、事業規模を水増しし、見かけ上政府は国民のために「やるべきことはやった」と見せる作戦のようだ。上げ底経済対策と言うべきだろう。政府の経済政策の失敗で多くの国民が苦境に追い込まれている。中小企業、低所得者、母子家庭等である。そういった人たちに融資枠を広げることで事業規模は拡大された。

 しかし、こうした政府の経済政策の失敗で生じた犠牲者が本当にそのような借金を受け入れるのか。今のような政策ではデフレ脱却も絶望的で大不況は際限なく続く。そんなとき、政府が融資枠を広げたからと言って借金をどんどん増やしていったら、それこそ借金地獄だ。それを避けるためにはこの融資枠は使わないほうがよい。ということは総合経済対策は無駄に終わり、10兆円という数字は空念仏に終わるだけだ。

 政府が本気で窮地に追い込まれた国民を救おうというのであれば、金利0.01%で、返済は100年後でよいという融資枠をつくることだ。政府系金融機関を通じ融資をすればよい。これなら自分が生きているうちに返済義務は生じないから、安心して借りることができるだろう。これなら財政支出ではないので、国の借金は一切増えない。まさに、「お金を刷って国民に渡す」という日本経済復活の会の「崇高な理念」にぴったりだ。融資は金融の分野であり、財政支出ではないから財政規律の問題も発生しない。

 傾斜生産方式も考えると良い。つまりこの融資を使い、洋上風力発電やマグマ発電などに大規模投資をすれば、CO2削減にも役立つし、日本のエネルギー需要をすべてカバーできるし、安全だし、しかも発電コストが安い。将来のオイルショックへの備えにもなる。こういった分野にどんどん刷ったお金を投入していけば、日本の未来はバラ色である。開発された技術は輸出することも可能で、日本を豊かにするのは間違いないだけでなく、危機にある地球を救うことができる。農業や漁業の近代化、大規模化で生産性を上げるために、この融資枠を使うのも良い。

 失業者やニートまで吸い上げて、企業は環境に優しい発電所の建設に専念できる。これは全国どこでも建設が可能で、失業者の多い地区にどんどん工場をつくればよい。働く場所が無かった人も職を得て生活は安定する。膨大な労働資源の無駄が有効利用されるわけだ。社会保険庁の無駄遣いなどの何万倍もの無駄遣いを止めさせることができる。GDPは大きく増大し、税収も増えてくるし、デフレ脱却、プライマリーバランスの黒字化などあっという間に実現する。

 日本を潰そうと考えている連中は、こんな融資に反対するかもしれない。

【反対1】このような融資は、民間の銀行業務を圧迫する。

【反論】そんなことはない。これは限られた分野への融資であり、民業を圧迫することはない。この方法により、お金が国民の手に渡り、景気が良くなってくれば、企業全体に日本経済への明るい見通しが生まれ、将来の経済拡大に備え設備投資をしておこうという気運が生まれるから、民間金融機関にとってもビジネスチャンスは膨らむ。民間投資の拡大は銀行経営にとって追い風だ。

【反対2】このような極めて甘い融資を行う政府系金融機関は大赤字になって、結局それを税金で穴埋めすることになるのではないか。

【反論】そうではない。これは日銀から供給された刷ったお金であり、刷ったお金を国民に渡して悪い理由はない。通貨発行は独立国の固有の権利で、日本のように、デフレで千数百兆円の資産価値が消えた国では、当然通貨発行で補わなければならない。もちろん、赤字でも返す必要はない。

【反対3】ハイパーインフレになるのではないか。

【反論】それはあり得ない。きちんとマクロ計量経済モデルで計算しておけば、インフレ率がいくらになるかは計算できる。予想外に高いインフレ率になったときは、金融引き締めをすればよいだけ。金融引き締めで納まらないインフレなど、歴史的に一度もなかった。ドイツの1兆倍ものインフレですら均衡財政を宣言しただけで、翌月からインフレはピタリと止まった。むしろ、インフレを過度に恐れて思い切った経済対策を避けることのほうが余程悲惨な結果を導く。

小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス

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