基礎的財政収支黒字化、先送り論(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第106弾です)
福田改造内閣が発足し、経済政策に僅かに変化の兆しが見えてきた。2011年度に基礎的財政収支黒字化するという目標を先送りする案が浮上してきた。デフレ脱却を不可能にしているこの黒字化目標であり、これが諸悪の根源となっているのだから、これを先送りしようという動きは大歓迎だ。与謝野経済財政担当相も景気対策を検討している。このきっかけになったのが、米国経済の減速と原油高に伴う企業収益の悪化を受けて日本の景気も悪化してきたことだ。4-6月期は実質GDPが年率でマイナス2.4%という予測(民間調査会社28社の予測平均)が8月5日の日経新聞に載っている。今まで外需頼みの経済成長だったのが、輸出が減速したものだから、経済は更に縮小するしかない。
我々が政府に質問主意書という形で景気対策をやらないのかと質問したら、総理からの答弁書はワンパターンで
「予算編成の原則として、民間需要主導の経済成長を目指し、景気を支えるために政府が需要を積み増す政策はとらないこととしている。」
となっていた。
例えば
内閣衆質一六八第一〇号 平成十九年九月二十五日
内閣衆質一六八第一三三号 平成十九年十月二十六日
内閣衆質一六九第三七九号 平成二十年五月二十三日
を参照頂きたい。
今年の1月に私が大田大臣になぜ景気対策をしないのかと尋ねたときは、大田大臣は「景気対策をしようと思えば国会の承認が必要で時間が掛かるからやらない」という奇妙な返事だった。
いずれにせよ、今となっては訳が分からない。今までやらないと一貫して言ってきたことが、なぜやることになったのかの説明もない。もしも、今までは、政府は景気は十分良いから景気対策をやる必要はないと考えていたのなら、そういった理由を付け加えて答弁すべきだった。しかし、そのような答弁をしたとしても、到底景気対策をしないことを正当化するものではなかったことは明らかだ。名目成長率を見るがいい。他の先進国の10分の1しか成長していないのにどうしてもっと経済を成長させようとしないのか。デフレという最悪の経済状態を脱却しなければいけないのに、一体なぜ景気対策が良くないというのか。繰り返し言ってきた戦後最長の「景気回復」だが、世界経済の中で急激にシェアを落としているのに、景気回復とは絶対に言えなかった。しかし、今は更に経済は悪化した。何とマイナス成長になってきたのだ。
景気対策をやるということは、政府がやっと経済政策の間違いを認めたと言うことだ。それで最も重要なことは、どれだけ経済規模を拡大したいのか、そしてそれにはどの程度の規模の景気対策が必要かをきちんと経済モデルで計算し国民に示すことだ。どんぶり勘定では必ず失敗する。福田首相は今年度の予備費(3500億円)などで財源を捻出するのだそうだ。内閣府の経済モデルでも示されているように、景気対策として最も効果が大きいのは公共投資である。もし3500億円を全部公共投資に使ったとする。内閣府のモデルに従うとこれにより0.08%名目GDPは増える。
2008年度の名目GDPは、わずか0.3%と予測されている。諸外国の最低レベルは4%程度である。0.08%の名目GDPの増加により0.3%の名目成長率は0.38%になるが、まだ4%成長の10分の1にも達していない。公共投資でなく、他の目的に使うとGDPの押し上げ効果は更に小さくなる。
新聞各紙は、このようなすずめの涙ほどの微少な経済対策すら「選挙目当てのバラマキ」だと非難している。景気対策をやれば、金利が上がって住宅ローンが上がり庶民を苦しめるのだそうだ。なんという馬鹿な論調か。過去11回の景気対策で金利が上がったことはない。過去の景気対策は10~20兆円規模だった。今回はその数十分の一という、全くお笑いのすずめの涙でしかない。景気対策は効果を出すことでなく、やることに意義がある!?選挙対策にはそれで十分だというのか。
デフレ脱却という目標は一体どこに行ってしまったのか。適切な規模の景気対策で、デフレ脱却に成功し、名目成長率が他の先進国並の4%レベルに達したら、国の債務のGDP比は減少し、財政健全化は急速に進む。大規模な景気対策こそが、将来の世代につけを残さない唯一の方法なのだ。それを確かめたければ、信頼できる経済モデルで試算を行うしかない。
景気対策とは、お金を刷って国民に渡すことだ。将来世代への負担は無い。将来世代もいつでもお金を刷って使えるのだから。
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日本に希望を与える信念の男、城内実
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コメント
こんにちは。
プライマリーバランスに関しては麻生幹事長が積極的に発言しているようです。また、「国債三十兆円枠にはこだわるべきではない。」ともおっしゃっておられる。
ここまでは良いのですが、一方で「増税派」与謝野氏を持ち上げる発言もしているようです。一体麻生氏の真意はどこにあるのでしょうか?「景気が持ち直したらすぐ増税」では、橋本政権の二の舞になってしまうと思うのですが。
「中川秀氏・麻生氏 路線闘争ますます過熱
8月7日8時2分配信 産経新聞
自民党の麻生太郎幹事長が平成23年度にプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)を黒字化する政府目標の先送りを提案したことを受けて、経済成長重視の「上げ潮派」のリーダーである中川秀直元幹事長がさっそくかみついた。新閣僚に与謝野馨経済財政担当相ら「財政規律派」が多数登用されたこともあり、自民党内の路線闘争はますます過熱しそうだ。
中川氏は6日、自らのホームページに「首相の明確な経済財政路線に反対する人が党執行部にいるとは信じられない」と記し、名指しこそ避けながらも麻生氏を厳しく批判。PB目標の先送りを「政策論議の域ではなく『路線転換、即政局』を意味する」と断じた。その上で、福田康夫首相がPB目標堅持の姿勢を明言したことを強調。「首相の言うことが正しい。首相と党執行部の合意形成を注視したい」と麻生氏らに警告した。
これに対し、麻生氏は6日、福井市内で講演し、「今度の内閣改造により、政調会長に保利耕輔氏、経済財政担当相に与謝野氏ら経済や景気を理解できる方が就任した」とほめちぎり、上げ潮派の「知恵袋」である竹中平蔵元総務相を「私とは全く意見が違う」と批判した。その上で「財政の収支均衡は必ずやらなければならないが、いつやるかは別の話だ。経済のパイを大きくしてその中から借金を返済するのが正しい」と語り、積極財政の有効性を重ねて強調した。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000058-san-pol
一方の中川氏の方も「経済成長が大事」と言いながら、「プライマリーバランス黒字化を」と言っているのは矛盾しているように思います。お互いに矛盾した事を言っているような気もします。
投稿: JAXVN | 2008年8月 7日 (木) 20時10分