景気対策は"Too small, Too late"になってしまうことのないように(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第109弾です)
今、仕事が猛烈に忙しくて、なかなか書く時間が取れなくて、読者の皆さんには申し訳なく思う。この間、与党は景気対策の話を盛んにしている。迫ってきた衆議院議員選挙で、このまま何もしなければ、大敗することが見えてきたから、選挙で国会に戻って来れそうもない議員たちは必死なのだろう。公明党も、減税・燃料費補填・中小企業支援など要求している。大型景気対策を考えているのだろう。
ここに至って政府はジレンマに陥っている。これだけの不景気で何もしなかったら、過半数どころか、第一党にすらなれず、衆参で完全に野党になってしまうし、近い将来政権を取り返せる見通しは無くなってしまうだろう。
ところが、大型景気対策をしたらどうだろう。小泉政権発足以来、景気対策は借金を増やすだけで景気を良くしないと言い続けた。それを証明する経済モデルまで偽装した。それが全部嘘でしたと白状する以外、大型景気対策を始める道はないと考えている自民党執行部は多いだろう。いわば、日本経済をここまで悪くしたA級戦犯だ。
しかしながら、日本経済復活の会としては、A級戦犯を追及したいとは思っていない。民主党政権になったからと言って、大型景気対策をやるという保証は無いからだ。過去の過ちは小泉氏一人の誤解、つまり国の借金を減らすには緊縮財政がよいのだという勘違いから引き起こされたのであり、緊縮財政では国の借金は減らせないということは、国民はいやというほど知らされたはずだから、二度と過ちを繰り返さないようにと、我々はアドバイスをするだけだ。過去の過ちを追求するより、これからどうすればよいのかということのほうが、はるかに重要だ。バブル崩壊からデフレに陥る過程を見ればよい。Wikipediaから引用する。
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バブル崩壊後の対応では、初期の金融政策や財政政策による景気刺激が小規模であったことが指摘できよう。公共事業による景気刺激がその後の財政赤字の拡大を招いたという批判は多いが、当初の経済対策は財政資金の投入は少なく、対策を小出しにしたことが次第に大規模な財政刺激が必要となった一因と考えられる。また日銀は1991年7月に公定歩合を0.5%引き下げたが、その後の金融緩和の速度が遅かったと考えられている。これらの政策は外国から "Too small, Too late"(政策規模が小さすぎ、実行が遅すぎ、そのため効果的な政策ではない)と批判された。
銀行など金融機関の不良債権問題が深刻となって以降は、早期に財政資金を投入して破綻した金融機関の救済を行うべきであったと考えられている。しかしこの問題でも、住専処理に6850億円の資金を投入するという政府の1996年度予算案に対して、マスコミなどは金融機関に失敗の責任を取らせずに救済のために税金を投入すべきではないなど強く反発することとなり、国会も混乱した。後から数十兆円の資金が投入されることになったことを考えれば、早期に公的資金の注入ができれば問題の拡大を抑制でき、結局は国民の負担も少なくて済んだのではないかという見方も多い。
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今回、日本経済は急速に悪化をし始めた。相変わらず内閣府は来年になればよくなるという試算(大本営発表)を出しているが誰も信用しないだろう。内需も外需も総崩れであり、国民の多くが悲観的になっている。こんな時こそお金を刷って実体経済に流さなければならない。要するに景気対策だ。政府は1兆円以内と言う。「大型」を唱える人は2~3兆円と言う。各省庁の要求を足し上げると8兆円程度になる。
最も重要なことは、何兆円の景気対策をすれば、デフレという病気から脱却できるのかということ。諸外国のように名目成長率が最低でも4%程度になって欲しいものだ。これを国家目標にするのもよい。現在は名目成長率はほぼゼロであるから4%成長にするには500×0.04=20(兆円)だけ名目GDPを増やすように、景気対策をすれば、日本経済は健康体に近づく。
では何兆円の景気対策かということだが、竹中平蔵氏が平成17年8月19日に立命館大学で行った講演では「10兆円の歳出削減では、名目GDPが10兆円減る」と述べた。景気対策の中身が問題ではあるが、この数字はそれほどピンぼけではない。逆を言えば「10兆円の景気対策では10兆円名目GDPが伸びる」ということであり、「20兆円だけGDPを増やそうと思えば20兆円の景気対策をやればよい」ということだ。もちろん、刷ったお金でやるのであり、増税で財源を確保しようものなら、プラスマイナスゼロとなって、何にもならない。現在の国の借金のGDP比は
800
――― = 1.6
500
程度である。これに分子分母に同じ数を加えれば、この分数はどんどん小さくなる。つまり、借金の重みが減っていくのだ。ちなみに、x兆円の景気対策をすれば、この分数は
800+x 300
――――― = 1+ ―――――
500+x 500+x
となるので、xが増えれば、この分数はどんどん減っていくことが分かる。実際は景気対策をやれば税収も増えることでも、この分数の減少を助ける。
残念ながら2~3兆円の規模では気休めに過ぎず、今回も"Too small, Too late"になってしまい、過ちを繰り返すことになる。私なら20兆円~30兆円規模の景気対策を考えるだろう。洋上風力発電に大規模投資をすれば、エネルギー自給率を飛躍的に向上できる。農業や漁業の近代化・効率化にも金を使い、食糧自給率を高めればよい。それに、高齢者などの社会的弱者に援助の手をさしのべ国民に高齢になっても政府が助けてくれるという安心感を与えるとよい。企業の国際的競争力を強化するには法人税減税も欠かせない。お金は今も将来も刷れるのだから、財源が枯渇することはない。最も怖いのは、日本企業が競争力を失い、日本が貧乏な国になってしまうことだ。経済的競争力を強め、エネルギー自給率、食糧自給率を高め、豊かな日本をつくっていけば、国民は安心し、日本が自信を取り戻し、それが国を豊かにする。
求められることは、計量経済学に基づいた信頼できる試算を行い、日本経済は何兆円の景気対策で復活するのかを計算することだ。
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