麻生新自民党総裁に望むこと(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第118弾です)
総裁選に圧勝し、自民党の第23代総裁に麻生氏が選出された。麻生氏は、5人の総裁候補の中では最も積極財政を支持していたようだし、我々の主張に少しでも歩み寄って来ていただけるよう願っている。しかし、麻生氏の前途には、越えなければならないハードルがある。まず第一は衆議院選だろう。ここで大敗し、野党が過半数を握るようだと、麻生政権は終わる。
福田さん辞任は、自分が首相に留まっていたのでは、次の衆議院選では勝てないと思い、来年の任期切れ直前に辞めるより、今辞めたほうが、よいと考えたのだと思われるし、公明党の意向も入れたのだろう。しかし、この総裁選は出来レースであるのが見え見えで、不評を買った。4人も泡沫候補が対立候補として立って、自民党の宣伝をしたのでは、緊張感も全く感じられないし、自民党の宣伝なら国民も興味が沸かなかっただろう。世論調査ではこれにより自民党の印象を悪くしたという人のほうが、良くしたという人より多かった。福田内閣の内閣改造の直後というのも、評判を落とした。内閣改造の前に辞めていたら、あるいは、参議院で福田首相の問責決議案が出た後に辞めていたら、「政権を投げ出した」と言われずに済んだだろう。
「自民党は無責任」という悪評を打ち消すほどの何かをやってから、解散総選挙に向かいたいところだ。9月12日の朝日新聞に世論調査の結果がある。「財政再建よりも、今は景気対策を優先すべきという意見に、賛成ですか。反対ですか。」という質問に対し、賛成がなんと73%もあり、反対は20%しかなかった。国民は思いきった景気対策を待っている。党内事情で難しいこともあるのかもしれない。しかし、小泉流で突っ走ればなんとかなるものだ。
「生活が苦しい」と感じている世帯の割合は57・2%で、六年連続で過去最多となったことが九日、厚生労働省の「二〇〇七年国民生活基礎調査」で分かった。国民はなんとかして欲しいと思っている。赤字国債を発行すれば、将来世代にツケを残すという考えは間違いだということを国民に知らせることも大切だ。赤字国債発行は、実はお金を刷っているのだから、将来世代にツケを回すことにならない。
次世代へのツケとは何かというと国の借金だと思っている人がいるが、800兆円が多すぎるというなら100分の1のデノミをやればよい。そうすれば一夜にして800兆円の借金は8兆円に減ってしまう。国の借金ではなく、国の借金のGDP比だというのだろうか。しかし実際は、赤字国債を増やせば増やすほど、GDPが増えて、国の借金のGDP比は減ってくる。内閣府でもそれを示して発表している。
米国でも、サブプライム問題で次々起きる金融危機に対抗するために、お金を刷りまくっている。所得税減税に16兆円、ベア・スターンズ救済に3兆円、米住宅金融救済に22兆円、AIG救済に9兆円、不良債権買い取り機構に75兆円という調子で躊躇していない。「改革なくして景気回復なし」などと馬鹿なことを言っていたら、世界大恐慌に陥っていただろう。米国より、日本のほうが、ずっとインフレ率も、経済成長率も、金利もずっと低く景気は悪い。日本は米国以上に景気対策が必要だ。
日本より財政赤字が多い国はいくらでもあるが、国の債務のGDP比は日本のように高くない。OECD発表データから国の財政赤字を比較してみた。日本より財政赤字が大きい国はいくらでもある。
それでは、国の債務のGDP比はどうだろう。次の図を見ていただきたい。日本が群を抜いて最悪だと分かる。つまりどんどんお金を刷って、財政を大赤字にしても、国の借金のGDP比は決して今の日本のように大きくならないということだ。日本の債務のGDP比が、飛び抜けて高くなってしまった理由は、財政赤字というよりもむしろ、名目GDPの伸びが小さすぎるということだ。債務のGDP比というものは
借金
―――――
名目GDP
なのだから、借金を減らすと、減るように思うかもしれないが、同時にGDPも減ってしまい、うまくいかない。借金は増えても良いから、景気対策をすると、借金の増える割合以上に名目GDPが増えて、比としては減ってくる。だからこそ、他の国がどんどん財政赤字を増やしているのに、債務のGDP比は増えない。
財政赤字が莫大で、1兆倍のハーパーインフレを招いた国では、国の債務のGDP比は、何万%、何億%、何兆%になっただろうか。いいえ、全くそんなことはなくて、当然のことながら借金と共にGDPも増えたために、債務のGDP比は増えなかった。それどころか、少々の債務など、インフレで吹っ飛んだのである。つまり、債務のGDP比は逆に減っていくのである!!これは何を意味するかと言えば、債務のGDP比というものは、どこまでも増え続けるというものではなく、ある程度のところまでいくと、赤字国債を増やせば増やすほど減るのである。だからこそ、日本以上に赤字の国も債務のGDP比で考えると日本ほど高くない。今、日本がお金を刷って、思い切った景気対策をすれば、債務のGDP比は減っていくという結論は、内閣府の経済モデルを使った計算でも明確に示されている。
麻生氏に期待するのは、経済学では自明なこの事実を国民に知らせていただきたいということだ。あるいは、このことに関する国民的議論を始めて頂きたいということである。衆議院選挙はその議論の後でもよい。
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コメント
小泉氏の引退表明について
何故、このタイミングで引退表明したのかは、不明ですが、先の総裁選の結果をみて判断したものと思います。また次の選挙も近い、とり急ぎ引退表明したものと思う。
彼の引退表明を「男の美学」とか「引き際が潔い」とかほめる人もいるが、国民を騙す男に「美学」も「潔さ」もあったもんじゃない。
小泉チルドレンは80数名いたにもかかわらず、総裁選では、彼が推した小池百合子は46票に過ぎなかった。地方票にいたっては(彼の地元神奈川県票も含めて)ゼロ、もう小泉の時代は終わっている。
横須賀市民だって馬鹿じゃない。小泉政権になって、国民にとって横須賀市民にとって何かいいことってありましたか。一つもない、よくないことばかりだった。
それでも、小泉を支持するのは、ほんまもんの「B」層か、または格差歓迎派でしょう。
彼が次回選挙にたとえ立候補しても、へたすると彼自身が落選するという不名誉な結果を招きかねない。ひょっとして彼はそれを恐れたのとちがいますか。
そこで選挙も近いことだし、とり急ぎ「引退表明」したのでは・・・。
息子に地盤看板を譲って、もし息子が落選しても、その場合は「息子は若い、これから苦労せねば~」とか言ってごまかせる。
投稿: いかりや爆 | 2008年9月26日 (金) 12時36分
まるだしさん、
横レスでスミマセン。
小野会長の「デノミ」は例としては適当ではないと思います、かえって話が混乱します。
また、過去にジンバブエの例を出しておられていましが、これも余りに極端すぎて、違和感をおぼえました。
小野会長は麻生首相にエールを送っていますが、私は、麻生首相には全く期待しておりません。
彼は植草さんも指摘する通り、小泉政権の主要閣僚の一人であり、日本を壊した仲間の一人でしょう。彼は常に「君子豹変する」ご都合主義者です。
今回は積極財政出動派の中川昭一氏を金融、財務大臣に起用していますが、これとても選挙対策用の偽装工作内閣とみています。
無論、小沢政権になったら、よくなるという保証はありませんが、次回選挙ではなんとしても政権交代が必要です。
>単純に考えても、輸入超過なら円安だから輸入品の物価は上がりますよね。食糧自給率もご存知でしょうから・・・、
食料自給率は「為替」が深く関係しています。為替問題は日本経済に深くかげを落としています。
エコノミストや学者さんも、極めて重要な問題であるにもかかわらず、看過しています。この問題はいずれ、私の「独断と偏見」ですが話題提供してみたいと思っています。
投稿: いかりや爆 | 2008年9月26日 (金) 10時33分
デノミをしたら借金が減るわけでもないでしょう。1000mgが1gになっても重さが増えたり減ったりしないでしょう。むしろ100円が1円になったら30円の物も1円になるでしょう。結果的にインフレ方向に動きます。
デノミをしたら借金が何ユーロ(何ウォンでも良いですよ)になるか教えてください。
他の質問には私より詳しい方が五万といるでしょうから、私のような素人より詳しい方を御自分でお調べください。単純に考えても、輸入超過なら円安だから輸入品の物価は上がりますよね。食糧自給率もご存知でしょうから、後は言わなくても判りますよね。素人はここまでで止めておきます。
投稿: まる出し馬鹿 | 2008年9月25日 (木) 22時55分
まる出し馬鹿さんへ
(小野先生の文章)次世代へのツケとは何かというと国の借金だと思っている人がいるが、800兆円が多すぎるというなら100分の1のデノミをやればよい。そうすれば一夜にして800兆円の借金は8兆円に減ってしまう。
>デノミが必要な段階は既に悪性インフレに入っています。ワーキングプアや年金生活者には餓死者が出ている状態と思われます。流石にこれは無責任過ぎる発言と思います。犠牲者が出ないならば通貨流通量を増やすのもありだと思っていましたが、この発言に小野さんの腹の内を見た気がします。
上の小野先生の文章をよく読んでいただければ、このようなことを書いてあるのではないことが一目瞭然だと思うのですが、いかがでしょう?小野先生は800兆という金額の大きさに腰を抜かしている国民や、それを吹聴している財務省に対して譬え話をしているのではないでしょうか?
>某ブログでは輸入超過になった時、悪性インフレに突入するとありました。
どこのブログでしょうか?悪性インフレに陥るのは、需要が甚だしく供給を上回る場合で、日本の終戦直後のような悪性インフレが起こったのは空襲によって生産設備が根こそぎやられていたからではないでしょうか?
>また日銀の国債引き受けには法的な制約があります。この辺りはどうお考えでしょうか?
日銀法にそのような規定があるのでしょうか?私も調べてみますので、まる出し馬鹿さんの方でもお調べになって具体的に貼り付けていただけると助かります。
投稿: kenkensya | 2008年9月24日 (水) 11時34分
デノミが必要な段階は既に悪性インフレに入っています。ワーキングプアや年金生活者には餓死者が出ている状態と思われます。流石にこれは無責任過ぎる発言と思います。犠牲者が出ないならば通貨流通量を増やすのもありだと思っていましたが、この発言に小野さんの腹の内を見た気がします。
某ブログでは輸入超過になった時、悪性インフレに突入するとありました。また日銀の国債引き受けには法的な制約があります。この辺りはどうお考えでしょうか?
投稿: まる出し馬鹿 | 2008年9月24日 (水) 00時22分