今年ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンの主張(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第125弾です)
ノーベル経済学賞を受賞した経済学者達は、大変日本経済を心配してくれていて、様々な提案をしてくれているが、日本の政治家は彼らの提案を受け入れない。お金を刷って日本国民のために使いなさいと口を揃えて提案している。サミュエルソン、クライン、スティグリッツなど異口同音にそのように述べている。今年のノーベル経済学賞受賞者であるクルーグマンも全く同様の提案をしているのだ。
彼も日本について、詳しく研究している。筆者も彼となんとか接触を取ろうとしたこともあり、彼の研究室に電話したこともあったが、秘書と話しができただけで、本人とは話はできなかった。クルーグマンの主張は1999年頃からテレビでも取り上げられた。調整インフレをやれというものだ。デフレから脱却しインフレになれば、人もお金を使うようになって景気がよくなる。彼の著書『世界大不況への警告』には、お金を刷ってインフレを起こしなさいと書いてある。
『グローバル経済を動かす愚かな人々』によると、日本は1930年代のアメリカに似て需要不足――極度の消費や投資の手控えに陥っているという。そこで彼が提唱しているのは、日本は金融システムの改革、非効率なサービス部門の再編、貯蓄過剰などの問題などの克服はもちろんだが、まずは需要を増やすことである。そのためには信用拡大のための通貨供給の大幅増大だけでなく、公共事業の拡大、減税の実施などが肝要であるという。さらに日本の経済再生の劇薬として、彼は調整インフレの断行を説いている。
日本の政治家は、お金を刷ると後で何か悪いことが起きるのではないかと恐れ、決断ができない。まるで神のたたりでも恐れているようだ。しかし、お金を刷らないことによって、日本経済を衰退に導き、国民生活に極めて深刻な問題を引き起こしていることに気付かない。
ところで、現在株価の乱高下が続いている。発足したばかりの麻生内閣にとっては、これは災難と言えるかもしれない。なぜなら、この乱高下が麻生内閣の失策とは言い難いからである。衆議院選が間近であるのならなおさらだ。世界中が第二次世界大恐慌を引き起こさないよう必死だ。世界各国が公的資金による不良債権処理、銀行への資本注入を積極的に行っている。米国は25兆円の資本注入、ドイツ・フランスは計20兆円の資本注入、イギリスは6.7兆円、その他も合計すると200兆円を超えるそう。公的資金を私企業に使うのは問題だと言って少しでも躊躇しようものなら、第二次世界大恐慌に陥ることは皆さんよく知っているから、躊躇しない。この1年で世界の株式総額が2800兆円も減ったことを考えれば、この程度の公的資金による下支えは驚くに値しない。
1996年の住専国会の事を思い出す。あのときは、住宅金融専門会社の不良債権処理、(それもたった0.7兆円だ)を政府がやろうとしたのを民主党が猛反対し、国会の議場にピケをはり国会をマヒさせた。お金を刷って、迅速に不良債権処理を済ませ、速やかに景気を回復させていたら、日本経済はここまでひどいことにはならなかった。現在の世界の動きを見れば、当時の民主党の行動が間違えていたことは明らかだ。たった0,7兆円でガタガタ言っている間に、日本は土地の資産価値だけで、1200兆円も失った。見るところを間違えていませんかと言いたい。
日本経済復活の会は民主党の衆議院議員(当時)である牧野聖修氏と私が組んで始めたものであり、民主党の中の素晴らしい議員達が、日本経済を深く理解していて、数多く日本経済復活の会に入って助けて下さっているのだが、しかし、残念ながら民主党の執行部は、お金を刷る政策に猛反対する。
民主党のマニフェストを読んでも、結局のところ、どこかの予算を減らし、その分を別の所に回すというだけであり、全く景気対策にはならないのではないかという懸念を抱く。増やしてもらった人は嬉しいが、減らされたほうは、憤るだろう。デフレを克服しよう、経済をよくして生活を改善しようとする意欲が感じられない。マクロモデルでしっかり計算をすれば、あのマニフェストでは駄目だと分かると思う。とはいえ、自民党の政策もまだ似たり寄ったりのところがある。赤字国債を出すことを決断しなければ一歩も前進しない。国民を赤字国債で思い切った減税や歳出拡大を望んでいる。国民の望みをかなえる政党が衆議院選に勝つに違いない。
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コメント
こんにちは。
「麻生首相 「赤字国債発行あり得る」参院予算委
10月14日20時37分配信 毎日新聞
麻生太郎首相は14日の参院予算委員会で、赤字国債の発行について「法人税はたぶん猛烈な勢いで落ちる。法人税の減収がどれだけか、正直想像を超える」と述べ、景気悪化による法人税の減収を補てんするための発行があり得るとの認識を示した。
一方で「新経済対策は、赤字国債を出さずに済ませなければならない」とも語り、追加の経済政策の財源としては想定していないことを強調した。
米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除について、「核問題を一歩前進させる手段として理解できないことはない」と述べたうえで、「我々は(拉致問題で進展がない段階での解除は)不満とはっきり(米国に)申し上げてきた」と強調した。いずれも民主党の直嶋正行政調会長への答弁。【古本陽荘】」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081014-00000013-maip-pol
なぜ、こうも歯切れが悪いのでしょうか?「財政赤字は超インフレを引き起こす」という説は、すでにこれだけ欧米各国が公的資金を投入してお金を刷りまくっていても超インフレになっていない事で明らかに否定されています。さらに、どうしても「赤字国債」がだめと言うのなら、以前亀井国民新党代表代行が提唱した「無利子長期国債」か、それとも丹羽教授が提唱する「政府貨幣発行」でもかまいません。デフレ下ではとにかく積極財政で需要を起こすしかない、という事は麻生首相も小野会長と会った時に認めていたはずではなかったのでしょうか?そもそも、「日本経済復活の会」には与党、野党共に多くの賛同者がいるのです。なのになぜ「政策転換」が行われないのでしょうか?こうなると「日本の政策を決めているのは、日本の政治家ではないのでは?」とすら思えてきます。
投稿: JAXVN | 2008年10月15日 (水) 20時36分
ななしさん、こんにちは。
そうですか。日本のマスコミはクルーグマン
やステグリッツに思いっきり距離を置いたわけ
ですね。それなら日本経済復活の会がつんぼ桟敷
に置かれている現状も納得できます。
しかし、日本の権力筋、報道筋はなぜこうもネ
オリベ階級社会の実現を賞賛し、日本の景気浮揚
の足を引っ張るのか、いまひとつわかりません。
階級分化社会をつくることは支配に都合がいいこ
とは確かなんですが、単純に思えば総需要を喚起
して国民全体に再分配し、全体を富ませたほうが
恒久的な分捕り利益があるというものです。日本を
成長させて国富を蓄えさせながら恒久的に収奪して
いた方が合理的ですよね。占領憲法が続行している
限り、第二、第三の小泉・竹中を立てることは米国
にとって、赤子の手をひねるよりも容易いわけです。
日本には喜んで小泉・竹中になりたがっている者が
たくさんおりますから。
そうではなく、国力を経済的に疲弊させること
が目的であるかのように進んでいます。本邦のエ
スタブリッシュメントには半島系のルサンティマ
ンが反映しているのでしょうか。いまひとつすっ
きりしません。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年10月15日 (水) 11時45分
クルーグマン氏と言えば、著書の中で小泉改革を否定していらっしゃいましたね。
何でこんな事やるの?と。
日本の不況の最大の原因は国内需要の不足にあると書いていますね。
日本の大手マスコミは小泉改革に否定的な学者には接近しようとしなくなりましたね。
テレビ東京のWBSが数年前正月特番でスティグリッツ氏にインタビューしていましたが、
思ったような言説を引き出せずにカットしまくりでしたね、その後は全く接触を図ろうとはしなくなりました。
投稿: ななし | 2008年10月15日 (水) 09時58分