第二次補正の提出時期について(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第141弾です)
第二次補正予算の提出時期をめぐって、色々騒がしくなってきた。景気対策をやるから衆議院選を先延ばしにしたのに、なぜ直ぐに予算案を提出しないのかという民主党。一部の与党議員も同様な発言をしている。それに対し、政府は色々な発言をするが、本音は、今提出すると衆議院では簡単に可決するが、参議院では引き延ばし戦術をされる。それでも予算案は衆議院の議決が優先されるから成立するが、関連法案が通らない。審議未了で、次の国会に回されたら、そこでは参議院で否決され、その場合、同じ法案は衆議院で再議決できないので廃案となる。つまり、今の国会に提出しても成立の見込みが無い。だから成立させるとしたら、次の通常国会の冒頭に出すのが最速だというわけだ。
民主党は引き延ばしはしないという。しかし、同様な約束をした前回のテロ特措法の際も公然と約束を破ったのだから、その手に乗るもんかと政府は言いたいのだろう。党首討論だったと思うが、小沢さんが「二次補正関連法案はすみやかに議決をする。それができなかったら議員辞職をする」と言ったと、麻生さんが言うと、小沢さんが「そんなことは言っていない」と反論した。ということは、小沢さんの本音は、すみやかに議決はせずに引き延ばし戦術を取るつもりだから、議員辞職はできないということだろう。今、提出してくれれば、政府の景気対策は粉砕され、衆議院は解散に追い込まれる。そうであれば、民主党の主張の「すみやかな参議院での議決」は信用できない、つまりこれは罠だということになる。
私の提案は、こんなちっぽけな第二次補正予算など忘れてしまえということ。どうせ効かないということは政府も認めること。その証拠にこれをやっても2008年度も2009年度もマイナス成長になると与謝野氏は言っている。そうであれば、組み直してその10倍程度の規模の補正予算を出すことだ。それならプラス成長になるのは間違いない。自然エネルギー革命を旗印に巨大財政支出を伴う5年計画を打ち出すとよい。そしてこの結果財政は健全化へと向かうのだという信頼しうるマクロ計量モデルの試算を国民に示すと良い。そうすれば、国民も希望を持つようになるだろう。
麻生氏に言いたい。政治は求心力だ。人を引きつける力が無ければ誰も着いてこない。第二次補正を単に次の国会に回すのでは能がない。これでは12月の国会審議が消化試合になってしまい、一日1億円といわれる国会の維持費が無駄になると批判を浴びるだろう。第二次補正は全く不十分だが、これを通そうと思うのなら、民主党とじっくり話し合ったらどうだ。民主党も表向きは少なくとも参議院ですみやかに審議をして採決をすると言っている。例えば、補正関連法案の採決が年内に終わらなかったら、小沢代表が議員辞職をすると文書で確約するなら、今提出しても良いという条件をつけ、小沢代表の返事を待ったらどうか。小沢代表がNOと言えばやっぱり引き延ばしをたくらんでいるということが明白になるから民主党が悪いということになる。YESなら提出しても大丈夫だ。採決しなかったら、小沢さんに責任を取ってもらえばよいことだ。その約束を文書にしておけば、それは破れないでしょう。
麻生さんの支持率はどんどん下がる一方だ。それはマスコミが連日麻生バッシングを続けているからである。小泉氏も失言は随分あった。しかし、麻生氏との違いは、マスコミを自由に操れたことだ。黙らせることができたと言っても良い。裏で飯島秘書官の活躍もあったのかもしれない。マスコミの政権批判は度を超している。実際、そのお陰で何回政権が変わったことか。このように頻繁に国のリーダーが変わる国もめずらしいし、そのための国政の停滞も免れない。野党も政策の実行ではなく、政局第一、政権の転覆のことばかり考えているから、当然政治は停滞する。迷惑するのは国民である。
本来このように衆参でねじれ現象が起きているのであれば、与野党が協力して法案作りをしなければ、両者が拒否権を持っているのでは、何も決まらないのは明らかだ。米国大統領の任期は4年だが、この4年間は良くても悪くてもじっくり政策を実行させてみようという空気がアメリカにはある。野党が議会の過半数を握ったとしても途中でサボタージュをして政府を転覆させようなどとしていない。クリントンのホワイトハウス内で行われた浮気ですら、政権の命取りにはならなかった。
弱体政権で何も政策が実行できないという状態は、日本経済にとっては致命的だ。隣の中国のように一党独裁なら何でもできるから、経済もどんどん発展できる。空港を造ろうと思っても、建設開始から約40年経ってもまだ土地収用すら完了していない。中国なら民衆が反対しようと問答無用で建設できる。結果としては、建設がすみやかに進んだほうが国民にとっては利益になる。財政出動をしようとしても、たった5兆円の財政出動の審議さえ始めることができない日本に対して、中国は57兆円の景気刺激のための投資をあっという間に決めた。風力発電でも日本は全部合わせでも1.5GWだが、中国は内モンゴル地域だけで1.5GWで、更にその地域に10GWレベルの施設を計画している。まさに「お金が無ければ刷りなさい」である。不況の時代、実行力のある強力な政権を持っている国が勝つ。お金をどんどん刷る国のほうが圧倒的に有利なのは間違いない。
麻生さんに言いたい。日本経済を復活させるためにすべてを捧げるつもりで、思い切った政策を断行して欲しい。そのためには、国民に自分のやろうとしていることをきちんと説明できなければならない。今回の第二次補正では、GDPを0.5%しか押し上げることができない。しかし、今回の金融危機でGDPは1.5%だけ押し下げられる。麻生氏は3%成長を目指している。自分が目指す成長率を確保するにはどうするか。その結論は第二次補正の約10倍の財政出動をすればよいだけだ。そうすればGDPは10倍の5%押し上げられるし、5%から1.5%を引けば3.5%だから、目標は達せられる。弱体政権でも、筋が通っていたら国民は付いてくる。
本日(11月30日)のTBSの時事放談で瀬戸内寂聴氏が質問していた。国は800兆円もの借金をしているのに、どうして国民に給付金を配れるのでしょうという素朴な質問だ。読者の方でどなたか瀬戸内さんと話す機会があったら次のように教えてあげて下さい。
読者「国には通貨発行権がありますから、お金はいくらでも作り出せます」
瀬戸内「そんなことしたら、インフレになるのでしょう」
読者「この世にはインフレかデフレかのどちらかしかありません。デフレは極端な不況の状態で、経済が最悪になっている状態です。だからこそ、小泉さんもデフレ脱却するという目標を掲げていましたが、実現しませんでした。デフレ脱却とは、景気をよくして経済をゆるやかなインフレ状態にするということで、インフレになったほうがよいのです。」
瀬戸内「でもね、終戦直後のインフレには国民は随分苦しめられましたね」
読者「ですから、どの国もインフレターゲットというものを持っていて2%前後のゆるやかなインフレ率に持って行こうとしています。日本も作り出したお金を使って、そのようなインフレ率になるまで景気をよくしていけば、日本経済は見違えるように活気に溢れたものになります。どのくらいお金を刷ればどのくらいのインフレになるかはシミュレーションで計算できるのです。」
といった具合に、話を進めればよいでしょう。
小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス
・
・
← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
日本に希望を与える信念の男、城内実
| 固定リンク









コメント
政府・財務省・日銀・マスコミの言うようにインフレによる名目成長率の上昇が国債の長期金利の上昇を招いて危険だと言うのなら、なぜに法人税や不労所得、富裕層の減税をやり、その分緊縮財政(国民への富の分配を減らす)や庶民増税や構造改革(特に労働者層への利益分配を減らす)を推し進めてるんでしょうか?
彼らは景気回復の為、デフレ脱却の為と判で押したように言いますが、実は逆のように思います。
富の再分配を減らし、更に庶民増税で可処分所得を減らし、構造改革で雇用を不安定化すればGDPの6割を占める個人消費が落ち込む事くらい小学生でも分かりそうなもんですが。
最終需要が減ると言う事はデフレ維持策でもあります。
言ってる事とやってる事が矛盾しまくっててどうも納得が行きません。
中国との競争の為と言いながら派遣業法を改正し、また外国人に株を売って株主利益至上主義にしてコストカット(主に人件費)をやって来ましたが、聞くところによるとトヨタの北米工場では日本の労働者の実に三倍以上の給料をライン工に払ってると聞きます。
幾ら政治的配慮があるにしてもこれは酷過ぎますし、矛盾だらけです。
米国のライン工は日本の期間工の三倍も優秀なんでしょうかw?
少し前になりますが、中国広州のホンダの工場では日本のライン工が1人でやる作業を6人がかりでやってると聞いた事があります。
それでも割が合うほど労賃が安いんでしょう。
だけど米国人が日本人の3倍働くとはとても思えませんよね。
ただのライン工が年収1000万円だそうです。
それでもビッグ3に比べると安いそうです。
陰謀論は好きじゃあ無いですが構造改革とは米中韓組んでの日本潰しの一環のような気がしますね。
90年代、日本の経団連は日本企業の最大の強みは豊かな中間層が作り出す豊かな消費市場にあると言ってたはずなんですが。
今は180度違う事を言ってる御手洗会長もそのような事を言ってたんですが。
もう一つの強みは株式を持ち合って護送船団方式にする事によって株主によって経営方針が左右されずに中長期的視野に立った開発や社員育成が可能だった事です。
米英のような四半期単位の超短期的株主利益至上主義では無理なんですね。
確か米国の映画の中でもその事に言及してた映画がありました。
エンロン問題を風刺した映画でしたけども。
私は構造改革によって日本の強みや日本人の特質を生かした社会が変質してしまったように思います。
もちろん悪い方向に。
内需=新車市場だけを取りますとピーク時から200万台以上減少して今や30年前の水準ですしね。
裏を返せば内需拡大策をやれば200万台増えると言う事でもあります。
そうすれば北米を中心とした外需の落ち込みをある程度カバー出来るでしょうに。
96年には9%だった外需依存率が今や16%ですしね。
政府やマスコミ、御用学者は内需拡大は無理なような言論を吐いていますが。
そう言えば、小泉元総理がブッシュとのテキサスでの日米投資イニシアチブの合意の中には日本の内需を減らしてより米国市場頼みにするように書いてあるらしいですね。
日本のマスメディアは一切触れませんでしたが。
とにかく最近の政治やマスメディアは矛盾だらけで信用できないです。
米国の傀儡に過ぎないんじゃ無いかと強く思います。
投稿: ななし | 2008年12月 2日 (火) 13時14分