期待を裏切られることの虚しさ「麻生幻想瓦解」
日毎に寒さが募ってくる今日このごろ、しもじもの連中の一人である私、神州の泉は「ホッケの煮付け」を食べてDHA(ドコサヘキサエン酸)を適度に摂取しよう。日本人が、こうして和食の基本を踏襲(ふしゅう)して、健康に心がけていれば、未曾有(みぞうゆう)の経済危機に対応できるかもしれない。
植草さんは麻生首相を、一国の命運を預かる宰相としては資質的に相応しくないと言い続けている。この見解には賛同せざるを得ない。「麻生政権も間違いなく亡国政権だ!!」の中では、10月3日の参院代表質問で、国民新党の自見庄三郎議員が、郵政民営化の問題点について触れた時、麻生首相はほとんど要領を得ない短い答弁をしたことを言った。私も、過去の麻生氏の政策態度を見る限り、この御仁の政治哲学には疑念を感じる。彼は「医師には社会常識がかなり欠落している人が多い」と言ったが、本人こそ、一貫した国政概念がない人物のように見える。
正直、私は麻生首相が、小泉構造改革の本丸である「郵政民営化見直し」を断行するかもしれないと、ひそかに期待していた。今までは面従腹背で小泉氏に従っていたが、腹の中では天下を取ったら、ただちに小泉・竹中路線を全否定して、従来のケインズ的色彩の濃い日本型資本主義へ路線変更してくれることを期待した。つまり、新自由主義の荒廃から、ケインズ的再分配路線への舵取りである。実は麻生氏については、そう思える伏線があったのだ。しかし、総理大臣になってからの言動や行動を見る限り、私のかすかな期待は完全に裏切られている。だから、植草さんが指摘するように、この人物は総理の器ではない。
では、私が麻生氏にかすかな期待を寄せていた理由を述べよう。
小泉官邸主導政治で、最も悪質で政治の本分を曲げたのは何かと言えば、2001年の省庁再編で内閣府に設置された「経済財政諮問会議」であった。
郵政民営化についての主なる討論の場は、竹中平蔵元経済担当相の進言によって、この「経済財政諮問会議」に移された。
この協議機関は、それまでの財務省主導の予算編成を、政治主導に切り替える目的で造られたと言う。しかし、自分のような素人目で見ても何か違和感を感じる。これは国政の正当な機関と言うよりも、何か特殊な偏向性を帯びた私設の政治懇談会に見える。例えは適当ではないかもしれないが、この協議会は極東国際軍事裁判のような私設性を感じるのである。
郵政民営化法案を固める最も重要な時期、2004年と2005年当時のメンバーは以下である
○小泉純一郎 議長 内閣総理大臣
○細田博之 内閣官房長官
○竹中平蔵 経済財政政策担当大臣
○麻生太郎 総務大臣
○谷垣禎一 財務大臣
○中川昭一 経済産業大臣
○福井俊彦 日本銀行総裁
○牛尾治朗 ウシオ電機(株)代表取締役会長
○奥田碩 トヨタ自動車(株)取締役会長
○本間正明 大阪大学大学院経済学研究科教授
○吉川洋 東京大学大学院経済学研究科教授
郵政民営化の骨子は、事実上この陣容で決定され、具体的な準備作業は内閣官房の郵政民営化準備室で行われた。上記のコアなメンバーそれぞれの、新自由主義に対する考え方を調べれば、非常に興味深い結果が出てくると思うが、この会議の問題点は密室性であろう。この中でディスカッションされた重要な課題について、誰がどのような意見を言ったのか、ほとんど世間に出てこなかったと記憶している。
旧田中派をイメージして、小泉氏が徹底的に敵視した旧弊なる抵抗勢力政治には、政治の「密室性」があったはずだ。ところが、国土全体にまたがる大規模なインフラを構成する郵政事業民営化については、閣議決定までの重要な過程が、密室というブラックボックスを通過している。郵政民営化という国家的な大事業の核になるプランが、少人数で、しかも密室的な協議で行われている。これが国政のあるべき姿なのだろうか。
2004年の諮問会議と首相主導の決定過程に対して、自民党は大きな不満を抱いている。通常は閣議決定の前には、自民党の政調会や総務会で法案審査の手続きがなされるそうだ。ところが郵政民営化の時は、この与党審査手続きが省略された。この年9月の内閣改造に際し、小泉首相は「民営化への賛否」を入閣の判断材料とすると言って、入閣希望の中堅郵政族を脅している。このため、郵政に詳しい実力議員は海外出張を繰り返すなどして発言を控えている。当然、民営化審議は竹中氏の独壇場であった。
しかし、実はこの流れの中で、10年間にわたる民営化への移行期間後に、持ち株会社の郵貯会社と簡保会社の株式をすべて売却するかどうかで熾烈な対立があったようだ。アメリカに郵政資金を朝貢する意図の竹中氏は、もちろん全株の完全売却であったが、当時、総務相の麻生太郎氏は一定保有の継続を主張した。この後、両者にはかなりのバトルが白熱したらしい。株売却様態のほかに、もう一つの両者のバトルがあった。それは郵政公社の分社化における時限的な考え方の相違であった。竹中氏は2007年の民営化スタート時には、予定通り、即日完全分社化を強硬に主張したが、麻生氏は「段階的、逐次的」分社化を主張した。このバトルはしばらく紛糾したが、結局は小泉氏の首相権限で竹中氏に軍配が上がった。、
郵政民営化について麻生氏の立場を言えば、総論賛成、各論反対であった。つまり、民営化そのものは賛同するが、持ち株株式の売却には政府が一定保有せよ、もうひとつは郵政公社の分社化は急ぐな!であった。
読者の皆さんには考えて欲しいことがある。小泉元首相と竹中元郵政大臣が、郵政株の完全売却と同時分社化に異常すぎる執念で固執したことは、いったいどういう意味を持つかである。本来の日本的な政治風土であれば、分社化を急がなければならない理由は何もない。これだけ巨大な事業である。むしろ、注意深く着実に様子を見ながらやっていくという方法論が採用される。その試行錯誤の中で安全に堅実に民営化を実行していくというのが正常な考え方だ。その意味で、当時の麻生氏の言い分は正当なものだ。ところが、小泉氏や竹中氏は郵政公社の分社化を是が非でも急がなければならない強い理由があったわけである。読者のどなたかがその理由を聞いたことがあるだろうか。
ここで、思い浮かべるのは城内実さんの国会質問である。城内さんは、2005年6月7日の衆議院郵政民営化特別委員会において、竹中大臣に対して、過去一年間に米国と郵政民営化問題について何回会談、協議したかという質問を真っ向から浴びせた。竹中氏は何と17回と答えている。アメリカ政府筋(おそらくUSTR筋)が郵政民営化について、並々ならぬ関心どころか、強圧的な監視をしていたことがわかる。
お分かりだろうか。郵政公社四分社化強硬論は、竹中氏がアメリカ政府要人と会った時に、最優先事項として指令されていた可能性が高い。つまり、年次改革要望書の絶対なる具現化である。小泉氏も、竹中氏も、「年次改革要望書」指令の文脈で動いていたことは疑う余地はない。郵政民営化とは巨大な国益毀損と国家の安定性を破壊する憲政史上、最大の悪法と言えるだろう。
今の日本で宰相をやるには命がかかることだと思う。麻生氏にはその気構えがない。彼は郵政民営化のいかがわしさには気が付いていたと思う。しかし、いざ最高権力者になってしまったら、決断力も政策の一貫性もないことが見えてきた。優柔不断、迷いの人である。私は麻生太郎という人物は、中川秀直氏や竹中平蔵氏など、バリバリの構造改革推進強行派とは違って、米国の要望に盲従する議員ではないと思っていた。腹の中では新自由主義に基づく構造改革路線は反対、郵政民営化も反対だと思っていた。
しかし、その期待は見事に打ち砕かれた。
参考図書
○内山融「小泉政権」中公新書
○鈴木棟一「小泉政権50の功罪」ダイヤモンド社
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コメント
小泉→何もかも竹中に丸投げ
安倍→何が問題か理解できない経済音痴
福田→何もしないで踏みとどまる
麻生→何が問題で何をすればいいか理解しているけど、実行できない
こういった感じでしょうかね
麻生太郎も中川昭一も、自責の念に歯噛みしてるんじゃないでしょうか
規制緩和、郵政民営化、福祉予算切り下げ、地方予算切り下げ、国際競争路線と外需依存、派遣法緩和や非正規雇用推進政策、財政均衡、新自由主義経済・・・・自民党が推進してきたこれらの政策がとんでもない愚作だったと、薄々感じているでしょう
しかし、今更過ちを認められない
「今までの政策は間違いだった」なんて発言しようものなら、民主党に政権を明け渡しかねない。
改革路線を見直そうとすれば、改革派と反改革派で自民党が割れかねない
小泉政権で賛成票を投じてきた自分の面子もあるし、党の看板に泥を塗ることにもなるので、「過ちを認め謝罪」なんてことはできない
そんなこんなで改革路線と積極財政を足して2で割ったような、中途半端な政策しか打てないのではないでしょう
投稿: イシイ | 2008年11月27日 (木) 09時35分
そのとうりでして、
所詮ロス・チャイルドのしたてこ!
「麻生セメント」
トンネル作りたいだろうしね、
対馬に対する言動が・・・・・・。
彼等のために献上せな、麻生グループ潰されちゃう?!
投稿: 上海・76号 | 2008年11月26日 (水) 10時52分
麻生首相に期待を裏切られたというより所詮は小泉商店の使用人だったのでは?
と思うのです。
もちろんアメリカやヨーロッパ(国際金融資本)という下請けですが・・・
というのは出来る人間を追い出し、政治的、社会的に抹殺までして、国際金融資本に尻尾をふったのが、今の日本という国家だと思います。
だからこそ麻生首相に過度な期待は出来ませんでした。
結局、日本が立ち直るには、植草教授の指摘される悪徳のペンタゴンをつぶし、自立した国家を築き直すしかないですね。
投稿: ボス@和白組 | 2008年11月26日 (水) 06時46分