« 第二次補正と3年後の景気回復の意味についての質問主意書と答弁書(小野盛司) | トップページ | 元厚生事務次官の連続殺傷事件は構造改革派の足掻きなのだろうか!? »

2008年11月20日 (木)

日本経済を犠牲にして国債を守ろうとする財務省と日銀(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第137弾です)

 景気対策に埋蔵金を使うという提案がなされている。これは与野党共通している。第二次補正では埋蔵金と建設国債を使うが、赤字国債は使わないという。しかし、赤字国債を使おうと埋蔵金を使おうと国の債務残高に関して言えば、どちらも全く同じだ。違うのは、赤字国債なら規模拡大ができるし、次回の補正も自由にできるが、埋蔵金は一回限りだ。筆者は、赤字国債を政府に使わせようと思い、何回も財務省に電話して質問してみた。そこで分かったのが、国債暴落におびえる財務省の姿だった。

 今回の二次補正の財源は建設国債と埋蔵金を使うのだそう。そのために埋蔵金から国債の買い入れ消却を中止し、お金を浮かして、それを二次補正に使うという。そもそも埋蔵金とは何かということだが、これは財政投融資特別会計(財投)から作り出したお金である。財投とは、国が政府系金融機関を通じて、お金を国民に貸し出している。これは金利の変動によっては損失が出る仕組みになっていて、その保険のような役割をする準備金がある。安全度を低めて準備金の一部を取り崩すというのが「埋蔵金を使う」ということだ。例えば生命保険を掛けていたが、お金が無くなったから、万一の事は忘れて今、保険金を取り崩して使おうといったようなものだろう。借金返済ができなくなった人はギリギリのところで生命保険を取り崩すことがあるのを知っているだろう。埋蔵金の取り崩しとは、それに相当する。

 ところで、この埋蔵金はもともと国債の償還(国の借金返済)に使うことが法律(特別会計に関する法律 第68条)で決まっていたから、これを景気対策に使うのであれば、法律を改正しなければならない。さて、もともと何のために埋蔵金を借金返済に使っていたのか。それは2008年問題を切り抜けるためだったそうだ。2008年問題とは何かというと、10年前小渕内閣で10年物国債を一度に発行したことなどが原因で、2008年にそれが償還(借金返済時期)を迎えるので、それに対応していると、必要な資金がどっと増える(額にして約14兆円くらい増加)。それに対応するために、国債(借換債という)をたくさん発行すると、需給のバランスが崩れ国債が暴落するのではないかという発想だ。そうなれば、国債を持っている日銀、銀行、証券会社等がすべてダメージを受け、日本国債の信用が失墜するとでも考えているのだろう。

 財務省は、これが起こらないように事前に手を打った。つまり埋蔵金を使って2008年に償還を迎える国債を買い取ることにした。具体的には市中から1兆円、日銀から5.5兆円、財政融資資金から5.5兆円である。単純素朴に考えると、日銀が持っている国債が償還を迎えたら、替わりの国債で置きかえてやればよいような気がする。しかしそれは財政法で禁止されていて、一旦国債は一般市場で売買される。その後で日銀が買うのであれば許される。

 財務省は日銀から国債を買い取ることはできるが、日銀に国債を売ることはできない。日銀が国債を売るということは、お金が日銀に戻ってしまうことだから、売りオペ、つまり景気を悪くしてしまう。財政融資資金の国債を減らすことも同様な効果がある。これを見ても財務省の本音が分かる。彼らは、日本の景気が悪くなってもかまわない、それによって毎年何千人もの国民が自殺に追い込まれても、そんなことどうでもよいのだ。彼らにとっては、国債を守ればよいだけだから。

 本当に2008年問題だけなら、国債買い入れは市中からに限ってもよかった。そうすれば景気を悪化させることはなかった。日銀や財政融資資金の国債が償却の大部分を占めていたということは、むしろ日本の経済を悪化させたかったのではないか。そうなれば金利は上昇しないから、国債は値を下げなくてもすむ。
Photo

 実際、日銀のホームページを見ると、国債保有残高はどんどん減っている。しかもその減り方たるや、2008年問題解決のための5.5兆円どころではない。何と30兆円以上も減らしている。これはお金を刷る政策とは正反対で、日銀が国民から巨額のお金を奪い取っているとも言える。

 中川秀直氏のホームページから引用しよう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
http://www.nakagawahidenao.jp/pc/modules/wordpress0/index.php?p=1078
「本来借金返済に充てることになっていたお金を使うことは、赤字国債を追加発行することと効果は変わらない」というが、「国債償還」に充てるとしながら、市中の国債ではなく、日銀保有国債や財政融資資金保有国債の買い入れをするのと、国民の利益に還元するのと、どちらが正しい政策なのか。「埋蔵金流用」という表現はおかしいだろう。「埋蔵金活用」だろう。
日銀保有国債や財政融資資金保有国債の買い入れを行うということは再度、埋蔵金として「埋め戻す」ことを意味しているのではないか。
埋蔵金は国民のものなのだから、国民に還元すべきなのである。「霞が関埋蔵金」50兆円を国民に還元することが、政治の責務である。霞が関埋蔵金50兆円の国民への還元こそが、最大の景気対策だからである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
 確かに、中川氏の言っていることには一理ある。埋蔵金を国債の償還に使ってしまったら、日銀や財投の国債を減らすことになり、景気にはマイナスだから、埋蔵金を景気対策に使った方がよい。しかしそれよりはるかによい選択がある。それは日銀に国債の保有残高を減らすことを止めさせることだ。いや、それよりはるかによいことは、日銀に国債をもっと買わせよ、つまりお金を刷りなさいということだ。

 埋蔵金には、それなりに意味がある。金利変動で損失が出るから、それを防ぐために準備金を積み立てているような場合、それを取り崩してしまったら、それ以後は金利は上がるのを防がねばならない。金利が上がらないようにするには、景気がよくならないようにするということ。つまり埋蔵金(準備金)を取り崩した後には、絶対に景気をよくしてはならないのだ。そういう意味で、埋蔵金を使うより、日銀が刷ったお金、つまり赤字国債を使うのがよい。それに景気対策として50兆円では足りないというのが、シミュレーションの結論だ。

 それにしても、日銀が国債の保有残高をどんどん減らしているとは何たることだ。お金を刷らなければならないときに、逆に国民からお金を奪い取って、経済をどん底に落とそうとするとは!!財務省に聞いてみたが、なぜ日銀が国債の保有残高を減らしているのか分からなかった。仕方なく、日銀に電話した。いやな予感がした。省庁の職員の丁寧な対応とは対照的に、日銀は我々を馬鹿にしたような応対しかしないからだ。

 今回もそうだった。女の人が電話に出た。日銀が国債の保有残高を減らしているのは当たり前だと、怒ったような口調でまくしたてられた。量的緩和を解除したのだから、当たり前だろうと言う。かつては量的緩和で国債を買って銀行に資金を提供していた。景気がよくなってきたから、今は日銀当座預金の残高を増やして資金を供給しているのだそう。日銀が銀行にいくら資金を供給したところで、これだけ不景気なときに金を借りて商売をしようと、あるいは事業拡大をしようとする人は少ない。借りたい人は、どうせ倒産するのだから、とことん借りて踏み倒してやろうという人ばかり。不良債権を出したくない銀行は、そんな人には貸さない。結局銀行貸出は伸びず、日銀当座預金の残高を増やす形で銀行への資金提供はいくらやっても無駄だ。

 我々が主張する「お金がなければ刷りなさい」を実現するためには、市中に存在する国債を日銀が片っ端から買えばよい。そうすれば、国も遠慮せずに財政出動ができる。日銀が市中から買いまくれば、金利が上がるなどと心配しなくてもよい。バーナンキも日本にやってきて、日銀にもっと国債を買わせろと主張しているし、クライン、サミュエルソン等ノーベル経済学賞を受賞している経済学者も口を揃えて同様の主張をしている。私が日銀の担当者に、銀行だけでなく一般からも買ったらどうだと言うと、怒ったように日銀は銀行からしか買いませんと言った。それも日銀の規制の一つなのか。

 我々は、政府・財務省には様々な方法でアプローチし「お金を刷りなさい」ということを伝えているし、だんだん彼らも分かってくれてきていると信じている。しかし、なかなか日銀には近づけない。日銀は総裁、副総裁2名、審議委員6名の計9名ですべて決定している。750名近くいる国会議員の100分の1余りだから、なかなか近づけない。一度福間審議委員と中原審議委員と話す機会があり、我々の考えを支持していただいた。なかなかそれ以上の接触はできない。

 日銀はひどい。全く日本経済の事を考えていない。日銀が国債の保有を減らせば減らすほど、円の価値も国債の価値も高まるという馬鹿なことを考えている。そのお陰で円高になって企業がどれだけ打撃を受けていることが分かっているのだろうか。昭和恐慌の克服には日銀と大蔵省の強力で見事に克服したことを、しっかり勉強してほしいものだ。それに日銀の独立性の上にあぐらをかいていて、他の人の意見は全く無視だ。1年間デフレから脱却できなかったら、全員首にするような制度にしたほうがよい。
小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス

人気ブログランキング ← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!

植草一秀応援バナー

城内みのるさん応援サイトへ日本に希望を与える信念の男、城内実

|

« 第二次補正と3年後の景気回復の意味についての質問主意書と答弁書(小野盛司) | トップページ | 元厚生事務次官の連続殺傷事件は構造改革派の足掻きなのだろうか!? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/141377/43174901

この記事へのトラックバック一覧です: 日本経済を犠牲にして国債を守ろうとする財務省と日銀(小野盛司):

» 大量虐殺テロを肯定する「kojitaken」氏 [がんばれ城内実(きうちみのる)]
「kojitaken」と名乗る方は、2001年に米国で発生した「9.11テロ」に関して、「アメリカはテロを起こされても仕方のない国」と言い放ち、「快哉を叫んだ」ような人物なのですね。 以下のブ... [続きを読む]

受信: 2008年11月21日 (金) 11時36分

« 第二次補正と3年後の景気回復の意味についての質問主意書と答弁書(小野盛司) | トップページ | 元厚生事務次官の連続殺傷事件は構造改革派の足掻きなのだろうか!? »