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2008年11月16日 (日)

お金の使い方を間違えた麻生内閣(小野盛司)

  (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第135弾です)

 日本経済復活の会の主張は「お金がなければ刷りなさい」である。それはデフレ経済の下、政府が再三財政が厳しいから、金がないから、と言って予算を削り続け、デフレ脱却をさせようとしなかったからである。例えば今年6月27日に政府が発表した「経済財政改革の基本方針2008」においても歳出の最大限の削減を行うと明言している。これが今でも政府の財政政策の基本方針となっているのだ。しかし、こんなことをやっていたら日本は世界経済の中で取り残されてしまう。だったら、お金を刷って、諸外国並の名目成長率に持って行きなさいというのが当会の主張である。

 しかし、麻生内閣に変わってから、明らかに変化が出てきた。お金を使おうというムードが出てきた。それは大変良いことなのだが、残念ながらとても国民の合意の得られるようなお金の使い方を提案しているとは言えない。各種世論調査で2兆円の定額給付金を評価するとした人は約3割、評価しないとした人が約6割だ。今回の金融サミットでも、日本はIMFに10兆円もの資金支援をする方針を表明した。

 どうやら、これまで政府がお金が無いと言ってきたのは嘘だったようだ。毎年0.2兆円社会保障費を削減する。高齢者医療費の削減のため、後期高齢者医療制度を作って国民から猛反発をくらった。医療費削減のお陰で病院の破綻が相次ぎ、国民の医療サービスが危機にさらされている。特に産婦人科医、小児科医、麻酔医不足が深刻だ。先進国で最低レベルの教育費も削減するばかり。母子家庭への助成金も削った。重度の障害者への支援も削り、弱者切り捨てという批判を浴びた。

 2兆円の定額減税や10兆円のIMFへの拠出でなく、これら国民生活を脅かす財政削減をストップし元に戻したら、国民はどれだけ喜ぶことか。それに我々の次の世代の経済の繁栄のために自然エネルギー開発への投資も国民を勇気づけるに違いない。選挙対策をやりたいのが本音であれば、実際は今からでもやり直して、国民の支持を取り付けたほうが選挙対策という意味でもはるかに効果的だ。第一、国民が納得していないような形でお金をばらまいて景気が回復するわけがない。景気とは国民の心理が大きくかかわってくる。今回、一回限りで金をばらまくが3年後には消費税増税で取り返すと言われれば、国民の消費意欲は冷えるだけだ。

 麻生内閣は最初からつまずいてしまった。何をすれば国民が喜ぶかは誰の目にも明らかなのに、なぜこのような国民から評価されない金のばらまき方をするのだろうか。その理由は明白だ。小泉政権下で、財政再建を再建するという「大義名分」を掲げ、デフレ時に歳出の最大限の削減をするという暴挙に出た。その結果世界は30年間で最もよい経済状態と言われた中、日本だけはデフレからの脱却すらできず、経済的理由で自殺する人が数千人増加した状態が続き生活保護世帯も大幅増加し100万世帯を超えた。かつて世界2位だった一人当たりの名目GDPも小泉経済政策により18位まで転落した。

 もし今、財政削減努力を放棄し、財政を増大させたら小泉内閣の経済政策が失敗であったことを認めることになるから、どんな経済危機が訪れようと、自民党政権が続く限り財政拡大ができないと考えている自民党議員は多いのだろう。11月14日の朝日新聞には、財政制度審議会が月内にまとめる09年度予算編成に向けた建議(意見書)の素案で2011年度に基礎的財政収支の黒字化する目標を「努力目標」に後退させることが分かったとある。政府はこれが実現不可能な目標だと知っている。いずれ目標達成の失敗を認めなければならない時が来るのだが、今のうちにそのショックを和らげておこうという作戦だ。2011年度の基礎的財政収支の黒字化目標は小泉内閣による負の遺産の一つだ。

 経済が全く理解できない小泉氏が、財政赤字を減らせば国の借金の問題が片付くと勘違いしたのが、そもそもの大失敗の始まりだ。内閣府発表のシミュレーションには2011年度に基礎的財政収支の赤字がゼロになるとなっていたから、これを国家目標にしようと、全くの「馬鹿殿様」の鶴の一声で、国全体がこれに向かって走り出した。だけどちょっと待って下さい、小泉さん。あのシミュレーションは、「改革無くして景気回復無し」というあなたの持論を正当化させるために、あなたが内閣府に命令して経済モデルを偽装させたものだったではないですか。景気対策をやってもちっとも景気は良くないという現実離れをしたモデルを作らせ、景気対策はやるべきではないのだというあなたの間違えた主張の理論武装をした。

 そんな偽装モデルは、当たるわけが無いですね。案の定、当たらなかった。だから毎年「今年は当たりませんでしたが、来年こそはデフレ脱却ができます」という嘘を言い続けた。2002年からずっとそうですよ。天気予報だって、土砂降りの雨のとき明日になれば晴れますと毎日言い続け、何日も土砂降りが続いていたら、国民は気象庁なんていらないと言うでしょう。あの偽装モデルは国民を騙すには都合がよかったのでしょうが、小泉さん、あなたもあの経済モデルに騙されてしまいましたね。2011年度に基礎的財政収支が黒字かするなんて、できるわけないのに、すっかり騙されてしまって、それを国家目標にするなんて、なんと馬鹿な殿様なのでしょう。今でも政権は、最大限の歳出削減という馬鹿な目標と経済危機とのジレンマで、本当に困っています。

 本来なら、このような政策の大失敗の後では政権交代が起きて、新しい政権で、間違いを正す政策を行われるのだが、残念ながら、民主党もデフレの時に緊縮財政は最悪であることが理解できていない。農民に無条件の所得保障するという理解できないバラマキ政策を提案している。バラマキ政策提案で参議院選に勝ったから、今度は与党が定額給付金というバラマキで対抗した。もうこんなバラマキ競争を止めて、真に日本の未来を考えて頂きたい。国民が納得するお金の使い方はあるはずです。与野党でバラマキ競争をやっているわけですから、お金はあるわけです。お金が無くても刷ればよいのですから、もっと与野党共しっかり国民の事を考えて、国民に支持される政策で競争していただきたい。
小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス

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コメント

今の日本が早急にやらなければならないのは内需拡大策=財政出動をやってデフレと合成の誤謬を止める事でしょう。
それが一番の世界経済への貢献だと思われますが。
米国財務省の出先機関に過ぎないIMFや世銀に巨額の出資をしたからと言ってどこの国も日本には感謝しません。
むしろ2国間でやってくれた方がありがたいんじゃないでしょうか。
それから中国はうまく立ち回りましたね
G20の直前と言うタイミングで57兆円公共事業を公表しましたから。
これは暗にIMF・世銀に対する出資や更なる米国債購入を拒否してるのと同義ですし。
その代り中国は内需拡大策で世界経済に貢献しますよと。
これなら米英も文句は言えんでしょうしね。
同時に格差や貧困に苦しむ中国国民の不満も抑え込めます。
それに比べて我が国は駄目ですね。
米国の傀儡に過ぎないIMFや世銀ではなく10兆円丸々国内に投資しろと私は言いたい。
それも新しい箱ものや道路を造るんじゃなしにここ数年放置された既存のインフラの手直しやリニューアルに使えと。
新しいモノを作れば維持管理費が新たに発生しますからね。
以前、亀井静香氏が言っていたような都市部での電柱機能埋設化や住宅の高機能化、一人あたりの床面積を広げる政策でもいいでしょう。
経済効率や富の蓄積に取っては有効だと思います。
福田内閣が掲げていた100年住宅と論理は一緒です。
田舎へ行けば住宅の寿命は長いですが、最近の建売や集合住宅では寿命が短いですからね。
これが日本人の富の蓄積を妨げてるとリチャード・クー氏も指摘しております。
ローンを払い終える頃にはもう寿命が来て建て替え、リニューアルの時期が来てしまっていると。
既存のインフラでも同様ですね。
例えば道路にしても最近の舗装は経費削減の為なのかやっつけ仕事で数か月でボコボコになっております。
一方20年前にやったきちんとした舗装では全く傷みが少ないですから。
経費削減の為と言いながらライフサイクルが短くなっては結局それだけ余計に経費がかかります。
前述のリチャード・クー氏の著作によれば道路を含めたインフラは途上国より貧弱で非効率な作りだそうです。
これが輸出企業が外国に出たがる一つの要因にもなってると指摘しております。
とにかく形はどうあれ今の日本に必要なのはデフレ克服、内需拡大の為の財政政策しか無いとますます確信しております。
相変わらずマスメディアはばら撒きと呼んでネガティブキャンペーンに余念が無いですが
だったらどうするの?と逆に聞きたいですね。
今更新自由主義改革を推し進めて米英のように製造業を捨てて金融業の国にしましょうとか言えんでしょうし。
元々国際政治力、諜報能力、軍事力の無い我が国には米英のような真似は不可能ですしね。
またそのような事を米英が許すわけは無いです。
製造業では日本に完敗しましたから。
金融に関しても80年代末にバブルとは言え日本に支配されかかったトラウマがあるでしょうしね。

投稿: ななし | 2008年11月17日 (月) 09時44分

ばら撒きと呼ぶようになったのはこの数年でしょうね。
富の再分配と呼べば良いのにね。
日本はIMFや世銀に巨額の出資を決めましたが中国や欧州はうまく立ち回ってますね。
米国の傀儡機関に出資するくらいなら国内に再分配して景気対策をしようと。
日本もIMFに10兆円も出資するくらい余裕があるんなら国内に再分配すれば良かったのに。


金融サミットで協調確認するも、日本に財政・金融政策打つ手なし
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081116-00000525-san-bus_all
景気後退の懸念は各国共通で、ドイツは総額500億ユーロ(約6兆円)、フランスも1750億ユーロ(約27兆円)規模の財政出動を打ち出した。中国は4兆元(57兆円)大規模な景気刺激策を発表。米国でもオバマ次期大統領が1000億ドル(10兆円)規模の対策を検討中だ。1929年の金融恐慌の再来を指摘する声が強まる中で、「負の連鎖」を断ち切る上でも今回のサミットでは、協調した財政・金融政策の必要性をアピールする必要があった。


それより何より財政政策は効果が無いとここ数年言い続けて来たマスコミが今更何を言うんだと。
そもそも新自由主義改革を推し進めて日本の外需依存率を急増させたのはどこの誰なんだと。
96年には9%まで下がった外需依存率が今や16%ですよと。
誰のせいなんだと。
国内への利益分配率を下げて国民総体の購買力を下げる政策をやってれば自然とそうなるのは小中学生でもわかる理屈じゃ無いですか。
マスコミや御用学者は国民の前で総懺悔しろよと言う気持ちですね。

投稿: ななし | 2008年11月17日 (月) 09時04分

同じバラマキなら今回の給付金より、民主党の農家への所得補償の方がはるかにマシでしょう。
自民党は、小泉政治の全ての罪悪を認め、反省し、国民に明確に謝罪した上でなければ、今後信用されることはないように思います。少なくとも私はそうです。
現在まともな政策を実行できそうな政党がないというのが日本の悲劇ですね。

投稿: 愛読者です | 2008年11月16日 (日) 17時55分

こんにちは。
「バラマキ」というとすぐ批判が出るのが常ですが、デフレ下での「バラマキ」は良い事であり、与野党で「バラマキ合戦」となるならむしろその方が良いはずです。しかしながら現実は決してそうなっておらず、むしろ逆に与野党がお互いの「財源」を攻撃するという「足の引っ張り合い」になってしまっています。現状は、「ばら撒きますが、後で返してください」と言っている与党より、「ばら撒きます」だけの野党のほうがまだまし、という事になるのではないでしょか。
しかし、メディアでもようやく「日本には金は無い」という財務省の主張はウソだという論調は少しづつ大きくなっているようです。以前は全くいなかった、「財源は赤字国債でいいじゃないか」と言う人も現れ始めています。今朝の日テレの番組でも、森永卓郎氏が今回の給付金問題について、はっきり「二兆円じゃ少なすぎるんですよ」と発言していました。後は日本が潰れるのが先か、政策大転換が先か、という時間との勝負なのではないでしょうか。

投稿: JAXVN | 2008年11月16日 (日) 16時36分

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