新大統領バラク・オバマ体制(雑感)
バラク・オバマ上院議員がマケイン氏(共和党)を圧倒的に破り、クリントン政権以来、8年ぶりに民主党政権が誕生する。ハリウッド映画で黒人が大統領になっているという設定があったが、たとえば「ディープ・インパクト」でモーガン・フリーマンが演じた大統領は印象深かった。
この役者さんは好きである。オバマ氏も頭が切れそうで品のいい感じである。
メディアをコントロールしている極少数の支配的存在(真のエスタブリッシュメント=原田武夫氏の言い方では「奥の院」)が、大統領就任を陰で操っているとすれば、もしかしたら、オバマ大統領の選出は、支配階級からすれば既定路線だったのかもしれない。もちろん、表層的にはブッシュネオコン政権のほころびが、もうどうしようもなく繕えなくなっていることがきっかけなのだろうが、深層は、世界金融危機の責任をブッシュ政権だけに被せて新体制に移行したのだろうか。しかし、こういうことを書くと、第一企画出版社の世界に接近する恐れがあるが、アメリカがいきなり人畜無害な国家へ変貌(刷新)することは、にわかには信じられない。
アメリカを支えてきた軍産コングロマリットが、戦争好きのブッシュ・ネオコン・グループと本当に訣別できるのだろうか。しかし、黒人大統領が誕生したことはまぎれもない事実である。人種の混交国家アメリカは、たとえばキング牧師の暗殺などを見る限り、黒人の社会的な地位向上はほとんど不可能な世界だった。ましてや国家の最高指導者になることは想像もできなかったはずだ。それはWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)や、白人優位主義者たち、例えばKKK団などに象徴される人種差別結社がいるように、アメリカは超頑固な白人至上主義の国である。
アメリカ白人の徹底した人種差別は戦争末期、日本には原爆を落としたが、ドイツには落とさなかったことに強く現われている。
それにしても、アメリカでは何が起きているのだろうか。日本の明治維新のように、ある種のメタモルフォーゼ(変態)を遂げるのだろうか。ウォールストリートの野蛮なカジノ的金融銭儲けの猖獗(しょうけつ)はおさまるのだろうか。しかし、支配的な富裕層がオバマ氏の「富裕層減税の廃止」をよく容認したと思う。暗殺までは行かないにしても、彼を潰そうとする強烈な反対が出ても不思議ではなかった。彼は金融危機に対応して、今までの無法地帯とも言えるような金融経済の規制を行う。これはいいことだ。弱肉強食がメインの市場原理第一主義は犠牲が大きすぎて世界を荒廃させる。日本もすぐに、セーフティネット再構築のために、既遂の規制緩和や規制撤廃を見直すべきだ。必要な規制は復活させなければならない。
オバマ氏のやろうとしている公約は、ブッシュの強欲資本主義の見直しである。日本もブッシュに命令された小泉構造改革を早急に見直すべきだ。これは自公政権はやりそうもないから政権交代しかないだろう。しかし、日本の民主党もまったく心もとないから、お目付け役に国民新党の頭脳を使うべきだ。
米国の民主党にもどるが、対日関係はどうなるのだろうか。あの悪質な「年次改革要望書」を発動させたのはクリントン民主党政権であった。これから、どのような対日政策が出てくるのかわからない。カジノ金融バクチ屋だけが巨利を得て、真面目に働く者がとことん搾取されるような世界はもう御免である。新自由主義はほんとうに終焉するのだろうか。それが終焉しても、あらたな悪しき経済イデオロギー、例えば戦争経済の継続であるとか、その類の破壊的なイデオロギーがアメリカから生まれてくるのではないだろうか。ミルトン・フリードマンが出たように。日本も目を光らせていた方がいい。黒人だからと言って安心はできない。黒人のコンドリーザ・ライス国務長官は好戦派である。イラクから米軍を撤退して経費削減を図っても、アフガニスタンへの増派を匂わせていることは、結局戦費調達は日本からということになりかねない。
また、牛肉市場の拡大を求めていることは、日本の輸入枠の拡大圧力を強めることは必至だ。問題はBSE対策であるが、オバマ氏がこれにどれほど良心的に対応するか見ものだ。私は米国人の検疫感覚に疑問がある。まあ、外交姿勢は多少は良くなるだろう。ブッシュ政権のように「With us? Or Against us?」と二者択一を迫り、取り付くしまのないトップダウンの意思決定構造ではないと思う。小泉元首相はこれを徹底的に真似して日本を破壊した。オバマ氏なら、かなり柔軟な話し合いは期待できるかもしれない。
以上はざっとジェトロの緊急レポートを読んでみた感じだが、オバマ氏は医療保険制度の改革も試みるようだ。自国の国民皆保険制度を構築する一方で、年次改革要望書に書かれる、日本の皆保険制度破壊は続けるつもりなのだろうか。強欲な米系保険会社のために。あと、予定通り、日本の郵政資金は米国経済建て直し、あるいは戦費調達のために収奪するつもりなのだろうか。その辺の対日政策は引き続き注意を要する。
日本はけっして楽観はできないだろう。大統領が変わっても、米国は相互互恵よりも一方的な収奪の型を持つ。
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日本に希望を与える信念の男、城内実
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コメント
西尾幹二さんの「インターネット日録」より、(http://www.nishiokanji.jp/blog/?p=741)
「GHQ焚書図書開封」の著者の西尾さんは、田母神航空幕僚長の論文の内容は、戦前の人々の間では、当たり前の常識のことと思われていた。戦前と戦後の意識のこの断絶は、GHQによる徹底的な焚書よるものだと。そのことで、徹底的に洗脳された状態が今も続いているのだと述べていらっしゃいます。
11/4日付
「田母神航空幕僚長論文事件を考える」
アメリカ発の金融危機がどこまで深刻で、どのように今後の世界を変えていくかはまだ分らないが、アメリカの力が落ちて、政治的にもかなりの影響が出てくることは間違いないだろう。日本が自ら傷つかずにアメリカからどう距離をとっていくかが今後のわが国の最大の課題と思う。
つまりわが国はこれから困難な状況を迎えるとともに、好機をも迎える。好機とはいうまでもなく、アメリカの事実上の「保護国」にある立場からの脱却、すなわち「独立」のチャンスの到来である。
私は『WiLL』12月号「麻生太郎と小沢一郎『背後の空洞』」にそのような今の日本の置かれた位置について語った。また『諸君!』12月号に「雑誌ジャーナリズムよ、衰退の根源を直視せよ」でも、現実は動いていて、波立っていて、その波のひとつひとつを掴まえるには、今までの固定した思考の枠組み(イデオロギー)を取り払わねばならないと書いた。ご一読くださった方は分っておられると思う。
ところが、今の日本は相変わらずまったくそうなってはいない。アメリカからの「解放」が目前に来ているというのに、新しい現実の動きがまったく分っていない。
田母神航空幕僚長の論文は普通に立派なことを語っていて何も問題はない。しかるに日本政府はなにかに怯えて、彼の地位を外し、彼は解任はされなかったが、定年退職の形式でやめさせられた。政府としては苦肉の策だろうが、なぜそんなにビクビクするのか。アメリカから一歩ずつでも「独立」した方向へ進もうとする今の日本人の精神的情勢がまったく分っていないのである。
政府のほうが時代遅れである。沖縄の集団自決事件の裁判第二審の判決例を見ても、今の日本の司法はとち狂っているとしか思えない。行政も司法もなにかを恐れている。
占領軍の命令に怯えた60年前のマインドコントロールがずっとまだつづいていることは間違いないが、昭和60年前後に一度悪化し、それから教科書・拉致などあって少し好転したが、ここへきて近年またまた一段と悪化しているように思えてならない。
これは「解放」が近づいている証拠でもある。どうしてよいかわからずノイローゼにかかっている現われである。日本の対米依存心理はそれほど根が深く、病理現象を呈している兆しでもある。(このことは前記『WiLL』『諸君!』の12月号二論文でも分析しておいた。)
私はいま『GHQ焚書図書』第二巻の原稿整理のまっ唯中にあるが、第8章の冒頭に次のように書いている。
戦後日本人が忘れさせられた「侵略」の真実
まず、注目していただきたいのは『亜細亜侵略史』『印度侵略史』『米英東亜侵略史』『英国の侵略』『アジア侵略秘史』といったタイトルです。この五冊はたまたま焚書の並ぶ棚から拾い出してきたもので、この手の本は非常にたくさん出版されていました。『大英帝國侵略史』とか『太平洋侵略史全集』というのもあります。多くの本に「侵略」という言葉がかぶせられています。当時の日本人は欧米諸国を「侵略国家」として認識し、指弾していたのです。日本は侵略されなかったアジアの最後の砦であった――そういう捉え方が当時は当たり前でした。
ところが、いまの新聞、雑誌、テレビ、あるいは教科書を見てください。日本がアジア各国を侵略したという話しにガラリとすり替わっています。そんな馬鹿な話はありません。アジアの国々を侵略したのは欧米諸国であって、けっして日本ではありません。日本は侵略された側の最後の砦だったのです。それなのにいつの間にか日本は侵略した側に回されてしまった。というより欧米は無罪で、日本だけが侵略国にされてしまった。そんなとんでもないことが起こっているのは敗戦国の現実で、現代の敗戦国は領土だけでなく歴史も奪われる端的な証拠です。そしてその手段の一つが焚書でした。
もしも「欧米諸国=侵略国」という常識を記した本がGHQによって焚書にされずに、日本人の常識からすっかり消されてしまわなかったら、記憶の一部は必ず強く甦り、常識の復権に役立ったでしょう。ところが、現実には、教科書によって、あるいは新聞やテレビによって、米軍の指示に従った歴史観が国民の頭に刷り込まれて来ました。そのため、私たちの国が侵略したのだと思い込むようになってしまったのです。
ご覧の通り「焚書」が決定的にマインドコントロールの役割を果したのだった。現在の日本政府も、裁判所も、脳髄の中枢をやられているのである。
私は根本から日本人の意識を変えていかなければダメだと思っている。無力とはいえ、私の言論も少しは役立つでしょう。しかし、それよりもアメリカが財政破綻の結果、日本列島の防衛を事実上もう不可能とみて、日本から誰の目にもはっきり分るほどに離れていく局面が生じることが、日本人の自立の切っ掛けになるのではないだろうか。」
投稿: ねぎ坊主 | 2008年11月 7日 (金) 23時39分
ななしさん
>外圧でしかこの国の政治は変わりようが
>無いでしょうから。
まったく哀しい国です。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2008年11月 6日 (木) 14時12分
労組がバックに付いている米民主党ですから通商政策は必然的に保護主義的になるでしょうね。
これはもう伝統です。
従って日本は小泉後の外需頼み一辺倒から内需拡大策に転じる必要性が出て来ると言う希望的観測をしております。
また昨今の欧米の経済状況からそうするべきでしょうね。
小泉改革によって中間層を没落させ貧困層を拡大、雇用を不安定化させた結果、外需依存率は96年には9%だったものが07年には16%に急増しております。
耐久消費財の代表格新車市場だけを取りましても700万台→500万台であります。
内需を拡大するには改革の巻き戻しと富の再分配が必要ですね。
私はそれを期待しております。
外圧でしかこの国の政治は変わりようが無いでしょうから。
新自由主義路線からの転換に期待しております。
もっともニューズウィーク日本版やNYTと言った明らかにオバマ民主党寄りのメディアが
未だ日本には改革路線を求めてる事は気になりますけどね。
これまでもずっと米国の民主党寄りのメディアは自国には新自由主義からの転換を日本には新自由主義改革を求めて来ましたから。
オバマ政権のブレーンもその手の連中の可能性がありますしね。
まあブッシュを後ろ盾にして来た小泉を始めとする日本の新自由主義者のバックが居なくなるのは良い事だと思います。
投稿: ななし | 2008年11月 6日 (木) 08時53分