著作権法の過度な適用も言論弾圧の一形態
私が管理するこの「神州の泉」はココログを使っているが、植草さんのブログもココログである。この間の記事で植草さんの「植草一秀の『知られざる真実』」が、一時的なココログのアクセス禁止措置の憂き目に遭った。そのことについては、私の記事でも感じたことを素朴に述べておいたが、植草さんのブログでは、この件に関し、鬼頭栄美子氏と言う弁護士さんが、法曹関係者としての立場から、実に適正、的確な論文を書かれていた。
これを読んで、私はもやもやとしたものが一気に晴れた思いがした。溜飲が下がるとはこのことである。詳しくは当該記事の(1)と(2)を読んでいただきたい。
(1)本ブログアクセス禁止措置についての考察 (その1-再掲示)
(2)本ブログアクセス禁止措置についての考察 (その2)
この論文の初頭から、鬼頭栄美子氏は重要なことを述べている。
「ブログ等により一般国民が情報の送り手となる事が一定範囲で可能となった現在と雖も、「政治」に関する「情報入手」は、マスコミの力を借りずには、ほぼ不可能である。」
日本には伝統的な悪慣習とも言える『記者クラブ制度』が屹立している。この制度がもたらしている弊害は、メディア史に新たに誕生し、急速に発達しているインターネットといえども、政治情報の取得形態が大手マスコミの力を借りないと出てこないという現実がある。
この問題を敷衍して考えれば、大手マスコミが特権的に政治情報を入手できる現実は、神保哲生氏などが語るクロスオーナーシップ問題がある。日本のクロスオーナーシップ問題とは、大手メディア五社五系列が一握りの民間資本に独占され、メディアの新規参入が事実上不可能になっていることがある。小泉政権は自由市場における競争の優先を旗印に、競争の公平性や弱者を保護していたセーフティネットを、規制緩和によって瞬く間に破壊してしまった。
一方では、最も最初に問題視するべき、新聞の再販制度やクロスオーナーシップを頑固に温存したままだ。そのために、国民は一方的にバイアスした政治情報しか見聞きできないようになっている。このような情報の後進性は日本だけである。これ以下は私の個人的見解であるが、クロスオーナーシップ制度が日本に頑強に根付いている現実は、ただ単にメディアの資本独占という表層的な問題だけではない。この状況には日本のエスタブリッシュメントの意向そのものが雁字搦めに働いていると見ていい。
つまり、インターネットが国籍や国境を越える、何者にも影響されない超国家的情報媒体だとは言っても、わが国の政治情報が「記者クラブ制度」という旧態依然、かつ権力の手先的仕組みに依存している以上、明らかに情報の「上意下達(じょういかたつ)」構造になっている。そうなると、インターネットがこれほど普及した現実でも、肝心の政治情報が統制管理下に置かれていることになる。これが日本の現実なのだ。
私は「植草一秀氏を応援するブログ」のコメント欄に「表現の自由と著作権法のはざまで!!」という粗っぽい意見を書いた。その中で「ココログはインターネットの中小企業だから、大手新聞社である毎日新聞の威光に平伏し、憲法第21条、第一項の言論の自由と著作権法の二側面からの充分な検討を行わず、毎日新聞社のクレームを丸呑みしてしまったのではないのか」という意味合いのことを開陳した。すると、誰かからココログは中小企業じゃなくて充分に大手であり、ニフティもパソコンの黎明期にパソコン通信を手かげた老舗的存在だ、従って私のコメントは見当はずれだとコメント返しをされた。まあ、言われてみればその通りなのだが、企業規模の大小は私の言おうとしている本筋とは関係ない。
私は事業の規模によって、資本の小さいものが大きいものに平伏したと言う意味で言ったのではなく、歴史の古い紙媒体メディアの新聞は、クロスオーナーシップという独占資本形態から見ても容易に推察できるように、明らかに日本のエスタブリッシュメントと繋がっているということを言うつもりだった。そう考えれば、ネット企業は歴史的には生まれたばかりの新媒体であるから、まだそういう魔手は伸びていないかもしれない。しかし、このまま行くと、いずれはクロスオーナーシップに取り込まれるだろう。(もしかしたら、もうかなり取り込まれているのかもしれないが)
ネット企業から見れば、五大新聞は徳川幕府の江戸城(千代田城)のような存在なのかもしれない。ここには情報取得の優先性のほかに、権力中枢との強い繋がりの問題も暗示されている。私の推測だが、ココログは毎日新聞の命令に恭順したのだろうか。その辺は内部事情であるからわからないが。
「記者クラブ制度」や「クロスオーナーシップ」など、わが国の大手メディアはこういうがんじがらめの国内事情を抱えている。その中で起きた「植草さんブログ・アクセス禁止措置事件」である。鬼頭弁護士さんは、今検討されている「日本版フェア・ユース規定」が実行されたら、今回の毎日新聞によるクレームなどは一刀両断に無効化されると断言している。フェア・ユースとは「公正な利用」のことである。詳しくは鬼頭氏の論文を読んでいただきたい。
日本国憲法第21条に著わされる「言論表現の自由」と、著作権法との相克の問題は古くから屹立しているが、著作権法の適用には極力慎重さを持つべきである。私のような法律の素人が考えてもわかるが、著作権法や名誉毀損など、この手の法律の適用基準を限りなく広げていくと、見事なまでの言論統制社会が出来上がることは目に見えているのだ。
小泉政権は日本にネオリベ構造を導入して階級分化社会をつくり、極端な格差固定社会を形成しつつある。この目的は一握りの富裕階級層が可能な限り国民から労働成果を恒久的に搾取するシステムを構築するためだ。これを効率よく推進するために言論弾圧の傾向が顕著になっている。小泉政権以降の自公政権はこの形を持っているから阻止する必要がある。植草さんは国策捜査に遭う以前も、その後も自公政権の政策理念とは水と油の関係であり、狙われる充分な理由を持っている。
だから、今回の植草さんブログの「アクセス禁止措置」には、間違いなく政治的意図が介入していると私は確信している。推測であるが、小泉政権の残党が毎日新聞社に介入した可能性が高い。その残党が○○政策研究会だとは名指しできないが、植草さんの政策理念とは対極的な売国思想を持つグループだろう。
また、本記事と直接の関係はないが、ココログを評価しなければならないことがあった。ココログは11月7日のココログニュースでフジテレビの「サキヨミLIVE」が、「年次改革要望書」を取り上げたことを記事にしている。タイトルは「フジテレビ「年次改革要望書」特集に波紋」だ。そこでは、「神州の泉」の該当記事も紹介していた。これはココログを利用する者としては非常に嬉しいことだった。年次改革要望書を冷静に取り上げるメディアは何であろうとも大きな評価をしたい。
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コメント
訂正です。ニフティではなく、ココログのニュース一覧のところでした。すみませんでした。
鍵英之拝
投稿: 鍵英之 | 2008年11月10日 (月) 08時09分
ニフティのトップページにもう何日も「神州の泉」が紹介されていますね。植草さんの通信障害もある一方で、こうした良心的なところもあるんですね。
僕は高橋様を信じてついていきます。
鍵英之拝
投稿: 鍵英之 | 2008年11月10日 (月) 07時45分