現在の景気と景気対策に関する質問主意書と政府の答弁書(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第162弾です)
日本経済復活の会では、質問主意書という形で政府を説得しようとしているし、政府の考えを問いただしている。32回目の政府とのやり取りを紹介したい。31回目のやりとりでは、我々の主張は「今回の経済危機で急激に経済が悪化したが、その前から日本経済は世界の中で没落を続けていた。今回の経済の悪化を食い止めるだけでは足りない」ということで、名目GDPで見れば日本は十数年間ほとんど変化していないし、諸外国にはそのような低成長な国は無いことを例に挙げて説明した。それに対して、政府は名目でなく実質で比べるべきだと主張。我々の反論は、世界の経済の中で日本経済が没落していることを示す客観的なデータを示した。
我々は、このような政府とのやりとりが決して無駄に終わるとは思っていない。お金を刷って、国民に渡すことが日本経済を救うのだと、いつか必ず政府も理解する、いや、理解させてみせる。僅か15.4兆円の景気対策で十分だと、誰も思わない。しかし、一方では増え続ける国の借金におびえる政府・マスコミ・国民。
日本、いや世界経済を救うのは、どの国も自国の通貨を増刷する権利を持っているし、今こそそれを行使しなければならない時が来たのだということを、一刻も早く理解させなければならない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第32回質問主意書
急激に悪化する日本経済に対応する経済政策に関する再質問主意書
衆議院議員 滝 実
前回の質問主意書に対する、答弁書(内閣衆質一七一第二一三号、以下「答弁書」という)において、日本経済の現状に関して政府の考え方が示された。特に「一及び二について」で、「経済の成長という点において、日本だけが世界から取り残されてきたのではないか」という質問に対し、実質GDPも含めて判断する必要があり、名目GDP成長率のグラフのみでは、一概に判断することはできないとの答弁であった。これに関して再度質問する。
一、確かに物価上昇が激しい国であれば、名目GDP成長率が、そのまま経済の規模の拡大を表すのではなく、物価上昇分を引いた実質GDP成長率で考えねばならぬことは明らかである。しかし、我が国のようにデフレが続く経済では状況は異なるのではないか。デフレーターをマイナスにすればするほど実質GDPはかさ上げされる。例えば、デフレーターをマイナスにした要因の一つはパソコンの性能の向上だと言われる。パソコンの値段は変わらないがパワーがアップしたから、実質値下がりしたのだという。しかし、これによって果たして景気がよくなったという実感がわいてくるだろうか。多くの国民にとって、パソコンのパワーはすでに十分であり、パワーアップしても実質的に価値は変わっていない。実質GDPの数値だけはかさ上げされたものの、給料が上がるわけではなく、景気回復の実感がなかったのは当然ではないかと思うがどうか。
二、図1ではドル換算した各国のGDP比較を示した。これも名目GDPではあるものの、ドル換算をすれば為替調整を考慮すれば、実質的なGDPの比較と言っても良い。これでみても日本経済は1995年ごろから停滞が始まっていて、世界の中で経済成長という点において、取り残されたことは明らかである。図2では、日本のGDPが米国のGDPの何%であるかを示した。1995年には71%あったものが、2007年には31.7%にまで下がっている。やはり日本経済は停滞しているのは間違いないと思うがどうか。
三、図3では、世界のGDPに占める日本の割合を示した。これ以外にも「経済の成長という点において、日本だけが世界から取り残されてきた」証拠を示す客観的な経済データは多数存在する。これは、政府が十分な経済対策を行って来なかったことが原因していると思うがどうか。
四、過去において、成長率をもっと高める方法が無かったのかと言えばそうではない。例えば今回の12兆円の財政支出を伴う景気対策であれば、1%の成長率を引き上げるとのことであり、名目成長率も実質成長率も同時に引き上げる。過去において景気対策をもっと強力に行っていたら、更に大きな成長率の増加が見込まれたし『失われた10年』を防ぐことができたのは間違いないと思うがどうか。
五、名目成長率の上昇は、日本経済へ様々な好影響を及ぼす。
①デフレ時での景気対策は、名目成長率だけでなく実質成長率も引き上げるから、実質的な経済規模の拡大が見込まれる。
②名目GDPの拡大は可処分所得の増加をもたらし、景気回復の実感がわいてきて、日本国民に将来への希望をもたらす。
③経済の拡大が、年金への不安を解消する。
④一時的に国の債務のGDP比が増加したとしても、一定の成長軌道に入れば、新たな景気対策無しにGDPが増え続け、GDPの増加は債務のGDP比を下げ続ける。
⑤税収が増加するから、長期的には財政は健全化する。
このような経済への好影響を考えるなら、今後の景気対策は、名目成長率が少なくとも4%を超えるまでは続けるべきだと考えるがどうか。
六、3月27日の記者会見で与謝野大臣は11年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標(以下旧目標という)に代わる新目標『骨太の方針09』(以下新目標という)を、今夏ごろに策定する考えを示した。しかし、旧目標により歳出削減を行ったために、結果として日本経済は縮小し、国民を苦しめ、しかも財政健全化という意味では全く逆効果しかなかったのだから、旧目標を掲げたことは間違いだったのではないか。新目標を掲げることは、失敗を繰り返すことになるだけだと思うがどうか。
七、オバマ米国大統領は2月9日夜、就任後初めてとなる公式記者会見で1990年代の日本の長期停滞にも触れ「迅速に行動しなかったために『失われた10年』と呼ばれる不況を経験した」と指摘。日本の教訓に学ぶ必要性を訴えた。またフレドリック・ミシュキン元FRB理事が3月27日、ニューヨーク市内で講演し、日本はゴッド・ダム・ストゥーピッド(大バカ野郎)だと発言し、1990年代の不況を長期化させた元凶として日本の財政・金融政策を厳しく批判した。このような指摘に対し政府は過去の経済政策で反省すべきものはなかったのか真剣に検討すべきだと考えるがどうか。
八、政府は十五兆円の規模で補正予算を編成すると伝えられている。しかし、G20で決まったのはGDP2%以上というのでなく、総額500兆円ということであり、日本が世界のGDPの8%であることを考えれば、40兆円規模を考えるべきではないか。それに日本は世界の中でも際だって経済が悪化していることを考えれば、40兆円よりも更に規模を大きくしなければならないのではないか。
図1 出所 IMF World Economic Outlook 2008
図2 出所 IMF World Economic Outlook 2008
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第32回答弁書
内閣衆質171第292号
平成21年4月17日
内閣総理大臣麻生太郎
衆議院議長河野洋平殿
衆議院議員滝実君提出
急激に悪化する日本経済に対応する経済政策に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員滝実君提出急激に悪化する日本経済に対応する経済政策に関する再質問に対する答弁書
一について'
経済の成長については、前回答弁書.(平成二十一年三月二十四日内閣衆質一七一第二一三号)でお答えしたとおり、物価動向を考慮した実質GDP成長率等も含めて判断する必要があると考えている。なお、2002年初め以降の景気回復局面においては、名目賃金の伸びが低かったことが景気回復を実感しにくくする一つの要因となった可能性があるものと認識している。
二から四までについて
1995年から2007年までの期間を比較した場合、ブラジル、中国、インド、ロシアなどの新興国経済等のGDP成長率が高かったことや、 先進国においては米国のGDP成長率が相対的に高かったことなどが、世界のGDPに占める日本の割合及び米国のGDPに対する日本のGDPの比率が低下した主な要因と考えている。なお、過去の累次の経済対策については、日本経済が極めて厳しい状況にあった中で景気の下支えに一定の効果があったものと考えている。
五及び八について
経済政策を行うに当たっては、 様々な経済指標を参考にしつつ、 その時々の経済状況等を十分に踏まえて総合的に判断することが必要であると考えている。政府としては、現下の厳しい経済金融情勢に対しては、「景気の底割れ」を防ぐことを最重要課題として、平成二十年八月以降、総額約七十五兆円の三次にわたる経済対策を取りまとめ、その速やかな実施に全力を挙げてきた。さらに、平成二十一年四月十日には、総額約五十七兆円(うち国費約十五兆円)の「経済危機対策」(平成二十一年四月十日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)を取りまとめたところである。
六について
世界的な金融危機と経済悪化を受けて、基礎的財政収支を黒字化させるとの目標の達成は困難になりつつあるが、当面は、財政規律の観点から、現行の努力目標の下で、景気回復を最優先としつつ、財政健全化に取り組んでまいりたい。
七について
政府は、1990年代の深刻な景気後退に対しては、累次の経済対策を含む大胆な政策運営を行うとともに、金融機関の不良債権処理、企業の過剰債務解消に向け、抜本的な対策を講じ、こうした政策努力の成果もあり、我が国経済は、「債務、雇用、設備の3つの過剰」を克服し、その後の景気回復が実現したと認識している。
← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!
日本に希望を与える信念の男、城内実
小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス
| 固定リンク








コメント
これぐらいにしておきますが、政府も大変だなあ。短期の景気拡大と中期の財政再建を混同してません?ケインズ政策って、出した後は戻すんですよ。普通。じゃないと政府の規模だけが拡大するし。戻したら、出したときと対照的な効果が出るんですよ。その結果その間の債務だけ残るんですよ。とにかく財政出動すればすべての問題が解決するっていうのは、R.Koo氏よりもたちが悪いと思いますよ。
投稿: piroko | 2009年4月24日 (金) 00時34分
六.目標を見ないとなんともいえないが、「どうか」といわれても政府も困るだろうなあ。
投稿: | 2009年4月24日 (金) 00時30分
五.
→おっしゃるとおり。But no free lunch. 政府の規模を拡大し続けることができれば。
投稿: | 2009年4月24日 (金) 00時29分
四.
→おっしゃるとおりでしょう。デフレだし。財政悪化を除けば。
投稿: piroko | 2009年4月24日 (金) 00時27分
三.政府が十分な経済対策を行って来なかったことが原因
→ ここ20年くらいの財政出動の額を欧米先進国と比べてみてください。平常時には財政は自動安定化機能のみ、が常識。
投稿: piroko | 2009年4月24日 (金) 00時25分
二.1995年には71%あったものが、2007年には31.7%にまで下がっている。
→ 95年は円高(80円)。比較するなら07でなく09足元の為替でやるべき。単純に実質成長率がアメリカよりも低い、と言えばいいはなし。
投稿: piroko | 2009年4月24日 (金) 00時18分
一.パソコンのパワーはすでに十分であり、パワーアップしても実質的に価値は変わっていない。
→ パワーアップしたパソコンが買われているわけだから価値があると解釈すべき。
投稿: piroko | 2009年4月24日 (金) 00時15分
神州の泉さま、何時も有り難く拝読させていただいています。とても近付けそうもない崖にへばりついて見事な枝ぶりみせる崖上の松、自分で化粧する。私のあこがれですがこの松この世情どう見ているのでしょうか。
投稿: 崖上の | 2009年4月23日 (木) 19時54分