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2009年6月18日 (木)

民主党の言う埋蔵金の中身を調べてみました(小野盛司)

日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第174弾です)

 昨日(6月11日)の党首討論には、全く失望させられました。両党首共、どうやって日本経済を立て直すのかという視点が全く見られない。消費税増税か無駄のカットかの選択ですか。これだけ経済が落ち込んでいるときに議論することだろうか。景気底入れ宣言なんてとんでもない。大不況はこれからだ。

 消費税12%という案が骨太方針2009に入るか入らないかは知らないが、麻生首相の消費税増税には、正直頭に来た。これほどの経済危機で経済を立て直す見込みすら立たない時期に大幅な消費税増税を言い出すなど言語道断だ。もはや民主党に期待をするしかないのか。民主党のばらまき予告はすごい。すべて足し合わせると毎年30兆円の歳出増になるそうだから、頼もしい。お金を刷ってこれだけやるというなら素晴らしい。

 しかし、公務員の首切りや公共投資のカットで財源を確保するというなら、無理なのは明らかだ。そういうわけで、民主党のホームページをのぞいて、経済緊急対策を読んでみた。「生活を良くすれば、経済がよくなる」とあり、全く同感だ。様々な経済対策が書いてある。民主党の最大の問題点は財源だ。彼らは埋蔵金を使いたいらしい。彼らが言うのは埋蔵金残高としては

「財政投融資特別会計」=6.5兆円
「外国為替資金特別会計」=19.6兆円
だそう。

 そこで財務省に電話して、本当にそんな金があるのか聞いてみた。まず、「財政投融資特別会計」について聞くと、確かに6.5兆円あったのだが、09年度の補正予算で3.1兆円使ったから残りは3.4兆円だそうだ。民主党さん、3.4兆円と書き替えて下さい。この埋蔵金について色々話を聞いたのだが、要するに国債の一種の財投債を売って資金を得ていたということ。もともと郵貯の資金は旧大蔵省が預託運用し、そこから住宅金融公庫や国民金融公庫、道路公団などの政府関係機関に融資されていた。

 ところが、郵貯改革でこの制度が廃止され、郵貯は自主運用、政府関係機関は国が財投債を発行して得た資金を活用することになった。財政特別会計は国債発行で資金を得て、これを中小企業、教育、社会福祉関係等に融資する。その際赤字になるか黒字になるか分からない。苦しい中小零細企業の経営を考えると、むしろ赤字にしてでも中小企業を助けた方がよいかも知れない。その意味での準備金6.5兆円は持っていた方がよかったのかもしれないが、政府与党は今回の景気対策で半分使ってしまった。民主党は残りの半分までも使ってしまおうとしているのか。

 こんな金に手を出さなくてもよいような気もするのだが。弱者を救うための資金ではないか。ここで発行された国債を国の借金と言ってよいだろうか。金持ちから集めた金を中小零細企業に貸しただけ。これって、国の借金だから将来国民が税金で返さねばならぬのか!?中小企業に貸した金は中小企業から返ってくるのだから、国の借金とは言えない。国債を一概に国の借金と言うのは止めた方がよい。

 次に、外国為替資金特別会計の方も聞いてみた。これは財務省国際局為替市場課だ。19.6兆円は確かにある。こちらは、仕組みがちょっと複雑だが、調べると驚くべき中身が見えてくる。

 皆さんご存じと思うが、現在日本は外貨準備として約100兆円も外貨(大半は米国債)を持っている。平成15年に政府は約30兆円の為替介入を行ったことを覚えているだろうか。要するに、円高になると日本の商品は高くなりすぎて売れなくなり、輸出企業が衰退し、国内企業も海外に逃げていってしまう。政府が円を売ってドルを買うと円安になるから日本経済が救われるというわけだ。

 この際、ドルを買うための資金はどうするかと言えば短期国債(主に3ヶ月ものの政府短期証券)を発行して調達するのだ。要するにドル買い介入をすれば国の借金が増える仕組みだ。ちょっと待ってくれ。その借金も将来税金で返すのか。今度逆に円安になりすぎて、円買い介入をするときは、ドルを売って円を買えば、国の借金は消える。やはりここでも国債は国の借金という表現はおかしい。しかもその額100兆円だ。国の借金が増えたから財政が厳しい。増税させてくれと政府は言う。だが、借金の実態は本来借金というべきでないものも入っているという一つの証拠だ。

 米国債の運用益は、半分は更に米国債を買って残高を増やすのに使われ、残りの半分は一般会計に組み込まれる。その際に、ドルを円に換えて一般会計に組み込まれるのではない。なぜなら、そうすることは円高に向かわせることになるからだ。外貨建ての資産と円建ての負債をつり合わさなければならない仕組みだから、ドル建ての運用益が発生すると、新たに短期国債を発行し円資金を手に入れ、それを一般会計に組み込む。つまり米国債で儲かれば儲かるほど、国債残高(国の借金)は増える。やはりこれを国の借金というべきでない。

 それで、民主党が言う埋蔵金とは何かというと、外貨建て資産(主に米国債)が目減りしたときの準備金だそう。米国債は価格が変動するから、損することもあり、それを手当てするのがこの19.6兆円の目的で、景気対策などに使われては困るという。1$=99円で丁度バランスするそうだから、現在1$=96円だからこの準備金があっても、損は出ている。確か少し前には1$=90円程度まで円高が進んでいたから、その頃はもっと大きく目減りしていただろう。

 外貨準備が約100兆円ある替わりに、それとほぼ同額の短期国債の残高がある。少なくとも平成15年以降、為替介入は無いので、100兆円の短期国債の残高は動かない。奇妙なのは、何年も動かないのに、これが3ヶ月物の国債で運用されているということだ。一月にすれば33兆円もの短期国債をずっと財務省は売り続け、証券会社や銀行がこれだけの国債を買い続けている。年間の国税に近いくらいの額の短期国債を証券会社や銀行が買っているというのは驚くべきことだ。全国の銀行の年間の差益の合計が10兆円程度だそうだから、これに比べても大変な額だ。しかもこの短期国債の利率がわずか0.17%だそうだ。

 なぜ、短期国債なのか。ずっと長期に持ち続ける外貨準備なのだから長期国債のほうがよいではないかと思うのだが、財務省は「為替介入は売ったり買ったりするのだから短期のほうがよい」という。だけど実際は平成15年にドル買い介入をやった後、売買はない。円買い介入などいつのことやら。

 それはともかくとして、わずか0.17%の金利で100兆円ものカネを金融機関が国に貸している(国債を買っている)というのは驚くべきことだ。日本の金融機関はそんなに金持ちなのか。国がりそなに2兆円の資本注入を行って大問題になったのだが、100兆円もの余裕資金を持っているのなら、金融機関同士で融通できなかったのかなどと思ってしまう。それも一時的でなく、何年も貸しているのだ。もっと良い条件の投資先はいくらでもありそうな気がするのだが。第一預金者から預かったお金を、こんな低利で貸し出していて、十分利ざやが稼げるのだろうか。

 そこでもう一度財務省に電話した。今度は理財局だ。答は、他にもっとよい投資先がないから仕方なく、確実な投資先として国債が使われているとのこと。十分買う人がいなかったら、金利は上がるはずだという。

 この奇妙な現象はつぎのように理解すべきだろう。諸悪の根源は日本には、投資して確実に利益が出せる投資先が極めて少ないということだ。優良投資先は、すでにとっくに大手銀行に取られている。下手にそれ以外のところに融資をすれば、新銀行東京のように大赤字となってしまう。しかし、預金者は将来の安全を考えて現金を銀行に預けている。とすると大量の資金が金融機関で眠っている。しかも日銀も超低金利政策(昨年12月に政策金利を0.1%に下げた)を維持するため、大量の資金を金融機関に流していることも、その傾向に拍車がかかっている。金融機関としては信頼できる所に貸すか、さもなければ超低金利でも短期国債を買っておいた方が得ということになる。短期国債より長期国債のほうが利率が高い。

 利率の高いほうにお金が流れないのはなぜか。これは私の推測なのだが、国債は国債市場特別参加者制度というのが関係しているのではないか。金融機関の組合のようなもので、会員になると政府から買えと言われた国債をきちんと買わなければならないが、様々な特典があり黙ってても儲かるような仕組みになっている。

 要するに日銀が刷ったお金をただ同然で使わせてもらって、それを運用すれば確実に儲かる仕組みになっているのだと思う。そうでなければ100兆円もの資金を0.17%の利率で長期に政府に貸すなど、誰もやるわけがない。しかし、刷ったお金を金融機関だけが使うというシステムでよいのか。刷ったお金は国民全体を豊かにするために使ったほうがよい。

 そこで民主党に提案したい。埋蔵金の金額は小さいし、それなりの役割があり、使ってしまうのは余り良くない。もとはと言えば、埋蔵金も日銀が刷ったお金なのだが。そんなちっぽけなカネに気を取られて、本当に重要なことを見逃すべきではない。外貨準備のために発行された短期国債だけで100兆円だ。全体の国債発行額はその何倍もある。国民から預かったお金や日銀が刷ったお金を、国の経済の発展のために使うというのが、金融機関の本来の姿だ。

 しかし、今はそれが十分行われておらず、多くのカネが国債を購入することに使われており、経済がいつまで経っても発展できない。発展しない経済においては、企業も金融機関も思い切った投資ができない。そのため、日本は「失われた25年」に入りつつある。唯一日本経済を救うことができるのは、政府が思い切った投資をすることだ。日本銀行で刷ったお金を銀行で滞留させ通貨の役割を果たせなくするのでなく、思い切って政府が使うことだ。そうすれば、お金が流れ出し、やがて回るようになる。民主党の30兆円歳出拡大案を、刷ったお金(要するに赤字国債発行)を財源として断行していただきたい。

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コメント

なぜ、銀行は国債を買うのか?それはBISがくだらないことを決めたからです。国際取引をする銀行は自己資本率が8%でなければなりません。国内業務の場合は4%です。銀行はお金を融資したら、それはリスクになります。株を買っても同様です。しかし、国債を買うとリスクになりません。つまり、国債を多くもっているほど優良企業になるのです。これが、銀行が国債を買う理由です。

投稿: 石川晴一 | 2011年8月10日 (水) 10時07分

2年後の今、どんな気分?

投稿: | 2011年6月26日 (日) 13時13分

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