徹底した外資優遇政策の中で郵政民営化法案は成立した
国民や中小零細企業を不幸のどん底に陥れた小泉政権が2006年に終焉し、安倍政権、福田政権という、二代に渡るその継承政権が続いた。安倍政権も、福田政権も、その表層における掛け声は違っていたが、本流の政策内実は小泉政権が打ち立てた売国構造改悪そのものだった。
麻生内閣は福田内閣の後を継いで、2008年(平成20年)9月24日に成立した。その5日後の29日、衆議院本会議場で彼は所信表明演説を行った。私は彼が小泉・竹中構造改革全体の見直し、あるいは郵政民営化を見直す意思を表明をするのではないかと、密かに強い期待を抱いていた。ところが麻生首相はそれにはまったく触れずに、最後の方で構造改革を推進すると言ったので、「ああ、この男もやっぱりインチキ構造改革派なのか!!」と期待を打ち砕かれ、しばらくは憔悴した気分を回復できなかった。
それから2ヵ月も経たない11月19日、驚くべきことに麻生首相は、郵政民営化にともなって売却することになっていた「日本郵政グループの株式」について、「(売却)は凍結した方がいい」と、突然言い出した。当時の読売新聞記事を参照すれば、麻生首相は、「こんなに株が下がっている時に、しゃにむに売らなくちゃいけない話があるか。株は高くなった時に売るのが当たり前だ」と述べ、株式市場の低迷を売却凍結の理由に挙げた。だが、おそらくこれは彼の本音ではない。
麻生氏の本音は郵政民営化の抜本的な見直しにあったと確信する。つまり、彼は小泉政治の根本的な否定の上に、米国の傀儡政治を軌道修正しようとしていたのではないだろうか。その計画に同志として参加したのが鳩山邦夫氏だった。私は鳩山邦夫氏が麻生太郎氏の総理総裁実現に尽力した真意には、単なる盟友関係以上のものがあったと思う。それは、小泉政治によって疲労困憊した日本の政治風土を、もとの修正資本主義に戻したいという壮大な計画だったのではないだろうか。
なぜなら、ここ八ヶ月間、この二人は要所要所で郵政民営化の根幹に触れざるをえない重大な発言をしているからである。麻生首相は「四分社化見直し」を、鳩山前総務省は「かんぽの宿」一括売却譲渡問題を鋭意指弾していた。二人は意を合わせて、小泉構造改革の本丸である郵政民営化にまつわる抜本的な見直しを計画していたに違いない。しかし、二人とも民営化そのものには否定的言及はしていないが、そこに郵政民営化見直し計画の大きな苦悩がある。
なぜなら、構造改革と郵政民営化は自民党の最大党是であり、既定路線であるから、見直しや民営化の逆行に行き着く考え方は、党そのものの否定に繋がるからである。しかし、それでもこの二人は意を決して小泉構造改革の軌道修正をしようとしていたのではないだろうか。
今年の2月9日、麻生首相は衆院予算委員会で「(05年9月の総選挙で)問うたのは郵政民営化。四分社化ではない」と発言。また翌10日、「多くの国民の中で四分社化を知っていた方は、ほとんどおられない」と述べている。
http://www.asahi.com/politics/update/0210/TKY200902100326.html
私は何度もこのブログで書いているが、小泉・竹中構造改革の最大の疑問点であり、最大の政策的瑕疵は、外資の経済侵略(金融的侵略)に何の手も打たないばかりか、そういう防衛法案の萌芽を徹底して故意に潰してきたことだ。特に小泉元首相はひどかった。国会討論で、何人かの議員が「外資脅威論」について質問しても、小泉元総理は厚顔にも外資必要論や外資神風(かみかぜ)論を説いていたように思う。つまり小泉氏は、外資が日本市場に来てくれることこそ、経済の活況に繋がるという言い方に徹していたように思う。
私は企業買収にはほとんど無知な一民間人だが、それでも郵政民営化関連法案が審議される過程には、大きな不信感が拭いきれなかった。それは企業の合併・買収(M&A)には、スケール・メリット(規模の経済性)という肯定的な面もあるが、敵対的買収という乗っ取り買収があることも知っていて、これには企業価値や企業財産を、乗り込んできた資本の収奪から防御するために、適宜な対策を講じる必要があることは常識だと思っていた。
私が郵政民営化法案の審議について、経済の素人なりに心配していたことは、130年の長き伝統を持つ郵政国営事業が、民営化というまったく異なった事業形態に組織替えされる時、その組織解体の間隙を衝いて、国家が管理していた国民の財産を、外国資本が好き勝手に食い荒らすようなことがないだろうかという疑念だった。この時期、経済に詳しい私の知人は、アメリカには国家防衛的な見地からの外資買収に対する防衛策があるということを教えてくれた。それは通称でエクソンフロリオ条項と言う。
エクソンフロリオ条項(Exon-Florio provision)
「米国は外国からの米国内直接投資(FDI)を歓迎するとともに、外国投資家を公正かつ同等に扱う。ただ、国家安全保障を保護するための例外はある。エクソン・フロリオ条項の目的は、FDIを規制するのではなく、外国からの投資内容を精査し、米市場をできる限り公開するというもの。しかし、投資内容が米安全保障にかかわるものと大統領が判断した場合には、エクソン・フロリオ条項が適用され、FDIが規制される。」
私は素人の無知な大らかさで、日本には当然、このような国家防衛的な法律が以前からきちんと整備されているものだと思っていた。基本にそういう思いがあったから、郵政民営化法案に関する質疑応答には、当然、その法律が出てきて、然るべき外資防衛論議が交わされると思っていた。ところが、テレビを見ても、新聞を見ても、郵政民営化に対してそれがまったくと言っていいほど出てこないのが不思議であり、だんだん不安になっていた。
国会質疑、またはテレビ・新聞などのマスメディアには、郵便事業のユニバーサル・サービスが低下することはないのかとか、収益が見込めない過疎地域の郵便局は民営化で消滅するのではないかとか、いわゆる機能性とか、収益性とか、地域インフラの変化とかが主に論議されていたように思う。それはそれでとても重要なテーマであったが、私が憂慮していたことは、郵政グループ会社を統括するヘッドクォーターの株式会社(現日本郵政株式会社のこと)の株式が、貪欲で巨大な外国投資会社に半分以上買われた場合、郵貯・簡保にストックされている340兆円に及ぶ莫大な郵政資金は、日本人以外の者に自由に運用されてしまうということになり、それは最終的にどこへ行ってしまうのかという疑問だった。
もし実際に外資がこの郵政資金を収奪する場合は、色々な金融商品を介在させて、多分マネーロンダリングのように、外部からは不明瞭な形になるのではないかという想像が働く。かれらは金融工学という高度な詐欺テクニックを磨いている。こういうふうに海外投資会社から来る収奪的M&Aに対して、日本には防衛方策が存在しないのだ。なぜ、そういい切れるのかと言うと、これ以降は吉川元忠・関岡英之の共著「国富消尽」を参照するが、2005年に工作機械と工業用ロボットの専門メーカーであるファナックが、6月の株主総会で買収防衛策の導入を否決されるという事態が起きた。
その原因は、米国の議決権行使助言会社ISS(=Institutional Shareholder Services,Inc.)の日本子会社である「ISSジャパン」が、敵対的M&Aに対する事前防衛策を導入しようとする日本企業の議案に、株主総会で反対票を投じるように、海外の投資家に呼びかけていたそうである。同時期、横川電機も東京エレクトロンも同様のことが起きていた。また2006年の5月には会社法の改正によって、敵対的M&A対抗策としてポイズン・ピル(劇薬)という条項が制定された。
敵対的買収者が一定の議決権割合を取得した時点に、時価以下で新株を購入できる新株予約権を、既存株主に対して予め発行しておく方法で、買収側の持ち株比率や株式価値を低下させる仕組のことである。ところが東京証券取引所や金融庁はこの動きを抑制する方向に舵を切っている。つまり外資の露骨な優遇である。経済産業省は日本企業が買収防衛策導入に歯止めをかけるガイドラインを作成した。東京地裁は防衛策導入に指し止め命令を出している。
以上から、郵政民営化法案が成立した前後は、アメリカの議決権行使会社が暗躍し、外資のM&Aに有利になるような強烈なトレンドが進行していた。経産省も、金融庁も、東京証券取引所も、完全にこのトレンドをバックアップしていたのである。この傾向は現在も同じである。外国資本の進出を一方的に優遇していた趨勢の中で、郵政民営化は議論されていたが、政府も敵対的M&Aに対する防衛策については、まったくといいほど議論しなかったし、マスコミもそのことを国民に啓蒙していないのだ。
私のような素人が考えても、郵政民営化論の最も重要な論点が、敵対的外資の防衛策がどうなっているのかだったのに、それが全然出てこなかったことに強い違和感を覚えていたのだった。ましてや、郵政民営化にアメリカのエクソンフロリオ条項を参考にするなどという話は微塵も出ていなかった。そして、ここに城内実さんが、2005年6月7日の「衆議員-郵政民営化に関する特別委員会」で竹中平蔵氏に質問した内容が重要になってくる。
実は、城内実さんはこの特別委員会で、ずばり根幹の問題点を質問している。
「こういった買収防止策が進んでいると言われているアメリカですら、成功率が三五%、そして失敗率が四〇%という非常に愕然たる数字なんですが、我が国においてはまだまだこういった実例もございませんし、先般のライブドアとニッポン放送、フジテレビをめぐる争いでも、裁判をやると負けてしまう、こういう状況でございますので、私は本当に、外資がどっと入ってきて、さんざん買いたたいて、利益だけ吸い取って後去っていくというようなことが非常に心配なわけでございます。」
城内さんは言う。驚くべきことに、敵対的買収に防衛策を充分に講じているアメリカでさえ、その敵対的買収の成功率が35%もあるというのに、我が国はそれに対する防御がないから外資に喰われ放題になるのではないのかと言っている。この質問の中で城内さんは、竹中平蔵氏に2004年の4月から約一年間に、米国の官民関係者と何回会っているか?と質問したが、これに竹中氏は17回だと答えている。
竹中平蔵氏が、アメリカの政府及び民間保険会社の関係者と17回も秘密裏に会っているということは、郵政民営化には根本的に公にできない後ろ暗い内実があるということになる。そのメインこそが敵対的M&A計画であっただろう。その目的は運用名目で行われる、ゆうちょ・かんぽ資金の収奪である。アメリカは既に2002年の段階で、やがては分割民営化される日本郵政株式会社の社長に西川善文氏を据えて、ゆうちょ・かんぽ資金の収奪を遂行する計画を立てていると考えるべき動きがあった。これが成功するためには、日本人にM&A防衛策を取らせないことと、郵政三事業の解体、すなわち四分社化が絶対条件になっていたのである。加えて、西川氏の社長継続も既定路線だと思う。
エクソンフロリオ条項をネットで検索しても、異常なほどにその内容が出てこないのは、日本が外資脅威論を設定して、その防衛策を考えることを、米国が最も恐れているからにほかならない。しかし、米国の隷属状況に馴らされてしまった日本人には、その重大さを認識しない。郵政民営化とは、とどのつまりは日米問題なのである。けっして内政問題ではない。しかし、これに食いついた売国日本人にとっては、郵政私物化・利権化なのである。
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コメント
何時もお世話になっております。
貴エントリーの一部を勝手に私のブログに紹介させて頂きました。
有り難うございます。
今後ともご指導をお願い致します。
投稿: 無党派A | 2009年6月20日 (土) 18時45分
結局、東京裁判に行き着くのですが、この裁判によって、私たちに
くだされた汚名と屈辱を晴らそうという声はどこからも聞こえてき
ません。
このコメントを読まれる人の中で、在日の人と接触を持ったことが
ある人は、どれくらいおられるでしょうか。私は、短期間に3人の
在日(それは、後で知ったことです)と接触したのですが、その内
の2人とは、私がユーザーという関係でした。最初の、日本人同士
なら、まったく問題にもならない些細な行き違いがみるみるエスカ
レートし、現実に悪夢を見る事態になったのです。相手の対応は、
青天の霹靂ともいえるものでした。私の頭は、混乱の極に達し、神
経はズタズタ、こころはボロボロになりましたが、後で、それが彼
らにとって、最高の快感だということを知りました。
最後の最後になって、私が、冷静に、諭すように言った言葉で、相
手が急にシュンとなったのには、こっちがびっくりしましたが、こ
こで得た教訓は、決して「退いてはいけない」ということと、断固
とした態度で臨むということでした。
後で、あのとき、自分を鬼龍院花子になぞらえて「テメ―ラ!人間
じゃねえ!!!」と啖呵の一つも切っていれば、どんなに爽快だった
ことかと思いましたが、実際の私は、借りてきた猫のようにおとなし
い性分で、蚊のなくような声しか出ないのです。
これほどの経験をしながら、私には、恨みも、怒りも、憎しみも何
にもないのです。思うことはただ一つ、未来永劫、関わりたくない
ということだけです。もちろん、日本人にも嫌な人間、悪い人間は
沢山いるのですが、理不尽さのレベルが桁違いなのです。
私が、何を言いたいか、分かってくださるでしょうか。
従軍慰安婦や竹島の問題を、今に引きずってきたのは自民党政権な
のです。彼らと癒着し、彼らに配慮し、妥協し、うやむやにしてき
たのは自民党なのです。在日参政権も、民主党ばかり槍玉にあげて
いますが、何回も廃案になった法案なのに、彼らの顔色をうかがっ
て、継続審議という姑息な方法を採ってきたのは誰なのですか。
彼らを付け上がらせ、言いなりになってきたのは誰なのですか。
投稿: 一葉 | 2009年6月20日 (土) 10時55分
竹島問題がテレビで報道され国民周知の問題と
なった頃と、日本のバブルが崩壊して、地価
が下落して、破綻したゴルフ場をゴールドマン
サックス(外資)が買いあさっていた頃って、確か今にして思えば重なっていたと思います。
ベストセラーとなり、流行語ともなった「マネー
敗戦」吉川元忠著によれば、日本のバブル形成と
その崩壊の要因を明らかにしています。
バブルの頃、三菱地所がロックフェラーセンターを買い取った時、アメリカ人の中には憤りを持った人達がいたそうですが、実は、三菱地所は、高い買い物をされたのです、ロックフェラーセンターは相場の(少なくとも)4倍以上高い値段で買わされたのです(高過ぎると知っていた三井不動産
購入を断念した)。
投稿: 三毛猫 | 2009年6月20日 (土) 10時46分
日本郵政株式会社の例を見ても、本来、監視役であることを期待して設置されている指名委員会が、実は、外部の少数の人間で、大企業でもコントロール出来ることが目的だったことが分かります。
商法改正、会社法も、日本が一部の人に支配されるための制度だと言う事が見えてきます。
着実に、カイカク派=バイコク派のお仕事の結果が出ています。
働けど、働けど、我が暮らし楽に成らずの構図がここにああります。
政権交代しないかぎり、多くの日本人の不幸は終わりません。
テレビ局、新聞社で働く人も、明日は我が身なのに・・・
投稿: scotti | 2009年6月20日 (土) 10時19分
そして、アメリカの男お妾丸丸丸丸丸、日本の恥。
投稿: ななし | 2009年6月20日 (土) 01時52分
一葉 様
>アメリカの院政から脱却さえすれば、在日、
>韓国、中国の問題は自然に解決する
これは別の言い方をしますと、米国の桎梏から
自由にならなければ、韓、チャイナ、在日の存在
はのどに刺さったトゲのように厄介なものになり
ます。現にそうなりかけていますね。
いつからでしたか、久しぶりに電車で旅行に出
かけた時、各駅に英語とハングル語の表示が出て
いて、日本も変わったもんだなという感慨を抱い
たことを思い出しました。昔、新幹線は英語アナ
ウンスしていましたか?
英語の次にハングル、あるいは中国語。これ
は、半島とチャイナが東京裁判史観に付け込んで
言いたい放題のことをいう姿と重なります。つま
り、歴史観の洗脳も最初にアメリカなのです。
投稿: 高橋博彦(管理人) | 2009年6月19日 (金) 23時05分
こういう事情を、本当に、国民が周知したとき、
その怒りのエネルギーはどういう形で表れるの
でしょうか.(小泉、竹中両氏はいつまでヘラ
ヘラ笑っていられるでしょう)
管理人様が、アメリカの院政から脱却さえすれ
ば、在日、韓国、中国の問題は自然に解決する
と言われたこと、なるほどと思いました。何と
なく感じてはいても、はっきり言って頂くと、
はっきり認識することができます。
「嫌韓流」というマンガ本が出たとき、私は
非常に、いぶかしい思いを持ちました。こんな
本を出版する度胸と根性のある向こう見ずな日
本人はいないと思ったからです。きっと、アメ
リカの関与、後押しがある筈だと思いました。
アメリカは、日本が中国や韓国と憎みあうよう
に、主に、在日を操って、絶えず工作を仕掛け
ているのですね。些細なことで、すぐ世論に火
が着く韓国で、なぜこの本に関しては騒がない
のか不思議でした。
管理人様の言われる通りなのです。元を断たな
いと駄目なのです。悪の本元を見誤ってはいけ
ないと思います。
投稿: 一葉 | 2009年6月19日 (金) 11時21分
究極の売国奴、小泉純一郎の断罪なくして日本の復活は絶対にあり得ない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
投稿: とおりすがり | 2009年6月19日 (金) 09時24分