« 西川氏続投は、ゴールドマン・サックスの郵政資金収奪プロジェクトの中心にある!! | トップページ | 鳩山総務相更迭には正当性がない。党内世論はコンプライアンスを放棄した »

2009年6月13日 (土)

国民はいつまで「政府試算」に騙され続けるのか(小野盛司)

日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第172弾です)

 今週の火曜日(6月9日)の新聞には骨太09素案として、財政再建2020年に先送りという記事が踊った。これを見て、マスコミは本当に馬鹿だな、いつまであのデタラメな政府試算(=大本営発表)に騙され続けるのだろうとため息が出てしまった。

 中川秀直元自民党幹事長も日本経済復活の会の会合で言っておられた。内閣府の試算は当たった試しがないと。多くの人は内閣府試算が、全くのデタラメだと知っている。我々は、あの試算の嘘を暴くために、当時の経済財政担当大臣の太田弘子氏に公開討論会を申し込み当時の福田首相も了承したのに、討論会当日になって、太田氏は逃げてしまった。彼女は学者だから、あの試算がインチキだとよく知っているから逃げたのだ。

 今回の内閣府の試算に、またまたマスコミがすっかり騙されている。骨太06方針では、2011年度には基礎的財政収支が黒字化し、財政が健全化の第一段階が完了することになっていた。これは2006年1月の内閣府試算『改革と展望』で示された試算に基づく国家目標となり歳出は最大限削減され、国民はひどい目にあった。しかし、あの試算を専門家が見れば全くのデタラメであり、緊縮財政でデフレを続けたままで2011年に基礎的財政収支の黒字化など、絶対にあり得ないことは一目瞭然だったのだ。逆に積極財政で景気の本格回復を図れば黒字化は容易に達成できたことは、多くのエコノミストによるモデル計算で示されている。

 残念ながら小泉首相やマスコミや多くの政治家達が、あのインチキ試算に騙されて骨太06方針を国家目標として、デフレ下で財政支出を最大限削減するという無謀な政策を強行した。世界の景気が予想以上に悪くなったので、日本の財政も悪化して予想がはずれたのでは決してない。2007年頃には、世界の景気はこの30年で最もよいとまで言われ、輸出が2倍くらいまで伸びたのだから、普通の政策をやっていたら、デフレ脱却どころか、財政収支などあっという間に黒字化したはずなのだ。いかに内閣府の経済モデルがデタラメかということは、毎年大幅下方修正を行っていることから良く分かる。

 2011年度の基礎的財政収支はどうなるのかについての予想が毎年下方修正が繰り返されてしまったかをまとめてみよう。

①2006年1月  黒字化可能と発表
②2007年1月  黒字化は不可能、しかし14.3兆円の歳出削減を行えば0.2%の黒字にできる。
③2008年1月  14.3兆円の歳出削減を行っても、0.1%の赤字になる。
④2009年1月  2011年度の基礎的財政収支は2.9%の赤字
           消費税を12%にすれば、2020年度に黒字になる。

 3年連続で大幅下方修正となった。要するに計算は全く正しくなかったということだ。デフレ脱却できなければ財政再建などあり得ないことがはっきり示された。今回の発表で財政再建が2020年に先送りされたかのようにマスコミは報じている。このインチキ試算に、また騙されてしまうのだろうか。

 インチキ試算をこれだけ毎年見せられて、まだこれを信用しようという馬鹿な連中がいるのが不思議でならない。人間は3回騙されれば、そろそろ次もまた騙されるのではないかと気付くのが普通だ。内閣府が騙したのは3回だけではない。毎年だ。例えば2002年の試算(改革と展望)では2年後の2004年の名目成長率は2.6%と予測したが、実際は0.9%だった。

 2003年度は2年度の名目成長率を1.5%と予測したが、実際は1.06%、2004年度は2年後の名目成長率を2.1%と予測し、実際は1.66%、2005年度は2年後の名目成長率を2.6%と予測し、実際は0.56%、2006年は2年後の成長率を3.7%と予測、実際はマイナス3.6%だった。6年連続下方修正ということは、このような試算は全くデタラメで意味を持たないということだ。

 天気予報でも、雨が降っているとき、明日は晴れると6日連続で言って、それが全部はずれなら、誰も信用しなくなるだろう。こんな馬鹿な「見通し」をやるくらいなら、「2年後の成長率は昨年の成長率と同じ」と言った方が的中精度は飛躍的に上がることになる。

 今度またこの試算に基づいて「骨太方針09」を作るのだそうだ。2020年までこんな馬鹿な試算に騙され続けようと言うのですかと言いたい。今度出された試算(経済財政の中長期試算)は消費税を12%にして2020年度に基礎的財政収支を黒字化しようというものだが、一見して、国民を騙そうとしているのが分かる。笑ってしまうのは消費税を上げれば上げるほど経済成長率が上がると結論づけていることだ。

 この試算の9頁の表を見ていただきたい。2020年度の実質成長率は消費税引き上げ幅が3%なら1.0%、5%なら1.1%、7%なら1.3%だ。こんなに素晴らしい結果になるなら、消費税を1000%くらいししたら、ものすごい成長率になるに違いない。

 国民を騙すにもほどほどにしてもらいたいものだ。景気が少し良くなったからと言って、橋本さんが消費税を2%上げたら、景気は急降下したことを覚えているだろうか。消費税が上がれば、それだけ可処分所得が下がり、買いたい物が買えなくなるから消費は落ち込み景気は悪くなる。消費税を上げたら、景気がよくなるという経済モデルがあったら、それは使いものにならないということだ。デフレで売上が伸びす、中小企業は大変苦しんでいる。利益が出て、その中から法人税を持って行かれるなら仕方がない。しかし、消費税は赤字でもかかる。消費税が5%が12%に引き上げられたら、どれだけの中小企業が生き残ることができるだろうか。デフレ下の現在、利益の何割かではなく、売上の12%も持って行かれたらかなりの中小企業は潰れる。

 内閣府は何を血迷っているのか、私は内閣府に電話して聞いた。そうしたら驚くべき答が返ってきた。消費税を上げた替わりに社会保障費を増やしているから、逆に景気はよくなるのだそうだ。それなら「消費税を何%上げたとき社会保障費を何兆円増やす」と書いておかねばならないはずだ。これを隠して、あたかも消費税を上げたら景気がよくなり、財政も健全化するかのごとく発表するのは、まさに国民を騙そうとしているとしか言いようがない。

 こんな欺瞞的な試算に騙され続けるのを、皆さん我慢できますか。この試算で、2020年までの日本経済の運命が決まってしまうのですよ。

 経団連が消費税を上げることに固執するのには理由がある。輸出企業は消費税が上がれば上がるほど儲かる税の仕組みがあるからだ。知り合いから、そのことを説明したホームページのアドレスを教えてもらったので紹介する。
http://sun.ap.teacup.com/souun/148.html

 このことは、私は何年もまえから政治家達にも話している。政治家も知らない。経団連の会長がトヨタやキャノンの社長なら、当然消費税増税に大賛成でしょう。

人気ブログランキング ← この記事に興味を持たれた方はクリックお願いします!!

植草一秀応援バナー

城内みのるさん応援サイトへ日本に希望を与える信念の男、城内実

小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス

|

« 西川氏続投は、ゴールドマン・サックスの郵政資金収奪プロジェクトの中心にある!! | トップページ | 鳩山総務相更迭には正当性がない。党内世論はコンプライアンスを放棄した »

コメント

厚労省関係の事件で民主党議員の関与が取り沙汰されています。

私たち国民には真実が見えにくい事件ですが、全省庁の幹部が民主党のあら探しをしているとも聞きました。選挙前に官僚組織の暴走が始まったのではないでしょうか。

投稿: さとし | 2009年6月15日 (月) 00時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/141377/45325311

この記事へのトラックバック一覧です: 国民はいつまで「政府試算」に騙され続けるのか(小野盛司):

» 米ドルの危機とBRICsの対応 [三角広場]
nbsp;私はFXで外国為替のトレ−ドをやっていますが―昨年秋の、米投資銀行Lehman Brothersの破たん前後の外国為替の世界の混乱は大変なものでした。―結果としてドル円の100円割れという事態が起こり、今もドル円相場は回復していません。米ドルはまだ下がるのではないか?世界の多くの投資家達は不安感を抱えています。6月初めにBRICs−新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国)−がロシア・ウラル地方のエカテリンブルグで会議を持ちました―テ―マは決済通貨(Foregn Exchange ... [続きを読む]

受信: 2009年6月13日 (土) 16時03分

» 「消費」税のフェイク [晴耕雨読]
消費税の納税義務者は、消費者ではなく、課税売上のある事業者です(消費税法5条)。 法的には、「消費」に課税されるのではなく、課税資産の譲渡に課税されます。 消費税は、最終消費者が負担する税との説明もありますが、このような説明は、「消費」税という誤解を招く名称とともに、消費税の導入時に行われた政治的説明(フェイク)です。 もちろん、消費税相当額の価格転嫁が完全に行い得るのであれば、この政治的説明に整合します。 しかし、価格決定は売買当事者の契約によるものですから、価格転嫁の可否は、事業者の価格... [続きを読む]

受信: 2009年6月15日 (月) 22時37分

« 西川氏続投は、ゴールドマン・サックスの郵政資金収奪プロジェクトの中心にある!! | トップページ | 鳩山総務相更迭には正当性がない。党内世論はコンプライアンスを放棄した »