郵政民営化、特にその本丸の四分社化は国家的詐欺(1)
○四分社化は外資にゲートを開くための絶対要件である
我々は郵政民営化について、経営効率の問題とか、ユニバーサル・サービスとか、既成の民間銀行や保険会社との競合とか、さまざまな煩雑な問題に目を奪われ、真の問題点を見逃しているのではないだろうか。郵政民営化の真の問題は大枠で二つあって、一つは郵貯と簡保という金融会社の有する巨大資産を外国資本に委ねる危険性と、あと一つは、今、植草一秀さんが精力的に展開中の「かんぽの宿」疑惑追及に見えてくる、郵政が持つ巨大不動産の不適切取得の問題である。
郵政民営化にまつわるこの二大疑惑の真相が浮き彫りにされたとき、国民は小泉・竹中構造改革の真の恐ろしさを感得することになる。私は本記事で、郵政グループ二つの巨大な金融会社(ギガ・バンク)がたどる、近未来の運命を素人なりに推測してみる。
2004年9月、そして2005年4月、麻生太郎氏の郵政民営化法案策定に関する、竹中平蔵氏とのバトルを見る限り、彼は間違いなく国益派である。だが、彼の煮え切らない優柔不断な基本性格は、せっかくの国益志向を台無しにしているかのように見える。総理になると、想像を絶する重責とともに抗しがたいアメリカの圧力が働くのかもしれない。
属国日本の宰相が、国民利益のためアメリカにガチンコで物申すには、文字通り命がけだと思う。今の日本では郵政民営化見直しのように、米国による対日改造プログラムに対し、日本の総理が見直しする旨の言動をして、民営化の流れを変えようとした場合、強烈な威嚇を受け、それに屈しない場合、百パーセント米国関係者に抹殺されるのではないだろうか。そう考えると麻生氏の郵政民営化に対する見直し発言と、短時間でそれを不自然に取り消した意味がわかるような気がする。
日本は米国の属国である。軍事的、経済的、金融的にも日本は属国状態である。一つの証左として、日本の宰相が米国債を売ろうとした途端に、想像を絶する米国の威嚇が出てくることは周知の事実になっている。橋本龍太郎元総理大臣の事例からそれは容易に推察できる。郵政民営化はそれ以上に米国の強い圧力が掛けられる案件なのである。私は麻生氏が解散総選挙に打って出ない理由は、その時期を彼が決定できず、米国にコントロールされているからだと考える。
2007年9月の福田vs麻生の総裁選では、読売新聞や日本テレビが誘導報道(印象操作)して麻生太郎氏のネガティブ・キャンペーンを行い、福田康夫氏が首相に当選した。この時、渡邉恒雄氏らが主導して麻生氏を叩き落したのは、麻生氏が郵政民営化を見直す意図を有していたことを米国政府が知っていたからだ。当時は米国関係者が読売新聞社に肝煎りして、あのようなネガティブ・キャンペーが行われたものと見える。ジャーナリストの水間政憲氏の言うように、あの時、読売系のネガティブ・キャンペーンがなかったら、麻生氏の当選は確実だったという分析があった。
最近の国内政治で、米国を最も刺激し激怒させてしまったのは、麻生首相による郵政民営化見直し発言、それも四分社形態の見直し発言であることは間違いない。その理由を自分なりに考えてみたので、もし説明に使用する解釈に間違いがあったら指摘していただければ幸いである。郵政民営化とは、米国に牽引されて小泉純一郎氏と竹中平蔵氏が主導した巨大なペテンであり、その大ペテンの中心が四分社化である。
2004年9月ごろから暮れまでは、概念図右下のような竹中氏の主導した四分社形態は、ほとんどの自民党員が反対の立場であり、そのころの民営化の共通イメージは、左図のように「三事業一体化」のまま、民営化の模索をするということだった。ところが小泉元首相、竹中経済財政担当大臣、経済財政諮問会議のあるメンバーたちは、四分社化に強硬にこだわり、最後には小泉首相の鶴の一声で図のような四分社形態が決定した。この間、最後まで三事業一体の継続と、株式持ち合いの残存から、竹中氏と熾烈にバトルしたのが麻生太郎前総務大臣であった。
三事業一体による民営化とは、具体的には、郵貯、簡保、郵便という三事業が会計的に有機的に接続・連携し、会社間相互に株式の持ち合いをしている状態である。四分社化とは、その一体化会計が各自独立することによって、バラバラに完全分離すると同時に、株式の持ち合いを解消することである。麻生氏は最後まで三事業一体形態を主張し、竹中氏と意見が合わず、喧嘩腰で論争していたそうである。私は今はよくわかるが、その理由は実に鮮明であり、麻生氏の論拠は的を射ているものだった。
これは麻生氏が最大限の国家防衛を試みていたからに他ならない。防衛とは、持株会社である日本郵政株式会社の支配権、経営権を米系外国資本に掌握されないためである。郵政グループ全体が保有する総資産は国有資産であり、それは国民の財産である。その莫大な資産の管理権は、日本郵政株式会社が握っているということになり、その会社の社長が支配権を持つ。西川善文氏続投問題の本質はそこにある。国営から民営化へ移行する暫定期間であるとは言え、現在、株式は百パーセント政府保有である。西川氏の独断は許されないということだ。
日本郵政に対する総務大臣の監督権・調査権は日本郵政株式会社法に定められている。ところが「かんぽの宿」疑惑で、西川社長の不祥事を指摘し、法に従って然るべき対応を取った鳩山邦夫前総務大臣が、麻生首相に更迭されてしまうという前代未聞の事が起きた。麻生首相の身辺に関わる都合には、何か容易ならざることがあったのだろうという推測はあるが、政治的に見た場合、鳩山大臣の更迭は言語道断の判断であった。これによって麻生首相の政治生命は事実上、終わっている。
自民党に巣食う偽装CHANGE勢力が、横田幕府の意を受けて動いたことは間違いないが、その恫喝があまりにも凄まじくて麻生氏は解散総選挙を打つという最後の手段さえ行使できない現状にあると思われる。しかし、ここで重要なことは、麻生氏個人を責めることよりも、西川社長の続投を行うために、強引に麻生氏に圧力を掛けた日米強奪集団の意図を見抜くことだ。偽装CHANGE勢力は何ゆえに偽装なのか。彼らは、表面的には新しい思想を有した政治集団を装うが、その正体は小泉構造改革の急進的な展開を謀る買弁勢力であり、外国資本と結託して既得権益を貪る集団である。刷新への変化を偽装するから「偽装CHANGE」なのである。植草さんはこのネーミングに強い警告を込めていると思う。
(次回に続く)
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