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2009年7月 1日 (水)

植草事件と国策捜査(2)

○国策捜査は歴史や伝統文化にそぐわない政権が樹立された時に起きやすい

 さて、「国策捜査」という言葉は、2005年に出た佐藤優氏の「国家の罠」を読んで初めて目にした言葉だが、その出所は背任と偽計業務妨害の被疑者となった著者を取り調べた検事が使用した言葉として出てくる。この言葉が以前からあったのかどうか、私は寡聞にして知らないが、最近では国策捜査が有名になったために、ネットではこれから派生した「国策逮捕」という言葉まで同義的に使われ始めている。今ではこの言葉は世間的にかなり定着しつつあるように思う。国策捜査はいわゆる冤罪とは決定的に異なる構造を持つ。

 佐藤優氏の言に従えば、「冤罪」とは、捜査当局が犯罪を摘発する過程で間違いが生じ、無実の人を犯人としてしまったにもかかわらず、捜査当局の面子や組織防衛のために、強引にその人間を犯人として継続捜査をして行くことである。これに対して、国策捜査は国家の「自己保存本能」により、国家の政策方針を変えうるような多大な影響力を持つ人間を、初めから狙い撃ちし、検察を媒介にして政治的な事件や不名誉な事件を創出することである。(佐藤優「国家の罠」300項参照)  

 私は国策捜査をこう捉えている。国策捜査とは、時の政府が推し進める政策上のトレンドに対し、そのベクトルを変えうるような大きな影響力を持ち、政府が思い描く時代形成に反する志向や方向性を持つ学者や政治家を狙い撃ちすることであり、これから国民がけっして描いてはならない国家のグランドデザインを象徴的な意味で抹殺することである。植草さんの事例で言うなら、彼を国策捜査に嵌めた小泉政権、それに連なる偽装チェンジ勢力は、植草さんが万民幸福の国家的グランドデザインを描いていることが絶対に許せないのである。

 なぜなら、この政権のグランドデザインは、アメリカの犬になって日本人を奴隷国民として飼いならすことにあるからだ。その目的は宗主国のアメリカに国富を献上することと、一部特権階級のみに富が傾斜的に配分される階級格差社会を望んでいるからだ。上杉鷹山(うえすぎようざん)、ジョン・メイナード・ケインズを尊敬し、経世済民の世の中を熾烈に志向する稀有な経済学者、植草一秀さんは悪の権化とも言うべき、日本破壊を企む悪徳ペンタゴンから、第一級の危険人物としてロックオンされた。それは現在も強くなっている。なぜなら、りそなに関する金融疑惑を暴いた植草さんは、現在は郵政民営化の巨大悪に向かっているからだ。

 小泉政権と植草事件の例で言うならば、国策捜査とは、植草さんの政権指弾を封じる目的で行なう恣意的な捜査のことである。佐藤優氏に従えば、その目的は、時代のけじめをつけるために、何か象徴的な事件をでっち上げ、時の政府の政策トレンドに異を唱える影響力のある人間を、警察・検察が主体となって恣意的に断罪するということである。植草事件は二度とも完全にこのパターンに合致している。

 佐藤氏を取り調べた検事の言によれば、国策捜査は冤罪ではなく、これというターゲットを見つけ出して、そのターゲットの隙を見つけ、それを徹底的に揺さぶって国家の罠に引きずり落とすことである。そのターゲットになる人物はその道の第一人者であり、その言論表現を放置すると、時の政府のマクロ的な国家運営に甚だしい阻害要因となる能力を有している。従って国策捜査とは、国民に時代が変わったことを印象付けるために、旧時代を代表する人物を、もはや不要な者として、あるいは新しい時代に有害な考え方を持つ者として、その人間を象徴的な人身御供とする国家の断罪行為と言える。これはまったく植草さんに生起した二度の事件に見事に合致している。

 植草氏の逮捕劇を、有名な経済アナリストが痴漢性癖で捕まったと世間が面白おかしく騒いでいた時、私は彼の経済学者としての自己同一性、つまり、彼の世の中に対する姿勢を把握し、その基本姿勢と小泉政権時代が有していた国家的性格を比較検討し、その整合性の不具合を見て、植草氏の逮捕劇を社会学的に、哲学的に捉えなおしてみた。植草氏は経済学者ではあるが、その経済学的視点は、徹底して政治に反映される経済こそ意味があると考える、いわゆる実戦派エコノミストであるが、その基本は人々に対する愛情である。その上、植草氏は衒学的な経済エッセイストではなく、きわめて政治色が濃く、国家の政策中枢レベルに影響を与えうる提言と予見ができる非常に稀有なエコノミストなのである。

 われわれが認識する「事実」について少し考察しておきたい。われわれが普段知覚する「事実」(ファクト)には、実は大きく分けて二種類ある。一つは日常の中で、自分の目の前で生起する生々しい現象としての事実である。これは、目の前で起きたこと、視覚、聴覚、嗅覚など、いわゆる五感をもって知覚しうる体験的事実のことである。その臨場感、迫真性は疑いの余地のない場合がほとんどである。もし、この日々の実体験に疑いを持つとすれば、人間は実存感覚や生存のリアリティを見失う危うさに陥って、ゲシュタルト崩壊を起こす。

 われわれ人間が内包するこの実存的な脆弱さを精神的に制圧しているものこそ、日常に生起する多様な情報から得られるリアルな感覚というか、生き生きとした存在感なのである。もう一つの「事実」は、マスコミによって日々、目や耳にするニュースと言われる情報から得られる仮想的な事実である。テレビやラジオ、あるいは、新聞等の活字媒体から目にする情報は、物理的に放送局や記事の書き手という中間の媒体を介して流れる物であるから、その情報は程度の差こそあれ、必ず加工されていると見るべきである。

 その人為的な「加工」の度合いによっては、われわれが知らされるニュースは事実(ファクト)とは大きな懸隔(けんかく)が生じるものと考えられる。しかし、我々は、時には胡散臭さを感じながらも、前提としてメディアは正直に遠方の物事を伝えているという暗黙の信頼という担保を与えている。事実上、至近距離で目にする日常性に比べると、マスメディアが報じるニュースは事実として受け止める以外に取るべき態度を持たないのだ。

 国策捜査とマスコミの誘導操作情報は密接不可分な相互補完性を持つ。間違った政権とマスメディアがリンクした時、国民は最大級の不利益や実害を蒙ることになる。ここに大手メディアの最大の問題がある。権力機構がマスメディアを掌握した場合、国民は操作された情報を見たり聞いたりすることになり、一方的に洗脳されてしまうが、中には植草さんのように真相を見抜いて警告を発する稀有なタイプの有識者が出現する。権力機構はこれに脅威を感じて国策捜査を仕掛けるのである。

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コメント

チンピラに国策www

投稿: | 2011年3月 3日 (木) 15時21分

東国原氏を弁護しすぎたようです。しかし植草氏、佐藤氏、西村真悟氏のような、記紀神話や、後醍醐天皇と建武の中興など、日本の国体を顕示した歴史に精通した方に日本の舵取りをしていただきたいです。 しかし、これらの歴史に精通した方はほとんどいませんね。

投稿: 愛国沙門 | 2009年7月 3日 (金) 00時16分

Commented by しゃちょう さん
民主党はゴミだが、自民党も屑!


総選挙には白票を投するしかありませんね。

白票が投票数の半分を上回ったらどうなるでしょうかね。
民意としては「どの議員も日本の政治を任せる資質欠けている」と謂う事になりますかね。


どうすれば本当の民意を示せるのでしょうか?
棄権はしたくない!

投稿: しゃちょう | 2009年7月 2日 (木) 21時28分

初めて投稿いたします。
管理人様が「東国原」知事の事を書いておられるのを見て、
その慧眼に驚きました。
確かに彼の背後には「米国」の存在があると思います。
それは、「マニュフェスト」で有名になった早稲田大学の「北川正恭」氏を通じてです。
彼が、「民主でも・・・」と言った経緯も北川氏を調べられれば分かると思います。
実際、民主党の中には「米国」と繋がった人は数多くいますので。
「東国原」知事は、日本国の「地方自治」を売ろうとしているのだと思います。
駄文失礼いたしました。             拝

投稿: 孔雀王 | 2009年7月 2日 (木) 12時59分

管理人様

昨晩は、ご迷惑をおかけしました。軽率でした。

三島由紀夫の名前が出ましたので、検索して、久しぶりに、
「檄文」を読みました。管理人様がいつも言われていること
のエッセンスがここにあると思いました。しかし、アメリカ
の属国であることが常態になっている今の時代に、どれだけ
の人の心に届くでしょう。私は、読みながら、悲しいとか、
怒りの感情を突き抜けて、苦しくなりました。


亀井静香さんの「太郎ちゃんが、かわいそうだ」の一言に、
ポロッと涙がこぼれました。誰が総理になろうと、アメリカ
に従順でないと、こうなるのですね。石原、小池、石破の、
アメリカの覚えがめでたい人たちは、どんなに人気が無くて
も、失政をしても、マスコミに叩かれることはないのですね。


佐藤優さんの有罪が確定しましたが、「国策捜査」といわれ
たことへの意趣返しなのでしょうか、何となく、権力側の反
転攻勢の動きを感じるのですが。

投稿: 一葉 | 2009年7月 2日 (木) 09時23分

犯罪国家、国家犯罪、小沢秘書逮捕事件、植草元教授逮捕有罪事件を、見ると国家権力が警察、検察、裁判を、真実の追究ではなく、権力の目的の為、動かす<恐怖政治>が知らず知らずのあいだに始まっていたのだ、看過できないと感じているのは私だけ?

投稿: 記憶喪失 | 2009年7月 2日 (木) 07時31分

この植草裁判は調べれば調べるほど「国策裁判だ」という確信が強まってきます。
なぜ、一般には迷惑防止条例違反程度で罰金刑で済むような事案が「懲役刑」と裁定されるのでしょうか。
なぜ、2度も大学教授の職を追われ過度の社会的制裁を受けながら情状酌量が一切ないのでしょうか。
なぜ、一審、二審さらに最高裁まで一貫して証拠の事実認定を疎かにしたのでしょうか。
なぜ、過去に132日の拘留をしておきながらその内の60日だけしか刑期に算入しなかったのでしょうか。
これらの経緯は、事件に対して司法が公正に裁定をするという基本にはまったく立たず、初めに「結果」があり「国家の罠」にかけた者を何が何でもそこへ誘導するというプロセスを如実に示しています。
その「結果」とは国内の売国奴のみならず外国の闇勢力が結託し、彼らの利益を阻む者を抹殺しようとすることに外なりません。
過去にいみじくも闇勢力のメンバーが口々に「植草を火あぶりにせよ」と言っていたことが、いまや現実に可能となってきたとみるべきではないでしょうか。楽観はできません。彼らは巧妙な手段で目的を果たそうとするでしょう。
われわれは日本国民として、必死に国を守ろうとする植草一秀氏を守らなければならない。悪徳の彼らの歯牙にかけさせてはなりません。
この際民主党への政権交代とも連動し、副島隆彦氏による植草救済委員会の活動を中心に国民的運動へと早急に拡大していく必要があります。
残された時間はあまりありません。私も微力ながら協力していきたいと考えています。

投稿: 純一 | 2009年7月 2日 (木) 05時28分

「菅生事件」

これは確か昭和20年代に起こった大分県菅生の交番爆破冤罪事件である。以前、数冊まとめて読んだ事件関係の本の記憶だけで書くので間違いがあれば、お許し願いたい。

事件の概要は、菅生の共産党員二人のところに「市木某」という男が接近してくる。共産党シンパを名乗り、ポスター用紙とポスターカラーをカンパしたいので、何処々々に何時に来てほしいと言ってきたので二人は、約束の時間(夜)にそこへ赴くと、突然、近くの交番が爆破され、用意周到に張られていた非常線によって二人は実行犯として、あっという間に現行犯逮捕されてしまう。
拘置所で取調べを受けた際、「自分たちは市木という男と待ち合わせてあそこに行っただけだ」といくら言っても取り合ってもらえない。それのみか「市木」という人間が掻き消えたように姿をくらまし、その素性や実在すら分からないのである。

市木某を探し出さない限り二人のでっち上げ事件が解決されることはないと考えた弁護士の正木ひろし氏と新聞記者の何とかという方が懸命に行方を追うのだが、「市木」の消息は洋として掴めない。

やがて事件から1年半ほどして菅生から少し離れた町の豆腐屋が店舗を改装するなど、やけに景気がいいという噂が耳に入ってくる。しかも警察官になったその豆腐屋の息子の姿が、最近、とんと見えないというのである。閃くところがあった正木弁護士が苦心して、その息子の卒業アルバムを手に入れて、その写真を拘留されている二人に見せると、何と「市木」と偽名を使って近づいてきたその男は「戸高」(?)という現職の警察官だったのだ。しかも事件後、異例の昇進をして遠方の警察署に堂々と勤めていたのである。

かくして正木氏と新聞記者氏の必死の尽力によって「菅生事件」は悪質な国家犯罪であったことが確定した。

投稿: kenkensya | 2009年7月 2日 (木) 03時05分

ここに小泉さんの学生時代以外の事件が書いてありましたので、ご紹介します。既知でしたらご容赦。
いつもありがとうございます。

「小泉純一郎氏は代議士2年目の時も、婦女暴行事件を起こし逮捕されている。」↓
http://ameblo.jp/onigasima-kaminarisinno/entry-10291035300.html

投稿: 怒り | 2009年7月 1日 (水) 16時47分

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