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2010年1月 5日 (火)

新政権の成長戦略:名目3%、実質2%成長だって??(小野盛司)

日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第205弾です)
 
本記事は昨年12月30日のものです。

―全く経済モデルを理解していない証拠だろう-

Photo  本日(12月30日)政府は「成長戦略」を発表した。それが余りにも現実離れしているから呆れてしまう。経済成長率については、年平均で名目3%、物価変動を除いた実質で2%以上を実現し、20年度の名目GDPを650兆円程度に高めることを目指すとのこと。この数字に何らかの根拠があるのなら、国民に示すのが当然だろうが、この数字を見ると経済が理解できてないと思わざるを得ない。

 12月25日には平成21年度と22年度の経済見通しを発表したばかりだ。それによると平成22年度の成長率は名目で0.4%、実質で1.4%だ。これがいつの間にか名目3%、実質2%に移行すると思っているのだろうか。名目は3-0.4=2.4%もの上昇だが、実質では2-1.4=0.6%だから名目が実質の実に4倍もの速度で上昇する??こんな経済モデルがどこに存在するのか見せて頂きたい。実際は名目が伸びれば実質も伸びるようになっている。名目から実質を引いたものがGDPデフレーターと呼ばれるもの。広い意味の物価指数と思えばよいのだが、このGDPデフレーターはなかなか動かない。つまり実質と名目は平行して伸びていき、GDPデフレーターが上がってくるのはずっと先のことだ。

 実際、そんなに簡単にGDPデフレーターを上げることができるなら、もうとっくにデフレ脱却が可能になっていたはずだ。しかし、次の図で分かるとおりデフレーターは

Gdp_2 

 1994年にマイナスに転じ、一時的に消費税増税の影響で1997年に見かけ上プラスになったのを除くとずっとマイナスだ。つまりデフレ脱却は大規模な財政出動をしない限り事実上不可能と言ってよい。しかし、今までの政権はデフレーターが次の年、またはその次の年にはプラスになるだろうと、ずっと言い続けてきた。いつまで国民はオオカミ少年の嘘を信じ続けるのか。今回の政府発表もオオカミ少年の続きだ。

 財政出動を行った場合の成長率であるが、一般に非常に誤解されている。例えば日経のNEEDS日本経済モデルを使った結果を表にしてみる。次の表は、財政出動を行った場合と行わなかった場合の差である。例えば一番上の1.4%という数字は10兆円の財政出動によって、1年目には名目も実質も1.4%だけGDPが押し上げられるという意味である。

Gdp_3

 このように、デフレ経済においては生産余力があるために、財政出動が名目も実質も同程度に押し上げる。しかし、インフレにはなかなかならない。それは需要不足の時に需要が少々増えても、十分生産が追いつくのですぐには賃上げ競争にはならず、物価はおちついたままだからである。

 このあたりのことが、政府には分かっていないようだ。政府発表は、今までは内閣府計量分析室の結果を使って行われていた。今回もそうかと思い計量分析室に電話してみたら、この計算は計量分析室で行われたものではないようだ。詳しくは来年にならねば聞き出せない。しかし、計量分析室でも計算はしているそうだ。では、その結果は発表されるのか。今までの例では1月中旬に将来予測の試算が発表されていた。今回は発表の見込みは未定だ。「小沢さんが発表するなと言えば、発表できないですよね」と冗談のつもりで言ったら計量分析室の担当者も、そうですよねと答えてくれた。

 脱官僚ということは、計量分析室の官僚が出した結果を握りつぶし、素人政治家が計量経済モデルを使わない、単なる素人のでまかせの数字を国家目標として宣言するということだろうか。国の運命をこのような連中にあずけて良いのかと思う。もし、経済モデルで計算した結果を出したというのなら、その詳細を国民に公表すべきだ。それが出来ないなら、数字はでまかせだと自ら認めることになる。

 1997年度は513兆円あった名目GDPは2009年度には473兆円まで縮小している。平均の名目GDP成長率はマイナス0.6%だ。大規模財政出動を行えば、数%の名目成長率は簡単に達成できるが、それをやらないならずっとデフレで1997年に達した513兆円の名目GDPにまでは50年かけても回復しない。その間、アジア諸国にどんどん抜かれてしまい、日本はアジアの中でも貧乏な経済小国になってしまう。景気対策をしないなら、名目成長率3%は達成不可能な天文学的に高い数字だ。政府発表では来年度の名目成長率はわずか0.4%だということを忘れてはならない。どうやってこの天文学的な高さまで持って行けるのかを示す必要がある。

 仕分け作業をやったと同じように、公開の場で成長戦略を練るべきだ。自分たちの発表する数字に自信があるなら堂々と成長戦略の公開討論会を納得するまでやってもよいではないか。

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コメント

過去記事のリンクがおかしくなってしまいました。リンクのみ再送します。申し訳ありませんでした。

国民を騙した福田内閣(小野盛司)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/08/post_b032.html  

投稿: JAXVN | 2010年1月 9日 (土) 15時43分

こんにちは。
以前「実質成長率が伸びていれば、名目成長率はどうでも良い」というような話もまかり通っていた事もありました(検索してみたら、なんとこの「神州の泉」の過去記事が出てきました http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/08/post_b032.html )。それを思えば、名目成長率の目標を設定した事は一歩前進とも言えるように思います。ただ、その方法が具体的に示されていないことは問題です。というか、名目成長率を上げるためには「お金をする政策」を行うしかないのですが、なぜその事をはっきり言わないのか、という事になりますが。藤井財務相の後任は菅副総理の兼任になりましたが、菅氏は亀井氏に以前「財政出動の規模を上げる、というのは恐竜時代の考えだ」と言って物議をかもしました事もありましたが、その一方で勝間和代氏から「日銀が大量の国債を買い取ることで、通貨発行量を大幅に増やしてインフレを呼び込む」という「リフレ論」についてレクチャーを受けた件もあるので、「お金を刷る政策」に転換する可能性はあると思います。これまでは「改革派」と見られていた原口総務相が今ではすっかり亀井郵政・金融相と意気投合している、という事もあるのでここは菅氏にも方針転換を期待したいところです。

投稿: | 2010年1月 9日 (土) 15時40分

財政破綻…日本国債を外人が保有していたらおおごとでしょうね。
でも日本国債は9割以上が国内保有です。ということは国内での処理でどうにでもなります。
名目成長率を上げれば財政破綻、というのは与謝野や財務官僚の頭の中には、経済というのは経世済民のことであるということがすっぽり抜け落ちているからでしょう。
だから、セイニアリッジの策を打とうとしない。絶対に選択肢から外す行動をとる。
国民生活の復興なくして経済の健全な成長はあり得ない。生活を安定的に送るために国民は政府を組織し、その政府に税金というショバ代を巻き上げられても文句は言わない。
経済成長し、貨幣価値が下がれば、借金負担は軽くなる。
財政破綻は紙幣の発行高を格段に増やせば(やり方は格段の工夫が必要だが)回避は可能でしょう。

投稿: ろくぶんぎ | 2010年1月 8日 (金) 14時18分

パチン コ企業や小沢氏の 資金源となっている不動産系企業等、反日確定企業の不買運動を開始しましょう!!!
マスコミを束縛するスポンサーであるブリジストン(鳩山家)やイオン・ジャスコグループ(岡田家)も民主党を支持しています。
民主党連合が進める外国人参政権に付帯して、日本国籍を持たない外国人が選挙管理や政治への拒否権等の権限が与えられようとしています!

【村田春樹】シミュレーション「もしも外国人地方参政権が成立したら?」[桜H22/1/5]
http://www.youtube.com/watch?v=NlsikmAlAE4

投稿: はと | 2010年1月 8日 (金) 11時47分

もう一つ、構造改革を逆行させる必要もありますね。
企業利益が国民はおろか従業員や下請けにすら還元されない仕組みにされちゃいましたから。
企業利益は既にバブル期の2倍以上なのに名目はマイナス成長っておかしいでしょ?
利益は外人株主やアメリカへの投資に向かう構造にされちゃってます。
これを法人税率を含めて元に戻すのも重要だと思いますね。
日本はプラザ合意以降やっては逝かん改革をやったように思います。
特に金融ビッグバン以降は向こうの言いなりですから。
逆戻しの為には当然対米関係の見直しが必須ですが・・・

労働者の平均所得 企業の経常利益
1997年:467万円 1997年:27.8兆円
1998年:465万円 1998年:21.2兆円
1999年:461万円 1999年:26.9兆円
2000年:461万円 2000年:35.9兆円
2001年:454万円 2001年:28.2兆円
2002年:448万円 2002年:31.0兆円
2003年:444万円 2003年:36.2兆円
2004年:439万円 2004年:44.7兆円
2005年:437万円 2005年:51.7兆円
2006年:435万円 2006年:54.4兆円
2007年:437万円 2007年:53.5兆円

投稿: ななし | 2010年1月 8日 (金) 11時45分

財務省幹部や与謝野氏が度々触れてるように名目成長率が上がると長期金利高騰で直ちに
財政が破たんすると言う強迫観念が政府・日銀にあるように思います。
だからデフレギャップを広げてデフレ不況を維持するしかないと考えてると思われます。
この問題をクリアできない限り名目成長率を上げる戦略は取れないのかなとも思います。
デフレギャップが広がれば実質成長率は高く出ますから国民も騙しやすいですしね。
何時の頃からかメディアも名目値には触れなくなりましたし。
小泉政権誕生の頃は、デフレ時には名目値の方が大事だと言っていたんですが。
いずれにしろこのデフレ脱却時の金利高騰をどう解決するのかと言う問題をクリアしない限り政府・日銀はデフレを維持するしかないと思っております。
この点はどうなんでしょうか?
1%金利が上昇するだけで約10兆円利払いが増加します。
しかしデフレ維持でも将来破綻するのは目に見えています。
遅いか早いかだけの差だと思われます。
私はその問題さえクリアできれば日銀の金融政策次第(信用創造)でデフレは今直ぐにでも克服できると思います。
FRBや欧州中銀、英国中銀の例を見れば明らかだと思います。
小野先生はその点どう考えてるんでしょうか?

投稿: ななし | 2010年1月 8日 (金) 11時39分

「価値組社会」というタイトルそのものが新自由主義に媚びた感じを受けてしまうというろくぶんぎ様のご指摘は意外でした。私はどちらかというと「価値組社会」というタイトルは新自由主義の「勝ち組」に対する痛烈な嫌味と受け取りました。

森永さんが真実を語っているのではないかと私が思うようになったきっかけは実はその著書ではありません。小沢さんの秘書が逮捕された時に森永さんが「国策逮捕だ!」と言ったことで脅迫状を送りつけられるなどの嫌がらせを受けたとの情報を得たことによる直感です。

ただし、その後の森永さんの対応にはろくぶんぎ様ご指摘の新自由主義者に付け入られないための隠れ蓑があると思います。たとえば「価値組」の中でも鳩山総理の金銭問題についてその金銭感覚を批判しておりますが、あれを所謂隠れ蓑といったらよいでしょうか。小沢さんの秘書が逮捕された時の対応を考えればあれは森永さんの本心ではあるまいと今のところ私は思っております。

余談ですが、新自由主義者に付け入られないための隠れ蓑ではないかと思われる事例はほかにもあって、堺屋太一さんの最近の著書「大激震」の中で「私は小泉改革を概ね支持している」と書いている部分があるのです。ここだけみればここのブログの常連コメンテーターの方からは「ふざけるな!」と罵声が飛んできそうな気もしますが、その後の文章で小泉改革初期の緊縮財政を失敗としているほか、小泉改革の結果として東京だけ反映して地方が衰退する様子を浦島現象と評しており、実は「小泉改革を概ね支持していない」のが本音と思われるのです。また、8月30日の総選挙直後に発行された週刊朝日の中で堺屋さんは小泉改革のことを「安政の大獄」と評しているのです。書籍を読みながら著者の本心を察する難しさを感じます。なお、堺屋さんの「自由主義」や「市場原理」に対する定義の仕方(「とらえ方」といった方が適当かもしれません)は植草さんや森永さんと違うようなのでそこにも注意が必要と思います。個人的には堺屋さんのこの「自由主義」や「市場原理」に対するとらえ方が理解しやすいと思っております。

ところで管副総理が財務大臣を兼務することになったようですが、植草さんはこの人事を管副総理が財務官僚に対決姿勢を示していることから歓迎しているようです。その一方で、亀井大臣とやりあったこともあり緊縮財政に走ることを懸念もしています。植草さんのレポートを見ている約120人の与党議員を通じて植草さんの政策指南が生きるとよいですね。

以上

投稿: 鳩胸男 | 2010年1月 7日 (木) 03時48分

財務相は管で、国家戦略大臣が戦国のようです。
誤報申し訳御座いません。。

投稿: 訂正 | 2010年1月 6日 (水) 19時52分

戦国が財務相就任とのこと。
最悪のシナリオですな…

投稿: | 2010年1月 6日 (水) 19時22分

各マスゴミは、管・野田・仙谷が財務相を引き継ぐ見通し、等と報道していますが、
これって緊縮財政を望むマスゴミの世論誘導かもしれませんねえ。
管はまだマシかと思っていましたが、竹中と経済政策について協議したり亀井大臣に反発したりと、
どうもネオリベかぶれなようで信頼出来なくなりました。

投稿: | 2010年1月 6日 (水) 16時57分

>鳩胸男さま
「価値組社会」という著書ですが、ざっと読みましたが、小生はタイトルそのものが新自由主義に媚びた感じを受けてしまうのです(少し穿ち過ぎかもしれませんが)。ですので、著書の字面通りには受け取れないなぁと半分眉に唾をつけている感じです。新自由主義者に付け入られないための隠れ蓑で、あのようなタイトルになっているのかな、とも感じていますが。

…藤井財務大臣の後任人事がささやかれ始めておりますが、候補は菅直人や野田佳彦、仙石由人が浮上しているらしい。
野田は財務副大臣だからなのだろうが…ささやかれている候補は全員駄目だ。
仙石は獅子身中の虫だし、野田もその子飼。菅直人はと言えば、トラブルが起きれば今度はカイワレでなく、お札を食べるパフォーマンスしかしないだろう(お札を食べて、「ホラ、日本円は安全ですよ」とか言ったりして)。菅直人の見識はともかく措くとしても、責務に対する誠実さ、鬼畜米英国際金融資本やCIAに立ち向かう胆力が欠落していると思われる。

投稿: ろくぶんぎ | 2010年1月 6日 (水) 05時38分

将来の財務大臣候補の一人に森永卓郎さんはどうでしょう。
(本人は総理大臣も頼まれればやる気があると思います)
経済理論は植草さんに近く、亀井大臣の財政出動も支持しているので政権との相性が非常に良いと思います。
(亀井大臣が財務大臣を兼務してもよいのですが、亀井大臣に負荷がかかりすぎる可能性があるので助っ人としてどうかと思いました)

最近の著書「価値組社会」(角川、2009/11/25発行、¥798)で

小泉元総理の導入した新自由主義(アメリカ型金融資本主義)による構造改革を「罪」としている点は植草一秀さんと共通し

アメリカの凋落とドルが基軸通貨の地位を追われることを予言している点は副島隆彦さんと共通し

タイトルの「価値組」の考え方は堺屋太一さんの「知価社会」の考え方と共通している

と一通り読んで大雑把に把握しました。

また、地方振興策として地域通貨を奨励し、お金が地方で使われる仕組みを独自に提唱しています。

小市民向けの節約術だけでなくかなり鋭い指摘をしているようです。このような人がメディアから消えていなくならないのは奇跡的と私は思っています。

よろしかったら「価値組社会」を読んでみてください。

以上

投稿: 鳩胸男 | 2010年1月 6日 (水) 01時40分

亀井さんの兼任を私も期待しております。
自民党は消費税の(名目は福祉目的税)増税路線を強調しているので、民主党には累進課税の強化(相続税、贈与税)路線で推し進めて頂きたいものです。

投稿: やまと | 2010年1月 5日 (火) 22時24分

藤井財務大臣が健康不安を抱えており、通常国会を乗り切る自信がないとのことで、辞意をにじませているとのことです。
予算編成作業の激務がたたってしまったのか…。
不謹慎とは思いますが、後任の財務大臣には亀井静香先生しかいないでしょう。植草教授という案も理想的ですが(ただし再び「火のないところの煙」を立てられ、政権にダメージを与える、という新自由主義者かつ卑劣漢の蠢動を刺激しかねないというリスクがあると思われます)。

投稿: ろくぶんぎ | 2010年1月 5日 (火) 16時57分

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