「新成長戦略」の数字の根拠が言えないお粗末な政府(小野盛司)
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第206弾です)
政権が交代して著しく変わったことがある。政府発表の内容から数字が消えたことだ。例えば鳩山総理の所信表明演説を読んでみるがよい。数字が出てこない。自民党時代には、政府目標として様々な数字が並んでいた。計量経済学の見地からは、馬鹿な数字だらけで「オオカミ少年」であり、「大本営発表」であった。しかし、その数字の根拠も示したという意味ではガラス張りであり、その意味ではまだ増しだった。
これと著しく異なるのが、民主党政権(小沢独裁政権)であり、徹底した秘密主義には不気味さが漂っている。12月30日になって、やっと数字が出てきた。「新成長戦略」である。しかし、なんだかおかしい。成長戦略には当然マクロ計量モデルによる分析が不可欠なのだが、内閣府の計量分析室が無視されている。脱官僚か??そんな馬鹿な!!
内閣府に電話して聞いてみた。最初の担当者は一切答えてくれなかった。1時間以上待たされて、恐ろしくぶっきらぼうな女性からの「説明」があった。内容は説明などではなく、事実上「黙れ!」と言っただけだ。知りたければ、官邸のホームページにある29ページの説明を読めと言う。お前などに説明する時間など無いと言いたげだ。自民党時代には、使った経済モデルの内容まで、徹底して説明してくれたが、それとは大違いだ。
それもそのはず、彼らの出した「2020年に名目GDPを650兆円にする」というこの650という数字には、根拠が無いからだ。経済モデルを使って計算して出したものであれば、そのモデルを説明しただろう。そしてAの場合はこの結果、Bの場合はこの結果というように場合分けして数字を示した。これが自民党時代であり、馬鹿なモデルを使ったにせよ、根拠を国民に示し、目標となる数字の根拠を示した所は、現政権の「黙れ」を連発するより100倍もましだ。
この報告書を読めば分かるだろうと馬鹿にしたような口ぶりでヒステリックな女性が答えていた。「新成長戦略」の中身は例によって数字が驚くほど少ないし、数字の根拠は一切無い。これでは町の占い師の言うことと全く変わらない。自民党の経済政策の失敗によって、この20年間でほとんどGDPが増えなかった日本だが、何が悪かったのか原因を徹底して追求し、全く新しい成長戦略で今後10年間の経済運営を行おうというのなら、まだ見込みがある。何か新しいのかという質問に対してもこの文書を読んでくれと言うだけ。文書には「コンクリートから人へ」がキャッチとなっている。それなら公共投資を止め、その金を給付金にしたとき、どれだけGDPが減少するかを計算すればいいではないかと言ったら、「ご意見として承っておきます」と答えた。この言葉は事実上「黙れ!」に等しい。
こんな簡単な計算は無い。例えば内閣府でも公共投資を減らした場合のGDPへの影響や、給付金を出した場合のGDPへの影響を計算してホームページで公表している。例えば5兆円だけ公共投資を減らすとGDPは7.4兆円減少する。それをそっくり給付金に回すと4.2兆円増加する。ということは、差し引き4兆円もGDPは減る。つまり国が貧乏になる。これに伴って失業者は約1000人増える。
2020年に名目GDPは650兆円になるんだと言っている。この650兆円という数字がお笑いだ。政府発表によれば2009年度のGDPは373兆円である。その翌年の2010年度から3%成長すれば2020年度には655兆円になるので650兆円以上になるだろうという、馬鹿馬鹿しく単純な話だ。
なんと650兆円という数字は473×1.03×・・・×1.03=654.74・・・という単純なかけ算を電卓でやって求まった数字だ!!脱官僚で政治家が集まって作文したのでは、これが限界?ちょっと待て。政府は12月25日に経済見通しを発表し、2010年度のGDPは0.4%成長で475兆円にしかならないと発表したばかりではないか。3%成長と0.4%成長では随分違う。理想と現実の違いだ。2010年度に475兆円でその後突然3%成長し始めたとしても、2020年度には638兆円にしかならない。何というお粗末な政府発表か。12月25日の政府発表は閣議で了承されており、それさえ読んでいないのだろうか。
経済の専門家が集まった官僚に一言相談して新成長戦略を作文し発表していたら、こんな初歩的な間違いはなかっただろうし、もう少しまともな文書を作れただろう。この程度の文書では、学生の卒業論文にも劣るだろう。こんなお粗末な成長戦略に身を任せているのでは、国民はたまったものではない。
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小野盛司氏の日本経済復活シリーズ・インデックス
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コメント
こんにちは。
デフレを退治するためには、結局国債を大量発行して日銀が引き受けるか、あるいは政府紙幣を発行するか、とにかく「お金を刷る政策」を行うしかないはずなのですが、どうしてその事をはっきり言わないのか、という点が小野会長が苛立っておられる点だと思います。しかし今その事をはっきり言えば、メディアの集中攻撃を招く事も火を見るより明らかです。現に閣僚の中で一番「日本経済復活の会」に近い考えを持っておられるはずの亀井郵政・金融相もそこまでの事はまだ言っていません。これは、亀井氏もやはりそこまではっきり言うのは時期尚早と考えておられるという事だと思います。しかしながら、国民新党が参加している今の政権で「お金を刷る政策」が出来ないなら、もう日本にこの政策を取れる政権が出来る事は無いと思います。今こそ野党・自民党が「お金を刷る政策をやります」と宣言すれば間違いなく今年の参院選に勝てると思うのですが、その気配は全くありませんし。ここは、亀井氏に期待してもうしばらく我慢したいと思います。私が現政権を見限るのは、国民新党との連立を解消する時です。
投稿: JAXVN | 2010年1月12日 (火) 20時18分
大変素晴らしいご指摘で勉強になります。今後も日本再生のご指摘ご指導をよろしくお願い致します。
投稿: | 2010年1月11日 (月) 13時17分