2012年2月10日 (金)

パロディスト、マッド・アマノ氏の最新作品5点

マッド・アマノ氏 (1938年7月28日 - )は東京都出身。本名は天野正之(あまのまさゆき)。グラフィックデザイナー。有限会社ビッグバン代表取締役。東京藝術大学美術学部卒。フォトモンタージュによるパロディ作品で知られる。(ウィキペディアより) ※本ブログでは、マッド・アマノ氏のご厚意により、何点か記事中に御作品を使用させていただいています。

○天下(り)泰平
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○仮面の腹話術師は誰だ?
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○シロアリ退治の件はどうなった?
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○我が日本は座礁させません。(月刊『創』3月号に掲載されています)
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○真紀子腹話術ショー
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2012年2月 9日 (木)

日本人は“防衛”の意味を今こそ真剣に考える時だ

(作品はマッド・アマノ氏によるものです。月刊「創」3月号より)
5 今日(2月8日)から我が国はTPPの実際的な交渉の端緒に着いた。シロアリ帝国への御奉公といい、米国へ無条件に国富を明け渡すTPP参加といい、日本国を航行させる船長である野田総理大臣は、国内、国外とも、日本の命運を決める重要な国政を舵取りしている。有効な景気対策をしないで、官僚主導体制の是正無き消費増税政策は、強度のデフレ傾向が続く中、日本を内側から瓦解させる悪政である。国民は可処分所得が急速に減っているのに、消費大増税を行ったら物を買わなくなるだろう。社会保障のための財源という理屈が如何にまやかしであるか分かるだろう。

 一方、日本の経済防衛的な条項をすべて無効化してしまうISD条項を有する、アメリカ主導のTPP参加は、外側の盗賊たちに日本の金融資産、ほか優良資産をすべて強奪されるのみか、稲作農耕が始まって以降、豊葦原瑞穂國(とよあしはらのみずほのくに)を誇ってきた、我が国特有の美しい田園地帯を根こそぎ荒廃させてしまうだろう。加えて、中国を含む外資が、我が国の田園地帯を涵養する重要な水源地(奥山の湧水地)を買い漁っている。

“国破れて 山河あり 城春(しろはる)にして 草木深し ・・・”

 これは、8世紀に活躍した中国の詩人、杜甫(とほ)の「春望」という詩の一節であり、冒頭の「国破れて山河あり」は特に知られているフレーズである。私は今、衒学的にこの詩を引き合いに出したわけではない。TPPは参加しないことが一番いいが、参加した場合の我が国の壊滅的な惨状を強く想像できるから、この一節が浮かぶのである。

 我が国は67年前大東亜戦争に敗北した。戦争で日本人は、軍人、軍属、民間人合わせて257万人も死に、その中には、広島、長崎という大事な二都市に原爆を投下されて亡くなった、無辜(むこ)なる一般市民30万人も入っている。日本の主要都市群と統治機能は完全に破壊された。この文脈で簡単に書きにくい気持ちはあるが、それでも我が国に山河と田園は残った。それでも、戦後の日本は郊外の周囲を見渡せば、美しい田園風景が広がり、遠方にはのどかな青い山脈が連なり、海岸には波しぶきが白く砕けている。昔の人は、それを山紫水明(さんしすいめい)、白砂青松(はくしゃせいしょう)と形容した。

 それが、先祖たちや我々が生まれてから普通に見ていたごく当たり前の風景である。私がこのブログを「神州の泉」と名付けたのは、先祖たちが守り抜いてきたこの美しい山河と田園を、永遠(とわ)に守り抜きたいという素朴な願いからである。この愛すべき当たり前の風景が、これから巨大な盗賊国家アメリカによって破壊されようとしていることを、どれほど多くの日本人が認識しているのだろうか。皆さんに思い起こしていただきたいことがある。私の年代以上ならば、半世紀以上も日本の推移を見守ってきたから、日本の風景の変遷を身を以て体験しているが、その中でも特筆することは郊外の変わりようである。

 1992年の大店法改正で日本の郊外風景は瞬く間に変化した。モータリーゼーションの発達と相まって、郊外には毒々しい看板とアメリカ・スタイルの大型店舗が林立し、昔から日本人の情緒性を涵養していた、のどかで美しい里山や田園地帯が消滅し、工場かと見間違うような大型店ばかりが郊外風景となった。それに併行して、昔ながらの商店街はシャッター通りと化し見る影もなく衰退した。大型店を上手く軌道に乗せた資本家は豪放磊落に笑い、昔ながらの商店街は零落に打ちひしがれた。磊落(らいらく)と零落(れいらく)は響きが似ているが、その意味はまったく違う。大店法改正がアメリカの圧力によってなされたことを決して忘れてはならない。

Photo_2 さて、TPPの話題に移るが、いろいろな人たちが警告するように、これは国家の基底を揺るがす大問題を内包し、アメリカは取っ掛かりさえつかめれば、日本の市場を土足で踏み散らし、金銭に還元できるありとあらゆる価値を収奪していく腹である。TPP参加による国内農業問題は、関岡英之氏著「国家の存亡『平成の開国』が日本を亡ぼす」によれば、農業問題で米国の狙いは、農協と共済の解体であり、農協から信用(銀行)・共済(保険)部門を切り離し、特に共済(保険)の金を狙っているということである。この形は、郵政民営化で三事業をセパレートして、金融部門を百パーセント株式化してから市場に放出させ、ゴールドマンサックスを始めとする大型国際金融資本に郵貯・かんぽ資金を巻き上げさせようとする構図とそっくりである。

 問題はこの大掛かりな金融収奪だけではない。関岡氏の慧眼はTPPに関する農業問題に関して、その先にあるものを確かにフォーカスしている。氏によれば、OECD(経済協力開発機構)が2009年に出した報告書「日本の農地改革 競争力向上のための課題とは何か」には、「農地の売買や賃貸を妨げる規制や税制上の措置が存在している」、「農地取引に対する障壁は低められなければならない」とはっきり書かれているそうである。続けて関岡氏は、OECDは「農地の流動化」すなわち、農地の売却を促すために、農地法上の優遇税制を見直して、農地の保有コストを重くするべきだと、税制にまで踏み込んでいることを指摘する。さらに「農地の転用規制は国内の米市場を考慮しつつ、農業の生産性や多面的機能の観点から特に重要な地域に特化すべきである」とも提言しているそうである。(『国家の存亡』P163から引用)

 関岡氏はこれらの要望や文意を深く読み解くと、米国の真の狙いは日本の農業そのものよりも、実は規制を撤廃して農地を商業的に流動化させ、外資に日本の農地を買い叩かせることにあるのではないのか、と、日本人が戦慄すべき観点を指摘している。米国の底意がこの通りだとすれば、日本は間違いなく滅びる。水源涵養地ばかりか、山紫水明の瑞穂の平野部まで外資に蹂躙されるのである。このような危険を放置して、どこに日本人としての存在意義があるのだろうか。TPPはアメリカが根こそぎ日本の財産を狙っているとんでもない協定だということは、この憂慮一つを見てもお分かりになると思う。対米戦争に踏み切った先人たちの心境が痛いほど良く分かる。しかし、野蛮なのはアメリカだけではない。日本人の顔をしてアメリカに日本を売り渡す内なる売国奴どもがいる。

 防衛というのは軍事だけではない。極端に非対称な条約が作動する経済協定は軍事侵略に等しい。先祖たちが守り抜いてきた伝統や文化、美しい国土、かわいい子供たちの未来を守り抜くことが防衛ではないのか。このまま進めば、“国破れて山河も無し 城春にして草木枯れる”になる。

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2012年2月 8日 (水)

シロアリ帝国、そのステルス性格について

 小泉政権時代の元自民党幹事長、中川秀直氏は、飯島勲元官邸秘書官と並んで、小泉官邸主導体制を築いた一人である。小泉政権は、対米従属を柱とした戦後の自民党55年体制の中でも、完全にアメリカに魂を明け渡した極悪政権であった。日本が採用している議院内閣制は、植草一秀氏や飯尾潤氏が言っているように、日本人の通念とは異なり、実は権力集中的な制度である。詳しいことは飯尾潤著「日本の統治構造」(中公新書)などに書いてある。先進諸国の政治体制は大統領制と議院内閣制の二つに大きく分かれているが、結論的に言ってしまえば、大統領制は権力分散型であり、一方の議院内閣制は権力集中型なのである。これを実際に証明した日本の内閣総理大臣が小泉純一郎氏であった。

 大部分の日本人は戦後政治を見てきて、官邸主導に違和感を持っており、日本の宰相には米国大統領のような強い権限はないと思い込んでいる。ところが、植草氏もかねてから主張しているように、それは取り違えであり、制度上は日本の議院内閣制で選出された首相の権限は絶大なのである。田中角栄元首相を除き、戦後日本の歴代首相が強力な指導力を発揮して来なかったのは制度的な理由ではなく、民族的な伝統性が首相の圧倒的な指導可能性を抑制していたのである。伝統的な村落共同体から出た「和の精神」が、徹底的な合議制をもたらしていたのである。だから、小泉政権が官邸主導という、トップダウンの強力な指導体制を敷いたとき、日本人はびっくりしたが、実は小泉氏は制度の正当な機能を働かせただけである。同時に、小泉氏には和の精神が先天的に欠落していたことも、官邸主導実現の大きな理由であった。

 さて、冒頭に述べたように、官邸主導という、本来の強力な体制を敷いて、政治では小泉純一郎氏の首相権限を最大限に揮わせ、経済金融では竹中平蔵氏の権限を絶対のものにした陰の実力者が、当時官房長官をしていた中川秀直氏であった。小泉構造改革はネオリベラリズム(新自由主義)・ポリティクスを思想の根底に置き、年次改革要望書を指針とした完全な対米従属の市場原理政策であった。これで、どれほど日本の構造が破壊され、国民生活を破綻に導いたかは枚挙にいとまがない。その意味で、中川秀直氏も日本の針路を破局に向かわせた国政犯罪人の一人である。

Photo その中川氏が書いた著書「官僚国家の崩壊」(講談社)の中で、「ステルス複合体」という造語が出てくるが、その定義をこう記している。

学歴(東大法)に基づく自らの身分に誇りを共有する。官僚機構、日銀、経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところに巨大なネットワークを張る。この同質的人脈が『空気』をつくり、政策の『相場感』をつくっていく。彼らの醸し出す空気と相場感に反するものは『異端』扱いされるか、無視され、あらゆるエリート層に、予定調和的な言動を強いて、同質化圧力を加えていく」(23ページ)

 中川氏がどのような人物であれ、この捉え方はシロアリ(官僚)帝国の本質を見事に衝いている。まさに言い得て妙である。特にシロアリ帝国と各界に通じた学閥ネットワークを「ステルス複合体」と名付けたセンスは、現代官僚の隠密的な姿をよくとらえている。また、官僚を初めてシロアリに喩えた人物が野田佳彦氏であったかどうかは分からないが、シロアリという言葉も実によく官僚の生態を表している言葉である。生物学的にはシロアリはアリではなくゴキブリの仲間らしい。目に見えない場所で、木造家屋を内側から蚕食するこの昆虫は嫌われている。中川氏はステルス複合体を官僚機構に止めず、日銀、経済界、学界、マスコミなど広範囲のネットワーク全体を複合体と名付けているが、最もステルス化しているものは何と言っても官僚機構だろう。

 最近、TPPの実務的な推進者としてクローズアップされている、宗像直子・経済産業省通商機構部長(グローバル経済室室長)は、国民の視界からそれた場所で、着実にTPPの実効的な推進作業をやっているようである。日刊現代2011年11月21日の記事にはこう書かれている。

「日米で言った言わないでモメている野田首相発言、『日本は全ての物品サービスを(TPPの)貿易自由化交渉のテーブルに乗せる』というセリフ。これは経済産業省が事前に用意したペーパーに書かれていて、これを作成したのが宗像なのである。問題のペーパーはAPECのためにハワイに先乗りした枝野経産相にカーク米通商代表との会談用として渡された。たまたま枝野に密着していたテレビが映したことで、存在がバレた。

 記事によれば、昨年の6月、震災と原発事故に騒然としていた時、『TPPを考える国民会議』副代表世話人の久野修慈・中央大学理事長(日本精糖工業会会長)は、宗像氏が慎重派の説得に動き回っていて、自分も説得を受けたことを暴露したそうである。宗像氏のこの行動も、シロアリ特有の隠密行動であった。政治を無視した水面下で、官僚たちが売国作業に勤しむ事実は深刻である。経産省に限らず、官僚たちはステルス複合体を使って、日本の蚕食活動に邁進していると見なすべきだろう。強力な官邸主導政治を実行した小泉政権さえ、その強気な言葉とは裏腹に、シロアリ帝国の牙城には手を付けられなかったのである。(イラストはパロディスト、マッド・アマノ氏の作品です)


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2012年2月 6日 (月)

シロアリ退治が変節して、シロアリへの御奉公に・・

 
(MSN産経ニュースより)

鳩山氏「小沢氏復権を」 増税で首相「変節」批判…

 民主党の鳩山由紀夫元首相は30日夜のBS11番組で、--途中略---。
 鳩山氏は「野田首相は首相になる前、麻生政権を倒す目的で天下りをなくすことが先で、それをやらないで消費税増税なんてとんでもないと言った」と指摘。その上で「今まさにその言葉が首相自身に返ってきている」と首相の「変節」を批判した。---以下略。
2012.1.31 00:11 [鳩山由紀夫]


(画像はパロディスト、マッド・アマノ氏の作品ですが、
ご本人のご厚意によりここに掲載させていただきました)
 Photo 鳩山由紀夫(友紀夫?)氏は先月末に、野田佳彦氏が麻生政権時代、天下りをなくすことが先決なのだが、それをしないで消費税を引き上げる話はおかしいと言っていたことが、今の野田首相に跳ね返ってきていると痛烈に批判している。これは、当然、例の「シロアリ駆除街頭演説」を指しているが、この貴重な動画を天下に知らしめたのは植草一秀氏である。野田首相は、同じ民主党の初代内閣総理大臣だった人にストレートに変節を指摘されても、一向に反省したり落ち込む様子がない。それは財務省の洗脳にすっかり頭をやられているからである。野田佳彦氏は二年半前にこう言っていた。


シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。


 2009年、政権交代時の民主党の基本方針の中に、官僚主導から政治主導へ転換というのがあって、その文脈において野田氏は、天下りやわたりの根絶を一生懸命説いていた。従って官僚主導体制是正の一環としては、何よりも天下りやわたりの問題にメスを入れることが最優先事項というか、前提条件となっていたはずである。この肝心要の部分を黙殺して、消費税増税に突き進む現状は、国民自体をバカにし、政治そのものを愚弄していることになる。

 官僚主導体制を政治主導体制に切り替えるというのは、決して一朝一夕には行かない難事業である。何故なら、官僚には律令制度発祥のころから染み付いた強い官吏意識があり、公僕とは言いつつも、彼らは自分たちがヒエラルキー的には国民の上位にあって、不動の支配階級だと考えているからである。絶対的な官尊民卑のヒエラルキー感覚である。欧米型民主主義が我が国に導入されたのは、たった六十数年前である。民主主義とはその字義通り、民が主体となる思想だが、戦前、戦後を通して官僚主導体制を見れば、我が国は民主主義と言うよりも官主主義国家と言った方がいいかもしれない。

 では、なぜ官僚が国民の負託を背負った政治家よりも優位にあるのか。それは官僚が国民を衆愚視しているからであり、衆愚の代表たる政治家は、やっぱり衆愚に他ならないと差別意識を持っているからだと思う。もう一つ考えられることは、官僚と政治家のライフサイクルの極端な違いに起因する。当たり前のことであるが、政治家は衆参両院の政治家がいて、衆議院は任期が4年であり、解散があれば任期満了前に議員資格が終了する。参議院は6年の任期である。

 一方、官僚の場合は選挙という民意による洗礼がないので、その任期は定年になるまでほぼ半永久的である。従って、行政を司るとは言っても、彼らは行政内部の深い部分まで掌握しているから、わずか数年の政治経験しかない政治家を素人としてしか見なくなり、腹の中では睥睨しているのである。法的には政治家が主導権を持つが、実質的には政治家は門前の小僧扱いなのである。それぞれの職分におけるライフサイクルの長さが圧倒的に違うことは大きい。

 だが、長ければいいというものでもない。人間は権力や金を扱う場所に長くいると腐敗する。だから、官僚主導体制とは、腐敗した官僚体制が事実上、政治をコントロールしている様態を言っているのであり、政治が下位構造に組み込まれている現状は民主主義とはほど遠いところにある。かつての野田佳彦氏がいみじくも喝破したように、シロアリ退治は必須である。官僚は多くの天下り法人を持ってシロアリ帝国を築いた。政治のコントロールが及ばないその牙城では、国民の税金が集積され、シロアリ軍団にいいように食い散らかされている。

 ここに、中曽根政権以来、新自由主義路線が我が国に導入されてから、シロアリ帝国は大きく分けて二つの悪さを行っており、そのために国民へ再配分される機能はどんどん廃れていった。その一つは官僚自身の利権肥大であり、もう一つは宗主国アメリカへ国富が移転されていることである。この傾向は小泉政権以降顕著になっており、特に後者の国富海外移転が国民生活破綻の主な元凶になっている。官僚が国家秩序を維持する重大な役目を担うなら、特にヘッジファンドなど、強欲外資の収奪状況に歯止めを打たねばならないわけであるが、その反対に、TPPを積極的に進める経産省のキャリア官僚、宗像直子氏のように、官僚自らが主体的に国を売る作業を始めていることは、暗澹たる日本の実情を示している。

 国民はシロアリ退治を無視して、シロアリたちに国民の血と汗の結晶を貢ごうとしている野田佳彦首相を絶対に許さないだろう。しかも、デフレ下における大増税政策は、心ある人たちが憂慮しているように、出血多量で死にそうになっている人へ献血を強要するようなものである。

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2012年2月 4日 (土)

野田首相殿、「社会保障と一体の増税」より、「吸血シロアリ駆除と一体の社会保障」ではないんですか?

Photo_2 植草氏がブログで紹介し、どんどん拡散された、例の「シロアリ駆除動画」が周知され始めている。ここでは、初志貫徹に燃える野田佳彦氏の力強い立派な街頭演説が聴く人々の心を捕える。何という説得力のある素晴らしい演説内容であろうか。

(その演説から引用)
 「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。これがルールです。書いてないことを平気でやる。これ、おかしいと思いませんか。書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。

 それは、マニフェストを語る資格はないというふうに、是非皆さん思っていただきたいと思います。その一丁目一番地、税金の無駄遣いは許さないということです。
 天下りを許さない、わたりは許さない。それを徹底していきたいと思います。消費税1%は二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分の皆さんの税金に天下り法人がぶら下がっている。

 シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治をしないで、今度は消費税を引き上げるんですか?
 消費税の税収が二十兆円になったら、またシロアリがたかるかもしれません。鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。

 シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく、それが民主党の考え方であります。


 冒頭に掲載した写真の動画で、野田佳彦氏は上記内容を力強く言ってのけている。本当に素直に共感できる街頭演説である。実に分かりやすくて、官僚利権の要点を上手く衝いていると思う。この動画は植草氏の記事によると、2009年8月15日の街頭演説の様子であるというから、約二年半前のことである。これだけ、力強くて説得力のある正論を堂々と述べていた野田佳彦氏が、今では官僚利権の「か」の字もない増税スローガンに変貌した。現在の野田佳彦氏が、本当にきれいさっぱりシロアリの存在を捨象しているのは、いくらなんでもあんまりだと言うしかない。


シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。


 消費税増税路線は、シロアリをやっつけることが、何よりも最初にやるべきことであることは、野田佳彦氏自身が極めてはっきりと表明していたではないか。シロアリ退治の過程を抜かして増税したら、爪に火を灯しながら細々と生きている貧しい国民から吸いとった税金は、シロアリたちの餌になってしまうだけである。それは、自分たちが住む社会空間の福祉やインフラのためではなく、シロアリ帝国の繁栄に血税を注いでいるようなものである。我々は日本という国に住む日本人である。だから税金は日本国家のために使うべきであり、シロアリ帝国という有害寄生虫の棲息する領域に流れてはならないのだ。

 官僚は、修正資本主義、または混合資本主義(※注:文末に記す)の機能を円滑にするためにこそ、その存在価値がある。原理論的な暴力資本主義をなだめ、福祉という社会主義的な要素を加味して全体のバランスを取る。それが産業革命以降に、自由主義圏の人類国家が選択した修正資本主義の道程である。ところが、共産圏が衰退して以来、事実上、資本主義国家群が剥き出しの市場原理性に立ち返り、その様相はイギリス産業革命直後に見えた暴力と搾取が支配する構造に変化した。この暴力資本主義への復古を事実上推進した者が国際金融資本であった。この一大拠点はアメリカにあって、アメリカそのものを牛耳る奥の院となっている。

1 日本の官僚に見える大問題は、この奥の院の意向に沿って国家運営を誘導する強い指向性を持ち、三権分立を凌駕して政治までコントロールすることにある。その目的は、宗主国に国富を貢ぐことと、自分たちの栄耀栄華を味わうためだけにある。そのために、財務官僚を筆頭にして彼らは徴税(ちょうぜい)原理至上主義に凝り固まる浅ましい存在となっている。日本の統治体制は、官僚主導体制という官僚帝国勃興システムに占拠されている。国民のために使われるべき税金が、いつの間にか官僚帝国へ横流しされる事実にみんなが気付き始めている。

 これは北朝鮮へ支援物資を届けても、物資が国民に届く前に軍部や支配階級に流れてしまうのと全く同じである。税金の歳入も歳出もシロアリが握っていて、横流しもシロアリがやっている。税金の流れがどうなっているか、シロアリは奸智に長けていて、途中のフロー状態を外から見えないようにブラックボックスを通す。これではヤクザやマフィアのマネーロンダリングと変わらない。高級官僚を国家ヤクザと理解する私の気持ちは決して的外れではないだろう。野田佳彦首相は、シロアリ撲滅という重大な要件を忘却し、シロアリに魂を売った。

 首相殿!シロアリ退治はどこへ行ったんですか?シロアリという言葉はタブーになったんですか?我々の血税が吸血シロアリに吸われている現状はどうするんですか?
(イラストはパロディスト、マッド・アマノ氏の作品です)

※注  修正資本主義、あるいは混合経済体制とは、原理的な資本主義経済の、資本力による弱肉強食経済に基づくさまざまな弊害を国家が政策的に是正し、国家に福祉性格を付与して、剥き出しの資本暴走を制御しようとする考え方。産業革命直後に見られた、資本家による労働者搾取・虐待による社会の脆弱化を見て、西欧自由主義国家群がやむなく採用した国家経済体制。国家による福祉政策とは、ケインズ主義的、社会主義的な性格を帯びており、資本主義の暴力的な資本ダイナミズムを、国家介入型福祉政策で緩和したので、修正、あるいは混合型資本主義と言う。小泉構造改革とは、セーフティネットの切り崩しや福祉予算を年間2千億円削減するなど、国家から福祉性格を除外する方向性を持っており、修正資本主義を本来の弱肉強食政治に戻そうとするベクトルを有する。つまり、竹中平蔵氏の政治思想とは、修正資本主義を破壊することによって、宗主国や資本強者だけを富ませる考え方なのである。(あくまでも管理人の理解ですが)

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2012年2月 3日 (金)

「シロアリ退治無き巨大消費増税」スローガンに見る極度な危険性について

(画像はパロディスト、マッド・アマノ氏の作品です)
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 ○現在も発動し続けているTPR
 最近、本ブログにおいて、野田佳彦氏が、ある時期を境にきれいに「鏡像反転」を起こし、それは彼が短期間で財務省にすっかり洗脳されているからだと書いた。これをもっと具体的に言えば、ここに掲載したパロディスト、マッド・アマノ氏の作品に出ているように、野田佳彦首相は、財務省によるTPRに完全に取り込まれ、見事なまでに財務事務次官・勝栄二郎氏のパペット(操り人形)と化している。TPR(TAXのPR)とは、財務省による大掛かりな増税洗脳プロジェクトのことである。野田首相は、消費税増税を言挙(ことあ)げして以来、妄執に火のついたような強烈な情念で、「巨大消費増税」の呼号に明け暮れている。野田首相を籠絡(ろうらく)した、このTPRというのは、植草一秀氏のブログや著書をご覧になっている方々はすでにご承知のことであるが、ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」の、2011年11月10日の「日本破壊のTPPと国民生活破壊のTPR」にその実態が記載してあるので、今一度ご覧になっていただきたい。

 記事によると、驚くべきことに植草氏は「私は大蔵省に2年間在籍して、TPRが始動した局面でTPR事務局の一員を務めたことから、このTPR発足時の全貌を掌握している。」と書いているから、氏自身がこのプロジェクトの事務方にいて、その実態を知悉していたことになる。この実態を知れば、財務省が日本国民を菜種(ナタネ)の種子みたいなものとしか考えていないことが分かる。つまり油(税金)を可能な限り国民から搾り取ることしか眼中にない、金銭欲の魔殿ということになる。記事は、植草氏が大蔵省(財務省の旧名)に二年間在籍していた当時、彼自身がこのTPRに関わっていた貴重な体験から、国民が是非知るべき財務省の重大な本質が見えてくる。その記事から重要部分を抜粋する。


(引用開始)
TPRの活動は大きく分けて三つあった。
  第一は、政界・財界・学界3000人リストを作成し、この全員を説得するというもの。リストアップされた3000人の全員に対して大蔵省幹部が説得に出向いた。了解を取り付けた人物にはリスト上に丸印が付される。説得工作が失敗した場合にはX印が記され、ひとつ階級の高い官僚が次の説得に向かう。売上税導入に反対する人物には、最終的には事務次官までが対応するとの態勢が敷かれた。
 
 財金研研究部では毎日3000人リストの更新作業が行われた。3000人に対する徹底した説得工作が実行された。
 
 第二は、メディアに登場する論評に対する検閲である。TPRウィークリーなる資料が作成された。あらゆる新聞、テレビ、週刊誌、月刊誌、単行本における税制問題関連の記述が検閲の対象になり、賛成派と反対派を色分けし、反対派をブラックリストに入れて説得工作の重点対象とするとともに、賛成派を売上税推進の提灯持ちとして活用することが検討された。
 
 第三は、メディア関連企業に対する説得・接待活動である。新聞、テレビ、広告代理店、さらに大手出版社までが説得・接待活動の対象にされた。接待としては、吉兆などの高級料亭が用いられたこともある。
 
 マスメディアのなかで、とりわけ重要度が高いのがNHKである。政府・与党が大きな政策を推進しようとする際、政府・与党はNHKを活用する。NHKは政府・与党の政策推進に積極的に協力してNHKスペシャルを制作する。

(引用終了)


 どうであろうか。実に驚くべき内容であるが、問題は、この巨大増税洗脳プロジェクトが、二十数年前に終わった大蔵省の一過性の話ではなく、現在も財務省に延々と受け継がれているという事実にある。植草氏は、ブログでもメルマガでも、野田首相の言う増税路線において、大前提が欠落していることを何度も繰り返し攻撃している。野田首相の猪突猛進的な増税路線を、財務省のTPRに洗脳されたと言えば、まさにその通りであるのだが、野田首相の行動様態を見ていると、単純だが、ある非常に重大な危険性を孕んでいることに気が付く。それを言う前に言うべきことがある。植草一秀氏が、ブログでもメルマガでも、何度も、何度も繰り返し指摘し続けていることが下記の内容である。

野田佳彦氏が突き進む消費増税。多くの問題点が指摘されているが、何よりも重要なことは、国民に負担を強いる前にやるべきこと、すなわち、官僚の天下り利権の根絶を実行しないで、消費税引き上げに突き進むのは許されないということだ。
 
 私は、このことだけを主張し続けている。

○植草一秀氏による洗脳解除ポリティクス
 植草氏はシロアリ退治の必要性をこれでもかと繰り返す。シロアリ退治、すなわち、天下り法人を消滅させ、天下り根絶、わたり根絶の道筋である。国民は増税について、何でもかんでも反対というわけではなく、然るべく条件が整ったら、社会保障の安定的な持続性を得るためには増税も視野に入っていると考えている。税金の使い道の合理性、妥当性を納得すれば、日本国民は納税を受け入れるはずである。だが、野田佳彦氏の増税路線には、その大前提となるある条件がすっぽりと抜け落ちている。大前提とは、シロアリ退治と、白アリの巣の破壊、巣相互をつなぐ連絡ルートの破壊である。国民の血税を高級官僚が着服し、彼らを受け入れる施設の拡大と温存、この状況に終止符を打たずして、彼らのほしいままに税金がシロアリ魔殿に垂れ流され、国民にはほとんど有益なメリットとして還元されない現実がある。

 税金は官僚を肥え太らせるために収めるのではなく、国民の福祉とより良い社会インフラ、社会資本を充実させるために収めるのである。つまりは国民の幸福と子供たちの良き未来のために税金は活用される使命を帯びている。ところが、今の日本は財務官僚を頂点として、あらゆる組織の高級官僚に国民の血税が集積するシステムが出来上がっている。官僚が肥え太って国家機能が動脈血栓を起こしているのである。その顕著な証左は、311大震災と原発事故に見える政府と行政の対応である。このような一大国難に当たっては、政府と官僚が協力し合って、被災地難民と原発放射能拡大の阻止に最大限の注力をするべきであるが、あろうことか、彼らは国民を棄民して、原発利権シンジケートを保護し、増税大作戦とTPPという国家解体作業に着手したのである。ついに、日本崩壊の銅鑼(どら)が鳴り響いた。

 そこで、今回は難問が山積する中で、植草氏が何度も何度も指摘し続けている、天下り根絶を故意に捨象した巨大消費増税を唱え続ける野田首相とマス・メディアの重大な危険性について述べておく。植草氏のように飛び抜けた碩学が、野田首相の「天下り根絶無き巨大消費増税」を執拗に攻撃し続けるのはなぜか。そこにこそ、私が強く訴えたい、野田首相とマス・メディアが仕掛けている大きな陥穽(かんせい=落とし穴的な罠のこと)があるのだ。野田首相は、2005年当時に郵政民営化総選挙を控えた時の、小泉純一郎氏の唱えたワンフレーズポリティクスを明らかに踏襲している。それが「社会保障と一体化した消費税増税」である。野田首相は、野党やネットからシロアリの件を突っつかれても一向に動じない。まさにドジョウの顔に泥を浴びせても平気の平左である。ここから財務省戦略のある手引きが見えてくる。

 それは野田首相が大衆洗脳ポリティクスの定石通りに動いていることにある。植草氏はそれを察知し、洗脳解除、つまりは逆洗脳ポリティクスとして、ブログから「ん?で、シロアリはどうした?どこへ消えた?」というメッセージを読者と政府に向けて、繰り返し発信しているのである。

○野田ワンフレーズ・ポリティクスに見える危険性
 小泉純一郎氏のワンフレーズ・ポリティクスは、B層籠絡(ろうらく)戦略として、当時話題になったが、これは「有限会社スリード」が、郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略には、「B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える」との総括があったことから来ている。野田首相の増税一直線は基本的にはこの考え方で行われている。財務省が推し進める大増税プロパガンダは、二重の洗脳構造を持っており、最初は首相自身を洗脳し、今度はその首相とマス・メディアを使って、大規模に国民を洗脳しているのである。その作戦はTPRに基づいている。しかし、野田首相の増税一本槍の単線的ポリティクスを冷静に眺めると、明らかに小泉純一郎氏のそれを真似ており、「郵政民営化、是か非か」のように、「社会保障と一体化した消費増税、是か非か」の二項対立に意図的に誘導していることが分かる。

 私が強い危険性を訴えたいのは、野田首相のこのワンフレーズが、結果的にマス・メディアを通じて執拗に繰り返されている現実にある。国民は何度も同じことを聞くうちに、社会保障のための増税なら仕方がないではないかと思うようになる。これが財務省の狙いだ。思い出さないだろうか。小泉氏に限らず、野田首相が繰り返す増税路線の反復呼号(=繰り返し呼びかけること)は、1925年のナチス党の宣伝担当相であったヨゼフ・ゲッベルズの大衆プロパガンダとそっくりだということを。洗脳の特徴は耳触りの良い短文を繰り返すことにある。財務省と野田首相が使用している耳触りの良い短文とは「社会保障のための財源獲得」であるが、これが洗脳効果をいやが上にも高めてしまうのだ。

 だからこそ、植草一秀氏はこの洗脳効果に対抗するために、シロアリの存在を執拗に訴え続けているのである。野田首相やマスコミが何度も、何度も「社会保障と一体化した増税」を流布し続けている以上、誰かがこれに対抗すべく、洗脳解除のキーワードを入れて洗脳対抗ポリティクスを「何度も何度も」唱え続ける必要がある。そのキーワードが「シロアリ」なのである。私が知る限り、有識者でこれを果敢に実行しているのは植草一秀氏だけである。重要なことは、単に野田路線を批判するに止まらず、「シロアリ駆除は一体どうしたんだ?」というフレーズを使って反対意見を何度も繰り返すことである。これによって、受動的被洗脳状態から能動的洗脳対抗状態に切り替えるのである。マス・メディアの伝達規模は巨大であるから過小評価は禁物だ。マス・メディアの伝達範囲が百万単位で、ネットユーザーのそれが数千から数万単位ならば、いや、数百から数千単位ならば、ネットユーザーは十倍から千倍以上繰り返せば、十分に対抗し得る計算になる。しかし、覚醒したネットユーザーが数多くいるから、個人的には千も繰り返す必要はないだろう。要はネットユーザーの心意気である。

 補記

 植草一秀氏は、私の知る限り、1999年5月6日発刊の『日本の総決算』(講談社)、その中の「TPRとKBK」という項目で、すでにTPRについて記述している(P50~51)のであり、これ以前から、氏が財務省の魔窟に巣食う官僚たちに裏切り者として目の敵にされていたことは充分に頷ける。ちなみにKBKとは「課税ベースの広い間接税」の省内における隠語だったそうだ。これと関連して、植草氏は橋本政権の増税路線を糾弾した第一人者でもあった。私は、1998年の東海道線の件は、この背景が色濃く投影されていて官憲が動いたとしか思えない。

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2012年2月 1日 (水)

尖閣諸島中国漁船衝突事件と米国、そしてショックドクトリン

○ショックドクトリンについて 

 ショックドクトリンとは、大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革(The Rise of Disaster Capitalism)」という意味で、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン(Naomi Klein)氏が2007年に著した本のタイトルである。この著書は瞬く間に世界中に伝播し、多くの知識人に現代思想上で重大な認識を与えたらしい。この本には「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」という副題が付けられているが、ナオミ・クライン女史が説くショックドクトリンが何であるかについては、女史自身が説明した動画が幾点か出ているので、それを見れば良いガイダンスになる。この本の執筆動機は、新自由主義の経済学者ミルトン・フリードマンの「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」という主張に対し、クライン女史は、現代の最も危険な思想と看破し、そのアンチテーゼとして「ショックドクトリン」を著した。

 女史によれば、「近年の悪名高い人権侵害は、とかく反民主主義的な体制によるサディスト的な残虐行為と見られがちですが、実は民衆を震え上がらせて抵抗力を奪うために綿密に計画されたものであり、急進的な市場主義改革を強行するために利用されてきた」と主張する。要するに天災・人災を問わず、何か大参事やテロ、恐怖政治、独裁政治の崩壊などが起きた直後、人々は思考停止状態に陥り、判断力や推理力が脆弱化し極めて単線的に物事を信じやすくなる。それに付け込んで、市場原理主義者たちが救済や復興、あるいは構造改革という美名ビジョンの下で、小泉・竹中構造改革路線が導入した市場原理至上主義構造に切り替える作業を急進的に行うのである。

 その手法はいろいろあると思うが、国家の場合には、その国に協力者を得て彼らに内部から手引きをしてもらうのである。池波正太郎原作の「鬼平犯科帳」には、盗賊の手先として「引き込み女」が出てくるが、これは国家の社会構造を国際金融資本の意のままに極端な市場原理至上主義に構造転換をして、外資の収奪行為を可能にした構造改革派全てが該当する。その最大の経済戦犯が竹中平蔵氏であった。鬼平犯科帳の主人公も長谷川平蔵という名であり、平蔵繋がりで奇妙な一致を見せている。しかし、菅政権時も、野田政権時もショックドクトリンのショックに相当するものが、東日本大震災と原発災害であることに異論はないであろう。

 さて、三橋貴明氏や中野剛志氏など、いろいろな俊英が指摘しているように、TPPは明らかに我が国で起きた東日本大震災とそれに連動した福島第一原発事故を利用したショックドクトリンの適用とみなすことができる。東北復興計画に外資が進出しやすい市場構造ができつつあることは危険な現象である。中野剛志氏が指摘するように、今まで政府が地方を見捨てているルサンチマンが相俟って、東北エリアがその悪魔の復興ビジョンに乗ってしまうことは充分に考えられる。その前に、日本でTPPが最初に人口に膾炙(かいしゃ)され始めたのは、菅直人前首相が、2010年10月1日の所信表明演説で突然に出されてかららしい。従って、311以前から日本をTPPに巻き込むために、国際金融資本のロビーストたち(ジャパンハンドラーズ)が菅氏に接触して洗脳していた可能性は高い。

○尖閣諸島中国漁船衝突事件をこう考える

 では、菅政権初期にショックドクトリンはなかったじゃないかと思う向きもあるかもしれないが、実はかなり大きなショックドクトリンが生起していたのである。それが2010年9月7日に起きた尖閣諸島中国漁船衝突事件である。これに対する菅前首相、特に仙谷前官房長官の実質上の対応は、国の体面に泥を塗るひどいものであったが、私はこの事件の筋書きを描いたのは、中国ではなくアメリカだと思っている。その最大の理由は、小沢一郎氏と菅直人氏の党首選、事実上、日本の首相を決定する選挙の真っ最中に起きたからである。

 小沢一郎氏が日本の宰相になった場合、一番困る国が小泉純一郎氏を持ち上げていたアメリカである。小沢一郎氏は小泉・竹中構造改革の反動的政治を目指し、つまりは国民主体の政治を実現しようと本気で政権交代を実現させた実力者である。取りも直さず小沢氏が選ばれることは、国際金融資本の日本進出を確実に頭打ちにすることであるから、アメリカはどうしても菅直人氏に軍配を上げる必要があった。ここで中国共産党の本音を私は推測したが、結論的に言って、中国もまた小沢総理大臣の登場を本音では望んでいなかったとみる。なぜなら中国も韓国も日本がアメリカの桎梏から離れ、実質的な独立国家になることを望んでいないからである。

 彼らはアメリカが我が国に敷いた東京裁判史観、つまりは「閉ざされた言語空間」に永久的に従属したままのほうが都合がよいからである。だから、日本の若い官僚や政治家予備軍が、アメリカに留学してワシントン・コンセンサスの洗脳を受けて帰ってくることを腹の中では歓迎していることになる。東京裁判史観はネオリベ思想敷設にとって整合性が高いのである。日本が米国の従属国家であり続けるほうが現在は都合がいいという話である。つまり、中国は竹中平蔵二世、三世がどんどん巣立って日本が政治的にも、軍事パワー的にも脆弱なままであって欲しいのである。田中角栄氏が日中国交回復を行った1972年から、その文脈で中国は小沢氏に対して親密性をアピールするが、本音では小沢氏の国家運営を忌避している。日本の自立化阻止は彼らの戦略上絶対必要条件であることに変わりはない。

 そこで、菅・小沢党首選で、実態は小沢氏の優位を見抜き、焦ったアメリカは急遽、中国共産党とホットラインで相談をし、例の中国漁船衝突案件を提案、それを中共政府に依頼した。中国とアメリカは表面上は敵対する二大覇権国だが、経済的には互いの利益がかみ合ううちは協力関係にある。小沢一郎氏を党首選に敗北させることは、両国の共有利益に合致することだったので、中共政府はこの要求を快諾し実行に移したのではあるまいか。それが例の漁船による敵対行動であった。また党首選では、米国がCIAを動かして党員サポーター票の不正操作を行い、菅直人という、なるべきでない人物が国政を担当指揮することになった。

 国会議員も尖閣事件を見てから、やっぱりアメリカに守ってもらわないと危ないと考え、菅氏に票を投じた者がかなり出たと思われる。つまり、私個人の見解であるが、尖閣漁船衝突事件は、アメリカと中国の合作であったということになる。事後、クリントン国務長官の奇妙な平静さがそれを示唆していたように見えた。同時にこの衝突事件は、日本に国際金融資本が上陸する上で十分なショックドクトリンになったのである。菅首相が2010年10月の段階で突然TPPをぶち上げ「開国宣言」というとんでもないスローガンを打ち出したのは、背後に国際金融資本の暗躍があったからである。これは極めて鮮明なショックドクトリン構造となっている。

 最後に、菅・野田両政権時に大震災や原発事故がダメ押しのようなショックドクトリンになっていることは疑う余地がないが、小泉政権時でそれに該当する案件が何かと問われれば、阪神大震災で動揺した後の、橋本政権時代の金融ビッグバンがそれに該当するだろう。それに加えて、2001年12月には、小泉元首相は青木建設の倒産に対するコメントとして、「構造改革が順調に進んでいることを示すもの」と述べて建設業界にショックを与え、続く2002年10月には、竹中平蔵氏が「“too big to fail”=潰すには大き過ぎるとの考えはとらない」と言って銀行業界を震撼させ、日経平均株価を暴落させた。これらも金融ビッグバンに追い打ちをかける十分なショックドクトリンであった。

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2012年1月29日 (日)

小泉・菅・野田内閣を貫ぬくショックドクトリンとバーナード・ルイス計画

 我々は小泉政権を境界にして、社会の在り方が極端なネガティブ・ベクトルを有してきたことを痛感と言うか、日々体験している。その性格は国民生活の破綻、非正規労働者の拡充、希望喪失、極端な階級格差社会、生活保護者の増大、後期高齢者医療制度、その他、国民を地獄に落とす悪法が次々と生まれていることに見える。

 2010年2月9日、衆議院予算委員会で小泉俊明議員は、小泉・竹中構造改革路線を弾劾した。その質疑を参照すれば、小泉元首相がやった改革は、日本経済、特に地方経済の衰退と国民経済の衰退をもたらした。働く国民の1/3、1700万人の特に若い人たちが明日をも知らぬ契約社員となった。2001年4月26日(小泉氏首相就任)に日経平均で約14000円あった平均株価が、2年後の2003年4月28日には約半分の7607円に下がった。小泉政権は、不良債権の強制的処理の名の下に貸し渋り貸し剥がしを行った。その結果、実体経済の血液である金融が止まり、株と土地が暴落し始めた。この時やったことが、時価会計と減損会計の強制導入であった。

 これは元来、株と土地が上がった時にやる制度であり、これをしたために、ますます株価が暴落した。そして、決め打ちが銀行と企業の株式保有の禁止だった。元々銀行と上場企業は1/4ずつ株を持ち合っていたが、これを禁止したために、大量の株式が市場に放出され、株価が大暴落した。小泉俊明議員は畳み掛けて言う。この結果を見ると、小泉氏と竹中氏が故意に強制的に時価を下げたとしか思えないと。一方で株価を下げながらもう一方で何をやったのかと言えば、小泉元首相が行った為替介入は、平成15年(2003年)1月から平成16年(2004年)の15か月間で、35兆2565億円という史上最高のドル買い介入をした。これに使った原資は、政府短期証券と10兆円の米国債を日銀に引き受けさせ捻出したという。

 なぜ、これほどの為替介入をしたのか。2002年末、3781億ドルだった米国債保有が、2004年11月末で7149億ドル、この二年間で3368億ドル、ちょうど為替介入した35兆円分の米国債を買ったのである。これは、35兆円分の仕送りをアメリカにやったことになる。その結果、アメリカは低金利・好景気になり、この米国債は売った者に現金ができ、その結果、空前の株高になった。この膨大な仕送りで、米国債の売却者に余剰資金ができた。この余剰資金は、米国に仕送りした35兆円のうち、平成15年から18年までの3年間で、その約半額、16兆9千億円近い余剰資金が日本の株を買い叩いたそうである。これは、日本が貢いだ金で、日本の優良資産が超激安で買い叩かれたことになる。まさに国賊的売国行為がもたらした日本売りなのであった。

 以上、小泉俊明議員の勇気ある小泉・竹中路線弾劾の一部を羅列したが、小泉氏と竹中氏が行った、この人為的な金融操作を見て、何かを思い出さないだろうか。そうである。当時、経済学者の植草一秀氏は、この株価暴落と、りそな銀行の救済を起点として急激に株価上昇に転じた推移を鑑み、当時の竹中経済財政・金融担当相が設立した、金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム(PT)が、作為的に仕掛けた巨大なインサイダー取引の疑いを持ったのである。そして精力的に追及した。小泉政権は当初の自己責任原則を放擲(ほうてき)し、預金保険法のトリックでりそな銀行を救済、悲観論に陥っていた金融界を、いきなり金融モラルを無視した楽観論に切り替えた。その結果を受けて株価は急騰反転した。

 植草氏によれば、2003年4月から8月にかけての株価急騰局面で外資系ファンドが莫大な利益を獲得したと見られている。この人為的な株価変動情報を予め入手した勢力が存在する可能性が高いというのが、りそなインサイダー取引疑惑の骨子である。植草氏が2004年4月の品川手鏡事件という国策捜査に嵌められたのも、氏によるこの糾弾が直接の主因になったと思われる。植草氏は小泉俊明議員が追求していたこの金融疑惑を、7年も前から糾弾しており、まさに救国のウォーリアーと言える行動をしていたのだった。

 さて、植草氏が先駆けて糾弾し、小泉俊明氏が糾弾した小泉政権の構造改革路線は、国民を裏切った菅政権と野田政権にも踏襲されている。それを見て、植草氏は小泉氏をポチ1号、菅氏をポチ2号、野田氏をポチ3号と呼んでいる。彼らの飼い主は既得権益複合体と米国である。このポチ1号からポチ3号が採用している政策思想が「新自由主義路線」であることはあまりにもよく知られているが、今日は彼らに通暁(つうぎょう)するこの過激な思想を別の言い方で捉えてみようと思う。

 私のブログに、昔から的確なコメントを書いていただいている「ななし」様が、1月25日の拙記事「野田首相の鏡像反転に見える財務省とアメリカ」に下記のコメントを投稿していただいた。


『 バーナード・ルイス計画をご存じでしょうか?
日本の数々の改革や人為的な不況もこれが目的かと思われます。
その先には世界統一政府、統一通貨が待ってる気がしますね。
勿論日本人は奴隷階級として・・・・
最近の流れを見てるとどうもそんな未来が見えます。新自由主義、規制撤廃、道州制、地方自治、韓流、TPP etc
 アメリカ・オバマ大統領の「政策」を実行に移す、橋下・大阪市長の落とし穴 』(ななし様のコメント)

 バーナード・ルイス計画は知らなかったので、検索してみたが、このリンクにある「オルタナティブ通信」様のブログ以外には、ほとんど見ることができなかった。一部、引用させていただくと、「オバマの『バーナード・ルイス計画』は、各地域・国家を、日本の市町村レベル程度の「極めて小さな地域」に分解し、その地域ごとに、「民族」の集まる共同体を形成させ、一つの自治共同体にする事によって、この「民族」対立を「治めよう」とする計画である。」ということである。これは極論的な意味で「小さな政府」を志向する考え方らしい。国家主権を解体して、民族ごと微小な共同体単位に分割するという思想である。

 私などは、これを見て単純に、ニュートンやデカルトが抱いていた機械論的要素還元主義を想起するし、経済学で良く言われる合成の誤謬に似た状況に見える。つまり、要素に分解したものを寄せ集めて集積させても、全体は元に戻らないという感じである。この世界の諸事象も経済も非線形の複雑系であり、ブリゴジンの言う散逸構造性格を宿しているからだ。

 これは詳しく聞かなくても、根底の思想が見えてくる。ミルトン・フリードマンらシカゴ経済学派が唱道し、新自由主義の元になったワシントン・コンセンサスや、竹中平蔵氏らが心酔するヘリテージ・ファンデーションなどのイデオロギーに共通する考え方だと思う。これに加えて、近年、ナオミ・クラインが提唱しているショックドクトリンなども、この系列に加わるだろう。つまり、小泉・菅・野田政権が盲目的に取り入れている政策思想を客観的に眺めるためには、ネオリベラリズムのみならず、ショックドクトリンやバーナード・ルイス計画などを複合的に見る方法もあると思うのである。

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2012年1月28日 (土)

メディア洗脳を食い止める必要あり(caccyo氏の投稿です)

(※ このエントリーは、caccyo氏が26日の拙記事「ネット言論に待ち受ける大言論弾圧の予感」に投稿していただいたコメントです)

高橋管理人さま

連続の記事更新ありがとうございます。

まったく呆れ果てるばかりの酷い政治状況になっています。
官僚政治を打破し天下りを廃して国民の生活を第一に考える政治を目指したはずが、
ノダ氏に至っては官僚に操られるままのパペットに成り下がっています。
耳障りのよい中身の無い言葉で国民を騙し、国民にばかり痛みを押付ける政策を
強引に実行しようとしている。彼の言葉には「真実」が少しも感じられない。。。
「鏡像反転」…現在のノダ氏と野党時代との対比を的確に表していますね。

そんな酷い政治がのさばっているのに、国民は「誰がやっても同じだ!?」とばかりに
諦めにも似た思いを抱いて呆然としているのかのようです。。。

どうして不満の声をあげようとしないのか?
なぜ怒らないのか?
酷い政治を変えようとしないのか?

一番の原因は、隷米官僚政治の広報機関に成り下がった「メディアにあり!」です。

官僚に操られるまま売国増税路線をひた走るパペットノダ氏をメディアは攻撃し
ません。
彼らが長年唱えてきた「財政危機説」に沿って、増税路線を走る限りノダ内閣は
安泰です。
将来のために不人気な増税策を推進するノダ氏こそ、立派な政治家だと持ち上げ
ることでしょう。
また管理人様が次記事で指摘されている樽床氏の代表質問なども、この延長線上
の話のように思われます。
とにかく国民を想い悪徳ペンタゴン勢力に歯向えば激しいバッシングの嵐で大往
生!!!
国民を見捨てて彼らに寝返り隷米勢力のポチになれば、ぬくぬく御身安泰生涯安
心!!?

悪徳ペンタゴン勢力は、民主党が衆院で多数を占めている今のうちに
国民に不人気な政策~増税・基地問題・TPP~を一気に無理やり成立させてしまう
つもりのようです!?そのためにメディア総動員で大増税キャンペーン実施中!!!
そんなメディアの作戦にまんまと乗せられ、自ら破滅に向かう道を進もうとして
いるのです。

繰り返し聞かされることで「財政危機の大ウソ」を信じ込まされ、
グローバリズムの次代だからデフレはやむを得ないものと諦め、
核の傘の下で護ってくれる「アメリカについて行くしかない」と思い込まされ、
「日本の政治は誰がやっても同じだ!!」と諦めさせられ、
21世紀の「日本の衰退は如何ともし難い!」と希望を奪い取られ、、、
増税は嫌だけど、それしか方法は無いと思い込まされてしまっているのです。

このメディアによる洗脳を何とか食い止める方策を考えないことには、
日本の明るい将来は期待できそうもありません。
ネットでの正論に気付く人は相当増えてきてはいるようですがまだまだ少数派です。
植草さんや貴ブログなどの正論をネット環境に無い方々に知っていただくことの
難しさを痛感するこのごろです。。。


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2012年1月27日 (金)

樽床伸二議員の邪悪な政治信条が露呈した代表質問

 26日の午後、国会中継(野田総理大臣施政方針演説に対する代表質問)を聞いていたが、民主党無所属クラブの議員である樽床伸二幹事長代理の質問に対し、猛烈な怒りが湧いた。それは、彼が野田総理に対して行った質問内容に対してではなく、その前提とする前置き演説が看過できない内容になっていたからだ。そこには彼の根底的な政治上の世界観がくっきりと見えたので、その質問の一部を次に引用する。


「――略――
今解決しなければならない多くの課題は、過去の政権から引き継がれた未解決の問題ばかりであります。とくに本格的な高齢社会の到来による、克服すべき課題はかねてより認識されていたことであります。しかし、我が国は、その時代の流れに対応できず、巨額の財政赤字を抱え、社会に閉塞感が広がってしまいました。

 今解決しなければならない多くの課題は、過去の政権から引き継がれた未解決の問題ばかりであります。しかし、過去を振り返っても何も生まれてこないのであります。常に未来に向かって歩んでいかねばなりません。
 それゆえ、自公政権の下で決定された方針を否定するのではなく、その方針に従って税制の抜本改革を提案されていることは、野田政権の責任の表れであると考えます。
― 以下略 ――」


 この前置きに続いて樽床議員は、「東日本大震災からの復旧・復興」「原発事故との戦い」「日本経済の再生」「政治改革」「行政改革」「社会保障」「一体改革」「年金制度」「地域主権改革」「郵政改革」「外交」「ねじれ国会」の12点について野田首相に質問した。私が激怒したのは、この12点の質問内容ではなく、上記に引用した、その前置き演説についてである。樽床議員は臆面もなくこのように言っている。


それゆえ、自公政権の下で決定された方針を否定するのではなく、その方針に従って税制の抜本改革を提案されていることは、野田政権の責任の表れであると考えます。


 彼はさりげなく自公政権がやってきたこと、すなわち小泉・竹中構造改革路線を全肯定し、それを踏襲する姿勢を示したのである。これは既得権益複合体に向けて発した「誓い」のメッセージであろう。小泉・竹中構造改革路線の破壊性と、人の道に背いたその非道な国政をつぶさに実感した人々にはもはや自明であるが、樽床氏のこの文言に、彼と野田内閣の政治姿勢が明確に表れている。このことは同時に、菅政権と野田政権を牽引している勢力の正直な政治信条を示している。ところが、民主党のHPに出ている樽床議員の演説内容には、この部分が抜け落ちている。

 思い起こしていただきたいが、そもそも、2009年8月30日の総選挙で国民が民主党に勝たせたのは、小泉政権の政策出力があまりにもひどかったから、国民の生活と幸福原理に立ち返る政治を願って民主党候補に投票したのである。当初のマニフェストは、小泉政治によってひどく傷ついた国民や零細・中小企業の悲痛な悲鳴を汲み取って作成されたものである。ところが、菅政権と野田政権は、この姿勢を廃棄して、かつての自公外道(げどう)政権の方針に立ち返ったのである。外道とは、字義通り道を外れるということである。

3
 私が、経済学者の植草一秀氏が2006年9月13日に遭遇した京急事件の翌日から、2004年の品川事件も含めて、これらは国策捜査であるとブログに書いたのは、二つの理由があった。一つは無辜な経済学者が破廉恥罪という非道な手段で罠にかけられた事実を看過できなかったからであり、もう一つは植草氏が最も初期から弾劾していた小泉自公政権の非道さを許せなかったことである。かの政権の非道な出力は、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法、労働派遣法改悪などに見られるように、国民の血を吸い取って、外資や一部富裕層に富を傾斜させる悪政の見本であった。その結果は皆さんもご存じのように惨憺たる苦痛を国民にもたらした。

 従って、どの政党が国政を運営しようとも、決して小泉・竹中金融極道(きんゆうごくどう)路線に回帰してはならなかったはずだ。ところが、菅政権から、その極道回帰は鮮明に起こったのである。政権交代時、小沢・鳩山民主党と国民新党には、小泉政権をきちんと総括して政権思想を確立させようとする動きが確かに存在していた。考えてみて欲しいが、小泉政権が執行した構造改革路線の内実を最も初期から最も正確に把握して、誰よりも強くその間違いを指摘していた人物がいた。植草一秀氏である。彼は救国のウォーリアー(戦士、侍)だったのである。初期民主党は植草氏を招聘(しょうへい)して小泉路線を徹底的に究明し、そこから国民のための政治を展開する道があったのだ。例えば2010年2月9日、衆院予算委員会における小泉俊明議員の小泉政権弾劾質疑(追記2)にその兆候があったのである。ところが、小泉政権を糾弾し、その構造的欠陥、思想的欠陥を総括する動きは完璧に封印されてしまった。それが現在の野田政権を踏襲する諸悪の根源となっている。

 封印した外力は、ジャパンハンドラーズと既得権益複合体であるが、その黒い勢力は民主党の売国議員たちに強くテコ入れした。これによって民主党良心派と亀井国民新党は実質上、駆逐された形となって現在に至っている。ここで、樽床氏の「自公政権の下で決定された方針を否定するのではなく、その方針に従って」という文言がクローズアップされるのである。国民主権を実現し、政治を国民の手に戻すためには、野田氏や樽床氏に代表される外道議員たちを国政の場から退場させることであり、今からでも、国政の中心にいる人々にとって、植草氏による小泉政権の体質解明は絶対に必要なことである。それをしないと、まともな国政刷新はいつまで経っても始まらない。(画像はパロディストのマッド・アマノ氏の作品です)

追記1:樽床議員の質問内容全文は民主党HPの下にPDFに出ているので、問題の文言を確認できる。

追記2:小泉俊明議員の小泉政権弾劾質疑の動画は存在するが、リンクを貼れないようになっているので、youtubeで「「小泉・竹中政策で死屍累々」- 小泉俊明議員、国会で弾劾!」を検索していただければ、ご覧になれると思う。1/2と2/2の二つが存在する。

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