2008年7月18日 (金)

またか、GDP成長率の下方修正(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第99弾です)

 新聞報道によれば内閣府は日本の経済成長率見通しについて、実質で今年度1.3%前後とする方向で関係各省庁と調整に入ったとある。成長率見通しが、客観的なデータに基づいて計算されるのでなく、各省庁で相談しながら決めるというのも驚きだが、今回も例年通り、大幅な下方修正であり、やはり元の発表は大本営発表だったことが裏付けられた。以下の表で、内閣府による国民を馬鹿にした発表を示した。2002年から、この大本営発表を繰り返しており、どうして国民が怒らないか不思議でならない。
Photo_2 
 例えば2007年度の名目成長率は昨年1月には2.2%だろうと言っていたが、実際はその3分の1にも届かない0.6%だった。2008年度の成長率は昨年1月の予測では2.8%だったが、今回の発表では何とその9分の1以下の0.3%だ。2009年度の見通しもみるみる下がっている。つまり政府は、日本経済は順調に回復を続けていることを毎年アピールしているのだが、実際その年になってみると「予想外」に低い成長率であることが分かり、そのたびにもっともらしい言い訳がつけてある。

 その言い訳も2~3回ならまだしも、2002年度からずっと言い続けている。以前に2007年度の成長率が国際的に見て如何に低いかを示したら、今度のデータで2008年度の国際比較をしてみたので下のグラフをご覧頂きたい。日本以外はOECDの最新の予測を使った。誰が見ても明らかだ。日本の成長率は余りにも低い。これだけ成長率が低いと日本では何をやってもうまくいかないし、収入の伸びも全く期待できない。
2008

 現状維持ならまだよいのだが実はそうではない。ヨーロッパから見た日本のGDPのグラフを下に示す。これで分かるように日本経済は実は急激に縮小しているのだ。縮小を止める方法が無いのなら仕方がないのだが、縮小は簡単に止められる。お金を刷ればよいだけだ。刷って減税なり、歳出拡大で国民のために使うだけでよい。お金を刷る規模で、名目成長率は自由に変えられる。

Photo_3

 我々は、これらの事に関しても政府の追求を続ける。その一つの機会が大田大臣と宍戸駿太郞氏の公開討論会だと思っている。その日程が決まった。

ESRI-経済フォーラム
~経済政策とマクロ計量モデル~

1.日時 8月8日(金) 13時から15時
2.場所 霞ヶ関ビル東海大学校友会館

 しかしながら、内閣府の提案は到底受け入れがたいものだった。つまり彼らのプランは最初の20分だけ、大田大臣と宍戸氏の対談があり、それが終わると、大田大臣は逃亡(敵前逃亡?)し、その後は、御用学者がぞろぞろ登場にて、政府の政策の擁護をするというもの。なぜ内閣府はいつもそのような悪知恵をはたらかすのだろう。政府は、ちゃんと国民の声を聞くべきだ。随分長い間、国の借金を返そうとして、緊縮財政をしているが、全然返せてない。緊縮財政は国民の大きな犠牲のもとで行われたのだが、その結果として日本経済は随分縮小した。得る物は何もなかった。政策の根本的な間違いがあったのではないかと疑うときに来ている。今こそ専門家の声に耳を傾けるときだ。

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「偽装CHANGE」勢力の胎動に目を配ろう!!

 植草さんが今、精力的に警鐘を鳴らしていることは重大である。それは自民党の清和政策研究会、および民主党の凌雲会勢力が中心となって策動体勢を整えつつある「偽装CHANGE」作戦のことである。やっぱり植草一秀さんという人物は歴史的な人物である。あれだけ、ひどい目に遭ったあとで、ご自分の体勢を回復しながらも、現在進行している政権勢力の危険な徴候、胎動を見抜き、ブログ発信で世間に警告を発し続けている。この果敢な姿勢は、彼が小泉・竹中構造改革路線の誤りを不退転で指摘し続けたことと、りそなインサイダー疑惑を指弾し続けたこととまるで同じである。このような行動は常人ができる範囲を超えている。彼のブログ記事を読んでいればわかるが、植草さんは再び巨大な売国勢力に立ち向かっているのだ。

 今の植草さんは2004年4月の品川事件、そして、2006年9月の京急事件の直前に、彼が政権主導筋によって、対米隷属仕様の構造改革における第一級の阻害因子を孕んだ人物として睨まれていたことと、まったく同じ位相に突入していると思う。つまり、今、彼や彼の考え方を支持する者たちは、現主力政権筋に睨まれ、非常に危険な状況に至っていると考えた方がいい。今、彼らは当然、何としても植草さんの言論展開を阻もうと画策しているはずである。しかし、植草さんは現在、言論表現手法を、リアルタイムで発信でき、双方向通信が可能なインターネットで行っていることにより、彼の日々の言論は多くのネットユーザーに強く注目されている。それは政治ブログランキングの上位に位置していることでよくわかる。

 私が言いたいのはこの状況で政権筋が、植草さんに下手に手を出した場合、ネットユーザーを中心とする多くの反構造改革派、反対米従属派、国民層の多岐に渡るセーフティネット回復希求派が黙っていないことだ。おそらく、品川、京急事件に続く三度目の謀略はもう通用しないだろう。しかし、彼らは何としても植草さんの『偽装CHANGE警告』言論を潰そうと、あの手この手を考えていることだろう。今、植草さんの言論に注目する方々は注意して植草さんのことを見守って欲しい。

 さて、『知られざる真実ー勾留地にてー』第一章の13によれば、今から9年以上も前、小泉政権が誕生する以前に、植草さんは日経新聞の現社長である杉田亮毅氏に依頼され、約一時間半の時間をもらって小泉純一郎氏に進講した。そこでは小泉氏に、1990年以降の日本経済の推移、米国の三重苦克服のメカニズム、日本の三重苦克服の方策を説明した。ところが、小泉氏は序盤から植草さんを遮って持論を展開したそうである。 植草さんは何とか説明を続けようと試みたが、まったく虚しい結果となった。つまり、小泉氏は植草さんの経済分析や展望、国民経済の寄与にはまったく関心がなく、この時点でいかに宰相の器量を持っていなかったかを充分に証明していたのである。植草さんが嵌められる第一の伏線は、すでにこの時に発生したようだ。植草さんの不安は的中し、小泉氏は政権を超緊縮財政に導いて経済を落下させた。植草さんは小泉氏が総理大臣になってからも、二回ほど話したことがあるそうだ。2003年の自民党総裁選に際してのテレビ討論と、フジテレビの「報道2001」だった。「郵政民営化」論でも小泉氏は植草さんに激しく反論したらしい。(同書P65~66参照)

 さて、植草さんはフジテレビの月9ドラマ、木村拓哉主演の総理大臣ドラマ「CHANGE」を、政治的プロパガンダ・ドラマであり、国策番組の疑いが濃いと言っている。小泉官邸主導政権の中枢にいた飯島勲元秘書官がシナリオを書いているのなら、その可能性はきわめて高い。テレビメディアが国民世論の誘導操作を、ニュース番組やニュース・ワイドショーだけでやるわけではない。ドラマの物語性や役者の演技に感情移入できる政治ドラマを華やかに制作すれば、それは娯楽番組ではあっても、確実に視聴者のイメージに影響を与えることになる。このドラマが狙う視聴者へのサブリミナル効果は、小泉構造改革がいかに的確で正しいベクトルを有していたかを、識域下に刷り込む(imprinting)ことにある。俗に言えば、やっぱり小泉改革継承路線は良かったから、それで行くしかないのだという方向である。これはかつて竹中平蔵氏が主導して、いわゆるB層連中をターゲットにして、小泉バンザイを洗脳した手法の別バージョンである。

 自民党買弁勢力は、このドラマ「CHANGE」を旗振りとして、福田政権の絶望的な不人気を踏まえ、政権交代によって民主党に与党の座を明け渡さないために、ある種の偽装新興勢力を旗揚げしようとしている。植草さんは現在の与党主力勢力(清和会)や民主党の買弁勢力(凌雲会)の基本姿勢を次のように捕捉している。

①弱肉強食奨励 ②官僚利権温存 ③対米隷属外交

 この三つは小泉・竹中構造改革路線の主軸であるが、「偽装CHANGE」とは、小泉政権が確立したこの三つの基本姿勢を、将来的に堅持していくために、外装、見かけだけを華々しいものに変えて国民を欺く手法なのである。国民を不幸にするこれらの政策主軸のベクトルを変更するには、これらと正反対の政策理念を掲げることである。それが、

①セーフティーネット重視  ②官僚利権根絶 ③独立自尊外交
という対置的政策理念である。

 昨今は偽装が流行のようになっているが、小泉政権は国民を欺く偽装政権の最たるものだった。この偽装政権が外側の衣を変えて国民をまたたぶらかそうと、今、大きな胎動が始まった。植草さんはそれを国民に警告しているのである。
                                                
 再度言うが、今、植草さんがネットで展開している「偽装CHANGE」警鐘は、彼が、りそなインサイダー疑惑を指弾していた時と同様のインパクトを持ち、買弁政権筋は、またもや植草さんを徹底的に眼の仇にしていると考えた方が良い。したがって、植草さんを支持するネットユーザーやブロガーの皆さんは、植草さんの言行録に最大の注意を払って見守って欲しい。電車による三度目の偽装事件は無理だとは思うが、彼らも計画が挫折しないように必死である。したがって、まだ何をするかわからない不気味さがある。国民の視点で言うなら、今、植草さんの心底から発する良心的な警告を無視しないで欲しい。これが無視された場合、小泉・竹中路線が敷き詰めた亡国的な趨勢は後戻りできなくなるだろう。

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2008年7月16日 (水)

お金を刷りまくる米国(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第98弾です)

 サブプライム問題(低所得者住宅ローン)を受け、米国がお金を刷りまくっている。もともと資本主義経済では、バブルでお金が一気に増えたり(増えたつもりになるだけかも)、逆にバブルが崩壊して、一気にお金が消えたりするものである。お金が一気に消えたとき、日本政府と日銀は、慌てふためいているだけで適切な経済政策をしなかった(何をすればよいのか知らなかった)から、日本経済は一気に縮小し、日本は貧乏になってしまった。

 米国は違う。お金が一気に消えたときは、お金を刷りまくるのが最良の経済対策だ。2月には総額焼く1680億ドル(約18兆円)の財政出動(減税)を行い、7月11日には総額最大3000億ドル(約32兆円)の救済法案を上院が可決した。政府によるローン保証を大幅に拡充し、住宅差し押さえや不良債権の増加に歯止めをかけた。それだけではない。7月13日、ポールソン米財務長官は、サブプライム問題による経営不安から株価が急落している政府系住宅金融会社ファニーメイと米連邦住宅貸し付け抵当会社(フレディマックに公的資金の注入を検討して資本増強をするとの声明を発表した。両社の住宅ローンは5兆~6兆ドル(約530兆~640兆円)を保有または保証している。これは日本のGDPを上回る巨額なものだ。この2社の株価急落を受けて米当局が支援に動き出した。

 損失が出れば国民の負担となると日本のマスコミは解説するが、米国人にはそのような感覚は無いだろう。刷った金に国民の負担は無い。それよりサブプライム問題で負の連鎖が発生するよりはるかによい。米国はデフレに陥る手前で必死に景気浮揚を試みている。日本の愚を繰り返すなということだ。通貨発行権を放棄すれば、デフレ脱却は極めて難しくなり、日本のように11年連続デフレーターがマイナスという異常事態にもなり、国はどんどん貧乏になっていく。それは、日本全国民がどんなに働いても、どんなに構造改革をしても、どんなに素晴らしい発明をしても同じこと。お金が消え続けるデフレの下では、貧乏になるしかない。今日の朝日新聞には、内閣府は2008年度のGDP成長率の見通しを実質で1.3%、名目で0.3%とする方向で最終調整に入ったとある。昨年12月に発表した政府経済見通しは実質2.0%、名目2.1%であったから大変な下方修正である。下方修正は2002年度の経済予測を発表以来、毎年の年中行事となっている。

 しかしながら、名目GDP成長率が0.3%だと平気で予測するとはどういう神経なのだろう。下の図を見ていただきたい。2007年度は0.6%成長であったのだが、これは世界の中で際立って低い。それなのに2008年度は、さらにその半分の0.3%だという。国民は怒りを爆発させるべきだ。どこまで日本を貧乏にすればよいのか。名目から実質を引いたものがGDPデフレーターであり、これがプラスになればデフレ脱却となるのだが、昨年12月の予測では2008年度の名目成長率はプラス0.1%であったが、今回はなんとマイナス1.0%だ。

2007

 本当にデフレ脱却が困難なのであれえば仕方がないが、国がお金を刷って減税とか福祉、医療費、教育費や国民の将来に向けての投資などに使えば、簡単にデフレは脱却できるのである。政府が当然やらなければならないことをやらないために国は衰退する。

 貧乏になりつつある国、日本、に投資する人はいない。海外の投資家や日本の国内の投資家はもちろん、日本政府さえも国内に投資を避けようとしている。政府も国家ファンドなどを作り、国民から集めた金(年金積立金など)を海外に投資するのだという。日本から逃げ出した資金が海外で暴れまくる。米国の貧乏人に金を貸して住宅を建てさせた。いわゆるサブプライムローンだ。それが危なくなると、資金は産油国へ移動。それが原油価格の高騰を招き、世界中を困らせている。

 海外に逃げた資金を日本国内に取り戻す方法はただ一つ、日本経済を成長軌道に乗せることだ。そうすれば投資家達も日本市場に資金を移動させ始める。世界の株式時価総額の日本のシェアは1990年には32.9%だったものが2007年には7.3%にまで激減、2008年には更に株価は下落している。資金は貧乏になりつつある国から逃げてしまった。

 デフレを正攻法で脱却させよ。不況下の物価高騰で苦しんでいる国民のためにお金を刷って使いなさい。計量経済学の示す通り、それにより経済は高成長し、それにより逃げた資金は帰ってくる。投資家は低すぎる日本の株を買いまくるだろう。大量の資金を、サブプライムとか、原油価格の高騰などの「悪さ」をするために使うのでなく、日本経済発展のために使ったほうが良い。そのほうが、日本経済だけでなく世界経済にとっても良いことである。

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2008年7月14日 (月)

来月中旬、マッド・アマノさんの新著が出ます!!

  神州の泉・管理人の私が深く尊敬し、最近生起するさまざまな社会事象などの背景を、いろいろとご示唆、ご教示していただいているイラストレーターのマッド・アマノさんが、来月(8月中旬)に新著を出されるので、その前書きをいち早く当ブログにて紹介しておきます。本のタイトルは『マッド・アマノの謝罪の品格』です。

 マッド・アマノさんの表現手法はパロディ・イラストですが、政治や社会現象のこういう風刺的表現を行うには、非常に深い知識と洞察力が要求されると思います。そういう意味では、マッド・アマノさんはこの分野の草分け的存在であり、現代日本の稀少な文化人のお一人です。マッドさんは以前から、日本人の国民性としての謝罪文化に鋭い分析を加えておられ、その考察をついに本に著しました。来月、この本が世に出ましたら、神州の泉でまたあらためて紹介しますので読者の方々はご記憶ください。

 尚、マッドさんは『リコール!小泉鈍一郎』という本を出されていることからもお分かりのように、小泉政権、およびその継承政権を痛烈に批判する立場でも知られています。また、マッドさんは動画で佐野美和さんと対談されているので是非こちらもご覧ください。
http://loxx.tv/mad/index.html

                         (神州の泉 高橋博彦)

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  『マッド・アマノの謝罪の品格』まえがきより

 「勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」など多くのヒット曲を世に出した桑田佳祐率いる人気バンド、サザンオールスターズがニューアルバムを発売するにあたって全国紙に全面広告を掲載したことがある(2005年9月1日)。報道陣の前で神妙な面持ちで頭を下げる4人のメンバーの中央に桑田が泣きながら何やら釈明している、という何とも奇妙な広告。大げさな泣き顔は誇張されていて笑いを誘う。見出しの冒頭に「お詫び」とある。えっ、桑田が何を詫びるの?と怪訝に思いつつ、つい文章を読みたくなる。そこがこの広告の狙い目なのだ。広告文はこんな感じで始まる。「私どもサザンオールスターズは、よく考えると7年もの間オリジナルアルバムを発表しておりませんでした。けっして遊んでいたわけではありませんが…」、そして「ついに新曲も含む2枚組の大作を完成させるにいたりました。」とさりげなく宣伝する。さらに、「秋には、お詫びの意味も兼ねまして全国ツアーに伺いますので何卒、よろしくお願い致します。」と謝罪とツアーの告知とを巧みに織り交ぜている。最後に、「皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした。」「これで許して。」の言葉でしめている。

 不祥事を起こした企業の経営陣が雁首下げて謝罪するシーンを嫌というほど見せられてきた私たちの怒りとあきらめにも似た嘆きを彼は逆手に取っているところがいかにもサザンらしいユーモアだが"謝罪会見流行り"を茶化しているばかりか痛烈な社会風刺となっている。

 実は私は「頭下げ会見」の写真入り新聞記事を約12年前から収集してきた。今ではA4・40ページのファイルが6冊にも及び、ざっと数えただけでも300近くある。どれを見ても大の男が深々と頭を下げて謝っている写真ばかり。この写真を一冊の本にまとめたいと考えた。ほとんど文章がなくとも風刺が効いて面白いはずだと思った。世界にまれな「頭下げ写真集」はたしかにパロディー的に見て笑えるものだ。外国で売ればかなりユニークな「日本人論」になるはず、と独りほくそ笑んだ。
  
 「頭下げ」写真の収集のきっかけとなったのはミドリ十字の経営陣5人が土下座して謝っている某週刊誌に掲載された写真(96年3月14日号)だ。これは衝撃的だったので記憶されている方も多いと思う。輸入血液製剤でエイズウイルスに感染した血友病患者らを前にしてのパフォーマンスである。平身低頭謝れば急場を凌げるばかりか罪を軽減できると考えての行為なのだろうか。これを見せられた私たち多くの日本人は「これほど真剣に謝っているのだから許そうじゃないか」という気分になったのではないだろうか。これこそが過ちを犯した側の"思うツボ"なのだ。過去に謝罪会見を行った彼らはおしなべて陳謝の弁の舌の根が乾かないうちに裏でベロを出している。反省の色は見られないのだから始末が悪い。

 謝れば罪を問わない日本の道徳観を私はあえて「謝罪文化」と呼ぶ。こんな文化は少しも褒められたものではない。ここで注意しなければならないことは数多く行われてきた頭下げ会見の中で本質が隠されているものが多々ある、ということだ。たとえば「薬害エイズ問題」。厚生大臣が頭を下げるだけでは根本的な解決にはならない。なぜならば厚労省、製薬会社、病院などの癒着だけではなく国際製薬会社の"暗躍"を否定できないからだ。さらに、そごう、西武グループはたまたグッドウイル・グループなどの不祥事発覚の背景にはカリスマ経営者の追い出しを画策する国際金融資本の影がちらつく。経営者の謝罪・退任で一件落着?いやいや、そんな簡単な話ではない。裏でどす黒い乗っ取りが行われているのだ。一方、"食肉の帝王"ハンナンの浅田社長、ライブドアの堀江社長、"防衛省の天皇"の異名をとる守屋防衛相らの逮捕・長期拘留のケースは、不祥事の張本人でありながらなぜか謝罪会見がない。これらの裏に国策捜査の臭いがフンプンとする。外国人の謝罪はごくまれだが本国では習慣のない頭下げ謝罪をあえて行った駐日米国大使・米軍幹部や三菱ふそう、シンドラー社らの本音を読みとることも重要だ。

 船場吉兆ではないが紙に書いたメモを顔も上げずにただ棒読みする"品のない謝罪"はご免被りたい。これからは謝罪にも、ある種の「品格」が求められるはず。そこでタイトルを「謝罪の品格」とした。年末恒例の「今年の漢字」の向こうを張って「今年の品格ある謝罪」を選定してベスト・ワンに大賞を授与したいくらいだ。
  
  カタチだけの「頭下げ」パフォーマンスに騙されず、その裏を的確に読みとることこそが重要だ。

                     2008年初夏 マッド・アマノ

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7月12日の集会に出てみて

  昨日12日土曜日は、鹿砦社の言論弾圧事件から、三周年目を記念して、「今、表現の自由を考える集い」が開かれた。私は鹿砦社の「紙の爆弾」に拙記事が掲載されたこともあり、鹿砦社の社長さんである松岡利康さんにはお礼方々、一度お話をしてみたいと思っていたので、神戸に出向いて集会に参加させていただいた。集会の場所は神戸総合福祉センターで、あの楠木親子を祭っている湊川神社のすぐ横だった。私は父親から、自分が22歳で満州北支方面隊に出兵する直前に、この湊川神社に参詣してから船出したと聞いているので、会場に到着する前に神社境内を歩き、拝殿でお参りした。左翼の方々が多く来られる集会に赴いて、神社を参拝する自分の行為は奇妙に映るかもしれないが、私の中では日本人として普通の行為である。

 私個人は鹿砦社の松岡氏やエコノミストの植草さんを応援することは、左翼右翼思想の延長上で行っているのではなく、日本を悪くする勢力に敢然と立ち向かい、その結果として、マスコミや時の権力から迫害を受けている人を支援したいという人間としての心情からである。今の日本、あるいは外の多くの国々は、グローバリゼーションと新自由主義の極端な介入によって、先祖から受け継いだ国民性や国柄、人間性を失わされてきつつある。この趨勢がもたらす金銭至上主義、弱肉強食の論理は、社会の隅々まで浸透し、本来的な人間の持つ良いものがどんどん失われ、モラルが極端に低下する結果を招いた。この状況は日本で言えば、際限のないアメリカ化である。与党連中は国民の幸福についてはいっさい考えていない。

 戦後、これほどひどい政権与党はなかった。彼らは一部の金持ち連中だけが、富を享受し、多くの下層格差階級の苦悶を尻目に、マスコミや権力を自在に駆使して、ますます自分達に都合のいいように各制度などを立案したり変更したりしている。小泉政権以降に成立した法律は表層的には国民利益を謳っているが、その内実は「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法」などを見てもわかるように、徹底的に弱者から吸い取る方向性を持っている。一方では法人などの税率は下げられている。清和政策研究会が牛耳る小泉政権以降の政権与党は、棄民的体質を持つ非常に危険な政権なのである。これらの政権がネオリベ体制に日本を切り替える段階で、いわゆる国策捜査と言われる一連の言論弾圧事件が起きている。こういう趨勢の中、西宮冷蔵への迫害も、鹿砦社への弾圧も、植草さんへの弾圧も起きている。つまり日本の政治体制はネオリベ傾向が高まる中で、同時的に言論統制傾向が著しく強まっている。この実態に国民は無関心である。それはマスメディアが故意に知らせないからである。何度も言うが、テレビを筆頭として、マスメディアはアメリカに追従する政権の言いなりだからである。

 さて、土曜日の集会では田島泰彦先生の基調講演で始まり、言論の自由の危機を語られていたことは身に沁みる内容だった。また、集会には一水会代表の鈴木邦男氏が来られ、松岡氏へのエールを送られた。鈴木氏の言葉の中で、非常に印象に残り、自分も賛同したことは、「左翼がもっと元気を出して欲しい」と言われたことである。この言葉の意味は非常に深いものがあると思う。この世の森羅万象には、男女、北極・南極、電池のプラスとマイナスのように、両極性(ポラリティ)がある。私は思想も同じことだと思っている。左翼だけでも駄目で、もちろん右翼思想だけでも駄目なのである。左翼と右翼が両立性を持ち、拮抗作用を持つことによって、思想や言論界のバランスが取れるのではないだろうか。もっとも、それについて理論的になぜかということはわからないが、洞察的にそう思えるのである。どちらか一方が極端に突出すると非常に良くない傾向になる。現在の日本は擬似的な右翼が優勢になることによって、左翼全盛時代よりも時代が劣化している。つまり、言論の自由度が著しく下がってきているのだ。乱暴な論法だと思うが、右傾思想の方向性が誤まると権力の濫用が起こり、国民の自由度は著しく制限される事態が生れてくる。特に、国際金融資本の思惑と、小泉、安部政権のような誤まった国家主義がリンクすると、とんでもない閉塞的な社会が現出されてしまう。今の日本がそういう趨勢下に置かれていることは火を見るより明らかである。ネオリベの創始者であるミルトン・フリードマンはいっさい語っていないが、新自由主義は警察権力の強化と、戦争への志向性が一気に高まる性格を有している。そういう意味では、今の日本は危険なゾーンに入りつつある。

 話は変わるが、雑談日記のSOBAさんから動画を紹介してもらって、初めて知ることになった、門真(かどま)の市議会議員・戸田ひさよしさんも駆けつけてくれた。戸田ひさよしさんの動画では、大阪府知事選の時、橋下徹弁護士を激しく弾劾していたことが印象にあり、自分も同感であったために、いつかはお会いしたいと思っていた。サングラスをかけていて、その筋の人かなと一瞬思ったが、はっきりした大きな声に聞き覚えがあった。それで私から戸田さんにお声をかけてみた。私は私なりに、植草さんの応援者として、橋下弁護士が、根拠のない女性セブンの捏造記事を土台にして、植草さんの性癖論をテレビで強調した事実はけっして忘れることはない。この人物がリーダーになってもよいのか。日本がひどい状況に陥っているのは、こういう人物が府知事になっていることだ。民主的に選ばれたというよりも、テレビの出演回数を異常に多くして、自公が異常に肩入れした事実は、明らかに自民党を動かす外の勢力のメガネにかなっている人物だということである。国民はマスコミのイメージ操作によって作られた人物に警戒するべきである。
 
 戸田さんとは橋下氏のことで、もっとゆっくり話をしたかったが、彼は人気者だったのでなかなか機会ができなかった。戸田さんには、植草さんが嵌められたという私の話を真摯に聴いていただけて嬉しかった。またお会いすることもあるだろう。鹿砦社の松岡さんとはゆっくり話ができて神戸まで行った甲斐があった。また支援者の方々とは親睦会で打ち解けた話が出来て楽しかった。親切に話しかけていただいた人の中に、「完全ヒモマニュアル」や「大震災名言録」などを書かれた鍵英之(藤尾 潔)氏がいて、非常に有意義で楽しい会話ができた。あらためて鹿砦社の松岡さんの交友範囲の広さに驚かされた思いである。

 余談であるが、神戸の人たちの親切心には感動した。私が会場の場所などを訊ねると、丁寧に説明してくれ、その上に途中まで一緒に道を歩いて案内してくれた。それが一回だけではなく、一日の中で駅や建物を聞いたとき、全部で三度もあった。恐縮する思いと同時に、関西人の親切心には昔の日本人の名残りを見て感動した。こういう所まで、冷たい東京のような雰囲気にならないように日本人は回復される必要があると心から思った。

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2008年7月13日 (日)

中川昭一元政調会長が財政出動の政策提言(小野盛司)

  (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第97弾です)

日本経済復活の会 会長 小野盛司

 我々が待ちに待っていた大田大臣と宍戸駿太郞氏の公開討論会は8月8日に決まった。いよいよ、内閣との直接対決が行われる。乞うご期待である。そういった時に7月10日発売の月刊誌「中央公論」で自民党の中川昭一元政調会長が「日本経済復活のための13の政策」と題した提言を行った。マスコミの扱いはそれほど大きくはないが、中川氏が総理に名乗りを上げたとか、景気対策の議論が解禁になったとかということで話題になっている。我々としては、この記事が発端となり、世論が動き、正常な経済政策への大転換が起きて欲しいと願うものである。

 中川氏の提言は
① 2兆6000億円の定率減税の復活
② 2兆円の法人税減税
③ 年金の物価スライド制の復活
④ 長寿医療制度での保険料軽減
⑤ 基礎年金の全額税方式
⑥ 抜本的な少子化対策(2.5兆円)
⑦ 証券市場の活性化
⑧ 政府系ファンドの創設
⑨ 世界的競争力を有する産業育成
⑩ 規格のグローバル化
⑪ 都市再生
などである。これらを含めた経済対策の総額は21兆円あまりとしている。

 昨日(7月11日)の日経新聞には園田博之自民党政調会長代理が「補正を使って内需拡大策」を行うという記事が載っている。検討中の今年の補正予算編成の狙いはという問いに対し園田氏は「予算編成後に生じた新たな問題が原油高騰、高齢者対策、内需拡大だ。内需拡大は例えば農業や漁業、中小企業対策、環境対策だ」と述べている。

 明らかな変化が感じられる。今まで我々の質問主意書に対する政府の答弁は、「政府としては、基本方針二〇〇七において、予算編成の原則として、民間需要主導の経済成長を目指し、景気を支えるために政府が需要を積み増す政策はとらないこととしている。現在の極めて厳しい財政状況等を踏まえれば、経済成長を維持しながら、歳出・歳入一体改革に正面から取り組むことが必要であると考えている」(内閣衆質一六八第一〇号  平成十九年九月二十五日、内閣衆質一六八第一三三号  平成十九年十月二十六日)であった。補正を組むことは、これらの方針が間違えていたことを事実上政府が認めたものだ。

 マスコミは表面的には歳出削減と増税というデフレ経済にとって絶対に行ってはならない政策を支持しているように見えるが、その間違いに気付き始めていると私は見ている。実は筆者は数日前、マスコミの方々が多数集まる会合に招かれ「お金がなければ刷りなさい」という内容で、3時間以上お話しをさせていただいた。かなり過激な内容でマスコミの論調に真っ向から対立するものであるだけに、相当の批判を浴びるのかと覚悟をしていた。ところが実際は「目から鱗」だということで、出席した方々は大賛成の様子だった。やはりマスコミも現在の政府の政策が間違えていると気付いているのだと感じた。私の希望的観測ではあるが、水面下でマグマのようなものが静かに動き出している。何かのきっかけで、一気に爆発するのではないだろうか。それが中川昭一氏を総理に押し上げるのではないか。これが私の希望的観測である。

 中川氏の提言に対して、赤字国債は将来世代につけを残すことになるという馬鹿な議論があるだろう。しかし、内閣府の試算でも景気対策をやれば国の借金は実質的に減少するとなっている。景気対策を怠ったために、日本はどんどん貧乏になっているし、日本経済が一流でないと大田大臣が言うようになるほど衰退してしまった。国を貧乏にしてしまったということは、将来世代に大きなつけを残したということだ。一刻も早く、日本経済を一流に戻す努力が必要だ。

 一流でなくなったということは、成熟した経済ではないということだし、日本経済は成熟しているから、もう成長しないというのは過去のことだ。かつては成熟していたかもしれないが、その成熟した経済を、政府の経済政策の失敗で、貧乏な国にしてしまった。政府は経済政策の失敗を認め、貧乏な国を成熟した国へ戻す努力をしなければならない。キーワードは「お金がなければ刷りなさい」である。

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2008年7月 9日 (水)

「大田大臣vs宍戸俊太郎」公開討論会

日本経済復活の会・会長 小野盛司さんからのお知らせです
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大田vs宍戸公開討論会の日程が決まりました。

8月8日(金)

 2時間くらいということです。何時からとかは未定です。

第35回 ESRIー経済政策フォーラムということになるようです。
このフォーラムは
http://www.esri.go.jp/jp/forum1/menu.html
に、前回までのフォーラムが書いてあります。

 場所等は不明です。内閣改造があるのかどうか、分かりませんし
大田氏がその時大臣であるのかどうかも分かりません。

小野盛司

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表現の自由確保に右も左もない!!7月12日集会にご参加を!!

  思想混迷の時代の今日、『表現の自由』確保は国民生活を左右する重大事

 今週土曜日(7月12日)は鹿砦社言論弾圧事件から三周年を記念して、『表現の自由』を考える集いがある。言論、思想、表現、出版の自由などと言うと、戦後にイメージ付けされた市民左翼的なスローガンに聞こえるが、実は日本国憲法第21条に規定されるこれが侵されると、日本という国そのものが、戦時中に経験した大本営発表の言論統制時代に突入してしまう。

 こう言えば、戦時でもなく、独裁体制にもない今の日本で、言論統制とは何を馬鹿なことを言っていると思われるかもしれない。しかし、アメリカの圧力よって、むりやり新自由主義体制に切り替えられた現代日本は、間違いなく言論統制の傾向が強まっている。テレビメディアや他の大手新聞は、アメリカに阿諛追従する買弁権力中枢によって子飼い化され、国民の知りたいことがらを都合のいい方向へ世論誘導し始めている。

 この傾向は年次改革要望書を改革の指針とした小泉政権後に急速に強まっている。その証左として、小泉政権下では、政策批判をしたエコノミストの植草一秀さんや、警察天下り企業の不正を暴き、告発した鹿砦社の松岡利康さんに露骨な言論弾圧を加えている。私は今月号の『紙の爆弾』にも書いたが、六年前に雪印食品の牛肉偽装事件を内部告発した西宮冷蔵の水谷洋一さんも、告発後に会社運営が停止するほどの弾圧を受けていることなど、一連の告発後の弾圧事件を冷静に眺めると、明らかに今の日本が統制社会に変化していることを痛感する。私流の言い方をするなら、これは『現代夜警国家』化なのである。

 国民は今の日本が平和で、国家統制や言論弾圧とはまったく無関係な時代であると漠然と思い込んでいるが、事態の進展は完全にその認識を裏切っている。日本が、ネオリベ体制に切り替えられ、超格差社会に変換、貧富の差が増大するアメリカ型階級分化社会に改変されつつある現状は真摯に受け止めるべきだ。主体性を失い、平和の美名の下に傀儡国家と堕しつつある現状日本では、急速に言論の自由が空白化、空洞化してきた。

 言論弾圧があるレベルを超えた場合、国民は統制的体制下に縛られ、国民として享受すべき生活の保障も、批判の自由も、集会も、言論活動も、事実上封殺されてしまうことになる。鹿砦社の松岡さんは、本でパチスロメーカー「アルゼ」の不正を暴露しただけなのだが、名誉毀損の罪を着せられ、いきなり逮捕され、192日間も拘束されてしまった。エコノミストの植草一秀さんは小泉政権のマクロ政策の間違いを初期から強く指摘、りそな銀行国庫救済にからむインサイダー取引疑惑を指摘したために、小泉政権下で二度にわたって痴漢偽装事件を起こされている。その上、彼も132日間に及ぶ長期人質司法の理不尽な目に遭っている。

 国民をたばかって、外国資本に利益供与をはかる政治体制は、正当な告発を行う言論人に対し、露骨な弾圧を加え始めている。国民はこの事実を認識する必要がある。

 今週の土曜日12日、午後一時半から四時半まで、神戸総合福祉センターで、上智大学教授の田島泰彦氏の基調講演を中心に「今、表現の自由を考える集い」が開かれる。皆さんも参加して欲しい。表現の自由が封じられたら、左派も保守もあったものじゃない。言いたいことが言える世の中は、絶対に確保していく必要があると思う。


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サミットに成果はあったのか(小野盛司)

(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第96弾です)

 マスコミの報道によれば、洞爺湖サミットでは、2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を現状比で半減させる長期目標について「世界全体の目標として採用を求める」ことで合意したそうだ。京都議定書からはずれたカナダ・米国も加えてこのような表現でまとまったということで、成果を強調するが、目標の採用は求めるが、採用されないことが分かっているから米国・カナダが合意したのではないか。米国が京都議定書に加わらなかった理由は中国・インドなどの新興国が加わらなかったら意味がないという理由だったのだから、逆に言えば、もともと新興国が加わるなら自分たちも加わっても良いという意見だった。ということは、今回のサミットでの進歩はなかったのではないだろうか。

 そもそも2050年までの目標など余り意味がないし、近い将来、新興国が温暖化ガスの大半を排出するようになる可能性が高く、それであれば新興国抜きで合意して何になるのだろうと思ってしまう。それでは議長国の日本として何をすべきか。私なら、国際協力で温室効果ガスの排出を減らすための巨大プロジェクトなどをスタートさせようと提案したと思う。たとえば、洋上風力発電や人間の替わりにあらゆる労働を引き受けてくれるロボットの開発である。そして、開発の成果は、資金を拠出した国が拠出割合に比例して分配するとしておく。

 これらのプロジェクトは、すぐには利益は出ないが将来的には、膨大な利益が見込まれる。基礎研究は進んでいて、資金さえ十分にあれば実用化される日は近いし、採算が取れる見通しもついている。巨大な株式会社のような組織にしておけばよい。累積の拠出金に比例して利益が分配され、途中参加も可能にしておく。最初様子見をしていた国々も、次々参加してくるだろう。温暖化対策であまり意味のない宣言文を毎年まとめているより、このようなビッグプロジェクトで技術開発が進めば、一気に温暖化対策が進んでくる。

 日本は、こういったビッグプロジェクトをスタートするには、非常にタイミングがよい。なぜならデフレ経済にあるからだ。巨額投資を始めても、インフレが進みすぎて困ることはない。デフレ脱却に役立つし、失業者を減らすにも役立つ。低すぎるGDPを引き上げるにも最適だし、国の借金のGDP比(つまり実質的な借金)を引き下げるにも役立つ。国際協力によるビッグプロジェクトも、例えば核融合実験炉のような場合は、どこでやるかが大きな問題になる。日本とフランスが取り合いをして結局フランスのカダラッシュに建設することに決まってしまった。10年かけて実験炉を建設し実験を始めるということで、実用化にはまだまだ時間が掛かる。

 一方、洋上風力発電であれば、それほど時間は掛からないし、世界各国で実験を行える。核融合炉ほど技術的な大きな問題もないし、炉が放射能を帯びてしまうという問題も無い。しかも日本は海に囲まれていて、このプロジェクトで日本が中心になってやると宣言できる立場にある。温暖化防止やエネルギー自給率の引き上げなど、日本にとってもメリットは限りなく大きい。日本政府が躊躇しているのは、国の借金が大変だということだろうが、お金は刷ればよいのだ。税金ではなく、日銀が刷ったお金を使って実施するのであれば、いわばタダでやれるようなものだ。

 ロボット開発も同様だ。人間の替わりに労働をしてくれるロボットが安く開発できれば、それは安い労働力を永遠に手に入れたことになり少子高齢化を恐れる必要は永遠に無くなる。そういった労働力を求めているのは、どの国も同様だろう。ロボット技術は世界の中で日本が群を抜いて高い。そこで世界で手分けして、労働を任せられるロボットづくりの技術開発をすればよい。この分野でも日本が中心となり、プロジェクトを立ち上げればよいではないか。議長国になるのなら、そういった前向きの提案をしたかった。

 米国でも大不況を乗り越えるためにルーズベルト大統領はニューディール政策を実施した。大規模な公共工事であり、大不況を取り除くためには、国民に夢を与えることであった。現在の日本の復活も同様な、巨大プロジェクトを立ち上げ、財政は心配ないと説明し、更にこのプロジェクトの完遂の後には繁栄する日本があることをきちんとシミュレーションを行い誰もが納得できる説明をした後に大胆に実行すれば国民は必ずついてくる。

 今の日本に最も必要なのは自信を取り戻すことだ。かつては追いつき追い越せで驚異的な経済発展を成し遂げた。やればできるという自信ができた。日本の失敗は、国の借金を税金で返さねばならないと勘違いしたことだ。お金はいくらでも日銀の金庫から引き出せる。引き出したお金を有効利用して、世界を風力発電やロボットの分野で世界をリードできることが分かったら、日本国民が自信を取り戻すきっかけになるだろう。日銀の金庫からお金を取り出せば、神のたたりでも起こると考えているのだろうか。そんな心配は無用である。

 原油や食料価格の高騰で、アフリカなど貧しい国に危機が訪れている。そうでなくても不足していた食糧も買えなくなって、飢餓に襲われる。僅かのODAなどで助けられるような、そんな小さな問題ではない。このようなとき、風力発電などの技術の進歩は、世界のエネルギー危機を救う。それだけではない。バイオ燃料の生産が食糧価格の高騰に拍車をかけているのだから、エネルギー危機を救えばバイオ燃料など不要となり、原油価格だけでなく、食料価格も元に戻り、飢餓に貧す国々を救うことになる。日本がお金を刷ることが、世界をも救うのである。

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2008年7月 7日 (月)

第53回日本経済復活の会・開催

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【ご案内図】

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本日は『紙の爆弾』8月号発売日

Vfsh0113_3  本日は鹿砦社の基幹雑誌『紙の爆弾』8月号の発売日である。今月号記事の全般の読後感は充実していて面白いと思う。
                                                        珍しいと思ったのは、今回から俳優の千葉真一さんが連載を始めたことだ。私の年代では子供の頃、「月光仮面」、「風小僧」、「白馬童子」、「赤胴鈴之助」、「まぼろし探偵」などがヒーローだった。その中で「七色仮面」もけっして抜かせないヒーローであった。今回の千葉真一さんの回想録で知ったのだが、なんと「新・七色仮面」が彼のデビュー作だったそうである。子供の頃のヒーローの一人が、アクション俳優の千葉真一さんであったことは今初めて知って少し驚いている。

 あと、作家の安部譲二さんが寄稿している。彼は鹿砦社・社長の松岡利康さんや中川編集長はけっして“カタギ”ではないと、元その筋の人間らしい表現で書いているが、その真意は、既存の大手新聞やテレビメディアの報道することを鵜呑みにしている人々が、いわゆる“カタギ”の連中ということらしい。それなら私も同感だ。大手メディアにすっかり洗脳されていて疑うことを知らない、いわゆるB層連中が、安部さんの言う“まとも”な連中なのだ。

Photo_3  パロディ作家のマッドアマノさんによる鳩山法相(写真)には思わず笑ってしまった。人権擁護法案や共謀罪法案など、危ない法案には、なぜかこの人の影が強くちらついている。ネオリベ・マンセーで強い従米志向、この御仁はかなり危ない人に見えるのだが。

 あとは、自分の記事の紹介で恐縮だが、昨今の頻出する偽装事件の深層が、小泉政権のネオリベ導入による人心荒廃でモラルハザードが起きているからではないかという考察を書いてみた。なぜなら、西宮冷蔵の水谷社長が六年前に雪印食品の牛肉偽装事件を内部告発して世間に衝撃を与えたはずなのに、その教訓はいっこうに生かされず、ご存知のように、毎日食品偽装事件が続いている。この背景には過剰な市場原理至上主義によるモラルハザードが起因していると私は考えている。小泉政権の出力は国民全般のモラルハザードも招来したのだ。拙記事のタイトルは『告発の後に襲い来る漆黒の大津波』(P88)

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江戸時代にあった「水系一貫の思想」

 熊沢蕃山の現代的意味を問いかける

 今月24日に開かれる「日本経済復活の会」定例会では、林野庁森林整備部研究・保全課長の渋谷晃太郎氏をお呼びして、『林野庁における花粉発生源対策等の取組について』という題目の講演をお願いする予定らしい。

 杉花粉症の罹患率は日本総人口の10パーセントを超えると推計されている。筆者もここ数年、杉やヒノキの花粉が飛散する時期になると、何やら、くしゃみが出たり、目鼻がむずがゆくなるので、そろそろ罹ってきたのかなと、いささか気にし始めている。筆者の居住地は、神奈川県境や山梨県境に近い静岡県東部であるが、筆者の周りにも花粉症に悩まされている人々は多い。感じとしては、10パーセントどころか、もっと高い率で花粉症を発症している人々がいて、毎年同情している。首都圏の花粉飛散で、杉花粉が最も多いのであれば、今、花粉症に苦しむ人々への対症療法的な措置として、無花粉杉への転換植林も早急に必要ではあろう。しかし、森林問題の根源は花粉症が出るか出ないかではない。総合的に見て、健全な国土に寄与する森林をいかに造り、いかに保全していくかにある。

 1989年から始まった、国営諫早湾干拓事業は、日本の国土計画の最悪の事例として  歴史に刻まれるだろう。この国土改変がどれほど海浜環境の悪化と自然生態システムの破壊を招いたか、いくら言っても足りない思いである。ギロチンと呼ばれた300枚におよぶ潮受け堤防はすぐにでも撤去するべきである。諫早湾のエコシステムが完全に崩壊してからでは自然環境の回復は絶望的である。国が地球環境に対し、このような非道な公共事業を強行すること自体が、日本には国土保全思想がないことを物語る。戦後は日本各地でこれに類似した深刻な自然破壊が公共事業として公然と行なわれている。日本人はそろそろ明治以前の国土保全思想を復活させるべき時に来ていると思う。

 筆者は、内閣府の姿勢はもちろんのこと、国民全体の意志としての『国論』として、明確な国土計画が存在しないことに、戦後日本の最大の悲劇を見る。昭和20年8月15日、日本は悲劇の戦争に幕を下ろした。主要都市は米軍機の集中的空爆によって、ことごとく焦土と化した。敗戦の経済疲弊は惨憺たるものであり、国民は、とにかく当面は食べていくために復興に全力を傾け、脇目も振らずに戦後のインフラ建設に邁進した。その後、日本は短日月(たんじつげつ)で、世界の奇跡と言われる戦後復興を成し遂げた。その後の高度経済成長は目を瞠るばかりの大躍進であった。1960年代まで、総じて年10パーセントを超える経済成長を歩んだ。二度の石油危機など、紆余曲折はあったが、1980年ごろは米国に次いで世界第二位の経済大国になっていた。戦後の闇市的な混沌から、そこに到達するまで、日本人は、荒廃した国土復興と戦後インフラの建設に血道をあげ、一時はエコノミック・アニマルとか、働きバチ症候群なる造語が定着したほど、日夜仕事に勤しんだ。

 日本はこのような、戦後復興から経済大国への単線的な道程を歩んでいる間に、先祖達が営々と受け継いで行なってきた大事な責務をすっかり亡失してしまった。それが国土保全の思想と行動であった。豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)と総称され、白砂青松、山紫水明と謳われた、世界にも稀なバランスの取れた美しい自然に恵まれていた日本の国土は、戦後の経済成長とともに、その様相を一変させてしまった。山間部の森林、河川、里山、海浜と大雑把に国土の自然を分けた場合、これらすべてがエコシステム的様態を破壊する方向に進んでしまっている。経済成長にともない、自然環境の改変が進み、全国的に自然林や干潟等が急速に減少した。特に視覚的にその変化がよくわかるのは天然林が人工林に変わってしまったことだろう。森林の色相や複雑な景観は、四季の移ろいによってあざやかに変化していた。ところが杉やヒノキなどの常緑針葉人工樹林は、四季を通じて緑か赤茶けた色かの単調な変化だけである。日本人が自国の自然に壊滅的な破壊作用を与える傾向は、すでに明治期にその萌芽が見られる。当時は、欧米型近代化による殖産興業振興政策で、列島全体的に神社仏閣の森や海浜環境等の自然破壊が起きていた。。

 日本列島における自然崩壊の先鞭的事例は、明治39年、南方熊楠が全身全霊で反対した神社合祀令による鎮守の森の統廃合に見られる。いや、もっと正確に言うなら、富国強兵を前提とした脱亜入欧的な明治期の殖産興業振興政策が、わが国の自然環境に与えた負の部分は、その悪名高い神社合祀令に先立つ、明治29年の河川法、翌年30年の砂防法、森林法の成立があり、これらは総称して治水三法と呼ばれたが、この法律によって、江戸時代以来続いていた、わが国特有の『水系一貫の思想』が、無残にも破棄されてしまった。長くなるので、仔細に説明するゆとりはないが、『水と緑と土』を書いた富山和子女史によれば、この治水三法によって日本の治水行政は、治山、砂防、河川改修、利水などに機械的に分割され、水系一貫の継承的思想は行政方面からも、この時点で断絶したそうである。ここが重大なポイントである。

 現在、わが国の自然保護や国土行政の基本姿勢には、実は明治期のこの治水三法及び、熊楠が猛反発した「神社合祀令」の反自然的思想が一貫して見られ、ブルドーザーやパワーシャベルのような重機が発達した今日に、その破壊的自然観は脈々と受け継がれているのだ。戦後日本の治水行政は徹底した水系一貫システムの破壊にあった。つまり、行政機構も、国民も、日本列島の自然をダイナミックな循環系のエコシステムとして捉える視点を持たず、いわゆる要素還元主義的な自然観による局所的な自然改変に血道をあげたのである。水系一貫の考え方とは、水の流れという物理的な見方だけで言うなら、源流域の奥山の森林の健康な状態から始まって、複数の支流河川、中流域、下流域、そして海へ流入する水系の有機的、生態学的な連続性のことである。しかし、水系を基準に見て、その流域に住む人間の環境や、農業生産物を生む田畑や、河口域と関わる周辺部の海産物が獲れる漁場などは、すべてが関連した水系によってエコシステムが形成されている。この水系に人間の都合だけでコンクリート護岸やダムなどの人工物を構築すると、全体のエコシステムに重大な損傷が生じてしまうのである。諫早湾の潮止め堤防の例を見てもはっきりしたように、水系の遮断構築物が生態系を破壊することは間違いない。

 それでも、大東亜戦争以前はまだ天然林が各地に見られたようである。戦後は昭和30年代後半くらいまでは、常緑広葉樹林、中間針葉樹林、落葉広葉樹林などの多様な植生に彩られた混合林が多かったが、それも急速に失われ、杉やヒノキ等の針葉樹林に置き換えられてしまった。

 特に国有林は瞬く間に人工林に変えられた。また、民間が管理する民有林も、国の計画によってスギなどが植林された。杉の植林に補助金が支給されたために、日本全国の貴重な天然林に覆われた大部分の山々が、短日月でいっせいにスギ等の人工林に切り替えられた。その後、杉の国内需要は外国産の値段の安い木材に押されて需要が低下、価値を失った人工林は間伐や下草狩りなどの手入れがなされなくなり、放置状態にされている。その結果、全国の人工林は土壌荒廃を起こし、無残な状態に陥っている。その悪影響はいろいろ指摘できるが、今真っ先に言いたいことは、森林環境の手入れを怠ったために、土壌荒廃を起こし、雨水の潅水能力がほとんど失せた人工林になってしまっている。そのために異常気象による大量降雨があった場合、鉄砲水や土砂崩れをあちこちで引き起こしているのだ。台風時や異常降雨時の大洪水は人災なのである。天然林を針葉樹の人工林に大規模に切り替えたこと、そして、その人工林の手入れをせずに放置したために山肌が荒廃し、土壌流出や潅水機能の極限的な低下を招いている。温暖化が原因と言われる最近の異常降雨は、全国各地に深刻な土砂崩れ災害を引き起こし、河川源流域の様相を一変させている。戦後日本の治山治水事業は限界のないエコシステムの破壊作業であった。

 筆者は、これを江戸時代の治山治水思想に戻す必要を痛感する今日この頃である。具体的には江戸期の環境工学者であった熊沢蕃山の思想を早急に現代に生かすことを進める。熊沢蕃山は江戸の陽明学派の儒学者であり、中江藤樹に師事した。彼の自然観、治水治山観の要諦が出ている有名な文章を記す。

 (熊沢蕃山の『集義外書』より)
「山は木ある時は神気さかんなり、木なきときは神気おとろえて、雲雨を起こすべき力少なし。しかのみならず木草しげき山は、土砂を川中に落さず。大雨降れども木草に水を含みて、十日も二十日も自然に川に出る故に、かたがたもって洪水の憂いなし。山に草木なければ、土砂川中に入りて川床高くなり候。大雨を貯(たくわ)うべき草木なき故に、一度に川に落ち入り、しかも川床高ければ洪水の憂いあり。山川神気うすく、山沢気を通じて、水を生じることも少なければ、平生(へいぜい)は田地の用水少なく、舟をかよわすこと自由ならず」(狩野亮二『江戸時代の林業思想』より ※富山和子著「水と緑と土」86ページから引用)

  若い人たちに解説するが、蕃山が“神気さかんなり”とか“神気おとろえて”と表現している“神気”という言葉は、神仙思想などのような、特別霊的なもの、神秘的なものとして受け取る必要はまったくない。もっとも、蕃山の本来の自然思想の核は、深山幽谷の霊気に深い畏敬の念を持っていることにあると思える。しかし、ここでは蕃山が使っている神気とは、健康な植生に満ちている山というレベルで受け取っていいと思う。つまり、多様な植物に覆われ、活き活きと生命力に満ちている山容というほどの意味である。要は、山にある樹木を乱伐すると山肌が荒廃し、雲を起こし、雨を降らせるシステムが弱ってくる。しかし、木や草が青々と繁茂する山は土砂が川に流出することもなく、大雨が降っても、山の草木が水を貯留し、すぐに河川に流入することはない。水が染み出るには十日も二十日も時間をかけてゆっくりと出てくるから洪水の心配がない。山に草木がなければ、これとは逆に、土砂が川に流れ出て、川床を埋めて高くするために洪水が頻発するようになる。また舟の往来が自由にできなくなる。

  蕃山はわが国で最初に乱開発による国土の荒廃を指摘し、治世の根幹は治水・治山にあると断言した学者である。今、洞爺湖サミットの議題でも環境保護が議題となっているが、われわれの先祖には、熊沢蕃山のような碩学がいて、彼が今日に生きていれば、即座に政府の誤まった国土計画を弾劾するだろう。われわれは蕃山の思想を受け継ぎ、現代に適用させることを真剣に考えるべき時に来ていると思う。江戸時代に確立していた“水系一貫の思想”は現代に甦らせるべきである。

 この観点で言えば、前長野県知事・田中康夫さんの『脱ダム宣言』が、日本文明回帰論的な文脈において、いかに重要で突破的な考え方であるかお分かりになると思う。

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2008年7月 6日 (日)

シンガポールにまで抜かれた日本(小野盛司)

    (※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第95弾です)

 かつて、世界で最も豊かな国の一つであった日本だが、デフレを放置しておいているため、没落が止まらない。昨日(7月5日)の日経によれば、2007年の一人当たりのGDPでシンガポールにも抜かれたようだ。これはIMFの調査結果だ。 25年間で、日本の一人当たりのGDPは3.9倍にしか増えていないのに、シンガポールは10.1倍、韓国は5.6倍になっている。

 シンガポールは07年課税分から法人税を2%引き下げ18%に低減。所得税も最高税率20%で、相続税もない。日本では将来世代につけを残さないためには、増税することが、不可欠であるかのように語られるが、それは全くの逆だ。国が国民からお金を多く取りすぎているから、満足な経済活動ができなくなって、どんどん貧乏になっていく。アジアの国々でも賢明な指導者がいれば、税率を下げ、経済を活性化し、豊かになっていく。どちらが将来世代のために貢献しているかを冷静に考えて欲しいものである。

 日本は世界で最も豊かな国の一つであった時代は終わったにせよ、アジアでは最も金持ちの国だろうという甘い幻想は捨てた方がよい。今の政府が行っているデフレ下での緊縮財政が続くなら、日本国民がどんなに長時間働いて、どんなに頑張っても、果てしなく日本は貧乏になるのであり、そのうちアジアの国々までが、あわれむほどの惨めな国になってしまう。木村剛の『投資戦略の発想法』から少し引用する。アジア各国における上場企業の時価総額を2007年11月16日時点で比較してある。

 鉄工業では、韓国のポコスがナンバーワンです。第二位が新日本製鐵で、第三位は中国の宝山鋼鉄。日本国内では第二位のJFEホールディングは四位にすぎません。化学ではトップは信越化学、第ワンの南亜プラスチックが第二位で住友化学や三菱化学を上回っている。

 インターネットでは、日本のヤフーの後塵を拝していますが、中国のアリババ・ドット・コムが急成長しています。そして、韓国のNHNや、中国のテンセン・ホールディングが楽天を抑えています。

 移動体通信の分野では、中国の中国移動通信(チャイナモバイル)はNTTドコモの5倍を超える巨大企業であり、世界一の加入者数を誇っています。鉱業をみると、国債五社が再編・合併により設立された中国の中国アルミは、住友金属鉱山をはるかに上回り、アジアトップに君臨していますし、製糸業でも、中国の九龍製紙が、日本最大手の製紙メーカーである王子製紙と第二位の日本製紙を足し上げた以上の規模を誇っています。

 造船が強いのは韓国。三井造船の上には、韓国の五社以外にシンガポール、中国の企業が陣取っています。金属では、インドのスターライト・インダストリーズ、中国の江西銅業に次ぐ第三位に日本精工がなんとか入っている現状です。航空会社では、中国国際航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空、中国東方航空の次にやっと全日空が入る。ホテル業界で日本でトップの帝国ホテルは、アジアでは第十位以下。

 というわけで、アジアの中でも次々と抜かれている現状が分かる。日本経済を衰退させたのは、政府の経済政策の失敗であることは言うまでもない。その失敗の原因となった判断ミスは、内閣府の経済モデルによる試算結果にあった。内閣府は自ら好んであのような欺瞞的な経済モデルを作ったのではないだろう。誰かに命じられてインチキモデルを作ったに違いない。それが誰かは分からないが、財務省なのか、小泉元首相なのか、竹中元大臣なのか、デフレ下の緊縮財政を主張した誰かだろう。あれは馬鹿なモデルだという証拠の一つとして、宍戸駿太郞氏のまとめたグラフを紹介したい。これは個人所得税を減税した場合GDPがどれだけ伸びるかを示したものだ。

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 所得税減税をして国民に金を渡しても、たいした効果はないと言いたいのが良く分かるだろう。実際は、他のシンクタンクは内閣府の2~3倍の景気刺激効果を認めている。政治的圧力無しに、過去の経済データに忠実にモデルをつくるとこうなるのだ。

 国をどんなに貧乏にしてもよいから増税をして財政を立て直そうとしている政府。増税をしても、それほど景気は悪くならないからと言いたいのだ。これを国民不在と言わず何と言おう。国の借金が増えたから財政が厳しいという。しかし、通貨発行権を持っている国にとって借金は何の意味もない。お金を刷れば借金はいつでも返せる。国は通貨発行権を放棄し、国の借金を返すことを最優先するのでなく、経済と国民を最優先して経済政策を行っていただきたい。

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日本に希望を与える信念の男、城内実

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