ひき潮
最近の記事の傾向とはまったく無関係なのだが、少し秋めいてきたので矢沢永吉ソングについてとりとめのない話を少し。私の年代で矢沢永吉ファンは結構いると思う。
私は今年55歳、いいオヤジである。永ちゃんの歌にとりつかれたのが25歳の時だったから、かれこれ30年も永ちゃんソングを聴いてきたことになる。若い時は「バイバイ サンキュー・ガール」のようなロック調の歌も好きだったが、歳が行ってもよく聴いていたのは、やっぱり彼のバラードである。初めてファンになったころは、武道館ライブに行って生の永ちゃんを堪能したが、彼の人気がうなぎのぼりになってくると、チケットの入手が難しくなり、なかなかライブに行けなくなった。そこで、当時はカセットテープで彼の歌を聴いていた。当時のE・YAZAWAのロゴ入りバスタオルやTシャツ、その他の永ちゃんグッズが押入れの奥に仕舞い込んである。私が好きな永ちゃんのバラードを挙げたら、あまりたくさんあって羅列不能である。
永ちゃんの作曲したメロディは彼独特の際立った世界を持っている。いわゆる矢沢メロディである。永ちゃんファンは例外なくその世界に耽溺している。その中で私が好きなものを強いて言えば、「LAHAINA」、「棕櫚の影に」、「エイシャン・シー」、「SEPTEMBER MOON」などである。私は海の情景が強く出ている歌では「ひき潮」が最も好きである。この歌はメロディも詞も過ぎ行く夏の切なさがよくあらわれていて、心にしみる。
ふと秋めいた風が肌にまとわりついたら、どういうわけかこの「ひき潮」が無性に聴きたくなった。比較的最近出た永ちゃんのDVDで「ROCK OPERA2」というのがあって、オーケストラをバックに彼が歌っている。非常にクオリティが高いサウンドである。この中に収録されている「ひき潮」がひときわ秀逸なのだ。力強く伸びやかに歌っているのは若いころと変わらないのだが、永ちゃんは年齢に応じた深みをこの歌に加えている。この叙情性がたまらないのだ。永ちゃんの歌はみんな持っているよという人でも、このDVDを聴いていなければ是非お勧めする。30年前の永ちゃんの曲とは思えない進化(深化)を経験できるだろう。
さらば夏よ つらい恋よ
あたなただけは幸せに
あなたとたたずむ渚はもう秋
一晩ばかりのわかれは終わった
海よ わかってくれ たった一度だけの
いのちもかけたそんな愛を
振り向くあなたの 別れの叫びを
むなしくかき消す冷たい潮騒
海よ 笑ってくれ 命賭けた人を
奪ってゆけない弱い俺を
こんなさよならになるとわかりながら
真夏のめまいに負けた二人
さらば夏よ つらい恋よ
あなただけは幸せに
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